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第138話 双子だから
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対峙するパステル戦士たちとシイロ。険しい表情を浮かべて鋭い視線を送るパステル戦士たちと違い。シイロは余裕をもって邪悪な笑みを浮かべている。
「くっくっく……。ここはダクネース様の居られる、モノトーンの本拠地。お前たちの力はここでは弱まってしまうのだ」
じりじりと歩み寄ってくるシイロ。
「それに対して私は、自分の力を思う存分に発揮できる。モノトーンを召喚する間でもない。あいつらの弔いのために、この私が直にお前たちを葬り去ってくれる」
シイロの表情が、ますます醜く歪んでゆく。
次の瞬間、空気が変わる。
「来るぞっ!」
パステルピンクが叫ぶ。
それと同時に蔓を地面に這わせる。平坦でないならば速度をある程度落とせるはずだと考えたからだ。
「ふっ、甘いなっ!」
だが、シイロの勢いは衰えない。あっという間に詰めてくる。
「パステル・シールド・バッシュ!」
パステルパープルが消しゴムを盾に変えて、シイロの攻撃を受け止めて跳ね返そうとする。だが、シイロの攻撃の威力が強すぎて、かろうじて相殺できたくらいだった。
「ほぉ、受け止められたか。だが、それだけで何もできないようだな?」
シイロが怪しく笑っている。
「くっ……」
パステルパープルの表情が苦痛に歪む。よく見れば、少しずつ押されているのである。大きな盾の状態でシールドバッシュを使ったというのに、相手はびくともしないどころかそれに構わず押し込んでくるのだ。これで怯まない方が不思議なのである。
だが、パステルパープルのおかげでシイロの動きが一時的とはいえ止まっている。これは反撃のチャンスだった。これに、パステルオレンジとパステルブラウンが示し合わせたかのように動く。だが、その動きに気付かないシイロではなかった。
「ふん、死に損ないの聖獣に、一体何ができるというのだ!」
パステルパープルを押す剣に力が入る。
「レイン様の護衛騎士だったか知らないけれど」
「あたいたちの力を甘く見ないでちょうだい!」
双子らしく、言葉の息がぴったり合っている。そして、わずかの間とはいえど特訓した成果をここで披露する。
何かを感じたシイロは、パステルパープルをその場に叩き伏せて前へと飛び出す。
「あたしたちの力」
「ここで見せてあげるわよ!」
シイロの左右に分かれたパステルオレンジとパステルブラウンが、両手を高く上げた。
「パステル・トワイライト・シンフォニー!」
技を叫ぶと、二人から様々なものがあふれ出る。紅葉と豊穣の季節である秋を司る二人らしい技だった。
パステルオレンジの彩りである葉っぱの波。
パステルブラウンの実りである果実の嵐。
それらがまとめてシイロに襲い掛かる。
「ふん、小癪なっ!」
だが、初見の技とはいえど、さすがはシイロ。技に対して対処していく。それどころか、的確に能力の劣るパステルオレンジの方へと詰め寄っていた。
しかし、それは誘い込まれた罠だった。
「セカンド!」
この声と共に、攻撃が激しくなる。
「なんだと?!」
シイロはさすがに動きが鈍る。さっきよりも激しさを増した二人の技に、さすがに対処しきれなくなってきたのだ。ぶつかったとしてもさして痛くないのだが、シイロの突撃スピードだと、それが逆にダメージを強めてしまう。かといって歩みを止めると、その猛烈な勢いに今度は進めなくなってしまう。二人の合わせ技のドツボに、シイロは見事にはまってしまったのだった。
ここだと思った二人は、
「モデュレーション!」
再び合図を送る。
すると、その言葉通りに、二人が巻き起こす嵐が変化を起こす。
「ぐぬぬぬ……」
さっきまでの緩さが無くなり、シイロの体を容赦なく痛めつけていく。だが、その状態でもしっかり抵抗を見せているシイロ。どうにか突破口を見出そうとしているのだ。
だが、二人だって負けてはいない。パステルブラウンはその動きに勘付いていた。この状況下でも諦めようとはしないあたり、さすがは護衛騎士といったところである。
「決めるわよ!」
「うん!」
パステルブラウンの声に、パステルオレンジが答える。
「フィニッシュ!」
さらに激しさを増した嵐。
「すげえ……」
パステルピンクとパステルシアンは、呆然とそれを眺める事しかできなかった。しかし、さっきまでシイロの攻撃を盾で受け止めていたパステルパープルは警戒を解いていない。むしろ強めていた。なにせあのシイロなのだ。この程度で終わるわけがないのである。
葉っぱと果実の嵐の中に、パステルブラウンの色鉛筆が突如として現れる。これがこの技のフィニッシュのようである。
「甘いわぁっ!」
色鉛筆に気が付いて、剣筋一閃、色鉛筆を破壊するシイロ。防ぎ切ったとほくそ笑むシイロだったが、この攻撃がパステルオレンジとパステルブラウンの共同技だという事を失念していた。
斬られた色鉛筆がざっと崩れて、シイロの体にまとわりついていく。
「くそっ、なんだこれはっ!」
振りほどこうにも体が動かない。実は果実の汁が接着剤のように葉っぱを固めてしまっているのである。
「あなたは強かったですわ。ただ、ちょっと慢心が過ぎましたわね」
パステルパープルが後ろから迫る。
