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第六章 一年次・夏
第113話 蒼鱗魚
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腹ごしらえを終えて、探索を再開するチェリシアたち。動き回る宝珠の回収作戦へと移行する。
まずは探索ポイントまでエアリアルボードで移動し、上空で潜水モードに切り替える。そして、ゆっくりと入水し、局所感知で宝珠を探すという作戦だ。
実はお昼の後、チェリシアはペシエラに一つの魔法を伝授していた。
それが今、ペシエラが展開している魔法。ペシエラの目の前には、感知魔法と連動したレーダー画面が出ている。感知魔法を視認化する魔法を教えたのである。
それにしても、そんな大それた魔法をあっさり使えるようになるあたり、ペシエラもやっぱりヒロインである。
そんなわけで、レーダー画面を見ながら周囲の探索を行う。そして、レーダーの中を動き回るノイズを遂に捉えた。動きからすれば魚のようである。
チェリシアは防護膜を慎重に近付けていく。すると目の前には、体長三メートルはあろうかという大きな魚が目に入った。
「蒼鱗魚……」
アイリスが呟いた。どうやらこの魚を知っているらしい。
「あら、ご存知なのかしら?」
「ええ、毒物の研究をしていると、確実に出てくる万能薬の材料となる鱗を持つ伝説の魚よ。まさか実在しているなんて」
ペシエラの質問に、アイリスは簡単に説明する。
ケルピーといい、サファイア湖にはいろいろと秘密がありそうだ。
「どうやら、宝珠の一つはその魚の腹の中ですわね。もう一つも動いていたから、そっちもきっと同じ状況ですわ」
ペシエラがそうやって呟いて考えていると、蒼鱗魚が突如ペシエラたちに向かって突進してきた。
身構えるチェリシアたちだったが、あわや防護膜に激突する寸前で、蒼鱗魚はピタリと動きを止めた。
『おやおや、お前さん方、不思議な魂の持ち主たちだね』
喋ったぁぁぁぁっ!!
慌てふためくチェリシアたち。しかし、蒼鱗魚の方は落ち着いていた。
『私のお腹の物を回収しに来たのかね。ちょっと待ってておくれ』
蒼鱗魚がぐぐっと丸くなる。そして、ピンと元に戻ると口から青色の宝珠が飛び出してきた。それをアイリスが受け取る。
『何やら危険な感じがしたんでね、私が食べて保管してたんだわ。いや、取りにきたのが良い子ばかりで安心したさね』
なんとものんびりしている。まるでお婆ちゃんのような感じだ。落ち着いてみると分かるが、魚は喋っていない。聞いてみれば、どうやら念話のようなものらしい。
『おんや、そっちの変わったピンクの髪の子。あんた、面白い魂を持ってるね。いや、残り二人も十分変わった魂なんだが……』
蒼鱗魚は、アイリスを見ながら何かしら呟いている。そして、
『まあいいや。不穏な物はもう一個あるから、そっちを回収してから話をしようかい』
蒼鱗魚はそう言って、チェリシアの背後に回っていきなり押し始めた。
「ちょっおっとぉっ?!」
とんでもない勢いで押されて、チェリシアたちは目を回す。それでもなんとか意識は保っていたが、止まる頃には吐きそうになっていた。
(な、なんとかゲロらずにすんだわ……)
チェリシアは、ペシエラとアイリスにも回復魔法を使う。おかげで酔いは治った。
『いやぁ、すまない。なるべく早い方がいいかと思ってねえ』
蒼鱗魚は謝罪していたが、チェリシアたちにはとても対応できる状況ではなかった。
『おやお前、どうしたんだい、その子たちは』
『あんたん中にある、不穏な物を回収しに来たみたいだよ。悪意は感じないから、大丈夫だろうさ』
まるで夫婦のような会話である。
『ほう、そうかいそうかい。なら、吐き出すから受け取るとよいぞ』
チェリシアたちを連れてきた蒼鱗魚と同じ動きをする、もう一匹の蒼鱗魚。そうして吐き出された宝珠を、ペシエラが受け取った。
「これで目的達成ですわ。後で鑑定魔法に掛けて、正体をはっきりとさせますわよ」
ペシエラは意気込んだ。
