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第65話 5対4
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「マゼンダ・スピニング・ガード!」
マジェは色鉛筆を回転させてパステルパープルを守るような形で攻撃を防ぐ。
「ちっ、イエーロとグーリ。思ったより早かったじゃないの」
「ぐぬぅ、不意を打てたと思ったんじゃがな。予想よりもやりよるのう」
マジェが視線を向けた先には、イエーロとグーリが立っていた。不意打ちを仕掛けたはずが、気付かれた上に防がれてしまうとは思っていなかったようである。
「あの程度で不意を打てたと思ってるなら、おめでたいものね!」
マジェの顔は笑っていた。
「まったくだぜ。俺っちたちは悪の気配には敏感なんでな。同じ手は二度と食らわねえんだよ」
そう告げるワイスのサングラスが怪しく光る。実はこのワイスの言葉には、悔しさが滲んでいた。実際、一度目の不意打ちでパステル王国を滅ぼされてしまっているのだ。この事実があるからこそ、聖獣たちの危機に対する感覚が鋭敏になっているのである。
「まったく、残念だったわね」
「ぐぬぬぬ……、こうなったら正面から叩き潰してくれる! いくぞ、イエーロ!」
「はぁ~、しょうがないわね~」
わなわなと震えるグーリの声に、やる気なく返事をするイエーロ。どうも今は乗り気ではないようだ。
「とはいえ~、さすがに2対5は卑怯よねぇ」
「そうじゃな。ほれ起きよ、モノトーン!」
「モノ、トーンッ!」
まずはグーリが化け物を出現させる。どうやら、森に居た動物を化け物に変えたようである。
「そーれ、わ・た・し・も! モノトーンちゃん、いらっしゃーい!」
「モノ、トーンッ!」
イエーロの方はベンチのようだ。
「どうせ、そこの裏切り者から事情は聞いておるじゃろうて。わしらのすべてを賭けて、おぬしらをここで葬り去ってくれるわっ!」
グーリは叫ぶと、二人と二体が同時に襲い掛かってくる。だが、この事態に慌てたのはパステルピンクとパステルシアンだけ。残りの三人は予測済みだった。
「グーリはあたいに任せて。こいつだけはあたいが仕留めるわ」
「分かりましたわ。でしたら、わたくしは化け物の相手でもさせて頂きますわ」
グーリとその化け物はマジェとパステルパープルで迎え撃つ。
「だったら、あたしは……」
「来たわねぇ、この間は邪魔が入っちゃったものねぇ。今度こそ思う存分に甚振ってあ・げ・る♪」
「ふん、むしろ返り討ちにしてあげるわ。あたしを以前のあたしと思わない事ね!」
パステルオレンジとイエーロが対峙する。となると……、
「モノトーンッ!」
「俺たちはこの化け物の相手か」
「わ、私だって戦えるんだから!」
イエーロの生み出した化け物と、パステルピンクとパステルシアンのコンビとの戦いとなった。
四組に分かれた戦いとなり、場は非常に混沌を極めている。
「わしを猿真似しかできぬ奴と思うてくれるなよ?」
そうは言いつつも、グーリはマジェのコピー技を放つ。
「またそれ? さすがに二回目は通じないわよ!」
マジェはグーリのコピー技を難なく撃ち落としていく。だが、コピーして生み出せる色鉛筆の数が増えていた。だが、それでもマジェの半分が精一杯だった。
「息巻いてる割には、大した事ないわね」
マジェの煽りに、簡単に乗るようなグーリではなかった。このマジェの煽りこそ、グーリの作戦なのである。
グーリの技は確かに相手の技のコピーだ。だが、その技のコピーは何も特定の相手からだけ行えるものではなかったのだ。
とはいえ、マジェもさすがにそもそもが聖獣である。グーリから怪しい気配をひしひしと感じていたのである。
