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Mission113
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駅に止まってはオートマタを降ろすという作業を繰り返したために、ソルティエ公国の首都に着いた時にはすっかり日が暮れかけていた。
「さあ、ソルティエ公国の首都の駅に到着ですよ。なるべく海に近い場所に終端駅を設けさせて頂きましたので、これでもまだ終点ではないのですけれどね」
アリスが説明をしているが、確かにまだ線路は先まで続いていた。
「ジャスミン、ここからはマイマスターの補佐をあなたに任せてもいいでしょうか。私は終端駅にもオートマタを配置してこなければなりませんのでね」
「畏まりました、お姉様。私にお任せ下さいませ」
というわけで、アリスはギルソンの補佐をジャスミンに任せて、全員を降ろしたところで終端駅まで列車を走らせたのだった。
終端駅はソルティエ公国の首都の端っこの外側に造られた駅だ。ここでは海岸部から運ばれてきた海産物が持ち寄られるために、少しでも早く取引のテーブルに乗せるために設置させてもらった駅なのである。
この駅に走らせる列車には、冷蔵ではなく冷凍が行える貨車を連結させる予定になっている。魚はかなり傷みやすいので冷凍貨車は必須なのだ。
この終端駅の屋根に上ると、遠くには海がうっすらと見える。これならば、大公邸の尖塔からならばはっきりと海が見えるだろう。
(本当にソルティエ公国は海の近くにあるのですね。海が見える景色というのは、地味に感動してしまいますね)
オートマタに転生してから地味に初めて見る海だった。それがゆえに前世で見てきた記憶が一気に蘇ってくるアリスである。
アリスの前世の居住は海に近い場所ではなかったものの、住んでいたのは日本国内だ。その気になればいつでも海が見れただけに、久しぶりの海は感慨深いものだった。
屋根から降りたアリスは、この駅を担当するオートマタといろいろと話をして、それからギルソンたちの元へと向かった。
「ただいま戻りました、マイマスター」
大公邸に向かうギルソンたちの前に現れるアリス。空から降ってきたので、ギルソンたちはものすごく驚いていた。驚いていないのはオートマタの三人だけだった。
「お姉様、さすがに飛び降りて現れるのはおやめ下さいませ」
「大急ぎで戻って参りましたので、大変失礼を致しました」
ジャスミンに咎められて、素直に謝るアリスである。
「アリス、用事はすべて終わったのかい?」
「はい、すべて滞りなく終わりました。後は車両が用意できれば、正式に営業を始められます」
「そうですか。それはひと安心ですね」
アリスからの報告を聞いて、ギルソンは少し微笑みをこぼしていた。ただ、これからソルティエ大公に会うという状況なので、硬い表情は崩していなかった。
「それでは、大公邸に向かうとしましょう。先触れは出しておきましたし、そろそろ向かっても問題ないでしょうからね」
「畏まりました」
ここに居るメンバーの中ではマリカと並んで最年少だというのに、一番年上に見えてしまうギルソンである。そのくらいしっかりとした性格をしていたのだ。本当にこれが、まだ学園にも入学していない12歳の少年だというのだろうか。一つ年上のポルト、同い年のマリンも驚きを隠せずにいた。
首都の中を歩き、ようやく大公邸に到着する一行。
その大きさはファルーダン王城やマスカード国の宮殿に比べれば大きくはない。それでも、この国の支配者が暮らしているという事が分かるくらいには立派な建物だった。その四隅には辺りを見渡せるだけの尖塔が建っているのだから。
アリスたちは、大公邸の門へと近付いていく。
当然ながら、門では門番に一度止められてしまう。しかし、先程先触れに向かったフェールと、公子ポルトと公女マリンの姿を見つけて、門番はささっと脇に退いて通してくれた。
「よくぞお戻り下さいました、ポルト様、マリン様」
門を通る際に頭を下げて挨拶をする門番。ポルトとマリンは、その門番たちに労いの声を掛けて中へと入っていった。
「ここからは私たちが案内します」
中に入ったポルトとマリンは、ギルソンたちの前に出て告げる。
確かに、二人はこのソルティエ公国の人間で屋敷の中には詳しいだろうけれども、さすがにそれはどうかと思われる。
しばらくすると、アリスたちの前に屋敷の使用人がゆっくりと近付いてきた。おそらく先程の先触れを聞いて遣わされた使用人だろう。
「ようこそお戻りになられました、ポルト様、マリン様」
頭を下げながら挨拶をする使用人。
「そして、よくぞお越し下さいました。大公様のところまでご案内致します」
使用人は続けてギルソンたちにも頭を下げた。そして、頭を上げるとくるりと振り返ってゆっくりと歩き始めた。ギルソンたちはその後をついて行く。
館の中を使用人の後ろについて歩いていくギルソンたち。さすが大公邸とあって内装はそれなりに豪華に飾り立てられていた。
しばらく歩いて、使用人は大きな扉の前でぴたりと動きを止める。
「お待たせ致しました。こちらが大公様のお部屋となります」
