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Mission008
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翌日、アリスはギルソンにお昼寝をさせると、防護魔法を展開してこっそりと城を抜け出していた。
さすが転生者だろうか、あっさりと魔法の扱い方にも慣れてしまっていた。城から抜け出す時も城壁の外まで一瞬で移動するのである。いわゆるテレポートである。
94歳まで生きたおばあちゃんとはいえ、孫のたちの相手をしているとそういった子どもたちの見る番組を一緒に鑑賞したものだ。そうなればそういった知識が頭の中にあっても仕方のない事である。さらに、転生チートなのだろう。アリスの魔法石が秘める魔力量は異常に多いようだ。そういった背景があって、こういったとんでもない魔法をいとも簡単に実現させているのだと思われる。神の恩恵と知識の多さが相まって、最強のオートマタがここに誕生していた。
さて、そうやって外へやって来たアリスは、魔物を狩るために近くの森へとやって来た。他のハンターたちに迷惑が掛からないように、狩り過ぎに注意しながらさくさくと魔物を狩っていく。哀れワイルドバニーとウルフ。それぞれ20匹くらいずつ狩ったアリスは、ギルソンが起きないうちに城へと戻った。
だがしかし、それだけ狩ってきたとなれば目立つもの。こっそり処理しようと思ったら騎士団の人間に見つかってしまったのだ。瞬く間に大騒ぎになってしまい、ギルソンが目覚めるまでに部屋に戻れなくなってしまった。
やっとの思いで逃げ出してきたアリス。部屋に戻れば、案の定、ギルソンはすでに目を覚ましていた。
「も、申し訳ございません、マイマスター。眠っておられる間に雑用を済ませようとしましたら、思いの外時間が掛かってしまいました」
アリスは頭を下げてギルソンに謝る。その姿にギルソンは驚いていたが、特にお咎めはなかった。
この後、ギルソンはアリスに付き添ってもらって、騎士団の訓練場へと姿を現した。そこではさっきアリスが持ち込んだ魔物の解体がてんやわんやで行われていた。
「あれはどうしたんだい? アリス」
疑問に思ったギルソンは、アリスに確認を取ってみる。それに対してアリスは顔を背けようとしていた。しかし、顔を背けるという行為は普通のオートマタには見られない行為である。アリスの中で不要な葛藤が起きていた。
(ぐうぅ……。この体がオートマタだけに、要らない悩みが起きてる。これはつらいわ)
もうどうにでもなれという感じで、アリスは結局観念して正直に話す事にした。
「申し訳ございません。マスターが眠っておられる間に、森へ出かけて魔物を狩ってきたのでございます。城の食糧事情が厳しいように思われましたので」
アリスは本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。守るべき相手のそばを離れて危険な真似をしていたのだから。穴があったら入りたい気分である。
「いや、アリスがみんなの事を考えてしてくれた事なんだよね? だったらボクは責めないよ。ありがとう、アリス」
にっこりと微笑んでアリスを咎めないどころか褒めてくれるギルソン。その眩しすぎる笑顔に、アリスは思わずめまいがしそうだった。
(うう、これではオートマタ失格だわ。何とかして汚名返上しなくては)
ともかく反省をするアリスだった。
その後は、騎士団の手が空いていないという事で、ギルソンの剣の稽古の面倒を見たのは、まさかのアリスだった。オートマタの魔法石の記憶のおかげで、剣の型などの情報はばっちりなのである。
とりあえず、なんとか見つけた騎士に頼んで、子ども用の木剣を持ってきてもらった。長さにして70cmくらいの木剣である。5歳児のギルソンからすると、足から口元くらいまである長さだ。大きいは大きいが、これでも一番小さい木剣らしい。だったら短剣はないのかと思うが、騎士団はせいぜいこの木剣と同じくらいの長さのショートソードまで使わないので存在しなかった。なんて事だ。
無いなら作ってしまえばいいと思ったアリスだが、さすがに今日の事を踏まえると頻繁に外に出ていくのはやめた方がいいだろう。それよりもお野菜を近くで作れないかと考えている。家庭菜園程度の知識ならあるので、それを応用すればどうにかなると思ったのだ。
まあそれよりも今は、ギルソンの剣の練習である。ほとんど背丈ほどの長さの木剣は、さすがに5歳では持つのが厳しかった。
「まだ剣はマスターには早かったようですね」
「そんな事ないよ!」
ギルソンは強がっているが、剣を持ち上げようとしてふらついている。これはさすがに危ない。
「剣はひとまず置いておいて、訓練場の周囲を走りましょうか。体力作りは何をするにして基本ですから、まずはそこから参りましょう」
「うー、分かった」
ギルソンは不満そうだったが、おとなしくアリスの言う事に従った。そんな感じで走り込みを始めたギルソンだが、その訓練場の中央ではまだワイルドバニーとウルフの解体が続いていた。
(やれやれ、小説の中とはずいぶん違った世界だったようだわ。この時点から立て直しが要るとは、正直先が思いやられるわね)
10分ほどギルソンと走り込みをしたアリスは、まだ解体を続けている騎士たちを横目に見ながら、訓練場を後にしたのだった。
