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第三章 ロゼリア9歳
第37話 未知の活用法
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茶会から数日経過した日の事。ロゼリアたちは、王都のコーラル子爵邸に集まっていた。
「コーラル子爵領の産業も、いよいよ本腰を入れたいと思うわ。塩害対策で植えた木々も少しずつ育ってきているし、木が大きく育てば熱風対策にもなるわね」
コーラル子爵領から届く報告書に目を通すロゼリアたち。その様子はとても九歳とは思えないものだった。
「オリーブの木の効果も出てきてるし、そこの裏側に当たる内陸部は、土壌の改善も見られるようだわ」
「うー、ちんぷんかんぷんだわ」
チェリシアは報告書をしっかり把握しているが、ペシエラはどうもこういう事が苦手のようである。
「ペシエラももう少し理解できるようになりなさい。前回と同じ轍を踏むわけにもいかないでしょう?」
「うー、分かってるわよ」
ロゼリアのツッコミに、ペシエラは少し膨れていた。
「現状では、特産物が塩と魚というのは変わってないのね。魚は干物も作れるので、内陸にも少しずつ流通してるみたい」
チェリシアも報告書を読んで、状況の変化を確認していた。
「でも、チェリシアが提案したオリーブオイルの生産も、ようやく始めたみたいね。これで料理関係もどうにかなるかしら」
「そうね、意外と魚との相性はいいから。でも、やっぱり野菜も欲しいわ」
ロゼリアとチェリシアが話し込んでいる。ペシエラは知識が乏しく、少し蚊帳の外だ。
「あーもう面倒くさい。魔法で解決できるなら、その方がいいに決まっているわ!」
ペシエラがブチ切れた。
「ペシエラ、魔法魔法と言っても、使える人は限られるのよ。それに、どれだけの魔法が使えるかは、人それぞれなの。無理はいけないわ」
騒ぎ立てるペシエラを、ロゼリアが窘める。それでもペシエラは、膨れっ面になって不機嫌そうだ。三人の中では、一番見た目に年相応の行動を取っているかも知れない。
「お姉様も、そういう便利なのがあったらいいと思うわよね?」
「えっ?」
ペシエラは、唐突にチェリシアに話題を振った。
「ええ、私が元居た世界も科学っていう便利な物があったわ。でも、便利な物だからといって、頼り過ぎるのも問題なのよ、ペシエラ」
それでもチェリシアは、慌てる事なく逆にペシエラを窘めた。当てが外れたペシエラは、また膨れっ面になっていた。
「でも、確か魔物が居て魔石が採れるのよね? それと魔法を組み合わせれば、前世にあった家電製品に似たような物が作れるかも知れないわね」
ペシエラの駄々こねを、チェリシアは拾い上げる。
「確かに、魔石は未知な部分が多いわね。現時点では活用方法は見つかっていなくて、放つ魔力のよる明かり取りくらいにしか使われていないわ」
ロゼリアが言及する。
「だったら、私たちで魔石の研究をしてみてもいいのでは?」
それに真っ先に反応したのは、ペシエラだった。二人に対して劣等感があるのか、とてもやる気になっているようだ。
「そうね。となると、やっぱり最初は調理用品かしら。特に火を使う作業ともなれば、火起こしとその火の維持と始末が大変ですもの。同じように火を使っている灯りも、魔石に置き換えられればだいぶ安全になるわ」
「火の始末って大変ですからね」
チェリシアはロゼリアの言葉に同調すると、近くの机から紙とペンと持ってきて、何やら描き始めた。
「お姉様、これは何?」
紙に描かれた模様に、ペシエラは質問をぶつけた。
「これは前世で使っていた“ガスコンロ”と“懐中電灯”よ。ガスという燃えやすい気体を使った発火加熱装置と、電気というものを使った光を放つ道具なの」
チェリシアが説明する。
「ガスコンロは、このつまみを回す事で着火、消火、そして火の強さを調節できるの。魔石に魔力を流して火を付けて、あとは魔力を調節してその強さを変えれるようにできれば、上手くいくと思うんだけど」
理論を語るチェリシアだったが、顔の表情は冴えない。その表情の理由は単純に不安である。
理論を語るのは簡単だ。しかし、それを組み上げて実現させるのは難しい。それゆえの表情なのである。
「魔石の使い方がまず分からないものね。チェリシア、焦らなくていいわ。みんなで考えましょう」