(これは間違いなく、何かを狙っているわね。うまくあたいに意識を引きつけておかないといけないわね)
そう、誰からでもコピーできるというのなら、こういう混戦の場こそ、能力を発揮できる可能性があるのだ。
その時だった。
「グルーミング・フラワー・ガード!」
イエーロの化け物を相手にしているパステルピンクの防御技が放たれる。これは植物の蔓を生やして相手の攻撃を防いだり阻害したりする技だ。なんとも間の悪い事に、グーリがちょうどその方向を見ていたのである。
「ぬんっ!」
グーリが気合いを入れると、グーリの放った色鉛筆の先が植物の蔓へと変化する。一瞬でパステルピンクの技を真似たのだ。
「ちっ、実に面倒な事をしてくるわね」
その様子を見たマジェだったが、この程度なら予想の範疇。マジェだって負けてはいないのだ。
「マゼンダ・スピニング・エッジ!」
色鉛筆を回転させて、出現した蔓をざくざくと切り刻んでいく。冷静さならマジェだって負けてはいないのだ。
「ぐぬぅ!」
マジェの色鉛筆がグーリをかすめていく。だが、間一髪のところで躱していた。
普通ならここで距離を詰めて近距離戦を挑むところだが、マジェはグーリを警戒して近付かない。仮にもモノトーン四天王のリーダーだ。確実に何かを隠し持っている。マジェはそれを警戒しているのである。
(長引くと不利になるわ。手の内を見せるほどに、こいつの場合は厄介になっていく。他のみんなの技を見せるわけにはいかないわ)
マジェは、グーリとの戦いを早く決着させるべく動く。
「マゼンダ・ペンシル・ロケット!」
再び12本に増やした色鉛筆を、グーリ目がけて一斉に放つマジェ。グーリはまだ色鉛筆は6本しか出せない。いくらパステルピンクの技をコピーしたとはいっても、たやすく対処できるはずはないのだ。
だが、当のグーリは非常に落ち着いていた。
「甘いなぁ、しょせんは小娘よ!」
グーリはカッと目を見開いて、マジェの攻撃に対応しようとするのだった。
マジェは色鉛筆を回転させてパステルパープルを守るような形で攻撃を防ぐ。
「ちっ、イエーロとグーリ。思ったより早かったじゃないの」
「ぐぬぅ、不意を打てたと思ったんじゃがな。予想よりもやりよるのう」
マジェが視線を向けた先には、イエーロとグーリが立っていた。不意打ちを仕掛けたはずが、気付かれた上に防がれてしまうとは思っていなかったようである。
「あの程度で不意を打てたと思ってるなら、おめでたいものね!」
マジェの顔は笑っていた。
「まったくだぜ。俺っちたちは悪の気配には敏感なんでな。同じ手は二度と食らわねえんだよ」
そう告げるワイスのサングラスが怪しく光る。実はこのワイスの言葉には、悔しさが滲んでいた。実際、一度目の不意打ちでパステル王国を滅ぼされてしまっているのだ。この事実があるからこそ、聖獣たちの危機に対する感覚が鋭敏になっているのである。
「まったく、残念だったわね」
「ぐぬぬぬ……、こうなったら正面から叩き潰してくれる! いくぞ、イエーロ!」
「はぁ~、しょうがないわね~」
わなわなと震えるグーリの声に、やる気なく返事をするイエーロ。どうも今は乗り気ではないようだ。
「とはいえ~、さすがに2対5は卑怯よねぇ」
「そうじゃな。ほれ起きよ、モノトーン!」
「モノ、トーンッ!」
まずはグーリが化け物を出現させる。どうやら、森に居た動物を化け物に変えたようである。
「そーれ、わ・た・し・も! モノトーンちゃん、いらっしゃーい!」
「モノ、トーンッ!」
イエーロの方はベンチのようだ。
「どうせ、そこの裏切り者から事情は聞いておるじゃろうて。わしらのすべてを賭けて、おぬしらをここで葬り去ってくれるわっ!」
グーリは叫ぶと、二人と二体が同時に襲い掛かってくる。だが、この事態に慌てたのはパステルピンクとパステルシアンだけ。残りの三人は予測済みだった。
