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Mission015
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『機械仕掛けの魔法と運命の王子』
この物語の主人公となるヒロインは、騎士爵家の娘であるマリカ・オリハーンという少女である。オレンジに近い感じの茶髪を持った責任感の強い女の子であり、またオートマタに対して異様なまでに仕組みを知ろうと猛勉強をしていた、脳筋と知性派が混在したなかなかカオスなヒロインである。ちなみに、マリカというのは、アリスの前世の子どもたちの一人の名前である。ギリギリ大正生まれのありすにはたくさんの子どもが居たのである。
前世の話はさておき、ヒロインちゃんであるマリカは、ギルソンとは同い年であり、学園で知り合う事になっている。この時のギルソンは何度も言うように性格が破綻しており、マリカからの印象は最悪だった。何よりも、自分のオートマタを完全に道具として扱っており、乱暴もよくしていたので、マリカはその点からもギルソンを嫌ったのである。
ちなみにマリカは漢字で書くと『茉莉花』であり、つまりはジャスミンの事である。なので、髪飾りなどのアクセントにはジャスミンの花が用いられているのだ。このファルーダン王国では珍しい花なので、嫌というほど目立つはずである。
面倒なので、ここでこのヒロインちゃん、マリカについてもっと語っておこう。
小説中でのマリカの初登場は、何度も言っている学園でのギルソンとの最悪の出会いである。お互いによそ見をしてぶつかっておいて、ギルソンが手打ちにしようとするという、なんとも絶体絶命な出会いなのだ。学園内という事もあってその時はなんとか収まったものの、これでマリカの中にはギルソンは危険な人物として記憶される事になる。
学園での話はギルソンがメインとなって進むので、その後のヒロイン・マリカの出番は極端に減る。この次にまともな出番がやって来るのは、ギルソンが反乱を起こしてからだ。
ギルソンの反乱によって、ファルーダンの王族を含めギルソンへの反対勢力は国境付近まで追いやられてしまう。ここで立ち上がったのが第二王子のシュヴァリエというわけだ。その際に副官として抜擢されたのが、機械技師としての腕をめきめきと上げていたマリカなのである。正直、オートマタを戦争の道具にする事には反対だったマリカだったが、王国に混乱をもたらしたのがギルソンと分かるや否や、態度を翻して第二王子派についたのである。
マリカがオートマタを戦争に投入する事を決意したのは、単純にギルソンのオートマタのせいである。彼女は安物の女性型のオートマタだったのだが、能力が半端なかった。そこらのオートマタが太刀打ちできないくらいの接近戦をこなし、魔法も多彩に操る。生半可な能力では太刀打ちできないし、魔法を使うので一般兵にもかなりの被害が出るのは避けられないのだ。となれば、そのオートマタに太刀打ちできるだけの量産型オートマタを用意するしかなかったのである。
しかし、マリカの活躍はそれだけではない。ギルソンの支配下に置かれたオートマタに対抗するだけの機械仕掛けの兵器もかなり作り上げていた。辺境に居て鉱山資源だけは十分に使えたのも大きいだろう。所詮、一般の商会で作り上げられるオートマタの性能なんてたかが知れたものである。オートマタを知り尽くしたとも言っていいマリカの技術力に太刀打ちできるわけもなく、どんどんと撃破されていった。
シュヴァリエ率いる騎士隊とマリカ率いる機械師団の活躍で、徐々に戦線を王都へと押し返す事に成功したのである。
そして、迎えた王城戦。王城の一画が瓦礫と化すような激しい戦いが繰り広げられ、苦戦の末にギルソンとそのオートマタを撃破する事に成功。その最期のシーンが、物語冒頭の雨が降り注ぐシーンである。この後の扱いは想像に難くないだろうが、ありすはあえて明確な描写をしなかった。これは筋書きを変えさせた出版社への意趣返しである。ギルソンへの思い入れはそれくらいに強かったのだ。
その後、シュヴァリエとマリカが結婚をしてファルーダン王国を再建するのだが、通常なら王族と騎士爵の結婚は無理筋な話である。だが、このギルソンの反乱があったからこそ成しえたシンデレラストーリーなのである。この後もいろいろと波乱万丈な出来事が待ち構えているのだが、今回はまだ割愛しておこう。
(いやまぁ、書いたのは私だが、人気が出て出版社が調子に乗ったのが悪かったね。あれは私の一番の失敗だわ)
そんな事を思いながら、護衛のロドスとともにギルソンに付き添って市井に出向くアリス。
目的地は平民街である。それというのも、マリカの家は騎士爵とはいえ、扱いはほぼ平民。領地を持たない騎士団所属の家柄なのだ。そういったなんちゃって貴族は、貴族街の下流地区と平民街の境目くらいに居を構えているのである。
(ほぼ平民とはいえ、一応騎士爵は貴族だから学園に通えるのよね)
アリスは色々と考え事をしているようである。それを横目に見るロドスは、アリスに対してかなり懐疑的な目を向けているようだ。こいつ、本当にオートマタか、と。
そういったぎすぎすとした空気を背負いながらも、ギルソンは初めて見る王都の市井に目を輝かせていた。今までは馬車で通り過ぎるだけだったからである。
歩き続ける事、どれくらい経っただろうか。目の前の建物の様相ががらりと変わる。ついに平民街にたどり着いたのである。果たしてアリスたちは、ヒロインちゃんに出会う事はできるのだろうか。