今回、アリスが討伐してきたワイルドバニーとウルフの肉ではもって数日なので、将来的に蓄えを少しずつ増やしていかなければならない。
アリスの苦悩はまだ始まったばかりである。
さすが転生者だろうか、あっさりと魔法の扱い方にも慣れてしまっていた。城から抜け出す時も城壁の外まで一瞬で移動するのである。いわゆるテレポートである。
94歳まで生きたおばあちゃんとはいえ、孫のたちの相手をしているとそういった子どもたちの見る番組を一緒に鑑賞したものだ。そうなればそういった知識が頭の中にあっても仕方のない事である。さらに、転生チートなのだろう。アリスの魔法石が秘める魔力量は異常に多いようだ。そういった背景があって、こういったとんでもない魔法をいとも簡単に実現させているのだと思われる。神の恩恵と知識の多さが相まって、最強のオートマタがここに誕生していた。
さて、そうやって外へやって来たアリスは、魔物を狩るために近くの森へとやって来た。他のハンターたちに迷惑が掛からないように、狩り過ぎに注意しながらさくさくと魔物を狩っていく。哀れワイルドバニーとウルフ。それぞれ20匹くらいずつ狩ったアリスは、ギルソンが起きないうちに城へと戻った。
だがしかし、それだけ狩ってきたとなれば目立つもの。こっそり処理しようと思ったら騎士団の人間に見つかってしまったのだ。瞬く間に大騒ぎになってしまい、ギルソンが目覚めるまでに部屋に戻れなくなってしまった。
やっとの思いで逃げ出してきたアリス。部屋に戻れば、案の定、ギルソンはすでに目を覚ましていた。
「も、申し訳ございません、マイマスター。眠っておられる間に雑用を済ませようとしましたら、思いの外時間が掛かってしまいました」
アリスは頭を下げてギルソンに謝る。その姿にギルソンは驚いていたが、特にお咎めはなかった。
この後、ギルソンはアリスに付き添ってもらって、騎士団の訓練場へと姿を現した。そこではさっきアリスが持ち込んだ魔物の解体がてんやわんやで行われていた。
「あれはどうしたんだい? アリス」
疑問に思ったギルソンは、アリスに確認を取ってみる。それに対してアリスは顔を背けようとしていた。しかし、顔を背けるという行為は普通のオートマタには見られない行為である。アリスの中で不要な葛藤が起きていた。
(ぐうぅ……。この体がオートマタだけに、要らない悩みが起きてる。これはつらいわ)
もうどうにでもなれという感じで、アリスは結局観念して正直に話す事にした。
「申し訳ございません。マスターが眠っておられる間に、森へ出かけて魔物を狩ってきたのでございます。城の食糧事情が厳しいように思われましたので」
アリスは本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。守るべき相手のそばを離れて危険な真似をしていたのだから。穴があったら入りたい気分である。
「いや、アリスがみんなの事を考えてしてくれた事なんだよね? だったらボクは責めないよ。ありがとう、アリス」
にっこりと微笑んでアリスを咎めないどころか褒めてくれるギルソン。その眩しすぎる笑顔に、アリスは思わずめまいがしそうだった。
(うう、これではオートマタ失格だわ。何とかして汚名返上しなくては)
ともかく反省をするアリスだった。
その後は、騎士団の手が空いていないという事で、ギルソンの剣の稽古の面倒を見たのは、まさかのアリスだった。オートマタの魔法石の記憶のおかげで、剣の型などの情報はばっちりなのである。
とりあえず、なんとか見つけた騎士に頼んで、子ども用の木剣を持ってきてもらった。長さにして70cmくらいの木剣である。5歳児のギルソンからすると、足から口元くらいまである長さだ。大きいは大きいが、これでも一番小さい木剣らしい。だったら短剣はないのかと思うが、騎士団はせいぜいこの木剣と同じくらいの長さのショートソードまで使わないので存在しなかった。なんて事だ。
無いなら作ってしまえばいいと思ったアリスだが、さすがに今日の事を踏まえると頻繁に外に出ていくのはやめた方がいいだろう。それよりもお野菜を近くで作れないかと考えている。家庭菜園程度の知識ならあるので、それを応用すればどうにかなると思ったのだ。
まあそれよりも今は、ギルソンの剣の練習である。ほとんど背丈ほどの長さの木剣は、さすがに5歳では持つのが厳しかった。
「まだ剣はマスターには早かったようですね」
「そんな事ないよ!」
ギルソンは強がっているが、剣を持ち上げようとしてふらついている。これはさすがに危ない。
「剣はひとまず置いておいて、訓練場の周囲を走りましょうか。体力作りは何をするにして基本ですから、まずはそこから参りましょう」
「うー、分かった」
ギルソンは不満そうだったが、おとなしくアリスの言う事に従った。そんな感じで走り込みを始めたギルソンだが、その訓練場の中央ではまだワイルドバニーとウルフの解体が続いていた。
(やれやれ、小説の中とはずいぶん違った世界だったようだわ。この時点から立て直しが要るとは、正直先が思いやられるわね)
10分ほどギルソンと走り込みをしたアリスは、まだ解体を続けている騎士たちを横目に見ながら、訓練場を後にしたのだった。
今回、アリスが討伐してきたワイルドバニーとウルフの肉ではもって数日なので、将来的に蓄えを少しずつ増やしていかなければならない。
アリスの苦悩はまだ始まったばかりである。
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