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第44話 ヌフ遺跡
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冒険者組合から募集の出ている遺跡の調査を引き受けたステラたち。早速そこへと向かう事にする。
「ヌフ遺跡ですか。フイエから一番近い遺跡なんですかね」
「いや、もらった地図によればそうでもないようだよ」
ベルオムが地図を広げて三人で覗き込む。
「確かに、結構遠そうですね。一番近いのはシス遺跡っていうんですね」
「そのようだね。コリーヌ帝国は発見した遺跡に順番に数字を振っていっているみたいだよ。今から行く遺跡は9番目に発見された遺跡で、今は20くらいまであるらしい」
エルミタージュ王国の痕跡が500年経った今でもしっかりと残っているようだ。
「なんだか不思議な気持ちですよ。自分が生まれた頃にあった場所にこうやって向かうだなんて。城にいたっては焼け落ちてしまいましたのに……」
「まぁそうだろうね。でも、裏を返せば君はそれだけ時間を無駄に過ごしてきたんだよ」
「それはそうかも知れませんが、師匠だって、人の事言えますか?!」
ベルオムが笑いながら指摘するものだから、ステラはつい反論してしまう。
「私はいいんだよ。魔法の研究さえできればよその事など関係ないからね」
「ぐぬぬぬ、このエルフは……」
はっきり言われたステラは、反論のしようがなくてただ唸っているだけだった。リューンはその様子をどう反応していいか分からずに眺めていた。
そんなこんなで歩き続けること半日、ステラたちはようやくヌフ遺跡へとやって来た。
建物を見たステラは、その見覚えのある姿に思わず足を止めてしまう。
「これは……、見覚えがありますね」
「どうしたんですか、ステラさん」
様子のおかしいステラに、リューンが声を掛ける。
「周りに人が多いですね。ここで話すのはやめた方がいいですよ」
だが、すぐさまベルオムが口を挟んで会話を強制終了させた。
指摘の通り、作業員やら冒険者やらが行き交っているからだ。ここはさらに奥にあるディス遺跡への通り道でもある。そのために人が多すぎたのだ。
フイエからこちら側の遺跡は新しいディス遺跡と近いシス遺跡が人気で、間にあるヌフ遺跡はこの通りの不人気っぷりなのである。そのために、ステラたちはヌフ遺跡の調査を受注できたのである。
ヌフ遺跡の入口に立つステラたち。入口に居る兵士に入場許可証を見せると、遺跡の中へと入っていく。
その中でも特に大きな建物へ入ると、少しかび臭いにおいが鼻を突く。さすがに500年前に滅びてから放置されていただろう建物の中だった。
さすがに暗いので、ステラが光をともす魔法を使おうとする。しかし、その前にベルオムが光をともす。
ちらっとベルオムを見るステラだが、ベルオムは口に人差し指を当ててウィンクをしていた。その姿に、ステラはどういうわけかイラッときていた。
怯えるような形で二人に張り付くリューンを連れて、ステラとベルオムが遺跡の中を進んでいく。
さすがに不人気になった調べ尽くされた遺跡だ。中には魔物らしい姿は見当たらず、静かな通路を進んでいく。
「ステラさん、ここは一体どんな場所だったんですか?」
気を紛らわせようと、リューンがステラにさっきの話を再び始めた。
リューンの言葉に反応したステラは、ちょっと顔をあちこちに向けている。どうやら迷っている感じだった。
しかし、周りに誰もいないようなので、ステラは昔の話をする事にした。
「ここは確か、私が8歳の頃にやって来た事があります。魔道具を売りにした街で、この建物はその魔道具を取り扱う商会だったと思います」
「なるほどな。どうりでどことなく普通の建物っぽかったのか」
ステラの話では、今ではあまり出回らなくなった魔道具を扱っていた場所だという。。
「しかし、不人気になったという事は、その魔道具というのがほぼ全部外に出てしまったという事なのだろうかな」
「そうだと思いますよ。ただ、ここには秘密の場所があるという風にお伺いしましたね。その時はたまたま見せてもらう事ができましたけれど」
ステラは少し上を見上げるような形で話している。そして、くるっとリューンたちの方を見る。
「つまり、ここには私だけが知る場所があるというわけですよ。では、奥へと向かいましょうか」
ステラは両手を後ろで組んでくるりと回る。どうやらその様子を見る限り、珍しく楽しくなってきているようだった。
「さあ、この先に進みましょう。商会長の部屋があるはずですから」
「分かりました、ステラさん」
楽しそうに進んでいくステラの後ろを、リューンとベルオムがついて行く。
やがて、片開きの扉が2枚ついている部屋が見つかった。
「ここが商会長の部屋ですね。500年以上経つというのに、あの当時のままですね」
しみじみと言うステラ。どうやら、普通の王女だった頃に見た時と変わらなかったらしい。
ただ、あれから500年経った今では廃墟と化している。扉は固く閉ざされているために、さすがにここでは警戒が先に立つ。
思わぬところでステラの知っているものと遭遇した一行。ヌフ遺跡には一体どんなものが眠っているのだろうか。
