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Mission133
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アワードから入室の許可が出たので、部屋へと入っていくギルソンとアリス。
部屋に入ると、そこにはアワードにイスヴァン、イスヴァンのオートマタのフラム、それに鉱山の調査に向かっていたはずのフェールが立っていた。
「あら、フェールさん。戻ってらしたのですね」
ついつい反応して声を漏らしてしまうアリスである。
「はい。先刻ほどに戻りました」
ぺこりと礼儀正しく頭を下げるフェールである。アリスと違ってちゃんとしたオートマタなので、その辺りの行動は実に模範的である。
「それでフェール、調査の結果はどうだったのかな」
挨拶を早々に切り上げさせ、アワードはフェールに調査の報告をさせる。
自分のマスターであるアワードに命じられたフェールをは、すぐさまきっちりと直立する。そして、どこからともなく報告書のような紙の束を取り出していた。
「前置きはすっ飛ばしまして、此度の調査の報告をさせて頂きます」
説明にあたり、オートマタであるのにわざわざ咳払いをするフェールである。
「まず、ツェンの鉱山ですが、今のペースなら10年はもつようですね」
「10年……」
最初から重い話題だった。10年とは長いようで短いのだ。なにせ、部屋に居るギルソンたちがいい年齢になった頃の話なのだから。
さすがに10年で鉱山が尽きるというのは悪い知らせである。フェールもそれは重々承知のようで、すぐさま次の話題に移ろうとしている。
「今のツェン鉱山は10年で終わりますが、そもそもあの辺り一帯は鉱石の類はたくさん眠っているみたいです。ツェンから少し北にもございますので、新たにそこを掘れば30年は大丈夫だと思われます」
「新しい鉱山でも30年ですか……」
フェールの調査結果に、ギルソンは深く考え込んだ。
「もちろん、今のペースで使い続ければです。以前の使用量に減らせば、ツェンですら100年以上は余裕でもちます」
すぐさまフェールが驚く事をいい放っていた。
(ああ、やっぱり鉄道が影響を与えてましたか。でも、この世界を変えるには必要でしたしね。うーん、これはなんとかしなくてはいけませんね)
ギルソンの横で考え込むアリスだった。
「そうですか。それはご苦労でしたね」
ギルソンは労いながらも、真剣な表情で考え込んでいる。なんといっても、ファルーダン王国を盛り立てていくには鉄道がどうしても不可欠だからだ。
ただ、そうなるともう一つの大問題があるのである。
「フェール、魔法石の方は分かりますか?」
「魔法石。で、ございますか?」
ギルソンの質問に反応するフェール。ただ、驚くような様子ではなく、確認するように返している。ということは、フェールはこちらにも危機感を持っているのだろう。
「魔法石ですか……。こちらは明確な生産地が分かりませんので何とも言えませんが、このままならこちらもそう長く在庫は持ちませんでしょうね」
フェールをもってしても生産地は分からないらしい。でも、オートマタの工房にある在庫はある程度把握しているようなのだ。
その情報から判断するに、フェールは厳しい状況にあるとしっかり告げていた。
「そうですか……。ところで、魔法石の代わりに使えそうなものは何か、思いつきますでしょうか」
フェールの厳しい表情に、アリスは遠慮しながらも質問をぶつけてみる。すると、フェールは依然厳しい表情ながらも、思い当たる方法を探っているようだった。
すると、フェールは何かに思い当たったようだ。
「……そうですね。魔法石と似たような性質を持つといえば、宝石でしょうかね」
「宝石……ですか」
神妙な面持ちで反応するギルソンである。
そうなってしまうのも無理はないだろう。
宝石といえば貴族たちの富の象徴ともいえる代物だからだ。それを魔法石に代わるものにするとなると、貴族たちの反発は避けられないだろう。
しかし、このフェールの意見は至極普通である。なにせ、魔法石の見た目は宝石と同じなのだから。ただ、それが無色透明のガラスのようなものというだけなのである。
それを考えたのなら、魔法石の代わりに宝石を使うという発想は、普通に出てくるわけなのだ。
ただし、この方法にも問題はある。宝石と魔法石には決定的な違いがあるからだ。
それは何かと言われたら、魔力がこもっているかどうかと事だ。
魔法石はそもそも魔力を含んでいるために、魔法を作用させるとスムーズにその魔法の効果が発動する。魔力のない宝石に同じ事をして、同じ効果が得られるかといったら甚だ疑問というわけなのだ。
フェールの話を聞いてみた結果、どうやらファルーダン王国の現状にはただならぬ量の問題点があるようだった。
鉄道を開業させて便利になったものの、そのしわ寄せというのは想像以上に多くて厳しいもののようだった。
「これは、今一度現実と向き合ってみるべき事態というわけですね。ずいぶんと悩ましい話のようですね……」
