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第69話 三傑、登場!
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「ただいま戻りました。ダクネース様」
「我ら三傑に招集とは、一体いかなる状況なのでしょうか」
モノトーンの本拠地、ダクネースの構える部屋に3つの影が現れた。その3つの影の前に巨大な影が座っている。それこそがモノトーンのボスたるダクネースなのである。その姿は暗すぎてはっきりとは分からないが、三傑と名乗った3つの影よりははるかに大きいようである。
「よく戻ってきたな、三傑よ」
「ダクネース様のお申しつけとあらば、我らはどこからでも駆けつけましょうぞ」
「ふむ、四天王とは違って頼りがいがあるというものだ」
跪いて喋る三傑の言葉は、ダクネースを大いに喜ばせた。
「さて、戻って来るまでにいくつの世界を滅ぼしてきた?」
ダクネースは三傑に全世界征服の進捗具合を尋ねる。
「そうでございますね。ざっと30といったところでしょうか」
「いやはや、我らでも手こずるような世界があるとは思いませんでしたな」
「だが、しょせんは私たちの敵ではない」
三傑がそれぞれに答える。それにダクネースは満足をしているようである。
「グーレイよ、手こずるとはお前らしくもないな」
「申し訳ございません、ダクネース様。少々厄介な術を使ってきましたゆえ、対処に手間取った次第でございます。タネが分かれば造作もございませんでしたが」
「そうかそうか。結果、我らの手中に収められれば問題はない」
グーレイと呼ばれたのは全身が灰色の、男か女かも分からない長身の人物だ。その人物の答えに、ダクネースは特に咎める様子もなかった。結果さえよれば過程などどうでもいいのだ。
「ダクネース様」
「うん? なんだ、ブラークよ」
突然声を掛けられて、少々不機嫌気味に反応するダクネース。声を掛けたのは全身が真っ黒の目隠れの男性だ。ブラークというらしい。
「はい、失礼ながら、我らが招集された理由をお尋ねしてもよろしいでしょうか」
ブラークは少々躊躇しながらも、ダクネースに質問を投げ掛けた。それに対して、ダクネースの眉がぴくりと動く。
「うむ、実に残念な話だが、四天王が全滅した」
「な、なんですと?!」
ダクネースが少し間を置いて口に出した言葉に、三傑全員がとても驚いていた。
「四天王は確かに我らに比べれば実力は劣りましょうが、それでもそうやすやすと敗れるような者たちではないはずです」
「左様でございますよ。何かの間違いでは?!」
三傑はとても信じられないといった様子である。
「間違いではない。事実だ」
ダクネースはそう言い切った。さすがに自分たちのボスの言葉をこれ以上疑うわけにもいかない。三傑は黙り込んでしまった。
「しかも、どうやら混じり物が居たようでな、そいつにうまい事してやられたようだ。我の娘を名乗ってまで四天王を攪乱していたとはな。我とした事が、少々放置し過ぎてしまったようだ」
「ダクネース様、その混じり物とは?」
ダクネースから語られた言葉に、三傑がすぐに反応する。
「この間滅ぼした、パステル王国の生き残りの事だ。生き残りの連中が思いの外しぶとくてな、ついには四天王を倒してくれおったのだ。敵ながらやりおるわ」
「なんと?!」
「パステル王国……、完全に滅ぼせていなかったのか」
三傑はぎりっと唇を噛む。ちょっとしたミスが重ねり、四天王を失うという事態にまで陥った事に、三傑は悔しさを感じている。それくらいには完璧な仕事をモットーとしているのだ。
「しかし、ダクネース様の娘と名乗ったというのは、どういった事なのでしょうか」
三傑の理解できない点はそこもだった。外部の存在がモノトーンに入り込むなど、そう簡単にできる事ではないからだ。
「我にも分からぬな。だが、そやつが生き延びるために、何らかの方法で我らの力に干渉したという事なのだろう。不可能を可能にする力とは、実に興味深いものだ」
ダクネースは怒りよりも興味の方が勝ったようで、その存在に深い興味を示している。
「では、我々は四天王を打倒した連中を葬り、その娘を名乗った混じり物を捕まえて来ればよいのですな?」
「ふっ、説明しなくても理解が早くて助かる。とりあえずはそういうところだ」
グーレイがダクネースに話し掛けると、ダクネースはにやりと笑いながらその言葉を肯定した。
「そういう事でしたら、斥侯たるこのブラークがまずは出向きましょう。四天王を打ち破ったとなると、それなりに下調べが必要でしょうからな」
「ちょっと、抜け駆けはよろしくないぞ、ブラーク」
「いやいや、ここはブラークに任せようではないか、シイロ」
ブラークが名乗りを上げると、シイロと呼ばれた真っ白な中性的な人物が反発する。だが、それをグーレイが仲裁すると、シイロは渋々身を引いてブラークに任せる事になった。
「仕方がない。先手は譲るが、くれぐれもヘマをするではないぞ、ブラーク」
「任せておけ、シイロ、グーレイ」
三傑の間で話が決着する。
「というわけだ。今はブラークに任せ、シイロとグーレイは少し休んでおくといい。いつでも全力で叩き潰せるようにな」
「はっ、お任せを」
こうして、ついにその姿を見せたダクネースとモノトーン三傑。