「グーリはあたいに任せて。こいつだけはあたいが仕留めるわ」
「分かりましたわ。でしたら、わたくしは化け物の相手でもさせて頂きますわ」
グーリとその化け物はマジェとパステルパープルで迎え撃つ。
「だったら、あたしは……」
「来たわねぇ、この間は邪魔が入っちゃったものねぇ。今度こそ思う存分に甚振ってあ・げ・る♪」
「ふん、むしろ返り討ちにしてあげるわ。あたしを以前のあたしと思わない事ね!」
パステルオレンジとイエーロが対峙する。となると……、
「モノトーンッ!」
「俺たちはこの化け物の相手か」
「わ、私だって戦えるんだから!」
イエーロの生み出した化け物と、パステルピンクとパステルシアンのコンビとの戦いとなった。
四組に分かれた戦いとなり、場は非常に混沌を極めている。
「わしを猿真似しかできぬ奴と思うてくれるなよ?」
そうは言いつつも、グーリはマジェのコピー技を放つ。
「またそれ? さすがに二回目は通じないわよ!」
マジェはグーリのコピー技を難なく撃ち落としていく。だが、コピーして生み出せる色鉛筆の数が増えていた。だが、それでもマジェの半分が精一杯だった。
「息巻いてる割には、大した事ないわね」
マジェの煽りに、簡単に乗るようなグーリではなかった。このマジェの煽りこそ、グーリの作戦なのである。
グーリの技は確かに相手の技のコピーだ。だが、その技のコピーは何も特定の相手からだけ行えるものではなかったのだ。
とはいえ、マジェもさすがにそもそもが聖獣である。グーリから怪しい気配をひしひしと感じていたのである。
(これは間違いなく、何かを狙っているわね。うまくあたいに意識を引きつけておかないといけないわね)
そう、誰からでもコピーできるというのなら、こういう混戦の場こそ、能力を発揮できる可能性があるのだ。
その時だった。
「グルーミング・フラワー・ガード!」
イエーロの化け物を相手にしているパステルピンクの防御技が放たれる。これは植物の蔓を生やして相手の攻撃を防いだり阻害したりする技だ。なんとも間の悪い事に、グーリがちょうどその方向を見ていたのである。
「ぬんっ!」
グーリが気合いを入れると、グーリの放った色鉛筆の先が植物の蔓へと変化する。一瞬でパステルピンクの技を真似たのだ。
「ちっ、実に面倒な事をしてくるわね」
その様子を見たマジェだったが、この程度なら予想の範疇。マジェだって負けてはいないのだ。
「マゼンダ・スピニング・エッジ!」
色鉛筆を回転させて、出現した蔓をざくざくと切り刻んでいく。冷静さならマジェだって負けてはいないのだ。
「ぐぬぅ!」
マジェの色鉛筆がグーリをかすめていく。だが、間一髪のところで躱していた。
普通ならここで距離を詰めて近距離戦を挑むところだが、マジェはグーリを警戒して近付かない。仮にもモノトーン四天王のリーダーだ。確実に何かを隠し持っている。マジェはそれを警戒しているのである。
(長引くと不利になるわ。手の内を見せるほどに、こいつの場合は厄介になっていく。他のみんなの技を見せるわけにはいかないわ)
マジェは、グーリとの戦いを早く決着させるべく動く。
「マゼンダ・ペンシル・ロケット!」
再び12本に増やした色鉛筆を、グーリ目がけて一斉に放つマジェ。グーリはまだ色鉛筆は6本しか出せない。いくらパステルピンクの技をコピーしたとはいっても、たやすく対処できるはずはないのだ。
だが、当のグーリは非常に落ち着いていた。
「甘いなぁ、しょせんは小娘よ!」
グーリはカッと目を見開いて、マジェの攻撃に対応しようとするのだった。
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