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第131話 三傑決戦・その14-決死の覚悟
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「この一撃で貴様ら全員、あの世まで吹き飛ぶがよいっ!」
シイロは力を集中させている。明らかにやばい雰囲気を放っており、場にとんでもない緊張が走る。
(こいつを放たせるわけにはいかない。なんとかしねえと)
パステルピンクは手に持っている剣を変化させる。エストックでもクレイモアでもなく、なんとソードブレイカーに変化させた。どうやら、剣であるなら何にでもブラシの形状を変化できるようである。
「うおおおっ!!」
「パステルピンク、何を?!」
シイロに向けて飛び込んでいくパステルピンクの動きに、他の面々が驚いている。
それもそうだろう。今のシイロに対して飛び込んでいくのは、ただの自殺行為でしかないのは明白だからだ。
「グルーミング・フラワー・ガード! みんなを守ってくれ!」
パステルシアンたちの居る方向へ壁を作るように、蔓による巨大な防壁を生み出すと同時に、それを駆け上っていくパステルピンク。はっきり言って、パステルピンクはほぼ何も考えていない。どうやったらシイロの攻撃を止められるか、それだけである。
どうやら一撃必殺系の攻撃らしいので、溜め時間が長い事が幸いだった。
「はっ、その程度の壁で、私の攻撃を防げるものか! 死ね、パステル王国の死に損ないどもがぁっ!!」
シイロの攻撃のチャージタイムが終わり、いよいよ攻撃が放たれようとしている。
「そうはいくかっ!」
上空からシイロを飛び越え、その後ろへと着地するパステルピンク。あまりの高さに目測を誤ったが、どうにか近くに飛び降りられたようである。
そして、着地すると同時にシイロへと襲い掛かるパステルピンク。
「裏に回ったつもりか! だが、もう遅い。お前の仲間どもはさっさとあの世に送ってやる!」
シイロのチャージが終わろうとしている。
(一瞬でもいい、あいつの攻撃を遅らせられれば!)
そう思うパステルピンク。このままではどうしても間に合いそうになかったのだが、その一瞬でとある事を思い出した。
「スリーピング・ウォーム!」
そう、眠り攻撃だ。効かなくても一瞬動作を鈍らせる事ができるはず。
「ぐっ……」
狙い通りに、シイロの体勢が一瞬崩れる。
やったと思ったのも束の間、くるりとシイロがパステルピンクへと狙いを変えたのである。
「……小賢しい。やはりお前から殺してやる!」
シイロの剣がパステルピンクへと振り下ろされる。
「だっりゃあああっ!!」
だが、振り下ろされる前に、パステルピンクの剣がシイロの剣を捉えた。眠り攻撃に加えて、狙いをパステルピンクへ切り替えた事で攻撃が間に合ったのである。
「折、れ、ろーっ!」
ソードブレイカーと変化したブラシの溝に、シイロの剣を捉えている。パステルピンクはそのまま、へし折るように剣を捻る。シイロは振り抜こうとしているので、うまくいけば折れるはずである。
シイロの攻撃は中途半端な振り抜きでは発動しておらず、これは最初で最後のチャンスなのである。このシイロには二度目は通じないと、パステルピンクは直感していたのだ。
だが、シイロの剣は折れなかった。逆に、パステルピンクのソードブレイカーの方が折れた。
「げっ、マジかよ……」
だが、折れたからといってもパステルピンクは動じなかった。すぐにパステルピンクはブラシに戻す。すると折れた剣は普通にブラシに戻っていた。
シイロの方は技の発動を止めて、再びパステルピンクに向き合って剣を構え直した。既にチャージが完了した状態で、である。
「こうなったらやけだ。持てる力で対抗してやる!」
パステルピンクは真っ向勝負を選択した。
「死ね! 我が最大の奥義で消し飛ぶがよい!」
シイロが剣を振り下ろし、もの凄い勢いの攻撃がパステルピンクに放たれる。
「輝け、ぬくもりの色よ! 舞え、春風に乗せて! スプリング・カラフル・ストーム!」
それと同時に、覚悟を決めたパステルピンクが浄化技を放つ。
両者の渾身の攻撃が、ちょうど中央でぶつかり合う。力だけならばシイロが圧倒的に有利なのだが、どういうわけか拮抗していた。パステルピンクにも覚悟があったからだ。その覚悟ゆえに、一度邪魔が入った事で集中の乱れたシイロの攻撃と拮抗する事ができたのだ。
この事象は、シイロにとっては予想外だった。簡単に消し飛ばせるはずだった相手が粘っているのだ。
「うぎぎぎ……、どこにそんな力があるというのだ! モノトーン相手でも苦戦するようなお前のどこに、そんな力があるというのだあっ!」
シイロの剣を握る手に力が入る。
そのせいでシイロの攻撃の威力が強まる。さすがにこれではパステルピンクは押され気味になってしまう。
「負ける、ものかぁっ!」
パステルピンクだって耐える。力の続く限り、浄化技を放ち続けている。なにせここで倒れてしまえば自分はおろか、後方にある街にも甚大な被害をもたらしてしまう。だからこそ、パステルピンクは限界を超えてシイロに対抗をしているのだ。
「くっ、なかなか粘るな。だが、そのやせ我慢、いつまで続かな?」
シイロがさらに力を込める。完全に押されてしまうパステルピンクだったが、その時異変が起きる。
パキッ、パキパキパキッ。
