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第171話 撃破への狼煙
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キツネ耳と尻尾を生やしたパステルオレンジとパステルブラウンの姿を見て、反応に困るパステルピンクとパステルパープル。しかし、ワイスはけらけらと笑っていた。
「はははははっ、そういやお前らはキツネの姿だったもんな。幼体のまま人化してたからどうなるかと思ってたが、そうなるとは思ってなかったぜ!」
ワイスは笑い過ぎである。
「君たち! あの数の中をどうやって抜けてきたんだ!?」
体勢を立て直したフォシンズが二人を見て叫ぶ。
「どうやってって、普通に吹き飛ばして抜けてきたわよ」
「そうそう、数が多いだけの雑兵、相手になんかならないわ」
パステルオレンジはきょとんとした表情、パステルブラウンは呆れた表情で答えている。
「確かに数はあれなんだけど、あのくらいならパステルシアンとグローリ、それと大王様でも対応可能よ」
「でも、体力的な意味では急がなきゃいけないとは思うけれどね」
パステルオレンジとパステルブラウンは、ゆっくりと腰を落として身構える。
「だから」
「さっさと決着をつけようじゃないの」
パステルピンクとパステルパープルたちも含めて突き刺さるような視線を向けられたフォシンズは、怯むどころか歓喜に打ち震えていた。
「はーっはっはっはっ! いいねえいいねえ、そういうのもっとちょうだいよ。今僕は最高に高ぶっているよ!」
フォシンズは両手を広げて狂ったように笑っている。そして、
「だから、苦しみながら死んでくれ」
ダクネースと化したフォシンズは、爪を生やして両手を素早く振り抜いた。その漆黒の衝撃波がパステルピンクたちを襲う。さすがに両手で10本の衝撃波である。今のパステルピンクたちに相殺しきれるとは思えない。だが、四人と二体は、逃げる事なくその場で身構えている。
「パステル・ペタル・トルネード!」
「パステル・ヴァニッシング・ブリザード!」
「オータム・リーフ・フラッド!」
「パステル・ペンシル・ロケット!」
四人から揃って技が放たれる。
「俺っちたちだって負けちゃいねえ!」
「ボクたちだって聖獣なんだ!」
技を持たない聖獣たちも必死に技を放つ。
それらがぶつかり合って、中間でぶつかり合う。お互いの威力が拮抗しており、バチバチと火花を散らす。そして、相殺し合ってはじけ飛んで消えてしまった。1対6で相殺にしかできなかったのである。単純に見ればその力の差は歴然であるが、パステルピンクたちにそれに驚いている様子はなかった。ただ険しく漆黒の魔物となったフォシンズを睨み付けていた。
「チェリー、ワイス、向こうへ行ってパステルシアンたちのフォローをしてやってくれ」
「分かったよ、パステルピンク」
「まぁそうだな。パシモとメルプと入れ替わりだ。頼んだぜ、二人とも」
「任せておいてよ」
「お前たちもな」
パステルピンクの言葉に、おとなしくチェリーとワイスはパステルシアンの元へと向かっていった。
フォシンズはその様子を黙って見ていた。自分の前では取るに足らない行動に映ったからだ。それよりも、目の前のパステル戦士どもをどうやって片付けるかに集中していた。
「さあ、わたくしたちが相手ですわよ。その醜い笑顔を叩き潰して差し上げますわ」
「はっ、言葉だけは達者だね。そういうものは、実力が伴ってこそ意味を持つというものだよ!」
パステルパープルの挑発をフォシンズは笑い飛ばす。そして、それと同時に漆黒のオーラを飛ばして攻撃を仕掛けてきた。その攻撃をパステルピンクたちは余裕を持って躱している。
「ふふん、僕の攻撃に慣れてきたって事かな? だったらこれはどうだい?」
フォシンズは、飛ばしたオーラに手を加える。
「なっ、追尾してくるぞ!?」
そう、ホーミング機能を追加したのだ。つまり、躱そうとしてもその方向に曲がってくるのである。こうなると相殺しない事には躱しきれなくなってしまった。
「実にいやらしい真似をしてくれますわね!」
パステルパープルは盾を出すとそれを構える。そして、漆黒のオーラを十分に引き寄せる。
「パステル・シールド・チャージ!」
盾に攻撃を受けたところで、力強く前進してオーラを弾き返した。
「なんだって?!」
弾き返されたオーラは追尾の機能を失い、そのまま一直線にフォシンズへと直撃した。だがしかし、
「ははっ、このオーラは僕の力だよ。僕にダメージを与えられると思っていたのなら、残念だったね!」
まったくのノーダメージである。とはいえども、飛び交うオーラの多くを一度に押し返せたのは大きい。
「あら、わたくしがただ跳ね返しただけだとお思いですの?」
「なに?」
余裕ぶっているフォシンズに向けて、パステルパープルはニヤリと笑みを浮かべていた。すると、フォシンズが苦しみ始める。
「な、何をした?!」
「ちょちょっと浄化の力を乗せてお返ししただけですわよ。吸収してくれるなんてありがたかったですわね」
そう、跳ね返した瞬間に浄化技をこっそりかけておいたのである。そうとは知らずに自分に跳ね返ってきた漆黒のオーラを体内に吸収したフォシンズは、知らない間に浄化の力をもその身に取り込んでしまったのである。
ダクネースの力に汚染されたフォシンズは、もはや聖獣ではない。そのせいで浄化の力をその身に受けてしまい、その表情には苦しさが見て取れる。
「おのれ……、舐めた真似をしてくれたものだね。さすがにここまでこけにされては、もうお遊びは終わりだよ!」
