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第74話 籠の中か、檻の中か
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エチューが去って部屋の中が静まり返る中、アンペラトリスがステラに視線を集中させていた。穴が開きそうなくらいな集中した視線に、ステラはついイラッときてしまう。
「何なんですか、その視線は。あまりじろじろ見ないで下さいません?」
仮面を取ったステラの表情は、実に豊かなものだ。眉間にしわを寄せて怒るステラの姿に、アンペラトリスだけではなくベルオムまでもが笑っていた。
「師匠までなんで笑うんですか」
ついついツッコミを入れてしまうステラである。相当気に障ったようである。
だが、その理由をアンペラトリスがすかさず話し始める。
「いや、ステラは隠し事が苦手なのだなと、そう思ったのだ。なるほど、仮面を着けている理由というのがよく分かったよ」
「くくっ、お分かり頂けましたか、この苦労が……」
あまりに二人揃って笑ってくれるものだから、ステラはますますへそを曲げていってしまう。その状況にどう反応していいのか分からないリューンは、ただひたすら戸惑いながら黙り込んでいた。
「さっきの反応を見る限り、ヌフ遺跡やディス遺跡で起きた不思議な現象は、お前が関わっているようだな、ステラリア・エルミタージュ」
アンペラトリスが笑いを堪えながら問い掛けると、ステラは不機嫌な状態のまま黙り込んでいる。
もちろん、それが事実な事を知っているベルオムとリューンも一切反応を示さない。
「やれやれ、隠しておきたいようだな。だが、知っている事はもうばれている。いつまでそうやって強情を張れるか楽しみなものだな」
アンペラトリスはにやけながらどっしりと座っている。
その様子を見たベルオムは、ここで改めて確認を取ろうと質問をする。
「ステラがステラリア・エルミタージュだと確信しているみたいだが、確固たる証拠はあるのかな?」
ベルオムからなされた質問に、アンペラトリスは面食らったように目を丸くしている。馬車の中でもされた質問を、改めてこの場でぶつけられたからだろう。
その直後、大口を開けて笑い始めた。
「ふはははははっ。確かにそうだな。証拠も無しに断定しているのは確かにおかしく思うだろうな」
腹がよじれそうな勢いで笑うアンペラトリス。これにはステラは不機嫌を極めつつあった。
だが、当のアンペラトリスはまったくそれを気にしていない。
「だがな、改めて言うが確固たる証拠は確かにない。すべては私の勘だからな」
そう話しながら、アンペラトリスはステラに視線を向ける。
「あらかじめ言っておくが、私は一度狙いを定めるとしつこいのだよ。ここにいる限りは丁重に扱うが、もし逃げ出すような事があればどうなるか、賢明ならば分かるだろう?」
「……ここにきて脅しですか。まったく、何を企んでいるか分からない帝国らしい態度ですね」
「ふん、何とでも言うとよい。私は必ずや、エルミタージュ大陸のすべてをこの手に掌握してみせるのだからな」
がたりと立ち上がったアンペラトリスは、そう言い残して部屋から出ていったのだった。
なんともいえないその雰囲気に、ステラとベルオムは思わずお互いを見合ってしまう。ただ、やけに笑ってくれた事を思い出し、ステラはベルオムを睨み付けた。
「ははは、そんな顔を向けないでくれないか」
「師匠は裏切者ですね。あの女のどこが信じられるというのですか」
ぷんすかと怒りながらベルオムに詰め寄っていくステラ。
「まぁ悪いとは思うよ、ステラ。だけどね、私は魔道具の研究がしたくてエルミタージュ大陸に渡ってきたのだよ? それが叶うとなれば、なびくのも無理もないというのではないのかな?」
「ああ、そうですか。自分の夢のために私を捨てるんですね。よーくわかりました。師匠って薄情ですね」
弁解をするベルオムではあるものの、そんなものでステラの気持ちが収まるわけがないのである。むしろ火に油を注ぐかのように、ステラのへそが曲がっていった。
「ひとまずは従っておく事にしましょう。あの様子ですと、逆らうと本気で潰しに来そうですからね。今はお互いに利用し合った方がいいと思いますよ」
「ううむ……。まあ、そうですかね」
「ただでさえ、不老というだけでステラは何をされるか分かったものではありません。不死まで知られたら、それこそ想像を絶するおぞましい目に遭わされかねませんからね」
「ひっ……!」
ベルオムが脅すように言うと、リューンがつい声を上げてしまっていた。
「師匠、リューンくんをびびらせないで下さい。第一、私の状態は魔法によるものです。調べたからといって解明できるものではないでしょうに」
「いや、分からんよ。目的のためなら手段は選ばないだろうからね」
「……まぁ、そんな感じがしますね」
ステラは、さっきまで見ていたアンペラトリスの態度を思い出して、ベルオムの言葉に納得してしまった。
「というわけだ。当初の想定とは違うけれども、コリーヌ帝国に中に入れたのだ。ここからはお互いの探り合いというわけだな」
ベルオムは実に楽しそうに笑っている。なんでそんな顔ができるのか、ステラやリューンにはまったく理解のできないものだった。
