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Mission044
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さて、イスヴァン皇子がマスカード帝国へと戻っていったのだが、この間にアリスとギルソンは国王に対して鉄道の新規敷設の申請を申し出ていた。そして、国王から即決でストライまでの敷設が決定したのである。判断が早い。
こうなるとアリスによる行動も早かった。魔法石に記憶された王都からストライまでの地形を思い出しながら、鉄道を敷設する経路をすぐさま導き出した。
王都からストライ方向へは、途中に川を渡る事になる。ツェン方向へはこの川に沿うような形の場所もあったので、大した川はなかった。しかし、ストライ方向ではどうしても大規模な橋を架けねばならず、そこで苦戦を強いられそうだった。
王都からストライの距離は、馬車でほぼ4日間という距離になる。しかも、途中ではその川を渡るという状況もあって、距離は思ったよりも短かったのだ。
許可が下りてからのアリスの行動はとにかく早い。経路を決定するとすぐさまストライまで少しずつ線路を敷設していく。ツェン方向とストライ方向との分岐点だが、王都を出たところに作る事にした。それというのも、王都内にはもう余計な土地が残っていなかったのだ。そして、その分岐点だが、ストライから王都に向かう方の線路を立体交差で接続させる事にした。
それを決定すると、王都内にある駅を増強させる。駅のホームを櫛型の3面2線から3面4線に変更した。客扱いをする線路を2本増やす事で、ツェン方面とストライ方面を同時に取り扱えるようにしたのである。
さて、ストライ方向からの線路の接続部分については後回しにして、アリスはさっさとストライ方向へ向けて線路を延ばしていく。例の川にぶつかるのは、王都から馬車で1日進んだ場所にある街である。ここは川の両岸に街ができており、この川を渡るのに1日を費やすのである。天候が荒れるなどすると、ここで足止めになる事はよくある話なのだが、イスヴァンはそういった事にぶつからなかったようである。偉そうではあったが、日頃の行いは悪くなかったようだ。
ここリーヴェンの街では、珍しく川の両岸に駅を構える事にした。鉄道の建設にあたっては、一応町長に話をつけておいた。さすがに国王直々の書面があっては、町長は逆らう事ができなかった。
正直言って、町長は反対をしたかった。この街は間に川が流れているという地形条件もあるので、そこがすんなり渡れるようになればぶっちゃけうまみがないのだ。川が荒れる事で足止めが発生すれば、それだけ街の宿には延泊は発生するのである。鉄道ができてすんなり渡れるようになるという事は、その延泊が発生しなくなってしまうという事なのだ。町長が反対をしたかった理由はそこなのである。
だが、その抵抗もあっさりと国王の書状によって砕かれてしまった。町長は橋の建設を見学する事にしたのだが、驚くべき事にその工事は一瞬で終わってしまった。
ドーン。
オートマタが土を生み出せば、それが両岸の高台から橋げたが伸びてあっという間につながってしまったのである。この光景には町長は言葉を失った。街を両岸に隔てていた川の間に、いとも簡単に橋を架けてしまったのだから。
ただ、このリーヴェンの街の駅は、川から最も遠い街の入口に作らざるを得なかった。というのも、貨物の取り扱いがあるために、地上に線路を敷設しなければならなかったからである。高架上で取り扱うにはちょっとばかり不便だし問題があるから仕方がない。ちなみにこの鉄道用の橋だが、馬車が勝手に入って渡らないように、地上から高くなる部分に進入禁止の壁を作っておいた。
この最大の難関であるリーヴェンの敷設もあっさり終わり、アリスは国境の街であるストライまで、ものの2日間で敷設を完了させてしまった。ストライの街の駅は、暫定ターミナル駅という事で少々大きめに作っておく。ここでの折り返しも想定して、2面4線という大きめの構造である。ちなみにこの先はマスカード帝国に入るがために、この駅で検問も行われる予定である。
まあなんにせよ、アリスは一度建設したノウハウでもって、大仕事をいとも簡単にやり遂げてしまったのであった。
王都に戻ったアリスは、列車の通らない合間を縫って、ツェン方面とストライ方面との分岐部分の工事を終わらせる。レールの切り替わりもちゃんと確認して、これにてファルーダン国内の線路の敷設が完了したのであった。この間、たったの5日間である。本当に仕事が早すぎる。
「ただいま戻りました、マイマスター」
「お帰り、アリス。もう建設は終わったのですね」
「はい、一度行った事ですので、二度目ともなれば苦労は致しません。問題だったのはリーヴェンの街の橋くらいなものです」
「ああ、あそこの川は幅が広いから、仕方がないですね」
「近いうちに新しい編成を使って試運転を行いたいと思いますので、明日にでも例の工房へと向かおうかと存じます」
「分かった。ボクも一緒に向かわせてもらうよ」
