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第39話 中間テスト
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浦見市駅前商店街についての記事が、商店街の人たちから了承を貰えたのは完成から二日後の事だった。この事によってホームページにもちゃんと掲載される事になったので、新聞部としての部活動は一段落を迎えた。
しかし、ゆっくりもしていらない。すぐに中間テストなるものが襲い掛かってくるのだ。
一応学校の決まりで、中間テストの最終日以外とその前一週間が、テスト週間として一切の部活動が禁止されている。例外は大会がある場合のみだ。
そうなると、根っからの運動好きである栞は体を動かしてうずうずしてしまう。なので、学校内の調査の名目で校内ランニングを敢行していた。ところが、一切の部活動が休止に入ってしまった状態では、教師たちも帰るのが早くなっていて、これといった情報を得られなかった。残念。
そんな中、栞は千夏が園芸部の部室に向かう姿を発見する。後をつけてみたならば、千夏は普通に水やりや草むしりを行っていた。そこには部員も数名駆けつけており、園芸部は予想外にも活動していた。
夜になってからLISEで千夏に確認をしてみれば、『草木に休日は一日もないんだから、世話をさぼってられないわ』とかいう返信がきた。さすが農家の娘である。
さて、一週間経つのも早いもので、あっという間に中間テストの日を迎えてしまった。中間テストは2日間の日程で、英語・数学・国語・理科・社会の五教科で行われる。ちなみに初日は英数国、2日目は理社となっている。
テストを前に、直前チェックをするクラスメイトたち。栞も同じように直前チェックをしようとすると、
「しおりん、どっちが勉強ができるのか、いざ勝負じゃーっ!」
恒例行事と化したわっけーによる宣戦布告が行われた。
「いいわよ、別に」
「よーし言ったなぁ? 今度こそ負かしてやるのだ、はっはっはーっ!」
流れ作業のように栞が勝負を了承すると、わっけーは自信ありげに笑っていた。
それにしても、どうしてわっけーはここまで栞に絡んでくるのか。まったくもって理解不能である。よく見れば真彩と理恵も引いていた。友だち無くすぞ、わっけー。
こうしてわっけーから勝負を仕掛けられたものの、栞はまったくもって落ち着いている。基本的には10年前に一度習った内容だ。ただ、その間に一部の教科では新たな発見があるなどして内容が変わっている。アドバンテージがあるとはいえども油断はできないが、栞はちゃんとそこにも対応している。
(うん、落ち着け私。ごっちゃにならなきゃ問題ないんだから)
こうしてあっという間に、初日の英数国、2日目の理社のすべての日程を消化したのだった。
キーンコーンカーンコーン……。
「んー、終わったわぁ。さーて、早速部活に行きますかね」
テストが終わると、栞は大きく背伸びをしながら呟く。そして、荷物を持つと真彩たちに挨拶をして教室を出ていった。
「栞ちゃんって、本当に走るの好きなんだね。テスト週間中も、ずっと校舎の周りを走ってたみたいだし」
栞を見送った真彩が証言する。栞が走っていたのを目撃していたらしい。それを聞いたわっけー。
「ぐぬぬぬぬ……、あたしも負けてられないぞ。おしっ、テニス部に顔出してくるぞっ!」
まるでというよりは本気で張り合うつもりで、わっけーは荷物をまとめて慌てて教室を出ていった。
残された真彩と理恵は呆然としている。
「あはは、わっけーったら相変わらずなんだから」
「本当にね。なんであんなに張り合うのかしら」
少しして苦笑いをする二人。
「それじゃ真彩ちゃん、私も部活行ってくるね。絵画コンクールに出す絵を描かなきゃいけないから」
「そっか、それじゃまた明日ね」
「うん、また明日」
こうして中間テストが終わった事で、それぞれがそれぞれの生活へと戻っていったのだった。
