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第121話 三傑決戦・その4
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迫りくるパステルパープル。身構えるグーレイ。
グーレイが攻撃が来ると動こうとした瞬間だった。
「な……っ?!」
脇腹に間違いなく痛みが走る。
よく見ると、脇腹に氷が刺さっているではないか。一体何が起きたというのだろうか。
「わたくしたちが人を傷つけられないとお思いかしら? 覚悟を決めた人間は、時に人を傷つける事ができますのよ」
パステルパープルの顔が悲痛に歪んでいた。相手は人ではないといえど、人型をとっているのだ。人間を傷つけたような罪悪感に襲われているのである。
だが、倒さねば自分がやられてしまう。そのような状況なので、パステルパープルは覚悟をもってグーレイを貫いたのである。
「かはっ! ……よもや、直接、攻撃とは……な」
不意を突かれた上に激痛とあって、グーレイは喋るのも厳しそうである。
「わたくしの能力は氷ですのよ? 氷で剣を作る事くらい、思いつきますわよ」
「……不覚」
だが、さすがにグーレイもモノトーン三傑としての意地がある。
「来い、モノトーン!」
パステルピンクとパステルシアンと戦うモノトーンの片方を呼び寄せるグーレイ。
「モノォ、トーンッ!」
化け物が力を解き放ち、グーレイの中へと還っていく。するとどうだろうか、グーレイの脇腹にできた傷がみるみる塞がっていった。化け物にはこのような使い方があったようである。
「ぐぅ、あの未熟な小娘どもとはいえ、その相手を片方削るのは直接的な傷よりも痛いな……」
グーレイは歯を食いしばった。そして、
「よくぞ、我に傷をつけた、褒めてつかわそう」
パステルパープルに向かって睨みながら叫ぶ。
「だが、ひと思いに仕留めなかった事を、後悔させてやる!」
グーレイの表情が一気に変わる。その雰囲気の変わりように、パステルパープルの体に力が入った。
パステルピンクとパステルシアンは、グーレイの生み出した化け物相手に対等に渡り合っている。以前なら二人がかりでも苦戦していたのだが、やはり二人だって成長しているのだ。
「だっりゃあーっ!!」
パステルピンクはパステルブラシを変化させた剣と、サッカーで鍛えた脚力で化け物とやり合っている。相手のグーレイの生み出した化け物も、決戦用にかなり強力に生み出された化け物なので、本当に成長に感動してしまう。
一方のパステルシアンも体力の無さを自身の操る水の力で補うすべを身に付けていた。とはいえ、水の力で機動力を増したのではなく、相手の攻撃をいなす事が主体だった。
反射技である泡もそうだし、水の塊を出して相手の攻撃を受け止めたり逸らせたりと、体よりも頭を使った戦い方をしている。本当にこっちも短期間で成長したものである。
「モノ、トーンッ!」
「させない!」
ぱしゃんと水の弾ける音がして、パステルシアンは化け物の攻撃をいなす。そして、
「パステル・シュトローム・アロー!」
浄化の矢を放つ。だが、化け物だってやられっぱなしではない。
「モ、モノォッ!」
勢いよく飛んでくる水の矢を、強引に左腕で弾いたのである。
「えっ!?」
予想外の行動にパステルシアンの動きが止まる。化け物の方だって成長しないわけではない。グーレイの決意によって強化された化け物は、この隙を見逃すほどまぬけではないのだ。
思わぬ反撃に泡で対抗しようとするパステルシアンだったが、急に目の前の化け物が動きを止めた。そして、くるりと振り返ってあさっての方向へと移動していった。
「な、何が起きたの?」
突然の事に、パステルシアンは目を白黒させている。
だが、相手が戻ってこないと悟ると、パステルピンクのサポートへとすぐに動くのだった。
「……グーレイめ。ああいう油断があるのが玉に瑕よな」
ブラークはグーレイが深手を負ったのを横目に見て、嘆かわしく言葉を漏らしている。
「あたい相手によそ見をする暇があるっていうのかしら?」
パステルブラウンは、ブラークの視線が一瞬逸れた隙を見逃さなかった。だが、ブラークにしてみれば、そんなものは隙にもならなかった。ものの見事に、パステルブラウンのサーベルを毛筆で受け止めていた。
「ふん、さすがにおぬしは我らに近かっただけの事はあるな。他の連中に比べれば、実力は数段上回っておる」
「それは嬉しいわね。褒めたからって攻撃の手を緩める事は、無いけれどねっ!」
ブラークの放った言葉にパステルブラウンは反応するものの、動きを止める事なくサーベルでブラークへと連続攻撃を繰り出す。その攻撃を見事に躱してくブラーク。さすがは三傑。真正面からの攻撃では簡単に崩れる事はなかった。
「実に喜ばしい事よなぁ。この我らにここまで迫った事、嬉しい限りだ。しかし、所詮は小娘。非力よなぁ?」
パステルブラウンの突き攻撃の隙を躱して、背中に一撃を叩き込もうとするブラーク。その瞬間だった。ブラークの予想もしなかった事象が起きた。
ぼふんという音と共に煙が発生する。そして、ブラークの毛筆は空を斬ったのである。
「な、何事だ!」
「練習したかいがあったわね。懐かしいわ、この姿」
「お、おぬしは、死に損ないの聖獣?!」
煙が晴れたかと思うと、そこに居たのは赤茶けた毛並みの狐のような何かであった。
