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第九章 大いなる秘密
第275話 やはり怪しい猫
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「やぁ、ここに居たのかい、探したよ」
武器談議に盛り上がっているところに、ケットシーが現れた。
「まぁ、何なんですか、この巨大な猫ちゃんは!」
武器談議から離れていたシェイディアが反応する。
「はっはっはっ、猫ちゃんではあるな。ボクはモスグリネ王国商業組合の組合長を務める、幻獣ケットシーだ。アイヴォリーに興味が湧いたから遊びに来ているんだよ」
「幻獣?!」
ケットシーの自己紹介に、オフライトたちは驚いた。当然ながら近くに居た貴族たちも反応する。
「はっはっはっ、これでもボクは元々はそこのライと友人だった猫の精霊だよ。さっきも言った通り、モスグリネで商会を率いる組織のトップだからね、残念ながらアイリスくんの使役幻獣にはなれないよ」
ケットシーは騒めきもお構いなしににこにことしている。相変わらず読めない猫である。
「しかし、メタルゼリーとは珍しい。しかも、金属を生み出すタイプとはね」
「あら、詳しいのかしら」
ルゼを見ているケットシーに、ロゼリアが尋ねる。
「まぁね。メタルゼリーは金属を食べる事はできても、生み出す個体はまず出てこない。理由は分かるかい?」
簡単に返答があった後、逆にケットシーから質問が飛んでくる。だが、ルゼを含めて答えられる者が居なかった。ルゼもダメなのか。
「理由は簡単だよ。ただの食事なんだから。食べた金属によって、メタルゼリーは性質を変えるんだ。でも、その根本はただの食事なんだから、金属を生み出すなんて事はないんだよ」
ケットシーの説明に、納得がいったような気がした。
「ルゼくんは、いつからその能力を使えたかな?」
おどけるように軽いステップを踏みながら、ケットシーはルゼに問う。
「多分、アイリス様と契約してからだと思う」
記憶をたどりながら、ルゼはそう答える。それにケットシーはにやりと笑った。
「やっぱりね。いや、実に面白いよ、神獣使い」
ケットシーの顔が見た事のないくらい歪んでいる。邪悪そのものと言える顔だ。さすがにロゼリアたちは構える。
「おっと、すまないすまない。別に危害を加えるつもりはないよ。面白い事があるとつい欲しくなっちゃうんだよ。うん、悪い癖だね」
いつもの怪しいにこやかな顔に戻るケットシー。だが、ロゼリアたちの警戒は解かれない。
「いや、さすがにボクでもペシエラくんを相手に勝てるとは思ってないよ。ボクよりも若造とはいえ、あの暗龍ニーズヘッグくんに勝ったんだろ?」
ケットシーが珍しく慌てている。しかし、ロゼリアたちは怖い顔のままケットシーに詰め寄る。
「まったく、君は相変わらずだな、ケットシー」
「お、オリジン」
たじたじとして後ずさりするケットシーの後ろから、ガレンが現れた。
「ガレン先生、いらしてたんですか」
「私も一応この国の貴族だからね。しかし、この猫はまた調子に乗ってくれたようだな」
ロゼリアたちを見てから、ガレンはケットシーを睨んだ。ケットシーが珍しく怯えたままだ。ランクとしては幻獣の方が上だが、さすがは精霊王。そんなものは簡単に覆してみせた。
「私は彼と別室で話をしているよ。学生同士の交流を邪魔して悪かったな」
ガレンはこう言って、ケットシーの首根っこを掴まえて会場から引きずり出していった。残されたロゼリアたちは、しばらくガレンたちが去った方向を眺めていた。
「ねえ、ライ」
「なに、ルゼ」
「ケットシーって昔からああなの?」
「ええそうよ。すごくお調子者で私ですら振り回されてたわ」
「なるほど……」
ライの説明で、ルゼだけではなく、他の面々も納得したようだ。いたずら妖精のハイスプライトにそう言わしめる時点で察せてしまう。
この後は部屋を移して武器のお話になった。パーティー会場は武器の持ち込みが一切できないからだ。そこでは、ロゼリア、ペシエラ、アイリス、キャノルの持つ武器を見せてもらいながら、オフライト、シェイディア、ヴィオレスの武器の傾向を決める。そして、ルゼが見合う金属を決めてグレイアの父親であるリードに武器を作ってもらう事になった。
この際、ルゼが金属を生み出す様子を見せてもらったが、何度見ても不思議なものだ。
ここでもまた武器談義が始まり、ロゼリアたちも逃げられずに巻き込まれてしまった。
