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Mission129
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「では、新規参加者が居るということで、改めて最初に自己紹介をしておきましょうか」
フォリンが立ち上がって頭を下げている。一応国家元首たる大公と王国の王子が参加しているのだから、当然だろう。
「海向こうの国、ニポナの国を拠点とする紹介を率いるフォリンと申します。ギルソン王子でしたね、以後お見知りおきを」
ギルソン本人の自己紹介に加えて、大公からも同じ答えが返ってきた事で、フォリンはその身分をようやく信じたようだ。
「丁寧にご挨拶をありがとうございます。ボクからも改めて自己紹介をしましょう」
今度はギルソンが立ち上がる。
「ボクはソルティエ公国の北西に位置するファルーダン王国の第五王子で、ギルソン・アーディリオ・ファルーダンと申します。この場は初めて不慣れではありますが、よろしくお願いします」
しっかりとした挨拶をするギルソン。
大の大人たちに囲まれながらも、まったく怖気づく様子のないギルソン。その堂々たる態度にフォリンたちの海外勢は驚きを隠せなかった。
まったく、まだ12歳だというのに、大した胆力の持ち主だ。
(なんて子どもだ。自己紹介だけであっという間にその場の空気を支配してみせている。……面白い。ならばその実力、とくと拝見させてもらおうか)
商談の場の雰囲気ががらりと変わった事で、フォリンは思わず笑みを浮かべてしまう。
たった12歳の少年に、この商談が飲み込まれかけたのだ。
フォリンは心の底から、ギルソンに対して恐ろしさと面白さを感じたのである。
ひと通りに自己紹介が終わって、いざ商談という段階になる。その時、外の方が騒がしくなってきた。
「すまない。まだ商談は始まっていないかね?」
見慣れない男性が会場に入ってきた。
「おや、お隣の国のアンジーではないか。貴公も来ていたのですか」
「おお、フォリンか。久しぶりだな。寄港のタイミングが重なるとは、何年ぶりだろうかな」
「海外への展開を始めた頃だから10年は前でしょうかね」
「おお、そんな昔か」
入ってくるなりフォリンとの会話が弾むアンジー。
「お話が盛り上がっているところ失礼致します。今は商談の場ですので、そのようなお話は終わった後にでも個別にされるとよろしいかと存じます」
そこにメイド服の女性が入ってきて口を挟んだ。言わずもがな、ギルソンのオートマタであるアリスである。
「ははっ、それもそうだね。いやあ、荷下ろしを手伝ってくれてありがとう」
「いえ、あの程度は問題ございません。困っているようでしたのでお手伝いさせて頂きました」
アンジーの話に、淡々と返すアリス。そして、一礼するとギルソンのところへとやって来た。
「お待たせ致しました、マイマスター」
「うん、ご苦労だったね、アリス」
言葉を交わすと、ギルソンの後ろに立つアリス。その姿を見て、アンジーは驚いている。
「なんと、誰かの従者とは思っていたが、主はまだ少年ではないか……」
「彼はファルーダン王国の第五王子ギルソン殿下だ。訳あって今回の商談にへの参加を特別に許可したのだよ」
驚くアンジーに、ソルティエ大公がギルソンの紹介をする。
「なんと、大公様が許可を出されたのですか……。これは侮れない人物ですな」
思わず身震いをするアンジー。まだ若いというのに大公に認められた人物とだけあって、一気に興味を持ったようだった。
その様子を見た大公が、咳払いをして話を切り替える。
「さて、毎度のことだが、最初に積荷の物品リストを出してほしい。積荷の状態は知る者に見てもらうのが一番だからな」
大公は港を管理する者たちを呼び、フォリンとアンジーから積み荷のリストを受け取る。そして、積荷のチェックを依頼する。
「では、商談を始める前に、この少年、ギルソン殿下が呼ばれた理由を話そうではないか。実はこれがこの商談においては重要な要素なのでな」
真剣な表情で、大公は今年あった変化を二人に話していく。
自分たちの子どもをファルーダンへと留学させた事、そして、そのファルーダンとの間に鉄道という新しい移動手段ができた事。それらを詳細に説明した。
「そんな事があったのですか」
「陸を走る巨大な金属の塊……。いやはや、なんとも信じられませんな」
フォリンもアンジーも、あまりに突拍子な話だったので、いくら大公の言葉とはいえ疑う事しかできなかった。
なにせ巨大な乗り物といったら、自分たちの乗ってきた船くらいしか見た事がないのだから。
「まぁ信じられないのも無理はないだろうな。商談の後で我が屋敷に移動する時にでも、実物を見せようではないか」
大公がもったいぶっていうものだから、二人とも話半分に聞いていたようだった。
「では、そろそろ本番に移るとしようか」
大公のひと言で、がらりと空気が変わる。息を飲むような雰囲気の中、一人わくわく感を募らせている人物が一人いた。
他でもないアリスである。なにせ海向こうの物品が出てくるのだ。もしかしたら、自分の知っているものが出てくるかもしれないと期待をしているのである。