「あたいは秋を司る実りの聖獣メルプ。どう、驚いたかしら」
そう、パステルブラウンが元の聖獣の姿に変身していたのだった。
グーレイが攻撃が来ると動こうとした瞬間だった。
「な……っ?!」
脇腹に間違いなく痛みが走る。
よく見ると、脇腹に氷が刺さっているではないか。一体何が起きたというのだろうか。
「わたくしたちが人を傷つけられないとお思いかしら? 覚悟を決めた人間は、時に人を傷つける事ができますのよ」
パステルパープルの顔が悲痛に歪んでいた。相手は人ではないといえど、人型をとっているのだ。人間を傷つけたような罪悪感に襲われているのである。
だが、倒さねば自分がやられてしまう。そのような状況なので、パステルパープルは覚悟をもってグーレイを貫いたのである。
「かはっ! ……よもや、直接、攻撃とは……な」
不意を突かれた上に激痛とあって、グーレイは喋るのも厳しそうである。
「わたくしの能力は氷ですのよ? 氷で剣を作る事くらい、思いつきますわよ」
「……不覚」
だが、さすがにグーレイもモノトーン三傑としての意地がある。
「来い、モノトーン!」
パステルピンクとパステルシアンと戦うモノトーンの片方を呼び寄せるグーレイ。
「モノォ、トーンッ!」
化け物が力を解き放ち、グーレイの中へと還っていく。するとどうだろうか、グーレイの脇腹にできた傷がみるみる塞がっていった。化け物にはこのような使い方があったようである。
「ぐぅ、あの未熟な小娘どもとはいえ、その相手を片方削るのは直接的な傷よりも痛いな……」
グーレイは歯を食いしばった。そして、
「よくぞ、我に傷をつけた、褒めてつかわそう」
パステルパープルに向かって睨みながら叫ぶ。
「だが、ひと思いに仕留めなかった事を、後悔させてやる!」
グーレイの表情が一気に変わる。その雰囲気の変わりように、パステルパープルの体に力が入った。
パステルピンクとパステルシアンは、グーレイの生み出した化け物相手に対等に渡り合っている。以前なら二人がかりでも苦戦していたのだが、やはり二人だって成長しているのだ。
「だっりゃあーっ!!」
パステルピンクはパステルブラシを変化させた剣と、サッカーで鍛えた脚力で化け物とやり合っている。相手のグーレイの生み出した化け物も、決戦用にかなり強力に生み出された化け物なので、本当に成長に感動してしまう。
一方のパステルシアンも体力の無さを自身の操る水の力で補うすべを身に付けていた。とはいえ、水の力で機動力を増したのではなく、相手の攻撃をいなす事が主体だった。
反射技である泡もそうだし、水の塊を出して相手の攻撃を受け止めたり逸らせたりと、体よりも頭を使った戦い方をしている。本当にこっちも短期間で成長したものである。
「モノ、トーンッ!」
「させない!」
ぱしゃんと水の弾ける音がして、パステルシアンは化け物の攻撃をいなす。そして、
「パステル・シュトローム・アロー!」
浄化の矢を放つ。だが、化け物だってやられっぱなしではない。
「モ、モノォッ!」
勢いよく飛んでくる水の矢を、強引に左腕で弾いたのである。
「えっ!?」
予想外の行動にパステルシアンの動きが止まる。化け物の方だって成長しないわけではない。グーレイの決意によって強化された化け物は、この隙を見逃すほどまぬけではないのだ。
思わぬ反撃に泡で対抗しようとするパステルシアンだったが、急に目の前の化け物が動きを止めた。そして、くるりと振り返ってあさっての方向へと移動していった。
「な、何が起きたの?」
突然の事に、パステルシアンは目を白黒させている。
だが、相手が戻ってこないと悟ると、パステルピンクのサポートへとすぐに動くのだった。
「……グーレイめ。ああいう油断があるのが玉に瑕よな」
ブラークはグーレイが深手を負ったのを横目に見て、嘆かわしく言葉を漏らしている。
「あたい相手によそ見をする暇があるっていうのかしら?」
パステルブラウンは、ブラークの視線が一瞬逸れた隙を見逃さなかった。だが、ブラークにしてみれば、そんなものは隙にもならなかった。ものの見事に、パステルブラウンのサーベルを毛筆で受け止めていた。
「ふん、さすがにおぬしは我らに近かっただけの事はあるな。他の連中に比べれば、実力は数段上回っておる」
「それは嬉しいわね。褒めたからって攻撃の手を緩める事は、無いけれどねっ!」
ブラークの放った言葉にパステルブラウンは反応するものの、動きを止める事なくサーベルでブラークへと連続攻撃を繰り出す。その攻撃を見事に躱してくブラーク。さすがは三傑。真正面からの攻撃では簡単に崩れる事はなかった。
「実に喜ばしい事よなぁ。この我らにここまで迫った事、嬉しい限りだ。しかし、所詮は小娘。非力よなぁ?」
パステルブラウンの突き攻撃の隙を躱して、背中に一撃を叩き込もうとするブラーク。その瞬間だった。ブラークの予想もしなかった事象が起きた。
ぼふんという音と共に煙が発生する。そして、ブラークの毛筆は空を斬ったのである。
「な、何事だ!」
「練習したかいがあったわね。懐かしいわ、この姿」
「お、おぬしは、死に損ないの聖獣?!」
煙が晴れたかと思うと、そこに居たのは赤茶けた毛並みの狐のような何かであった。
「あたいは秋を司る実りの聖獣メルプ。どう、驚いたかしら」
そう、パステルブラウンが元の聖獣の姿に変身していたのだった。
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