襲い来るモノトーンの勢力に、パステル王国の生き残りは立ち向かう事ができるのだろうか。
「我ら三傑に招集とは、一体いかなる状況なのでしょうか」
モノトーンの本拠地、ダクネースの構える部屋に3つの影が現れた。その3つの影の前に巨大な影が座っている。それこそがモノトーンのボスたるダクネースなのである。その姿は暗すぎてはっきりとは分からないが、三傑と名乗った3つの影よりははるかに大きいようである。
「よく戻ってきたな、三傑よ」
「ダクネース様のお申しつけとあらば、我らはどこからでも駆けつけましょうぞ」
「ふむ、四天王とは違って頼りがいがあるというものだ」
跪いて喋る三傑の言葉は、ダクネースを大いに喜ばせた。
「さて、戻って来るまでにいくつの世界を滅ぼしてきた?」
ダクネースは三傑に全世界征服の進捗具合を尋ねる。
「そうでございますね。ざっと30といったところでしょうか」
「いやはや、我らでも手こずるような世界があるとは思いませんでしたな」
「だが、しょせんは私たちの敵ではない」
三傑がそれぞれに答える。それにダクネースは満足をしているようである。
「グーレイよ、手こずるとはお前らしくもないな」
「申し訳ございません、ダクネース様。少々厄介な術を使ってきましたゆえ、対処に手間取った次第でございます。タネが分かれば造作もございませんでしたが」
「そうかそうか。結果、我らの手中に収められれば問題はない」
グーレイと呼ばれたのは全身が灰色の、男か女かも分からない長身の人物だ。その人物の答えに、ダクネースは特に咎める様子もなかった。結果さえよれば過程などどうでもいいのだ。
「ダクネース様」
「うん? なんだ、ブラークよ」
突然声を掛けられて、少々不機嫌気味に反応するダクネース。声を掛けたのは全身が真っ黒の目隠れの男性だ。ブラークというらしい。
「はい、失礼ながら、我らが招集された理由をお尋ねしてもよろしいでしょうか」
ブラークは少々躊躇しながらも、ダクネースに質問を投げ掛けた。それに対して、ダクネースの眉がぴくりと動く。
「うむ、実に残念な話だが、四天王が全滅した」
「な、なんですと?!」
ダクネースが少し間を置いて口に出した言葉に、三傑全員がとても驚いていた。
「四天王は確かに我らに比べれば実力は劣りましょうが、それでもそうやすやすと敗れるような者たちではないはずです」
「左様でございますよ。何かの間違いでは?!」
三傑はとても信じられないといった様子である。
「間違いではない。事実だ」
ダクネースはそう言い切った。さすがに自分たちのボスの言葉をこれ以上疑うわけにもいかない。三傑は黙り込んでしまった。
「しかも、どうやら混じり物が居たようでな、そいつにうまい事してやられたようだ。我の娘を名乗ってまで四天王を攪乱していたとはな。我とした事が、少々放置し過ぎてしまったようだ」
「ダクネース様、その混じり物とは?」
ダクネースから語られた言葉に、三傑がすぐに反応する。
「この間滅ぼした、パステル王国の生き残りの事だ。生き残りの連中が思いの外しぶとくてな、ついには四天王を倒してくれおったのだ。敵ながらやりおるわ」
「なんと?!」
「パステル王国……、完全に滅ぼせていなかったのか」
三傑はぎりっと唇を噛む。ちょっとしたミスが重ねり、四天王を失うという事態にまで陥った事に、三傑は悔しさを感じている。それくらいには完璧な仕事をモットーとしているのだ。
「しかし、ダクネース様の娘と名乗ったというのは、どういった事なのでしょうか」
三傑の理解できない点はそこもだった。外部の存在がモノトーンに入り込むなど、そう簡単にできる事ではないからだ。
「我にも分からぬな。だが、そやつが生き延びるために、何らかの方法で我らの力に干渉したという事なのだろう。不可能を可能にする力とは、実に興味深いものだ」
ダクネースは怒りよりも興味の方が勝ったようで、その存在に深い興味を示している。
「では、我々は四天王を打倒した連中を葬り、その娘を名乗った混じり物を捕まえて来ればよいのですな?」
「ふっ、説明しなくても理解が早くて助かる。とりあえずはそういうところだ」
グーレイがダクネースに話し掛けると、ダクネースはにやりと笑いながらその言葉を肯定した。
「そういう事でしたら、斥侯たるこのブラークがまずは出向きましょう。四天王を打ち破ったとなると、それなりに下調べが必要でしょうからな」
「ちょっと、抜け駆けはよろしくないぞ、ブラーク」
「いやいや、ここはブラークに任せようではないか、シイロ」
ブラークが名乗りを上げると、シイロと呼ばれた真っ白な中性的な人物が反発する。だが、それをグーレイが仲裁すると、シイロは渋々身を引いてブラークに任せる事になった。
「仕方がない。先手は譲るが、くれぐれもヘマをするではないぞ、ブラーク」
「任せておけ、シイロ、グーレイ」
三傑の間で話が決着する。
「というわけだ。今はブラークに任せ、シイロとグーレイは少し休んでおくといい。いつでも全力で叩き潰せるようにな」
「はっ、お任せを」
こうして、ついにその姿を見せたダクネースとモノトーン三傑。
襲い来るモノトーンの勢力に、パステル王国の生き残りは立ち向かう事ができるのだろうか。
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