使用人の言葉に、ギルソンたちは息を飲む。初めて会う大公とはどんな人物なのか、その人物像を想像しながら、扉が開くのを静かに待つのだった。
「さあ、ソルティエ公国の首都の駅に到着ですよ。なるべく海に近い場所に終端駅を設けさせて頂きましたので、これでもまだ終点ではないのですけれどね」
アリスが説明をしているが、確かにまだ線路は先まで続いていた。
「ジャスミン、ここからはマイマスターの補佐をあなたに任せてもいいでしょうか。私は終端駅にもオートマタを配置してこなければなりませんのでね」
「畏まりました、お姉様。私にお任せ下さいませ」
というわけで、アリスはギルソンの補佐をジャスミンに任せて、全員を降ろしたところで終端駅まで列車を走らせたのだった。
終端駅はソルティエ公国の首都の端っこの外側に造られた駅だ。ここでは海岸部から運ばれてきた海産物が持ち寄られるために、少しでも早く取引のテーブルに乗せるために設置させてもらった駅なのである。
この駅に走らせる列車には、冷蔵ではなく冷凍が行える貨車を連結させる予定になっている。魚はかなり傷みやすいので冷凍貨車は必須なのだ。
この終端駅の屋根に上ると、遠くには海がうっすらと見える。これならば、大公邸の尖塔からならばはっきりと海が見えるだろう。
(本当にソルティエ公国は海の近くにあるのですね。海が見える景色というのは、地味に感動してしまいますね)
オートマタに転生してから地味に初めて見る海だった。それがゆえに前世で見てきた記憶が一気に蘇ってくるアリスである。
アリスの前世の居住は海に近い場所ではなかったものの、住んでいたのは日本国内だ。その気になればいつでも海が見れただけに、久しぶりの海は感慨深いものだった。
屋根から降りたアリスは、この駅を担当するオートマタといろいろと話をして、それからギルソンたちの元へと向かった。
「ただいま戻りました、マイマスター」
大公邸に向かうギルソンたちの前に現れるアリス。空から降ってきたので、ギルソンたちはものすごく驚いていた。驚いていないのはオートマタの三人だけだった。
「お姉様、さすがに飛び降りて現れるのはおやめ下さいませ」
「大急ぎで戻って参りましたので、大変失礼を致しました」
ジャスミンに咎められて、素直に謝るアリスである。
「アリス、用事はすべて終わったのかい?」
「はい、すべて滞りなく終わりました。後は車両が用意できれば、正式に営業を始められます」
「そうですか。それはひと安心ですね」
アリスからの報告を聞いて、ギルソンは少し微笑みをこぼしていた。ただ、これからソルティエ大公に会うという状況なので、硬い表情は崩していなかった。
「それでは、大公邸に向かうとしましょう。先触れは出しておきましたし、そろそろ向かっても問題ないでしょうからね」
「畏まりました」
ここに居るメンバーの中ではマリカと並んで最年少だというのに、一番年上に見えてしまうギルソンである。そのくらいしっかりとした性格をしていたのだ。本当にこれが、まだ学園にも入学していない12歳の少年だというのだろうか。一つ年上のポルト、同い年のマリンも驚きを隠せずにいた。
首都の中を歩き、ようやく大公邸に到着する一行。
その大きさはファルーダン王城やマスカード国の宮殿に比べれば大きくはない。それでも、この国の支配者が暮らしているという事が分かるくらいには立派な建物だった。その四隅には辺りを見渡せるだけの尖塔が建っているのだから。
アリスたちは、大公邸の門へと近付いていく。
当然ながら、門では門番に一度止められてしまう。しかし、先程先触れに向かったフェールと、公子ポルトと公女マリンの姿を見つけて、門番はささっと脇に退いて通してくれた。
「よくぞお戻り下さいました、ポルト様、マリン様」
門を通る際に頭を下げて挨拶をする門番。ポルトとマリンは、その門番たちに労いの声を掛けて中へと入っていった。
「ここからは私たちが案内します」
中に入ったポルトとマリンは、ギルソンたちの前に出て告げる。
確かに、二人はこのソルティエ公国の人間で屋敷の中には詳しいだろうけれども、さすがにそれはどうかと思われる。
しばらくすると、アリスたちの前に屋敷の使用人がゆっくりと近付いてきた。おそらく先程の先触れを聞いて遣わされた使用人だろう。
「ようこそお戻りになられました、ポルト様、マリン様」
頭を下げながら挨拶をする使用人。
「そして、よくぞお越し下さいました。大公様のところまでご案内致します」
使用人は続けてギルソンたちにも頭を下げた。そして、頭を上げるとくるりと振り返ってゆっくりと歩き始めた。ギルソンたちはその後をついて行く。
館の中を使用人の後ろについて歩いていくギルソンたち。さすが大公邸とあって内装はそれなりに豪華に飾り立てられていた。
しばらく歩いて、使用人は大きな扉の前でぴたりと動きを止める。
「お待たせ致しました。こちらが大公様のお部屋となります」
使用人の言葉に、ギルソンたちは息を飲む。初めて会う大公とはどんな人物なのか、その人物像を想像しながら、扉が開くのを静かに待つのだった。
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