ギルソンは本気で唸っている。
ギルソン12歳。この時にして、どうやら大きな分岐点に立つ事となってしまったようだった。
部屋に入ると、そこにはアワードにイスヴァン、イスヴァンのオートマタのフラム、それに鉱山の調査に向かっていたはずのフェールが立っていた。
「あら、フェールさん。戻ってらしたのですね」
ついつい反応して声を漏らしてしまうアリスである。
「はい。先刻ほどに戻りました」
ぺこりと礼儀正しく頭を下げるフェールである。アリスと違ってちゃんとしたオートマタなので、その辺りの行動は実に模範的である。
「それでフェール、調査の結果はどうだったのかな」
挨拶を早々に切り上げさせ、アワードはフェールに調査の報告をさせる。
自分のマスターであるアワードに命じられたフェールをは、すぐさまきっちりと直立する。そして、どこからともなく報告書のような紙の束を取り出していた。
「前置きはすっ飛ばしまして、此度の調査の報告をさせて頂きます」
説明にあたり、オートマタであるのにわざわざ咳払いをするフェールである。
「まず、ツェンの鉱山ですが、今のペースなら10年はもつようですね」
「10年……」
最初から重い話題だった。10年とは長いようで短いのだ。なにせ、部屋に居るギルソンたちがいい年齢になった頃の話なのだから。
さすがに10年で鉱山が尽きるというのは悪い知らせである。フェールもそれは重々承知のようで、すぐさま次の話題に移ろうとしている。
「今のツェン鉱山は10年で終わりますが、そもそもあの辺り一帯は鉱石の類はたくさん眠っているみたいです。ツェンから少し北にもございますので、新たにそこを掘れば30年は大丈夫だと思われます」
「新しい鉱山でも30年ですか……」
フェールの調査結果に、ギルソンは深く考え込んだ。
「もちろん、今のペースで使い続ければです。以前の使用量に減らせば、ツェンですら100年以上は余裕でもちます」
すぐさまフェールが驚く事をいい放っていた。
(ああ、やっぱり鉄道が影響を与えてましたか。でも、この世界を変えるには必要でしたしね。うーん、これはなんとかしなくてはいけませんね)
ギルソンの横で考え込むアリスだった。
「そうですか。それはご苦労でしたね」
ギルソンは労いながらも、真剣な表情で考え込んでいる。なんといっても、ファルーダン王国を盛り立てていくには鉄道がどうしても不可欠だからだ。
ただ、そうなるともう一つの大問題があるのである。
「フェール、魔法石の方は分かりますか?」
「魔法石。で、ございますか?」
ギルソンの質問に反応するフェール。ただ、驚くような様子ではなく、確認するように返している。ということは、フェールはこちらにも危機感を持っているのだろう。
「魔法石ですか……。こちらは明確な生産地が分かりませんので何とも言えませんが、このままならこちらもそう長く在庫は持ちませんでしょうね」
フェールをもってしても生産地は分からないらしい。でも、オートマタの工房にある在庫はある程度把握しているようなのだ。
その情報から判断するに、フェールは厳しい状況にあるとしっかり告げていた。
「そうですか……。ところで、魔法石の代わりに使えそうなものは何か、思いつきますでしょうか」
フェールの厳しい表情に、アリスは遠慮しながらも質問をぶつけてみる。すると、フェールは依然厳しい表情ながらも、思い当たる方法を探っているようだった。
すると、フェールは何かに思い当たったようだ。
「……そうですね。魔法石と似たような性質を持つといえば、宝石でしょうかね」
「宝石……ですか」
神妙な面持ちで反応するギルソンである。
そうなってしまうのも無理はないだろう。
宝石といえば貴族たちの富の象徴ともいえる代物だからだ。それを魔法石に代わるものにするとなると、貴族たちの反発は避けられないだろう。
しかし、このフェールの意見は至極普通である。なにせ、魔法石の見た目は宝石と同じなのだから。ただ、それが無色透明のガラスのようなものというだけなのである。
それを考えたのなら、魔法石の代わりに宝石を使うという発想は、普通に出てくるわけなのだ。
ただし、この方法にも問題はある。宝石と魔法石には決定的な違いがあるからだ。
それは何かと言われたら、魔力がこもっているかどうかと事だ。
魔法石はそもそも魔力を含んでいるために、魔法を作用させるとスムーズにその魔法の効果が発動する。魔力のない宝石に同じ事をして、同じ効果が得られるかといったら甚だ疑問というわけなのだ。
フェールの話を聞いてみた結果、どうやらファルーダン王国の現状にはただならぬ量の問題点があるようだった。
鉄道を開業させて便利になったものの、そのしわ寄せというのは想像以上に多くて厳しいもののようだった。
「これは、今一度現実と向き合ってみるべき事態というわけですね。ずいぶんと悩ましい話のようですね……」
ギルソンは本気で唸っている。
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