「うん」
三人が魔石の使い方について考え始めた時、ちょうど部屋の扉を叩く音が響いた。
「コーラル子爵領の産業も、いよいよ本腰を入れたいと思うわ。塩害対策で植えた木々も少しずつ育ってきているし、木が大きく育てば熱風対策にもなるわね」
コーラル子爵領から届く報告書に目を通すロゼリアたち。その様子はとても九歳とは思えないものだった。
「オリーブの木の効果も出てきてるし、そこの裏側に当たる内陸部は、土壌の改善も見られるようだわ」
「うー、ちんぷんかんぷんだわ」
チェリシアは報告書をしっかり把握しているが、ペシエラはどうもこういう事が苦手のようである。
「ペシエラももう少し理解できるようになりなさい。前回と同じ轍を踏むわけにもいかないでしょう?」
「うー、分かってるわよ」
ロゼリアのツッコミに、ペシエラは少し膨れていた。
「現状では、特産物が塩と魚というのは変わってないのね。魚は干物も作れるので、内陸にも少しずつ流通してるみたい」
チェリシアも報告書を読んで、状況の変化を確認していた。
「でも、チェリシアが提案したオリーブオイルの生産も、ようやく始めたみたいね。これで料理関係もどうにかなるかしら」
「そうね、意外と魚との相性はいいから。でも、やっぱり野菜も欲しいわ」
ロゼリアとチェリシアが話し込んでいる。ペシエラは知識が乏しく、少し蚊帳の外だ。
「あーもう面倒くさい。魔法で解決できるなら、その方がいいに決まっているわ!」
ペシエラがブチ切れた。
「ペシエラ、魔法魔法と言っても、使える人は限られるのよ。それに、どれだけの魔法が使えるかは、人それぞれなの。無理はいけないわ」
騒ぎ立てるペシエラを、ロゼリアが窘める。それでもペシエラは、膨れっ面になって不機嫌そうだ。三人の中では、一番見た目に年相応の行動を取っているかも知れない。
「お姉様も、そういう便利なのがあったらいいと思うわよね?」
「えっ?」
ペシエラは、唐突にチェリシアに話題を振った。
「ええ、私が元居た世界も科学っていう便利な物があったわ。でも、便利な物だからといって、頼り過ぎるのも問題なのよ、ペシエラ」
それでもチェリシアは、慌てる事なく逆にペシエラを窘めた。当てが外れたペシエラは、また膨れっ面になっていた。
「でも、確か魔物が居て魔石が採れるのよね? それと魔法を組み合わせれば、前世にあった家電製品に似たような物が作れるかも知れないわね」
ペシエラの駄々こねを、チェリシアは拾い上げる。
「確かに、魔石は未知な部分が多いわね。現時点では活用方法は見つかっていなくて、放つ魔力のよる明かり取りくらいにしか使われていないわ」
ロゼリアが言及する。
「だったら、私たちで魔石の研究をしてみてもいいのでは?」
それに真っ先に反応したのは、ペシエラだった。二人に対して劣等感があるのか、とてもやる気になっているようだ。
「そうね。となると、やっぱり最初は調理用品かしら。特に火を使う作業ともなれば、火起こしとその火の維持と始末が大変ですもの。同じように火を使っている灯りも、魔石に置き換えられればだいぶ安全になるわ」
「火の始末って大変ですからね」
チェリシアはロゼリアの言葉に同調すると、近くの机から紙とペンと持ってきて、何やら描き始めた。
「お姉様、これは何?」
紙に描かれた模様に、ペシエラは質問をぶつけた。
「これは前世で使っていた“ガスコンロ”と“懐中電灯”よ。ガスという燃えやすい気体を使った発火加熱装置と、電気というものを使った光を放つ道具なの」
チェリシアが説明する。
「ガスコンロは、このつまみを回す事で着火、消火、そして火の強さを調節できるの。魔石に魔力を流して火を付けて、あとは魔力を調節してその強さを変えれるようにできれば、上手くいくと思うんだけど」
理論を語るチェリシアだったが、顔の表情は冴えない。その表情の理由は単純に不安である。
理論を語るのは簡単だ。しかし、それを組み上げて実現させるのは難しい。それゆえの表情なのである。
「魔石の使い方がまず分からないものね。チェリシア、焦らなくていいわ。みんなで考えましょう」
「うん」
三人が魔石の使い方について考え始めた時、ちょうど部屋の扉を叩く音が響いた。
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