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第二章 ロゼリアとチェリシア
第24話 挑発
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少し予定は狂ったが、ペシエラとの和解ができた事で、ロゼリアはホッと胸を撫で下ろした。
「ところで、今日はお姉様と何をするつもりだったのよ」
不機嫌そうな顔をして、ペシエラはロゼリアに声を掛ける。
「今後の相談よ。コーラル家には、正式な婚約者が居るに相応しい爵位について欲しいからね」
「……少なくとも伯爵には陞爵されろって事?」
「そういう事」
ペシエラは首を傾げる。だが、すぐにある事を思い出した。
「……そういえば、あんたを嵌めた後に伯爵になっていたわね。やっぱり気にするものかしら」
「もちろんよ。子爵や男爵では、多くの貴族が納得しようとはしないもの。だから、私はあなたたちに協力して、穏便にあなたたちどちらかが殿下と結婚できるようにしたいのよ」
ロゼリアは紅茶を飲みながら、チェリシアたちに構う理由を説明する。逆行前ではひたすら反発に回っていたペシエラも、
「そういう事なら仕方ないわね。実際のところ、マゼンダ侯爵家を滅ぼした後の政治はかなり荒れたもの。認めたくはなかったけど、侯爵様もあんたも有能だったと知らされたわ」
自分の感情でロゼリアたちを処刑した事を後悔したらしく、目を背けたまま不機嫌気味に告げていた。
「チェリシアは、異世界の知識を使ってこの世界で新しい事を始めているわ。塩と魚の事もそうだけど、酸っぱくなったワインの活用法を教えてくれたわ」
「酸っぱくなったワインの?」
ロゼリアがワインの事に言及すると、ペシエラは反応した。
「はい。酸っぱくなったのは酢酸発酵と言って、お酒の主成分であるアルコールが酢酸という酸っぱい成分に変わった事によるものなんです。これを酢と言って、いろんな活用法があるんですよ」
チェリシアが前世の知識を披露すると、ロゼリアとペシエラは、ちんぷんかんぷんといった感じだ。
「実物を見て頂いた方が説明は早いですね。ロゼリア、いつどのくらい届きそうですか?」
チェリシアはロゼリアに確認する。
「お父様の領地は王都から近いですけれど、重量がありますから三日くらいだと思うわ」
ロゼリアはすんなりとはっきり答える。
「赤とか白とか種類は分かるかしら。元となるワインによって、ワインビネガーの用途が変わりますから」
チェリシアがさらに質問する。
「そこは分からないわ。到着してから確認しないと」
「そっか。一応説明しておくと、赤なら獣肉とか、白なら魚とかに合うのよ。だから、赤なら王都でも使う事ができるし、白ならシェリアまで持っていかなきゃいけないわ」
「まあ、そうなのね」
「へ、へぇー」
チェリシアが説明すれば、ロゼリアもペシエラも驚いて感心していた。異世界の知識もなかなか侮れないものである。
「それに、野菜とかと合わせてソースにしたりとか、油と混ぜ合わせてドレッシングとか。ふふふっ、楽しみね」
ここで浮かべたチェリシアの笑みに、ロゼリアとペシエラは少し引いた。食は侮り難いものなのだ。
この後、チェリシアはロゼリアに対して、用意して欲しい物を伝える。ロゼリアはその内容を理解でなかったが、チェリシアがどうしてもと言うので分からないなりに了承していた。
「これで、料理に革命が起きるわよ」
チェリシアは大げさな事を言い始めていた。
「お姉様、頭は大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。私が持つ知識をフル活用して、コーラル家を大きくしてみせるから、安心して」
元の自分の言動を見て心配になるペシエラだったが、当のチェリシアは息を巻いていた。
「はぁ、自分の顔でよく分からない事を言われるのは、意外と堪えるわね」
ため息をつきながら、どことなく呆れた様子を見せるペシエラ。
「お姉様もロゼリアも見てなさい。私は絶対二人には負けないから!」
ビシッと人差し指を突き出すペシエラ。それを見たロゼリアは、
「うん、いいわね。ならペシエラも、今度からうちの屋敷にいらして、一緒にマゼンダ家の家庭教師の講義を受けましょう。その心構えが本気か、確かめてあげるわ」
「望むところよ!」