そして、宝珠の回収に協力してくれた蒼鱗魚たちにお礼を言って帰ろうとすると、
「ちょいと待ちなさい」
不意に蒼鱗魚たちから呼び止められてしまったのだった。
まずは探索ポイントまでエアリアルボードで移動し、上空で潜水モードに切り替える。そして、ゆっくりと入水し、局所感知で宝珠を探すという作戦だ。
実はお昼の後、チェリシアはペシエラに一つの魔法を伝授していた。
それが今、ペシエラが展開している魔法。ペシエラの目の前には、感知魔法と連動したレーダー画面が出ている。感知魔法を視認化する魔法を教えたのである。
それにしても、そんな大それた魔法をあっさり使えるようになるあたり、ペシエラもやっぱりヒロインである。
そんなわけで、レーダー画面を見ながら周囲の探索を行う。そして、レーダーの中を動き回るノイズを遂に捉えた。動きからすれば魚のようである。
チェリシアは防護膜を慎重に近付けていく。すると目の前には、体長三メートルはあろうかという大きな魚が目に入った。
「蒼鱗魚……」
アイリスが呟いた。どうやらこの魚を知っているらしい。
「あら、ご存知なのかしら?」
「ええ、毒物の研究をしていると、確実に出てくる万能薬の材料となる鱗を持つ伝説の魚よ。まさか実在しているなんて」
ペシエラの質問に、アイリスは簡単に説明する。
ケルピーといい、サファイア湖にはいろいろと秘密がありそうだ。
「どうやら、宝珠の一つはその魚の腹の中ですわね。もう一つも動いていたから、そっちもきっと同じ状況ですわ」
ペシエラがそうやって呟いて考えていると、蒼鱗魚が突如ペシエラたちに向かって突進してきた。
身構えるチェリシアたちだったが、あわや防護膜に激突する寸前で、蒼鱗魚はピタリと動きを止めた。
『おやおや、お前さん方、不思議な魂の持ち主たちだね』
喋ったぁぁぁぁっ!!
慌てふためくチェリシアたち。しかし、蒼鱗魚の方は落ち着いていた。
『私のお腹の物を回収しに来たのかね。ちょっと待ってておくれ』
蒼鱗魚がぐぐっと丸くなる。そして、ピンと元に戻ると口から青色の宝珠が飛び出してきた。それをアイリスが受け取る。
『何やら危険な感じがしたんでね、私が食べて保管してたんだわ。いや、取りにきたのが良い子ばかりで安心したさね』
なんとものんびりしている。まるでお婆ちゃんのような感じだ。落ち着いてみると分かるが、魚は喋っていない。聞いてみれば、どうやら念話のようなものらしい。
『おんや、そっちの変わったピンクの髪の子。あんた、面白い魂を持ってるね。いや、残り二人も十分変わった魂なんだが……』
蒼鱗魚は、アイリスを見ながら何かしら呟いている。そして、
『まあいいや。不穏な物はもう一個あるから、そっちを回収してから話をしようかい』
蒼鱗魚はそう言って、チェリシアの背後に回っていきなり押し始めた。
「ちょっおっとぉっ?!」
とんでもない勢いで押されて、チェリシアたちは目を回す。それでもなんとか意識は保っていたが、止まる頃には吐きそうになっていた。
(な、なんとかゲロらずにすんだわ……)
チェリシアは、ペシエラとアイリスにも回復魔法を使う。おかげで酔いは治った。
『いやぁ、すまない。なるべく早い方がいいかと思ってねえ』
蒼鱗魚は謝罪していたが、チェリシアたちにはとても対応できる状況ではなかった。
『おやお前、どうしたんだい、その子たちは』
『あんたん中にある、不穏な物を回収しに来たみたいだよ。悪意は感じないから、大丈夫だろうさ』
まるで夫婦のような会話である。
『ほう、そうかいそうかい。なら、吐き出すから受け取るとよいぞ』
チェリシアたちを連れてきた蒼鱗魚と同じ動きをする、もう一匹の蒼鱗魚。そうして吐き出された宝珠を、ペシエラが受け取った。
「これで目的達成ですわ。後で鑑定魔法に掛けて、正体をはっきりとさせますわよ」
ペシエラは意気込んだ。
そして、宝珠の回収に協力してくれた蒼鱗魚たちにお礼を言って帰ろうとすると、
「ちょいと待ちなさい」
不意に蒼鱗魚たちから呼び止められてしまったのだった。
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