アンペラトリスに拉致される形でコリーヌ帝国の内部にやって来たステラたち。一体これからどうなってしまうというのだろうか。
「何なんですか、その視線は。あまりじろじろ見ないで下さいません?」
仮面を取ったステラの表情は、実に豊かなものだ。眉間にしわを寄せて怒るステラの姿に、アンペラトリスだけではなくベルオムまでもが笑っていた。
「師匠までなんで笑うんですか」
ついついツッコミを入れてしまうステラである。相当気に障ったようである。
だが、その理由をアンペラトリスがすかさず話し始める。
「いや、ステラは隠し事が苦手なのだなと、そう思ったのだ。なるほど、仮面を着けている理由というのがよく分かったよ」
「くくっ、お分かり頂けましたか、この苦労が……」
あまりに二人揃って笑ってくれるものだから、ステラはますますへそを曲げていってしまう。その状況にどう反応していいのか分からないリューンは、ただひたすら戸惑いながら黙り込んでいた。
「さっきの反応を見る限り、ヌフ遺跡やディス遺跡で起きた不思議な現象は、お前が関わっているようだな、ステラリア・エルミタージュ」
アンペラトリスが笑いを堪えながら問い掛けると、ステラは不機嫌な状態のまま黙り込んでいる。
もちろん、それが事実な事を知っているベルオムとリューンも一切反応を示さない。
「やれやれ、隠しておきたいようだな。だが、知っている事はもうばれている。いつまでそうやって強情を張れるか楽しみなものだな」
アンペラトリスはにやけながらどっしりと座っている。
その様子を見たベルオムは、ここで改めて確認を取ろうと質問をする。
「ステラがステラリア・エルミタージュだと確信しているみたいだが、確固たる証拠はあるのかな?」
ベルオムからなされた質問に、アンペラトリスは面食らったように目を丸くしている。馬車の中でもされた質問を、改めてこの場でぶつけられたからだろう。
その直後、大口を開けて笑い始めた。
「ふはははははっ。確かにそうだな。証拠も無しに断定しているのは確かにおかしく思うだろうな」
腹がよじれそうな勢いで笑うアンペラトリス。これにはステラは不機嫌を極めつつあった。
だが、当のアンペラトリスはまったくそれを気にしていない。
「だがな、改めて言うが確固たる証拠は確かにない。すべては私の勘だからな」
そう話しながら、アンペラトリスはステラに視線を向ける。
「あらかじめ言っておくが、私は一度狙いを定めるとしつこいのだよ。ここにいる限りは丁重に扱うが、もし逃げ出すような事があればどうなるか、賢明ならば分かるだろう?」
「……ここにきて脅しですか。まったく、何を企んでいるか分からない帝国らしい態度ですね」
「ふん、何とでも言うとよい。私は必ずや、エルミタージュ大陸のすべてをこの手に掌握してみせるのだからな」
がたりと立ち上がったアンペラトリスは、そう言い残して部屋から出ていったのだった。
なんともいえないその雰囲気に、ステラとベルオムは思わずお互いを見合ってしまう。ただ、やけに笑ってくれた事を思い出し、ステラはベルオムを睨み付けた。
「ははは、そんな顔を向けないでくれないか」
「師匠は裏切者ですね。あの女のどこが信じられるというのですか」
ぷんすかと怒りながらベルオムに詰め寄っていくステラ。
「まぁ悪いとは思うよ、ステラ。だけどね、私は魔道具の研究がしたくてエルミタージュ大陸に渡ってきたのだよ? それが叶うとなれば、なびくのも無理もないというのではないのかな?」
「ああ、そうですか。自分の夢のために私を捨てるんですね。よーくわかりました。師匠って薄情ですね」
弁解をするベルオムではあるものの、そんなものでステラの気持ちが収まるわけがないのである。むしろ火に油を注ぐかのように、ステラのへそが曲がっていった。
「ひとまずは従っておく事にしましょう。あの様子ですと、逆らうと本気で潰しに来そうですからね。今はお互いに利用し合った方がいいと思いますよ」
「ううむ……。まあ、そうですかね」
「ただでさえ、不老というだけでステラは何をされるか分かったものではありません。不死まで知られたら、それこそ想像を絶するおぞましい目に遭わされかねませんからね」
「ひっ……!」
ベルオムが脅すように言うと、リューンがつい声を上げてしまっていた。
「師匠、リューンくんをびびらせないで下さい。第一、私の状態は魔法によるものです。調べたからといって解明できるものではないでしょうに」
「いや、分からんよ。目的のためなら手段は選ばないだろうからね」
「……まぁ、そんな感じがしますね」
ステラは、さっきまで見ていたアンペラトリスの態度を思い出して、ベルオムの言葉に納得してしまった。
「というわけだ。当初の想定とは違うけれども、コリーヌ帝国に中に入れたのだ。ここからはお互いの探り合いというわけだな」
ベルオムは実に楽しそうに笑っている。なんでそんな顔ができるのか、ステラやリューンにはまったく理解のできないものだった。
アンペラトリスに拉致される形でコリーヌ帝国の内部にやって来たステラたち。一体これからどうなってしまうというのだろうか。
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