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第140話 飲まれてゆく者
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パステルパープルの浄化技を1分間も浴び続けながら、シイロは耐えていた。その表情は鬼神のごとき険しい表情で、必死になるパステルパープルの表情をさらに苦しいものにさせていた。
「私は……、負けられないのだっ!!」
急激にシイロの力が膨らんだかと思えば、なんとパステルパープルの技が弾かれてしまう。
「くっ!」
その衝撃にパステルパープルの体勢が崩れる。その次の瞬間、白目だけが浮かび上がった不気味なシイロの顔が、パステルパープルの目の前に現れた。同時に剣が振り抜かれている。
さすがにこれは死を覚悟したパステルパープルだったが、なんと首を斬られる前にもこもこの毛玉がシイロの剣を弾き飛ばしていた。
「けっ、さすがに俺っちの相棒を簡単に死なせやしないぜ」
「ワイス!」
そう、そこに現れたのはワイスだった。
「どうやってここに?!」
「そいつの説明は後だ。今はあいつを止めねえとな」
ワイスの声にシイロを見るパステルパープル。すると、真っ白だったシイロの姿が、どんどんとどす黒く染まっていく様子が見えた。相変わらず目だけが真っ白である。
「シイロの奴は今、負の感情に完全に飲まれかけてやがるんだ。そのまま染まっちまえば元のシイロに戻す事は不可能になる。俺っちが気を引くから、パステルパープルは浄化技をもう一度当ててくれ!」
「分かりましたわ!」
パステルパープルは構え直す。
「この死に損ないがあっ! 私の邪魔をするなぁっ!!」
「けっ、知ったこっちゃねえな!」
ワイスがちょこまかとシイロの周りを走り回る。シイロの剣が時々ワイスに当たるが、ワイスのもこもこはシイロの刃を通さなかった。
「冬の静寂に安らかに眠れ、ウィンター・アメジスト・コフィン!」
ワイスが気を引いたところで、従来の浄化技を放つパステルパープル。パキパキとシイロの足元が凍り始める。
「これごとき、私の足止めにもならんぞっ!」
すぐさまシイロは攻撃に気が付き、パステルパープルへとターゲットを切り替えようとする。
「そうはいくかよってな!」
すると、すぐさまワイスが邪魔をする。
「さぁ、さっさとやっちまいな!」
「汚れなき雪よ、穢れしものに静寂を、パステル・スノー・ピューリフィケーション!」
ワイスの言葉にこくりと頷いたパステルパープルは、ふたつめの浄化技を放つ。だが、少し力を使い過ぎたのか、パステルパープルの膝が少しがくっと崩れる。しかし、パステルパープルは歯を食いしばる。シイロの暴走を食い止めるために。
パステルパープルとシイロの戦いが続く横で、パステルピンクたちはシイロの呼び出した化け物三体と戦いを繰り広げている。
パステルオレンジとパステルブラウンは一体ずつ、パステルピンクとパステルシアンは残り一体という感じで戦っている。怒り満ちたシイロから生み出されたせいか、この化け物たちは小細工がない。それがゆえに、パワーが桁違いながらまだ前回よりは戦いやすかった。
「オータム・リーフ・フラッド!」
パステルオレンジは化け物の足元に葉っぱの渦を起こす。
「モノォッ?!」
化け物は足元をすくわれてあっさり倒れてしまう。
「パステル・オータム・ペイントレイ!」
そして、すんなりと化け物を一体浄化してしまった。シイロの状態がなんとも危険な感じなので、化け物に構っていられないのだ。
「パステル・ペンシル・ロケット!」
パステルブラウンも色鉛筆を飛ばして化け物を牽制すると、
「パステル・フォール・カラーリング!」
これまたあっさりと化け物を浄化してしまう。
さすがにこの二人は落ち着くとものすごく強かった。さすがは聖獣である。
残るパステルピンクとパステルシアンも、あのシイロの状態を見て時間が掛けられるとは思っていない。暴走に暴走を重ねるシイロを見て、身の危険を感じていた。
「モノォッ!!」
化け物の攻撃をさっと躱す二人。
「うらぁっ!」
ジャンプして化け物の腕を使って回転するパステルピンク。その勢いを利用して、化け物の顔にソバットを決める。
「モ、モノォ?!」
化け物はふらつくが、パステルピンクに反撃を入れようとする。だが、その攻撃はパステルシアンによって跳ね返されてしまう。強いとはいってもパステルシアンのバリアを突き破るまでには至らなかった。
「パステルシアン、もう一回やるぞ!」
「うんっ!」
怯んだ化け物を見てパステルピンクが叫ぶ。
「パステル・ペタル・トルネード!」
「パステル・シュトローム・アロー!」
二人の連携技が化け物に向かって放たれる。さすがに反射によって仰け反っている化け物に、その攻撃を躱すだけの余裕はなかった。
「モ、モ、モノトーンッ!」
最後の化け物もついぞ浄化されてしまった。
「っしゃーっ!」
パステルピンクが声を上げるが、
「まだよ、パステルピンク。シイロが残っているわ」
「お、おうっ、そうだな」
パステルシアンに指摘されて、パステルピンクは禍々しいオーラと猛吹雪が荒れ狂う方へと振り返った。
今、あそこではパステルパープルが一人で戦っている。いくらパステルパープルが強いとはいっても、シイロとはまともな勝負にならない可能性がある。