さて、テストが終わった翌日にはすでにテストの結果が出ていた。
すると、受け取った成績表を持って、わっけーが栞に近付いてきた。本当に気が早い。
「さて、しおりん。テストの結果が返ってきたのだ」
意味もなく神妙な面持ちになるわっけー。栞は付き合うつもりはさらさらないが、付き合わないと騒ぐのでとりあえず表情だけ険しくする。すると、わっけーはいきなり目を見開いた。
「さぁしおりん、勝負の時じゃ! いっせーので成績表を見せ合うのだ!」
「いいわよ。いっせーの……」
「せっ!!」
掛け声に合わせて、お互い成績表を突きつけ合う。
しばらくは無言だったが、栞の成績表を見たわっけーが震えながら騒ぎ出した。
「な……に……、全教科、満点だとぅおーっ?!」
絶叫レベルの大声のわっけー。そんな声で騒ぐものだから、クラスメイト全員の顔が栞とわっけーに向けられてしまったではないか。しかもそれだけならいいが、両隣の教室からも野次馬がやってくる始末だ。本当に声がでかすぎる。
あががと口をがくがく言わせるわっけーだったが、
「なによ、わっけーも全教科満点じゃないのよ。あまりに騒ぐから大ポカでもやらかしたのかと思ったわ」
わっけーの成績表を見ていた栞から呆れた声が飛び出る。まああそこまで大騒ぎしたのだから、疑ってしまうものである。だが、もう一つの可能性に至っていた栞は、さすがにこれには呆れたため息を吐かざるを得なかった。
「あのさ、わっけー」
「ん? なんだ、しおりん」
「もし私の事見下してるんだったら、いくら友人になったからっていっても許さないわよ。勝負くらいいくらでも受けてあげるんだからさ、そういう思い込みみたいなものは捨てなさい」
鋭い視線をわっけーに向けて、一応釘を刺しておく栞。すると、わっけーはそれに対して思い切り笑っていた。
「わっはっはーっ! 誰が見下すものか。我がライバルとして不足なしじゃーっ!!」
本当に両隣はおろか、下の階からも苦情が来そうなくらいな笑い声だった。
(はあ、鬱陶しいけど、退屈はしそうにないわね)
わっけーの自由過ぎる姿に、栞は呆れつつも感心するのであった。
しかし、ゆっくりもしていらない。すぐに中間テストなるものが襲い掛かってくるのだ。
一応学校の決まりで、中間テストの最終日以外とその前一週間が、テスト週間として一切の部活動が禁止されている。例外は大会がある場合のみだ。
そうなると、根っからの運動好きである栞は体を動かしてうずうずしてしまう。なので、学校内の調査の名目で校内ランニングを敢行していた。ところが、一切の部活動が休止に入ってしまった状態では、教師たちも帰るのが早くなっていて、これといった情報を得られなかった。残念。
そんな中、栞は千夏が園芸部の部室に向かう姿を発見する。後をつけてみたならば、千夏は普通に水やりや草むしりを行っていた。そこには部員も数名駆けつけており、園芸部は予想外にも活動していた。
夜になってからLISEで千夏に確認をしてみれば、『草木に休日は一日もないんだから、世話をさぼってられないわ』とかいう返信がきた。さすが農家の娘である。
さて、一週間経つのも早いもので、あっという間に中間テストの日を迎えてしまった。中間テストは2日間の日程で、英語・数学・国語・理科・社会の五教科で行われる。ちなみに初日は英数国、2日目は理社となっている。
テストを前に、直前チェックをするクラスメイトたち。栞も同じように直前チェックをしようとすると、
「しおりん、どっちが勉強ができるのか、いざ勝負じゃーっ!」
恒例行事と化したわっけーによる宣戦布告が行われた。
「いいわよ、別に」
「よーし言ったなぁ? 今度こそ負かしてやるのだ、はっはっはーっ!」
流れ作業のように栞が勝負を了承すると、わっけーは自信ありげに笑っていた。
それにしても、どうしてわっけーはここまで栞に絡んでくるのか。まったくもって理解不能である。よく見れば真彩と理恵も引いていた。友だち無くすぞ、わっけー。