こう叫んだフォシンズの体からは、今までの比にならないくらいの漆黒のオーラがあふれ出るのだった。
「はははははっ、そういやお前らはキツネの姿だったもんな。幼体のまま人化してたからどうなるかと思ってたが、そうなるとは思ってなかったぜ!」
ワイスは笑い過ぎである。
「君たち! あの数の中をどうやって抜けてきたんだ!?」
体勢を立て直したフォシンズが二人を見て叫ぶ。
「どうやってって、普通に吹き飛ばして抜けてきたわよ」
「そうそう、数が多いだけの雑兵、相手になんかならないわ」
パステルオレンジはきょとんとした表情、パステルブラウンは呆れた表情で答えている。
「確かに数はあれなんだけど、あのくらいならパステルシアンとグローリ、それと大王様でも対応可能よ」
「でも、体力的な意味では急がなきゃいけないとは思うけれどね」
パステルオレンジとパステルブラウンは、ゆっくりと腰を落として身構える。
「だから」
「さっさと決着をつけようじゃないの」
パステルピンクとパステルパープルたちも含めて突き刺さるような視線を向けられたフォシンズは、怯むどころか歓喜に打ち震えていた。
「はーっはっはっはっ! いいねえいいねえ、そういうのもっとちょうだいよ。今僕は最高に高ぶっているよ!」
フォシンズは両手を広げて狂ったように笑っている。そして、
「だから、苦しみながら死んでくれ」
ダクネースと化したフォシンズは、爪を生やして両手を素早く振り抜いた。その漆黒の衝撃波がパステルピンクたちを襲う。さすがに両手で10本の衝撃波である。今のパステルピンクたちに相殺しきれるとは思えない。だが、四人と二体は、逃げる事なくその場で身構えている。
「パステル・ペタル・トルネード!」
「パステル・ヴァニッシング・ブリザード!」
「オータム・リーフ・フラッド!」
「パステル・ペンシル・ロケット!」
四人から揃って技が放たれる。
「俺っちたちだって負けちゃいねえ!」
「ボクたちだって聖獣なんだ!」
技を持たない聖獣たちも必死に技を放つ。
それらがぶつかり合って、中間でぶつかり合う。お互いの威力が拮抗しており、バチバチと火花を散らす。そして、相殺し合ってはじけ飛んで消えてしまった。1対6で相殺にしかできなかったのである。単純に見ればその力の差は歴然であるが、パステルピンクたちにそれに驚いている様子はなかった。ただ険しく漆黒の魔物となったフォシンズを睨み付けていた。
「チェリー、ワイス、向こうへ行ってパステルシアンたちのフォローをしてやってくれ」
「分かったよ、パステルピンク」
「まぁそうだな。パシモとメルプと入れ替わりだ。頼んだぜ、二人とも」
「任せておいてよ」
「お前たちもな」
パステルピンクの言葉に、おとなしくチェリーとワイスはパステルシアンの元へと向かっていった。
フォシンズはその様子を黙って見ていた。自分の前では取るに足らない行動に映ったからだ。それよりも、目の前のパステル戦士どもをどうやって片付けるかに集中していた。
「さあ、わたくしたちが相手ですわよ。その醜い笑顔を叩き潰して差し上げますわ」
「はっ、言葉だけは達者だね。そういうものは、実力が伴ってこそ意味を持つというものだよ!」
パステルパープルの挑発をフォシンズは笑い飛ばす。そして、それと同時に漆黒のオーラを飛ばして攻撃を仕掛けてきた。その攻撃をパステルピンクたちは余裕を持って躱している。
「ふふん、僕の攻撃に慣れてきたって事かな? だったらこれはどうだい?」
フォシンズは、飛ばしたオーラに手を加える。
「なっ、追尾してくるぞ!?」
そう、ホーミング機能を追加したのだ。つまり、躱そうとしてもその方向に曲がってくるのである。こうなると相殺しない事には躱しきれなくなってしまった。
「実にいやらしい真似をしてくれますわね!」
パステルパープルは盾を出すとそれを構える。そして、漆黒のオーラを十分に引き寄せる。
「パステル・シールド・チャージ!」
盾に攻撃を受けたところで、力強く前進してオーラを弾き返した。
「なんだって?!」
弾き返されたオーラは追尾の機能を失い、そのまま一直線にフォシンズへと直撃した。だがしかし、
「ははっ、このオーラは僕の力だよ。僕にダメージを与えられると思っていたのなら、残念だったね!」
まったくのノーダメージである。とはいえども、飛び交うオーラの多くを一度に押し返せたのは大きい。
「あら、わたくしがただ跳ね返しただけだとお思いですの?」
「なに?」
余裕ぶっているフォシンズに向けて、パステルパープルはニヤリと笑みを浮かべていた。すると、フォシンズが苦しみ始める。
「な、何をした?!」
「ちょちょっと浄化の力を乗せてお返ししただけですわよ。吸収してくれるなんてありがたかったですわね」
そう、跳ね返した瞬間に浄化技をこっそりかけておいたのである。そうとは知らずに自分に跳ね返ってきた漆黒のオーラを体内に吸収したフォシンズは、知らない間に浄化の力をもその身に取り込んでしまったのである。
ダクネースの力に汚染されたフォシンズは、もはや聖獣ではない。そのせいで浄化の力をその身に受けてしまい、その表情には苦しさが見て取れる。
「おのれ……、舐めた真似をしてくれたものだね。さすがにここまでこけにされては、もうお遊びは終わりだよ!」
こう叫んだフォシンズの体からは、今までの比にならないくらいの漆黒のオーラがあふれ出るのだった。
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