結局この後、シルヴァノとペイルが来るまで、この武器談義は続けられたのであった。
武器談議に盛り上がっているところに、ケットシーが現れた。
「まぁ、何なんですか、この巨大な猫ちゃんは!」
武器談議から離れていたシェイディアが反応する。
「はっはっはっ、猫ちゃんではあるな。ボクはモスグリネ王国商業組合の組合長を務める、幻獣ケットシーだ。アイヴォリーに興味が湧いたから遊びに来ているんだよ」
「幻獣?!」
ケットシーの自己紹介に、オフライトたちは驚いた。当然ながら近くに居た貴族たちも反応する。
「はっはっはっ、これでもボクは元々はそこのライと友人だった猫の精霊だよ。さっきも言った通り、モスグリネで商会を率いる組織のトップだからね、残念ながらアイリスくんの使役幻獣にはなれないよ」
ケットシーは騒めきもお構いなしににこにことしている。相変わらず読めない猫である。
「しかし、メタルゼリーとは珍しい。しかも、金属を生み出すタイプとはね」
「あら、詳しいのかしら」
ルゼを見ているケットシーに、ロゼリアが尋ねる。
「まぁね。メタルゼリーは金属を食べる事はできても、生み出す個体はまず出てこない。理由は分かるかい?」
簡単に返答があった後、逆にケットシーから質問が飛んでくる。だが、ルゼを含めて答えられる者が居なかった。ルゼもダメなのか。
「理由は簡単だよ。ただの食事なんだから。食べた金属によって、メタルゼリーは性質を変えるんだ。でも、その根本はただの食事なんだから、金属を生み出すなんて事はないんだよ」
ケットシーの説明に、納得がいったような気がした。
「ルゼくんは、いつからその能力を使えたかな?」
おどけるように軽いステップを踏みながら、ケットシーはルゼに問う。
「多分、アイリス様と契約してからだと思う」
記憶をたどりながら、ルゼはそう答える。それにケットシーはにやりと笑った。
「やっぱりね。いや、実に面白いよ、神獣使い」
ケットシーの顔が見た事のないくらい歪んでいる。邪悪そのものと言える顔だ。さすがにロゼリアたちは構える。
「おっと、すまないすまない。別に危害を加えるつもりはないよ。面白い事があるとつい欲しくなっちゃうんだよ。うん、悪い癖だね」
いつもの怪しいにこやかな顔に戻るケットシー。だが、ロゼリアたちの警戒は解かれない。
「いや、さすがにボクでもペシエラくんを相手に勝てるとは思ってないよ。ボクよりも若造とはいえ、あの暗龍ニーズヘッグくんに勝ったんだろ?」
ケットシーが珍しく慌てている。しかし、ロゼリアたちは怖い顔のままケットシーに詰め寄る。
「まったく、君は相変わらずだな、ケットシー」
「お、オリジン」
たじたじとして後ずさりするケットシーの後ろから、ガレンが現れた。
「ガレン先生、いらしてたんですか」
「私も一応この国の貴族だからね。しかし、この猫はまた調子に乗ってくれたようだな」
ロゼリアたちを見てから、ガレンはケットシーを睨んだ。ケットシーが珍しく怯えたままだ。ランクとしては幻獣の方が上だが、さすがは精霊王。そんなものは簡単に覆してみせた。
「私は彼と別室で話をしているよ。学生同士の交流を邪魔して悪かったな」
ガレンはこう言って、ケットシーの首根っこを掴まえて会場から引きずり出していった。残されたロゼリアたちは、しばらくガレンたちが去った方向を眺めていた。
「ねえ、ライ」
「なに、ルゼ」
「ケットシーって昔からああなの?」
「ええそうよ。すごくお調子者で私ですら振り回されてたわ」
「なるほど……」
ライの説明で、ルゼだけではなく、他の面々も納得したようだ。いたずら妖精のハイスプライトにそう言わしめる時点で察せてしまう。
この後は部屋を移して武器のお話になった。パーティー会場は武器の持ち込みが一切できないからだ。そこでは、ロゼリア、ペシエラ、アイリス、キャノルの持つ武器を見せてもらいながら、オフライト、シェイディア、ヴィオレスの武器の傾向を決める。そして、ルゼが見合う金属を決めてグレイアの父親であるリードに武器を作ってもらう事になった。
この際、ルゼが金属を生み出す様子を見せてもらったが、何度見ても不思議なものだ。
ここでもまた武器談義が始まり、ロゼリアたちも逃げられずに巻き込まれてしまった。
結局この後、シルヴァノとペイルが来るまで、この武器談義は続けられたのであった。
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