こうしてわっけーから勝負を仕掛けられたものの、栞はまったくもって落ち着いている。基本的には10年前に一度習った内容だ。ただ、その間に一部の教科では新たな発見があるなどして内容が変わっている。アドバンテージがあるとはいえども油断はできないが、栞はちゃんとそこにも対応している。
(うん、落ち着け私。ごっちゃにならなきゃ問題ないんだから)
こうしてあっという間に、初日の英数国、2日目の理社のすべての日程を消化したのだった。
キーンコーンカーンコーン……。
「んー、終わったわぁ。さーて、早速部活に行きますかね」
テストが終わると、栞は大きく背伸びをしながら呟く。そして、荷物を持つと真彩たちに挨拶をして教室を出ていった。
「栞ちゃんって、本当に走るの好きなんだね。テスト週間中も、ずっと校舎の周りを走ってたみたいだし」
栞を見送った真彩が証言する。栞が走っていたのを目撃していたらしい。それを聞いたわっけー。
「ぐぬぬぬぬ……、あたしも負けてられないぞ。おしっ、テニス部に顔出してくるぞっ!」
まるでというよりは本気で張り合うつもりで、わっけーは荷物をまとめて慌てて教室を出ていった。
残された真彩と理恵は呆然としている。
「あはは、わっけーったら相変わらずなんだから」
「本当にね。なんであんなに張り合うのかしら」
少しして苦笑いをする二人。
「それじゃ真彩ちゃん、私も部活行ってくるね。絵画コンクールに出す絵を描かなきゃいけないから」
「そっか、それじゃまた明日ね」
「うん、また明日」
こうして中間テストが終わった事で、それぞれがそれぞれの生活へと戻っていったのだった。
さて、テストが終わった翌日にはすでにテストの結果が出ていた。
すると、受け取った成績表を持って、わっけーが栞に近付いてきた。本当に気が早い。
「さて、しおりん。テストの結果が返ってきたのだ」
意味もなく神妙な面持ちになるわっけー。栞は付き合うつもりはさらさらないが、付き合わないと騒ぐのでとりあえず表情だけ険しくする。すると、わっけーはいきなり目を見開いた。
「さぁしおりん、勝負の時じゃ! いっせーので成績表を見せ合うのだ!」
「いいわよ。いっせーの……」
「せっ!!」
掛け声に合わせて、お互い成績表を突きつけ合う。
しばらくは無言だったが、栞の成績表を見たわっけーが震えながら騒ぎ出した。
「な……に……、全教科、満点だとぅおーっ?!」
絶叫レベルの大声のわっけー。そんな声で騒ぐものだから、クラスメイト全員の顔が栞とわっけーに向けられてしまったではないか。しかもそれだけならいいが、両隣の教室からも野次馬がやってくる始末だ。本当に声がでかすぎる。
あががと口をがくがく言わせるわっけーだったが、
「なによ、わっけーも全教科満点じゃないのよ。あまりに騒ぐから大ポカでもやらかしたのかと思ったわ」
わっけーの成績表を見ていた栞から呆れた声が飛び出る。まああそこまで大騒ぎしたのだから、疑ってしまうものである。だが、もう一つの可能性に至っていた栞は、さすがにこれには呆れたため息を吐かざるを得なかった。
「あのさ、わっけー」
「ん? なんだ、しおりん」
「もし私の事見下してるんだったら、いくら友人になったからっていっても許さないわよ。勝負くらいいくらでも受けてあげるんだからさ、そういう思い込みみたいなものは捨てなさい」
鋭い視線をわっけーに向けて、一応釘を刺しておく栞。すると、わっけーはそれに対して思い切り笑っていた。
「わっはっはーっ! 誰が見下すものか。我がライバルとして不足なしじゃーっ!!」
本当に両隣はおろか、下の階からも苦情が来そうなくらいな笑い声だった。
(はあ、鬱陶しいけど、退屈はしそうにないわね)
わっけーの自由過ぎる姿に、栞は呆れつつも感心するのであった。
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