表情を引き締めて、パステルピンクたちはパステルパープルの元へ駆けつけようとするのだった。
「私は……、負けられないのだっ!!」
急激にシイロの力が膨らんだかと思えば、なんとパステルパープルの技が弾かれてしまう。
「くっ!」
その衝撃にパステルパープルの体勢が崩れる。その次の瞬間、白目だけが浮かび上がった不気味なシイロの顔が、パステルパープルの目の前に現れた。同時に剣が振り抜かれている。
さすがにこれは死を覚悟したパステルパープルだったが、なんと首を斬られる前にもこもこの毛玉がシイロの剣を弾き飛ばしていた。
「けっ、さすがに俺っちの相棒を簡単に死なせやしないぜ」
「ワイス!」
そう、そこに現れたのはワイスだった。
「どうやってここに?!」
「そいつの説明は後だ。今はあいつを止めねえとな」
ワイスの声にシイロを見るパステルパープル。すると、真っ白だったシイロの姿が、どんどんとどす黒く染まっていく様子が見えた。相変わらず目だけが真っ白である。
「シイロの奴は今、負の感情に完全に飲まれかけてやがるんだ。そのまま染まっちまえば元のシイロに戻す事は不可能になる。俺っちが気を引くから、パステルパープルは浄化技をもう一度当ててくれ!」
「分かりましたわ!」
パステルパープルは構え直す。
「この死に損ないがあっ! 私の邪魔をするなぁっ!!」
「けっ、知ったこっちゃねえな!」
ワイスがちょこまかとシイロの周りを走り回る。シイロの剣が時々ワイスに当たるが、ワイスのもこもこはシイロの刃を通さなかった。
「冬の静寂に安らかに眠れ、ウィンター・アメジスト・コフィン!」
ワイスが気を引いたところで、従来の浄化技を放つパステルパープル。パキパキとシイロの足元が凍り始める。
「これごとき、私の足止めにもならんぞっ!」
すぐさまシイロは攻撃に気が付き、パステルパープルへとターゲットを切り替えようとする。
「そうはいくかよってな!」
すると、すぐさまワイスが邪魔をする。
「さぁ、さっさとやっちまいな!」
「汚れなき雪よ、穢れしものに静寂を、パステル・スノー・ピューリフィケーション!」
ワイスの言葉にこくりと頷いたパステルパープルは、ふたつめの浄化技を放つ。だが、少し力を使い過ぎたのか、パステルパープルの膝が少しがくっと崩れる。しかし、パステルパープルは歯を食いしばる。シイロの暴走を食い止めるために。
パステルパープルとシイロの戦いが続く横で、パステルピンクたちはシイロの呼び出した化け物三体と戦いを繰り広げている。
パステルオレンジとパステルブラウンは一体ずつ、パステルピンクとパステルシアンは残り一体という感じで戦っている。怒り満ちたシイロから生み出されたせいか、この化け物たちは小細工がない。それがゆえに、パワーが桁違いながらまだ前回よりは戦いやすかった。
「オータム・リーフ・フラッド!」
パステルオレンジは化け物の足元に葉っぱの渦を起こす。
「モノォッ?!」
化け物は足元をすくわれてあっさり倒れてしまう。
「パステル・オータム・ペイントレイ!」
そして、すんなりと化け物を一体浄化してしまった。シイロの状態がなんとも危険な感じなので、化け物に構っていられないのだ。
「パステル・ペンシル・ロケット!」
パステルブラウンも色鉛筆を飛ばして化け物を牽制すると、
「パステル・フォール・カラーリング!」
これまたあっさりと化け物を浄化してしまう。
さすがにこの二人は落ち着くとものすごく強かった。さすがは聖獣である。
残るパステルピンクとパステルシアンも、あのシイロの状態を見て時間が掛けられるとは思っていない。暴走に暴走を重ねるシイロを見て、身の危険を感じていた。
「モノォッ!!」
化け物の攻撃をさっと躱す二人。
「うらぁっ!」
ジャンプして化け物の腕を使って回転するパステルピンク。その勢いを利用して、化け物の顔にソバットを決める。
「モ、モノォ?!」
化け物はふらつくが、パステルピンクに反撃を入れようとする。だが、その攻撃はパステルシアンによって跳ね返されてしまう。強いとはいってもパステルシアンのバリアを突き破るまでには至らなかった。
「パステルシアン、もう一回やるぞ!」
「うんっ!」
怯んだ化け物を見てパステルピンクが叫ぶ。
「パステル・ペタル・トルネード!」
「パステル・シュトローム・アロー!」
二人の連携技が化け物に向かって放たれる。さすがに反射によって仰け反っている化け物に、その攻撃を躱すだけの余裕はなかった。
「モ、モ、モノトーンッ!」
最後の化け物もついぞ浄化されてしまった。
「っしゃーっ!」
パステルピンクが声を上げるが、
「まだよ、パステルピンク。シイロが残っているわ」
「お、おうっ、そうだな」
パステルシアンに指摘されて、パステルピンクは禍々しいオーラと猛吹雪が荒れ狂う方へと振り返った。
今、あそこではパステルパープルが一人で戦っている。いくらパステルパープルが強いとはいっても、シイロとはまともな勝負にならない可能性がある。
表情を引き締めて、パステルピンクたちはパステルパープルの元へ駆けつけようとするのだった。
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