探索を続けるために、まずは扉の突破を試みる一行なのだった。
「ヌフ遺跡ですか。フイエから一番近い遺跡なんですかね」
「いや、もらった地図によればそうでもないようだよ」
ベルオムが地図を広げて三人で覗き込む。
「確かに、結構遠そうですね。一番近いのはシス遺跡っていうんですね」
「そのようだね。コリーヌ帝国は発見した遺跡に順番に数字を振っていっているみたいだよ。今から行く遺跡は9番目に発見された遺跡で、今は20くらいまであるらしい」
エルミタージュ王国の痕跡が500年経った今でもしっかりと残っているようだ。
「なんだか不思議な気持ちですよ。自分が生まれた頃にあった場所にこうやって向かうだなんて。城にいたっては焼け落ちてしまいましたのに……」
「まぁそうだろうね。でも、裏を返せば君はそれだけ時間を無駄に過ごしてきたんだよ」
「それはそうかも知れませんが、師匠だって、人の事言えますか?!」
ベルオムが笑いながら指摘するものだから、ステラはつい反論してしまう。
「私はいいんだよ。魔法の研究さえできればよその事など関係ないからね」
「ぐぬぬぬ、このエルフは……」
はっきり言われたステラは、反論のしようがなくてただ唸っているだけだった。リューンはその様子をどう反応していいか分からずに眺めていた。
そんなこんなで歩き続けること半日、ステラたちはようやくヌフ遺跡へとやって来た。
建物を見たステラは、その見覚えのある姿に思わず足を止めてしまう。
「これは……、見覚えがありますね」
「どうしたんですか、ステラさん」
様子のおかしいステラに、リューンが声を掛ける。
「周りに人が多いですね。ここで話すのはやめた方がいいですよ」
だが、すぐさまベルオムが口を挟んで会話を強制終了させた。
指摘の通り、作業員やら冒険者やらが行き交っているからだ。ここはさらに奥にあるディス遺跡への通り道でもある。そのために人が多すぎたのだ。
フイエからこちら側の遺跡は新しいディス遺跡と近いシス遺跡が人気で、間にあるヌフ遺跡はこの通りの不人気っぷりなのである。そのために、ステラたちはヌフ遺跡の調査を受注できたのである。
ヌフ遺跡の入口に立つステラたち。入口に居る兵士に入場許可証を見せると、遺跡の中へと入っていく。
その中でも特に大きな建物へ入ると、少しかび臭いにおいが鼻を突く。さすがに500年前に滅びてから放置されていただろう建物の中だった。
さすがに暗いので、ステラが光をともす魔法を使おうとする。しかし、その前にベルオムが光をともす。
ちらっとベルオムを見るステラだが、ベルオムは口に人差し指を当ててウィンクをしていた。その姿に、ステラはどういうわけかイラッときていた。
怯えるような形で二人に張り付くリューンを連れて、ステラとベルオムが遺跡の中を進んでいく。
さすがに不人気になった調べ尽くされた遺跡だ。中には魔物らしい姿は見当たらず、静かな通路を進んでいく。
「ステラさん、ここは一体どんな場所だったんですか?」
気を紛らわせようと、リューンがステラにさっきの話を再び始めた。
リューンの言葉に反応したステラは、ちょっと顔をあちこちに向けている。どうやら迷っている感じだった。
しかし、周りに誰もいないようなので、ステラは昔の話をする事にした。
「ここは確か、私が8歳の頃にやって来た事があります。魔道具を売りにした街で、この建物はその魔道具を取り扱う商会だったと思います」
「なるほどな。どうりでどことなく普通の建物っぽかったのか」
ステラの話では、今ではあまり出回らなくなった魔道具を扱っていた場所だという。。
「しかし、不人気になったという事は、その魔道具というのがほぼ全部外に出てしまったという事なのだろうかな」
「そうだと思いますよ。ただ、ここには秘密の場所があるという風にお伺いしましたね。その時はたまたま見せてもらう事ができましたけれど」
ステラは少し上を見上げるような形で話している。そして、くるっとリューンたちの方を見る。
「つまり、ここには私だけが知る場所があるというわけですよ。では、奥へと向かいましょうか」
ステラは両手を後ろで組んでくるりと回る。どうやらその様子を見る限り、珍しく楽しくなってきているようだった。
「さあ、この先に進みましょう。商会長の部屋があるはずですから」
「分かりました、ステラさん」
楽しそうに進んでいくステラの後ろを、リューンとベルオムがついて行く。
やがて、片開きの扉が2枚ついている部屋が見つかった。
「ここが商会長の部屋ですね。500年以上経つというのに、あの当時のままですね」
しみじみと言うステラ。どうやら、普通の王女だった頃に見た時と変わらなかったらしい。
ただ、あれから500年経った今では廃墟と化している。扉は固く閉ざされているために、さすがにここでは警戒が先に立つ。
思わぬところでステラの知っているものと遭遇した一行。ヌフ遺跡には一体どんなものが眠っているのだろうか。
探索を続けるために、まずは扉の突破を試みる一行なのだった。
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