「これで終わりです! 冬の静寂に安らかに眠れ、ウィンター・アメジスト・コフィン!」
動けないシイロに向けて、パステルパープルの浄化技が放たれたのだった。
「くっくっく……。ここはダクネース様の居られる、モノトーンの本拠地。お前たちの力はここでは弱まってしまうのだ」
じりじりと歩み寄ってくるシイロ。
「それに対して私は、自分の力を思う存分に発揮できる。モノトーンを召喚する間でもない。あいつらの弔いのために、この私が直にお前たちを葬り去ってくれる」
シイロの表情が、ますます醜く歪んでゆく。
次の瞬間、空気が変わる。
「来るぞっ!」
パステルピンクが叫ぶ。
それと同時に蔓を地面に這わせる。平坦でないならば速度をある程度落とせるはずだと考えたからだ。
「ふっ、甘いなっ!」
だが、シイロの勢いは衰えない。あっという間に詰めてくる。
「パステル・シールド・バッシュ!」
パステルパープルが消しゴムを盾に変えて、シイロの攻撃を受け止めて跳ね返そうとする。だが、シイロの攻撃の威力が強すぎて、かろうじて相殺できたくらいだった。
「ほぉ、受け止められたか。だが、それだけで何もできないようだな?」
シイロが怪しく笑っている。
「くっ……」
パステルパープルの表情が苦痛に歪む。よく見れば、少しずつ押されているのである。大きな盾の状態でシールドバッシュを使ったというのに、相手はびくともしないどころかそれに構わず押し込んでくるのだ。これで怯まない方が不思議なのである。
だが、パステルパープルのおかげでシイロの動きが一時的とはいえ止まっている。これは反撃のチャンスだった。これに、パステルオレンジとパステルブラウンが示し合わせたかのように動く。だが、その動きに気付かないシイロではなかった。
「ふん、死に損ないの聖獣に、一体何ができるというのだ!」
パステルパープルを押す剣に力が入る。
「レイン様の護衛騎士だったか知らないけれど」
「あたいたちの力を甘く見ないでちょうだい!」
双子らしく、言葉の息がぴったり合っている。そして、わずかの間とはいえど特訓した成果をここで披露する。
何かを感じたシイロは、パステルパープルをその場に叩き伏せて前へと飛び出す。
「あたしたちの力」
「ここで見せてあげるわよ!」
シイロの左右に分かれたパステルオレンジとパステルブラウンが、両手を高く上げた。
「パステル・トワイライト・シンフォニー!」
技を叫ぶと、二人から様々なものがあふれ出る。紅葉と豊穣の季節である秋を司る二人らしい技だった。
パステルオレンジの彩りである葉っぱの波。
パステルブラウンの実りである果実の嵐。
それらがまとめてシイロに襲い掛かる。
「ふん、小癪なっ!」
だが、初見の技とはいえど、さすがはシイロ。技に対して対処していく。それどころか、的確に能力の劣るパステルオレンジの方へと詰め寄っていた。
しかし、それは誘い込まれた罠だった。
「セカンド!」
この声と共に、攻撃が激しくなる。
「なんだと?!」
シイロはさすがに動きが鈍る。さっきよりも激しさを増した二人の技に、さすがに対処しきれなくなってきたのだ。ぶつかったとしてもさして痛くないのだが、シイロの突撃スピードだと、それが逆にダメージを強めてしまう。かといって歩みを止めると、その猛烈な勢いに今度は進めなくなってしまう。二人の合わせ技のドツボに、シイロは見事にはまってしまったのだった。
ここだと思った二人は、
「モデュレーション!」
再び合図を送る。
すると、その言葉通りに、二人が巻き起こす嵐が変化を起こす。
「ぐぬぬぬ……」
さっきまでの緩さが無くなり、シイロの体を容赦なく痛めつけていく。だが、その状態でもしっかり抵抗を見せているシイロ。どうにか突破口を見出そうとしているのだ。
だが、二人だって負けてはいない。パステルブラウンはその動きに勘付いていた。この状況下でも諦めようとはしないあたり、さすがは護衛騎士といったところである。
「決めるわよ!」
「うん!」
パステルブラウンの声に、パステルオレンジが答える。
「フィニッシュ!」
さらに激しさを増した嵐。
「すげえ……」
パステルピンクとパステルシアンは、呆然とそれを眺める事しかできなかった。しかし、さっきまでシイロの攻撃を盾で受け止めていたパステルパープルは警戒を解いていない。むしろ強めていた。なにせあのシイロなのだ。この程度で終わるわけがないのである。
葉っぱと果実の嵐の中に、パステルブラウンの色鉛筆が突如として現れる。これがこの技のフィニッシュのようである。
「甘いわぁっ!」
色鉛筆に気が付いて、剣筋一閃、色鉛筆を破壊するシイロ。防ぎ切ったとほくそ笑むシイロだったが、この攻撃がパステルオレンジとパステルブラウンの共同技だという事を失念していた。
斬られた色鉛筆がざっと崩れて、シイロの体にまとわりついていく。
「くそっ、なんだこれはっ!」
振りほどこうにも体が動かない。実は果実の汁が接着剤のように葉っぱを固めてしまっているのである。
「あなたは強かったですわ。ただ、ちょっと慢心が過ぎましたわね」
パステルパープルが後ろから迫る。
「これで終わりです! 冬の静寂に安らかに眠れ、ウィンター・アメジスト・コフィン!」
動けないシイロに向けて、パステルパープルの浄化技が放たれたのだった。
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