この物語の主人公となるヒロインは、騎士爵家の娘であるマリカ・オリハーンという少女である。オレンジに近い感じの茶髪を持った責任感の強い女の子であり、またオートマタに対して異様なまでに仕組みを知ろうと猛勉強をしていた、脳筋と知性派が混在したなかなかカオスなヒロインである。ちなみに、マリカというのは、アリスの前世の子どもたちの一人の名前である。ギリギリ大正生まれのありすにはたくさんの子どもが居たのである。
前世の話はさておき、ヒロインちゃんであるマリカは、ギルソンとは同い年であり、学園で知り合う事になっている。この時のギルソンは何度も言うように性格が破綻しており、マリカからの印象は最悪だった。何よりも、自分のオートマタを完全に道具として扱っており、乱暴もよくしていたので、マリカはその点からもギルソンを嫌ったのである。
ちなみにマリカは漢字で書くと『茉莉花』であり、つまりはジャスミンの事である。なので、髪飾りなどのアクセントにはジャスミンの花が用いられているのだ。このファルーダン王国では珍しい花なので、嫌というほど目立つはずである。
面倒なので、ここでこのヒロインちゃん、マリカについてもっと語っておこう。
小説中でのマリカの初登場は、何度も言っている学園でのギルソンとの最悪の出会いである。お互いによそ見をしてぶつかっておいて、ギルソンが手打ちにしようとするという、なんとも絶体絶命な出会いなのだ。学園内という事もあってその時はなんとか収まったものの、これでマリカの中にはギルソンは危険な人物として記憶される事になる。
学園での話はギルソンがメインとなって進むので、その後のヒロイン・マリカの出番は極端に減る。この次にまともな出番がやって来るのは、ギルソンが反乱を起こしてからだ。
ギルソンの反乱によって、ファルーダンの王族を含めギルソンへの反対勢力は国境付近まで追いやられてしまう。ここで立ち上がったのが第二王子のシュヴァリエというわけだ。その際に副官として抜擢されたのが、機械技師としての腕をめきめきと上げていたマリカなのである。正直、オートマタを戦争の道具にする事には反対だったマリカだったが、王国に混乱をもたらしたのがギルソンと分かるや否や、態度を翻して第二王子派についたのである。
マリカがオートマタを戦争に投入する事を決意したのは、単純にギルソンのオートマタのせいである。彼女は安物の女性型のオートマタだったのだが、能力が半端なかった。そこらのオートマタが太刀打ちできないくらいの接近戦をこなし、魔法も多彩に操る。生半可な能力では太刀打ちできないし、魔法を使うので一般兵にもかなりの被害が出るのは避けられないのだ。となれば、そのオートマタに太刀打ちできるだけの量産型オートマタを用意するしかなかったのである。
しかし、マリカの活躍はそれだけではない。ギルソンの支配下に置かれたオートマタに対抗するだけの機械仕掛けの兵器もかなり作り上げていた。辺境に居て鉱山資源だけは十分に使えたのも大きいだろう。所詮、一般の商会で作り上げられるオートマタの性能なんてたかが知れたものである。オートマタを知り尽くしたとも言っていいマリカの技術力に太刀打ちできるわけもなく、どんどんと撃破されていった。
シュヴァリエ率いる騎士隊とマリカ率いる機械師団の活躍で、徐々に戦線を王都へと押し返す事に成功したのである。
そして、迎えた王城戦。王城の一画が瓦礫と化すような激しい戦いが繰り広げられ、苦戦の末にギルソンとそのオートマタを撃破する事に成功。その最期のシーンが、物語冒頭の雨が降り注ぐシーンである。この後の扱いは想像に難くないだろうが、ありすはあえて明確な描写をしなかった。これは筋書きを変えさせた出版社への意趣返しである。ギルソンへの思い入れはそれくらいに強かったのだ。
その後、シュヴァリエとマリカが結婚をしてファルーダン王国を再建するのだが、通常なら王族と騎士爵の結婚は無理筋な話である。だが、このギルソンの反乱があったからこそ成しえたシンデレラストーリーなのである。この後もいろいろと波乱万丈な出来事が待ち構えているのだが、今回はまだ割愛しておこう。
(いやまぁ、書いたのは私だが、人気が出て出版社が調子に乗ったのが悪かったね。あれは私の一番の失敗だわ)
そんな事を思いながら、護衛のロドスとともにギルソンに付き添って市井に出向くアリス。
目的地は平民街である。それというのも、マリカの家は騎士爵とはいえ、扱いはほぼ平民。領地を持たない騎士団所属の家柄なのだ。そういったなんちゃって貴族は、貴族街の下流地区と平民街の境目くらいに居を構えているのである。
(ほぼ平民とはいえ、一応騎士爵は貴族だから学園に通えるのよね)
アリスは色々と考え事をしているようである。それを横目に見るロドスは、アリスに対してかなり懐疑的な目を向けているようだ。こいつ、本当にオートマタか、と。
そういったぎすぎすとした空気を背負いながらも、ギルソンは初めて見る王都の市井に目を輝かせていた。今までは馬車で通り過ぎるだけだったからである。
歩き続ける事、どれくらい経っただろうか。目の前の建物の様相ががらりと変わる。ついに平民街にたどり着いたのである。果たしてアリスたちは、ヒロインちゃんに出会う事はできるのだろうか。
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