マジカル☆パステル

未羊

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第97話 目覚め行く力

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 パステルオレンジたちがブラークと戦っている間、パステルピンクとパステルシアン、そして住職が化け物と対峙している。パステルピンクとパステルシアンが二人で一体を相手にしているのに、住職は単独で一体を相手にしている。しかし、その身のこなしはただの住職ではなかった。
「モノ、トーンッ!」
 化け物が拳を振り回す。しかし、
「甘いですね!」
 警策を取り出した住職は、踊るように攻撃を躱していく。そして、警策をまるで剣のように扱って、化け物を攻撃している。
「モノォッ?!」
 住職の華麗な攻撃に、化け物が完全に怯んでいる。
「ふむ、この体になってからも長いですが、衰えはありませんね。自然とあの時の力を引き出せるようです」
 住職は前世、パステル王国の大王だった時の感覚を取り戻しているようだった。その攻撃は、モノトーン三傑の生み出した化け物を軽く凌駕していた。三傑の一人のシイロの師匠であるのなら、当然なのかもしれない。
 ……ただ、振り回している武器がただの警策という事を除けば、本当に格好いいものである。
「ふえぇ~、住職やるなぁ」
「本当に。温厚な和尚さんだと思っていたけれど、人は見かけによらないものね」
 パステルピンクとパステルシアンが驚いた表情で住職を見ている。
「じゃまぁ、伝説の戦士の俺たちも負けてられないな」
「そうね、いつまでも足手まといだと思わないで欲しいものね」
 パステルピンクとパステルシアンは構えて、化け物へと攻撃を仕掛ける。
「だりゃぁっ!」
「モノッ!?」
 パステルピンクの拳が、化け物をかすめる。だが、少し驚いたくらいで、化け物もすぐに対処する。しかし、このパンチはただのフェイント。本命は、
「へっ、甘いぜ!」
 そのまま状態が前に傾くのを利用して、思い切り片足を蹴り上げるパステルピンク。見事、ヒールのある踵が化け物の顔に命中したのだった。言っておくが、パステルピンクのスカートの中はドロワーズだ。何も問題はない。
「モノォッ!!」
 鋭いヒールが刺さったらしく、化け物は吹っ飛ばされて地面に転がる。パステルピンクの攻撃力も上がっているようだった。さすがマジェ時代のパステルブラウンやイエーロに鍛えられているだけの事はある。
「んー、私もできるかしらね」
 敵に隙ができた事で、パステルシアンがある事を試みようとしている。
「私だって、みんなの助けになりたいのよ。力を貸して!」
 パステルシアンはパステルミストを引っ張り出して、強く念じた。すると、パステルミストが輝き出す。そして、パステルシアンが叫ぶ。
「パステルミスト、フォームチェンジ、ミストシューター!」
 すると、パステルシアンの持つパステルミストが弓矢へと変化する。しっかりと胸当ても装着されている。
「やった、できたわ!」
 そう、さっきチラ見していたパステルオレンジたちの武器変化を真似てみたのである。パステルシアンは思いの力は少々特定へのものではあるものの、その強さは十分だったのだ。それゆえにパステルミストは思いに応えて姿を変えたのである。
「モノォッ!!」
 そうこうしているうちに、化け物がダメージから立ち直る。立ち上がった化け物は、攻撃を仕掛けたパステルピンクへと襲い掛かるが、
「へっ、さっきより動きが鈍ってるぜ! はぁっ!」
 正拳突き連打から、最後は化け物を蹴り飛ばす。
「よし、パステルシアン、やってやれ!」
 パステルピンクが叫ぶ。
「貫くは邪な渦、払え、清き蒼の矢! パステル・シュトローム・アロー!」
 パステルピンクの呼び掛けに応え、パステルシアンが打ち上げられた化け物目がけて、手に持った弓から蒼銀の矢を放つ。弓など扱った事が無いというのに、その矢は正確に化け物へ向けて飛んでいっている。これが伝説の戦士の力というものだろうか。
「モノ、モノォッ!」
 空中で動きが取れないながらも、化け物は抵抗を試みる。だが、その矢を止める事は叶わなかった。
「モ、モ、モノトーンッ!!」
 矢に貫かれた化け物は、断末魔と共にさぁっと溶けて消えてしまった。
「やったぜ!」
 その様子を見たパステルピンクは喜びの声を上げた。
「うむ、お見事なり」
 住職もその様子を見て褒めてくれている。だが、住職はよそ見しながら化け物と打ち合っている最中である。強者の余裕だった。
「さて、あちらが終わった事ですし、私もお遊びはこれまでと致しましょう」
 住職は警策を剣のように構える。
「いいですかな、パステルピンク。あなたの武器は剣です。私の動きをよく見ていなさい」
「は、はいっ!」
 そう言った住職の警策に、不思議な力が集まり始めた。
「やはり、聖獣と伝説の戦士が揃った事で、私にも力が戻りつつありますね。パステル王国にその人ありと言われた、私の剣技をとくとご覧に入れましょう!」
 住職が踏み込むと、それだけで化け物が怯む。気迫がまるで違うのだ。
「はぁっ!」
 住職が化け物へと突進する。びびって縮こまる化け物は対処が遅れてしまった。その一瞬の隙は、間違いなく致命的だった。
「パステル・プリズム・レインボー!」
 住職の姿からは違和感しかない技名が飛び出す。ところが、住職はその姿から想像もできないほどの速さで、三連続の斬りつけから七色の突きを繰り出し、化け物をあっさりと消滅させてしまった。
「ふむ、これは新調しなければなりませんね」
 化け物を倒したのはいいものの、住職の持つ警策がその威力に耐え切れず粉々に砕けてしまった。しかし、その立ち尽くす姿は無駄にかっこよかった。
 さあ、これで残るはブラークだけとなった。勢いで三傑を倒してしまいたいところである。
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