何やらひびが入るような音が辺りに響き渡ったのだ。そして、その直後、ひびの入ったそれは、パキーンと無残に砕け散ってしまうのだった。
シイロは力を集中させている。明らかにやばい雰囲気を放っており、場にとんでもない緊張が走る。
(こいつを放たせるわけにはいかない。なんとかしねえと)
パステルピンクは手に持っている剣を変化させる。エストックでもクレイモアでもなく、なんとソードブレイカーに変化させた。どうやら、剣であるなら何にでもブラシの形状を変化できるようである。
「うおおおっ!!」
「パステルピンク、何を?!」
シイロに向けて飛び込んでいくパステルピンクの動きに、他の面々が驚いている。
それもそうだろう。今のシイロに対して飛び込んでいくのは、ただの自殺行為でしかないのは明白だからだ。
「グルーミング・フラワー・ガード! みんなを守ってくれ!」
パステルシアンたちの居る方向へ壁を作るように、蔓による巨大な防壁を生み出すと同時に、それを駆け上っていくパステルピンク。はっきり言って、パステルピンクはほぼ何も考えていない。どうやったらシイロの攻撃を止められるか、それだけである。
どうやら一撃必殺系の攻撃らしいので、溜め時間が長い事が幸いだった。
「はっ、その程度の壁で、私の攻撃を防げるものか! 死ね、パステル王国の死に損ないどもがぁっ!!」
シイロの攻撃のチャージタイムが終わり、いよいよ攻撃が放たれようとしている。
「そうはいくかっ!」
上空からシイロを飛び越え、その後ろへと着地するパステルピンク。あまりの高さに目測を誤ったが、どうにか近くに飛び降りられたようである。
そして、着地すると同時にシイロへと襲い掛かるパステルピンク。
「裏に回ったつもりか! だが、もう遅い。お前の仲間どもはさっさとあの世に送ってやる!」
シイロのチャージが終わろうとしている。
(一瞬でもいい、あいつの攻撃を遅らせられれば!)
そう思うパステルピンク。このままではどうしても間に合いそうになかったのだが、その一瞬でとある事を思い出した。
「スリーピング・ウォーム!」
そう、眠り攻撃だ。効かなくても一瞬動作を鈍らせる事ができるはず。
「ぐっ……」
狙い通りに、シイロの体勢が一瞬崩れる。
やったと思ったのも束の間、くるりとシイロがパステルピンクへと狙いを変えたのである。
「……小賢しい。やはりお前から殺してやる!」
シイロの剣がパステルピンクへと振り下ろされる。
「だっりゃあああっ!!」
だが、振り下ろされる前に、パステルピンクの剣がシイロの剣を捉えた。眠り攻撃に加えて、狙いをパステルピンクへ切り替えた事で攻撃が間に合ったのである。
「折、れ、ろーっ!」
ソードブレイカーと変化したブラシの溝に、シイロの剣を捉えている。パステルピンクはそのまま、へし折るように剣を捻る。シイロは振り抜こうとしているので、うまくいけば折れるはずである。
シイロの攻撃は中途半端な振り抜きでは発動しておらず、これは最初で最後のチャンスなのである。このシイロには二度目は通じないと、パステルピンクは直感していたのだ。
だが、シイロの剣は折れなかった。逆に、パステルピンクのソードブレイカーの方が折れた。
「げっ、マジかよ……」
だが、折れたからといってもパステルピンクは動じなかった。すぐにパステルピンクはブラシに戻す。すると折れた剣は普通にブラシに戻っていた。
シイロの方は技の発動を止めて、再びパステルピンクに向き合って剣を構え直した。既にチャージが完了した状態で、である。
「こうなったらやけだ。持てる力で対抗してやる!」
パステルピンクは真っ向勝負を選択した。
「死ね! 我が最大の奥義で消し飛ぶがよい!」
シイロが剣を振り下ろし、もの凄い勢いの攻撃がパステルピンクに放たれる。
「輝け、ぬくもりの色よ! 舞え、春風に乗せて! スプリング・カラフル・ストーム!」
それと同時に、覚悟を決めたパステルピンクが浄化技を放つ。
両者の渾身の攻撃が、ちょうど中央でぶつかり合う。力だけならばシイロが圧倒的に有利なのだが、どういうわけか拮抗していた。パステルピンクにも覚悟があったからだ。その覚悟ゆえに、一度邪魔が入った事で集中の乱れたシイロの攻撃と拮抗する事ができたのだ。
この事象は、シイロにとっては予想外だった。簡単に消し飛ばせるはずだった相手が粘っているのだ。
「うぎぎぎ……、どこにそんな力があるというのだ! モノトーン相手でも苦戦するようなお前のどこに、そんな力があるというのだあっ!」
シイロの剣を握る手に力が入る。
そのせいでシイロの攻撃の威力が強まる。さすがにこれではパステルピンクは押され気味になってしまう。
「負ける、ものかぁっ!」
パステルピンクだって耐える。力の続く限り、浄化技を放ち続けている。なにせここで倒れてしまえば自分はおろか、後方にある街にも甚大な被害をもたらしてしまう。だからこそ、パステルピンクは限界を超えてシイロに対抗をしているのだ。
「くっ、なかなか粘るな。だが、そのやせ我慢、いつまで続かな?」
シイロがさらに力を込める。完全に押されてしまうパステルピンクだったが、その時異変が起きる。
パキッ、パキパキパキッ。
何やらひびが入るような音が辺りに響き渡ったのだ。そして、その直後、ひびの入ったそれは、パキーンと無残に砕け散ってしまうのだった。
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