16 / 197
第16話 青色の襲撃
しおりを挟む
その日の放課後、部活を終えて帰る千春たちの前にチェリーたちが慌てて駆け寄ってきた。
「大変だ、千春、美空! 奴らだ!」
チェリーのこの声が聞こえると同時に、
「モノ、トーンッ!」
化け物が立ち上がって叫んでいる姿が目に入る。
ところが、化け物の様子が今までとは違う。レドが生み出した化け物は真っ赤だったのだが、今回の化け物は真っ青。つまりはレド以外の誰かが出てきたという事なのだろう。
「ちっ、仕方ねえな。美空!」
「うん、分かったわ」
千春と美空は構えて変身をする。
「パステル・カラーチェンジ!」
千春はピンク、美空は空色に包まれて徐々に変身していく。そして、変身が終わると、
「命目覚める時、春の妖精パステルピンク、ここに参上!」
「命輝く時、夏の妖精パステルシアン、ここに参上!」
ポーズを決めて変身口上を述べる。何気にパステルピンクがパステルシアンの口上を聞くのは初めてである。
白い縦のラインが数本入ったホルターネックワンピースに、波をイメージしたシースルーのショール。くるくると緩い縦ロールのサイドテールを白いリボンで結び、ひまわりのリボン留め、足元もさわやかな水色のショートブーツ。実にさわやかな感じのパステルシアンの衣装だ。
変身を終えた二人は、強く踏み切って化け物の居る場所まで跳んで移動していく。
現場に到着すると、化け物は口元から水を吐きながら通行人を青く染め上げていっている。どうやらベースになっているのは、地上に顔を出した消火栓のようだ。
「モノ、トーンッ!」
化け物は叫ぶと、再び水を勢いよく吐く。水に打たれて真っ青に染まった通行人たちが倒れている、本当に地獄絵図のような状態だ。
「やめなさいっ!」
パステルシアンが叫ぶ。
「来たか、伝説の戦士ども」
全身が青色の妖麗な女性が姿を見せる。
「あらやだ。ずいぶんとお子ちゃまなのね、伝説の戦士って」
青色の女性はくすくすと笑っている。
「何がおかしい!」
パステルピンクは右手の拳を握って怒鳴っている。それをパステルシアンが落ち着けようとしている。
「ふふっ、乱暴な言葉遣いのお子ちゃまじゃあ、あたしの敵じゃないわね。モノトーン、お任せするわ」
「モノトーンッ!」
青色の女性は化け物に任せると、くるりと振り返る。すると、その隣の空間がぐにゃりと歪んだ。
「待てっ!」
「待てと言われて誰が待つというのかしら。あたしと戦いたければ、その子を倒す事ね。じゃあね、お子ちゃまたち」
青色の女性はそうとだけ言い残すと、空間の歪みへと消えていった。
「くそっ、逃げられたか」
「パステルピンク。とりあえず、あの化け物をどうにかしましょう」
パステルシアンに宥められて、パステルピンクは化け物を見る。
「そうだな。これ以上被害を広げられる前に倒しちまわないと」
パステルピンクがぎりっと化け物を凝視すると、化け物が両手を合わせて、二人の方へと向けてきた。
「くるぞっ!」
「モノ、トーーンッ!!」
化け物の両手から一斉に、水が強い勢いで飛び出してくる。いくら伝説の戦士といえど、あれをまともに食らえばひとたまりもない。というわけで、パステルピンクとパステルシアンは攻撃を避ける。化け物の攻撃はそのまままっすぐに通り抜けていき、そのまま霧散した。どうやら地上へは落下しないようである。
「モ、モノ……」
一気に決めようとして出した大技を躱されて、化け物が動揺している。ならばと、二人は更に化け物の動揺を誘おうと動き回る事にした。
パステルピンクとパステルシアンは、化け物の周りをぐるぐると回り始める。しかも、二人が重なるタイミングは狙いを絞らせないように、地上付近と空中との二か所に分かれる徹底ぶりである。
「モ、モ、モノーッ?!」