そんなアリスの期待が高まる中、ギルソンも参加しての商談がいよいよ始まったのだった。
フォリンが立ち上がって頭を下げている。一応国家元首たる大公と王国の王子が参加しているのだから、当然だろう。
「海向こうの国、ニポナの国を拠点とする紹介を率いるフォリンと申します。ギルソン王子でしたね、以後お見知りおきを」
ギルソン本人の自己紹介に加えて、大公からも同じ答えが返ってきた事で、フォリンはその身分をようやく信じたようだ。
「丁寧にご挨拶をありがとうございます。ボクからも改めて自己紹介をしましょう」
今度はギルソンが立ち上がる。
「ボクはソルティエ公国の北西に位置するファルーダン王国の第五王子で、ギルソン・アーディリオ・ファルーダンと申します。この場は初めて不慣れではありますが、よろしくお願いします」
しっかりとした挨拶をするギルソン。
大の大人たちに囲まれながらも、まったく怖気づく様子のないギルソン。その堂々たる態度にフォリンたちの海外勢は驚きを隠せなかった。
まったく、まだ12歳だというのに、大した胆力の持ち主だ。
(なんて子どもだ。自己紹介だけであっという間にその場の空気を支配してみせている。……面白い。ならばその実力、とくと拝見させてもらおうか)
商談の場の雰囲気ががらりと変わった事で、フォリンは思わず笑みを浮かべてしまう。
たった12歳の少年に、この商談が飲み込まれかけたのだ。
フォリンは心の底から、ギルソンに対して恐ろしさと面白さを感じたのである。
ひと通りに自己紹介が終わって、いざ商談という段階になる。その時、外の方が騒がしくなってきた。
「すまない。まだ商談は始まっていないかね?」
見慣れない男性が会場に入ってきた。
「おや、お隣の国のアンジーではないか。貴公も来ていたのですか」
「おお、フォリンか。久しぶりだな。寄港のタイミングが重なるとは、何年ぶりだろうかな」
「海外への展開を始めた頃だから10年は前でしょうかね」
「おお、そんな昔か」
入ってくるなりフォリンとの会話が弾むアンジー。
「お話が盛り上がっているところ失礼致します。今は商談の場ですので、そのようなお話は終わった後にでも個別にされるとよろしいかと存じます」
そこにメイド服の女性が入ってきて口を挟んだ。言わずもがな、ギルソンのオートマタであるアリスである。
「ははっ、それもそうだね。いやあ、荷下ろしを手伝ってくれてありがとう」
「いえ、あの程度は問題ございません。困っているようでしたのでお手伝いさせて頂きました」
アンジーの話に、淡々と返すアリス。そして、一礼するとギルソンのところへとやって来た。
「お待たせ致しました、マイマスター」
「うん、ご苦労だったね、アリス」
言葉を交わすと、ギルソンの後ろに立つアリス。その姿を見て、アンジーは驚いている。
「なんと、誰かの従者とは思っていたが、主はまだ少年ではないか……」
「彼はファルーダン王国の第五王子ギルソン殿下だ。訳あって今回の商談にへの参加を特別に許可したのだよ」
驚くアンジーに、ソルティエ大公がギルソンの紹介をする。
「なんと、大公様が許可を出されたのですか……。これは侮れない人物ですな」
思わず身震いをするアンジー。まだ若いというのに大公に認められた人物とだけあって、一気に興味を持ったようだった。
その様子を見た大公が、咳払いをして話を切り替える。
「さて、毎度のことだが、最初に積荷の物品リストを出してほしい。積荷の状態は知る者に見てもらうのが一番だからな」
大公は港を管理する者たちを呼び、フォリンとアンジーから積み荷のリストを受け取る。そして、積荷のチェックを依頼する。
「では、商談を始める前に、この少年、ギルソン殿下が呼ばれた理由を話そうではないか。実はこれがこの商談においては重要な要素なのでな」
真剣な表情で、大公は今年あった変化を二人に話していく。
自分たちの子どもをファルーダンへと留学させた事、そして、そのファルーダンとの間に鉄道という新しい移動手段ができた事。それらを詳細に説明した。
「そんな事があったのですか」
「陸を走る巨大な金属の塊……。いやはや、なんとも信じられませんな」
フォリンもアンジーも、あまりに突拍子な話だったので、いくら大公の言葉とはいえ疑う事しかできなかった。
なにせ巨大な乗り物といったら、自分たちの乗ってきた船くらいしか見た事がないのだから。
「まぁ信じられないのも無理はないだろうな。商談の後で我が屋敷に移動する時にでも、実物を見せようではないか」
大公がもったいぶっていうものだから、二人とも話半分に聞いていたようだった。
「では、そろそろ本番に移るとしようか」
大公のひと言で、がらりと空気が変わる。息を飲むような雰囲気の中、一人わくわく感を募らせている人物が一人いた。
他でもないアリスである。なにせ海向こうの物品が出てくるのだ。もしかしたら、自分の知っているものが出てくるかもしれないと期待をしているのである。
そんなアリスの期待が高まる中、ギルソンも参加しての商談がいよいよ始まったのだった。
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