戻ったアリスは、ギルソンとそのような会話を交わし、マリカが通い詰めとなっているオートマタの工房や鉄道車両を造っている工房へと向かう事となったのだった。
今またここに、新たな歴史の1ページが刻み込まれようとしていた。
こうなるとアリスによる行動も早かった。魔法石に記憶された王都からストライまでの地形を思い出しながら、鉄道を敷設する経路をすぐさま導き出した。
王都からストライ方向へは、途中に川を渡る事になる。ツェン方向へはこの川に沿うような形の場所もあったので、大した川はなかった。しかし、ストライ方向ではどうしても大規模な橋を架けねばならず、そこで苦戦を強いられそうだった。
王都からストライの距離は、馬車でほぼ4日間という距離になる。しかも、途中ではその川を渡るという状況もあって、距離は思ったよりも短かったのだ。
許可が下りてからのアリスの行動はとにかく早い。経路を決定するとすぐさまストライまで少しずつ線路を敷設していく。ツェン方向とストライ方向との分岐点だが、王都を出たところに作る事にした。それというのも、王都内にはもう余計な土地が残っていなかったのだ。そして、その分岐点だが、ストライから王都に向かう方の線路を立体交差で接続させる事にした。
それを決定すると、王都内にある駅を増強させる。駅のホームを櫛型の3面2線から3面4線に変更した。客扱いをする線路を2本増やす事で、ツェン方面とストライ方面を同時に取り扱えるようにしたのである。
さて、ストライ方向からの線路の接続部分については後回しにして、アリスはさっさとストライ方向へ向けて線路を延ばしていく。例の川にぶつかるのは、王都から馬車で1日進んだ場所にある街である。ここは川の両岸に街ができており、この川を渡るのに1日を費やすのである。天候が荒れるなどすると、ここで足止めになる事はよくある話なのだが、イスヴァンはそういった事にぶつからなかったようである。偉そうではあったが、日頃の行いは悪くなかったようだ。
ここリーヴェンの街では、珍しく川の両岸に駅を構える事にした。鉄道の建設にあたっては、一応町長に話をつけておいた。さすがに国王直々の書面があっては、町長は逆らう事ができなかった。
正直言って、町長は反対をしたかった。この街は間に川が流れているという地形条件もあるので、そこがすんなり渡れるようになればぶっちゃけうまみがないのだ。川が荒れる事で足止めが発生すれば、それだけ街の宿には延泊は発生するのである。鉄道ができてすんなり渡れるようになるという事は、その延泊が発生しなくなってしまうという事なのだ。町長が反対をしたかった理由はそこなのである。
だが、その抵抗もあっさりと国王の書状によって砕かれてしまった。町長は橋の建設を見学する事にしたのだが、驚くべき事にその工事は一瞬で終わってしまった。
ドーン。
オートマタが土を生み出せば、それが両岸の高台から橋げたが伸びてあっという間につながってしまったのである。この光景には町長は言葉を失った。街を両岸に隔てていた川の間に、いとも簡単に橋を架けてしまったのだから。
ただ、このリーヴェンの街の駅は、川から最も遠い街の入口に作らざるを得なかった。というのも、貨物の取り扱いがあるために、地上に線路を敷設しなければならなかったからである。高架上で取り扱うにはちょっとばかり不便だし問題があるから仕方がない。ちなみにこの鉄道用の橋だが、馬車が勝手に入って渡らないように、地上から高くなる部分に進入禁止の壁を作っておいた。
この最大の難関であるリーヴェンの敷設もあっさり終わり、アリスは国境の街であるストライまで、ものの2日間で敷設を完了させてしまった。ストライの街の駅は、暫定ターミナル駅という事で少々大きめに作っておく。ここでの折り返しも想定して、2面4線という大きめの構造である。ちなみにこの先はマスカード帝国に入るがために、この駅で検問も行われる予定である。
まあなんにせよ、アリスは一度建設したノウハウでもって、大仕事をいとも簡単にやり遂げてしまったのであった。
王都に戻ったアリスは、列車の通らない合間を縫って、ツェン方面とストライ方面との分岐部分の工事を終わらせる。レールの切り替わりもちゃんと確認して、これにてファルーダン国内の線路の敷設が完了したのであった。この間、たったの5日間である。本当に仕事が早すぎる。
「ただいま戻りました、マイマスター」
「お帰り、アリス。もう建設は終わったのですね」
「はい、一度行った事ですので、二度目ともなれば苦労は致しません。問題だったのはリーヴェンの街の橋くらいなものです」
「ああ、あそこの川は幅が広いから、仕方がないですね」
「近いうちに新しい編成を使って試運転を行いたいと思いますので、明日にでも例の工房へと向かおうかと存じます」
「分かった。ボクも一緒に向かわせてもらうよ」
戻ったアリスは、ギルソンとそのような会話を交わし、マリカが通い詰めとなっているオートマタの工房や鉄道車両を造っている工房へと向かう事となったのだった。
今またここに、新たな歴史の1ページが刻み込まれようとしていた。
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