思わぬ二人の行動に、化け物が混乱してきている。水の噴出口が3つもあるのだから、落ち着けば二人程度簡単に対処できるのに、この化け物の頭は思ったより悪いようだった。二人に振り回された挙句、目を回して化け物は、ズズーンという大きな音を立ててその場に倒れ込んだ。
「モ、モノ……」
化け物から、力ない声が漏れた。
だが、二人はまだ油断できないと、さらに追い打ちをかける。
「彩れ、春の息吹よ。咲き誇れ、命のつぼみ! グルーミング・フラワー・ガード!」
「弾ける海の息吹、注げ! パステル・オーシャン・シャワー!」
パステルピンクは植物を生やして、化け物の手足を固定していく。
パステルシアンは水を浴びせて、化け物の目を塞ぐ。
「おっと、まだ口が自由だったな」
パステルピンクは追加で植物で口を塞いだ。
これでもう化け物は攻撃どころか身動きは取れない。
「輝け、ぬくもりの色よ! 舞え、春風に乗せて! スプリング・カラフル・ストーム!」
「降り注げ、浄化の雨! パステル・サマー・スコール!」
二人は落ち着いて必殺技を化け物に浴びせる。まったくもって容赦はなかった。
「モ、モ、モモモーンッ!!」
口を塞がれた化け物は、なんとも情けない断末魔を上げて浄化されたのであった。
こうして、化け物は浄化されて元の消火栓へと戻り、青く染め上げられた人たちも元の姿に戻り、何事もなかったように普段の生活へと戻ったのだった。
しかし、今回現れた青色の女性は一体何だったのだろうか。パステルピンクたちの中には消化しきれない疑問が残ったのだった。
「大変だ、千春、美空! 奴らだ!」
チェリーのこの声が聞こえると同時に、
「モノ、トーンッ!」
化け物が立ち上がって叫んでいる姿が目に入る。
ところが、化け物の様子が今までとは違う。レドが生み出した化け物は真っ赤だったのだが、今回の化け物は真っ青。つまりはレド以外の誰かが出てきたという事なのだろう。
「ちっ、仕方ねえな。美空!」
「うん、分かったわ」
千春と美空は構えて変身をする。
「パステル・カラーチェンジ!」
千春はピンク、美空は空色に包まれて徐々に変身していく。そして、変身が終わると、
「命目覚める時、春の妖精パステルピンク、ここに参上!」
「命輝く時、夏の妖精パステルシアン、ここに参上!」
ポーズを決めて変身口上を述べる。何気にパステルピンクがパステルシアンの口上を聞くのは初めてである。
白い縦のラインが数本入ったホルターネックワンピースに、波をイメージしたシースルーのショール。くるくると緩い縦ロールのサイドテールを白いリボンで結び、ひまわりのリボン留め、足元もさわやかな水色のショートブーツ。実にさわやかな感じのパステルシアンの衣装だ。
変身を終えた二人は、強く踏み切って化け物の居る場所まで跳んで移動していく。
現場に到着すると、化け物は口元から水を吐きながら通行人を青く染め上げていっている。どうやらベースになっているのは、地上に顔を出した消火栓のようだ。
「モノ、トーンッ!」
化け物は叫ぶと、再び水を勢いよく吐く。水に打たれて真っ青に染まった通行人たちが倒れている、本当に地獄絵図のような状態だ。
「やめなさいっ!」
パステルシアンが叫ぶ。
「来たか、伝説の戦士ども」
全身が青色の妖麗な女性が姿を見せる。
「あらやだ。ずいぶんとお子ちゃまなのね、伝説の戦士って」
青色の女性はくすくすと笑っている。
「何がおかしい!」
パステルピンクは右手の拳を握って怒鳴っている。それをパステルシアンが落ち着けようとしている。
「ふふっ、乱暴な言葉遣いのお子ちゃまじゃあ、あたしの敵じゃないわね。モノトーン、お任せするわ」
「モノトーンッ!」
青色の女性は化け物に任せると、くるりと振り返る。すると、その隣の空間がぐにゃりと歪んだ。
「待てっ!」
「待てと言われて誰が待つというのかしら。あたしと戦いたければ、その子を倒す事ね。じゃあね、お子ちゃまたち」