ペシエラを挑発して、見事に口車に乗せた。
こうして、この国の未来を知る三人が一緒に行動する事になったのだった。
「ところで、今日はお姉様と何をするつもりだったのよ」
不機嫌そうな顔をして、ペシエラはロゼリアに声を掛ける。
「今後の相談よ。コーラル家には、正式な婚約者が居るに相応しい爵位について欲しいからね」
「……少なくとも伯爵には陞爵されろって事?」
「そういう事」
ペシエラは首を傾げる。だが、すぐにある事を思い出した。
「……そういえば、あんたを嵌めた後に伯爵になっていたわね。やっぱり気にするものかしら」
「もちろんよ。子爵や男爵では、多くの貴族が納得しようとはしないもの。だから、私はあなたたちに協力して、穏便にあなたたちどちらかが殿下と結婚できるようにしたいのよ」
ロゼリアは紅茶を飲みながら、チェリシアたちに構う理由を説明する。逆行前ではひたすら反発に回っていたペシエラも、
「そういう事なら仕方ないわね。実際のところ、マゼンダ侯爵家を滅ぼした後の政治はかなり荒れたもの。認めたくはなかったけど、侯爵様もあんたも有能だったと知らされたわ」
自分の感情でロゼリアたちを処刑した事を後悔したらしく、目を背けたまま不機嫌気味に告げていた。
「チェリシアは、異世界の知識を使ってこの世界で新しい事を始めているわ。塩と魚の事もそうだけど、酸っぱくなったワインの活用法を教えてくれたわ」
「酸っぱくなったワインの?」
ロゼリアがワインの事に言及すると、ペシエラは反応した。
「はい。酸っぱくなったのは酢酸発酵と言って、お酒の主成分であるアルコールが酢酸という酸っぱい成分に変わった事によるものなんです。これを酢と言って、いろんな活用法があるんですよ」
チェリシアが前世の知識を披露すると、ロゼリアとペシエラは、ちんぷんかんぷんといった感じだ。
「実物を見て頂いた方が説明は早いですね。ロゼリア、いつどのくらい届きそうですか?」
チェリシアはロゼリアに確認する。
「お父様の領地は王都から近いですけれど、重量がありますから三日くらいだと思うわ」
ロゼリアはすんなりとはっきり答える。
「赤とか白とか種類は分かるかしら。元となるワインによって、ワインビネガーの用途が変わりますから」
チェリシアがさらに質問する。
「そこは分からないわ。到着してから確認しないと」
「そっか。一応説明しておくと、赤なら獣肉とか、白なら魚とかに合うのよ。だから、赤なら王都でも使う事ができるし、白ならシェリアまで持っていかなきゃいけないわ」
「まあ、そうなのね」
「へ、へぇー」
チェリシアが説明すれば、ロゼリアもペシエラも驚いて感心していた。異世界の知識もなかなか侮れないものである。
「それに、野菜とかと合わせてソースにしたりとか、油と混ぜ合わせてドレッシングとか。ふふふっ、楽しみね」
ここで浮かべたチェリシアの笑みに、ロゼリアとペシエラは少し引いた。食は侮り難いものなのだ。
この後、チェリシアはロゼリアに対して、用意して欲しい物を伝える。ロゼリアはその内容を理解でなかったが、チェリシアがどうしてもと言うので分からないなりに了承していた。
「これで、料理に革命が起きるわよ」
チェリシアは大げさな事を言い始めていた。
「お姉様、頭は大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。私が持つ知識をフル活用して、コーラル家を大きくしてみせるから、安心して」
元の自分の言動を見て心配になるペシエラだったが、当のチェリシアは息を巻いていた。
「はぁ、自分の顔でよく分からない事を言われるのは、意外と堪えるわね」
ため息をつきながら、どことなく呆れた様子を見せるペシエラ。
「お姉様もロゼリアも見てなさい。私は絶対二人には負けないから!」
ビシッと人差し指を突き出すペシエラ。それを見たロゼリアは、
「うん、いいわね。ならペシエラも、今度からうちの屋敷にいらして、一緒にマゼンダ家の家庭教師の講義を受けましょう。その心構えが本気か、確かめてあげるわ」
「望むところよ!」
ペシエラを挑発して、見事に口車に乗せた。
こうして、この国の未来を知る三人が一緒に行動する事になったのだった。
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