青色の女性はそうとだけ言い残すと、空間の歪みへと消えていった。
「くそっ、逃げられたか」
「パステルピンク。とりあえず、あの化け物をどうにかしましょう」
パステルシアンに宥められて、パステルピンクは化け物を見る。
「そうだな。これ以上被害を広げられる前に倒しちまわないと」
パステルピンクがぎりっと化け物を凝視すると、化け物が両手を合わせて、二人の方へと向けてきた。
「くるぞっ!」
「モノ、トーーンッ!!」
化け物の両手から一斉に、水が強い勢いで飛び出してくる。いくら伝説の戦士といえど、あれをまともに食らえばひとたまりもない。というわけで、パステルピンクとパステルシアンは攻撃を避ける。化け物の攻撃はそのまままっすぐに通り抜けていき、そのまま霧散した。どうやら地上へは落下しないようである。
「モ、モノ……」
一気に決めようとして出した大技を躱されて、化け物が動揺している。ならばと、二人は更に化け物の動揺を誘おうと動き回る事にした。
パステルピンクとパステルシアンは、化け物の周りをぐるぐると回り始める。しかも、二人が重なるタイミングは狙いを絞らせないように、地上付近と空中との二か所に分かれる徹底ぶりである。
「モ、モ、モノーッ?!」
思わぬ二人の行動に、化け物が混乱してきている。水の噴出口が3つもあるのだから、落ち着けば二人程度簡単に対処できるのに、この化け物の頭は思ったより悪いようだった。二人に振り回された挙句、目を回して化け物は、ズズーンという大きな音を立ててその場に倒れ込んだ。
「モ、モノ……」
化け物から、力ない声が漏れた。
だが、二人はまだ油断できないと、さらに追い打ちをかける。
「彩れ、春の息吹よ。咲き誇れ、命のつぼみ! グルーミング・フラワー・ガード!」
「弾ける海の息吹、注げ! パステル・オーシャン・シャワー!」
パステルピンクは植物を生やして、化け物の手足を固定していく。
パステルシアンは水を浴びせて、化け物の目を塞ぐ。
「おっと、まだ口が自由だったな」
パステルピンクは追加で植物で口を塞いだ。
これでもう化け物は攻撃どころか身動きは取れない。
「輝け、ぬくもりの色よ! 舞え、春風に乗せて! スプリング・カラフル・ストーム!」
「降り注げ、浄化の雨! パステル・サマー・スコール!」
二人は落ち着いて必殺技を化け物に浴びせる。まったくもって容赦はなかった。
「モ、モ、モモモーンッ!!」
口を塞がれた化け物は、なんとも情けない断末魔を上げて浄化されたのであった。
こうして、化け物は浄化されて元の消火栓へと戻り、青く染め上げられた人たちも元の姿に戻り、何事もなかったように普段の生活へと戻ったのだった。
しかし、今回現れた青色の女性は一体何だったのだろうか。パステルピンクたちの中には消化しきれない疑問が残ったのだった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
バランスブレイカー〜ガチャで手に入れたブッ壊れ装備には美少女が宿ってました〜
ふるっかわ
ファンタジー
ガチャで手に入れたアイテムには美少女達が宿っていた!?
主人公のユイトは大人気VRMMO「ナイト&アルケミー」に実装されたぶっ壊れ装備を手に入れた瞬間見た事も無い世界に突如転送される。
転送されたユイトは唯一手元に残った刀に宿った少女サクヤと無くした装備を探す旅に出るがやがて世界を巻き込んだ大事件に巻き込まれて行く…
※感想などいただけると励みになります、稚作ではありますが楽しんでいただければ嬉しいです。
※こちらの作品は小説家になろう様にも掲載しております。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる