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第九章 拡張版ミズーナ編
第428話 忘れた頃の大問題
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学園が始まって数日が経った日のこと、城に戻ってくる兵士たちの姿が見える。
「何なのでしょうかね。あの集団は」
学園から帰ってきたミズーナ王女が目撃して、首を傾げている。それに答えたのはリブロ王子だった。
「ああ、あれは去年の魔物の襲撃の調査をしていた兵士たちですよ。ようやく調べ終わって戻ってくると報告がありました」
「へえ、原因が分かったのですか?」
あまり興味がないような反応をしてしまうミズーナ王女。それというのも、すっかりというくらい忘れてしまっていたのだ。なにせひと晩で片付いてしまったのだから。
ミズーナ王女の表情があまり変わらなかったせいか、リブロ王子は困惑してしまっている。
「話をするなら、兄上やアンマリア、サキ。それとレッタス殿下にも集まって頂きましょうか」
リブロ王子がそう言いながら手を挙げると、その動作に気が付いた兵士が数名走り出した。どうやら手を挙げただけで伝達内容が分かったらしい。さすがはサーロインの兵士たちだ。
「では、私の部屋に向かいましょうか。レッタス殿下も」
ミズーナ王女とレッタス王子はリブロ王子の言葉に従って、リブロ王子の部屋へと向かったのだった。
しばらくすると、リブロ王子の部屋にごっそりと人が集まった。
フィレン王子、アンマリア、リブロ王子、サキ、レッタス王子、ミズーナ王女、それと報告の兵士が二名ほどである。王子王女とはいえども、さすがの兵士たちもたじたじといった感じである。
ちなみにだけど、国王たちのところには別の兵士が報告に向かったので問題はない。
「さて、人も揃った事ですし、報告を聞かせて頂きましょうか」
なぜか仕切るのはリブロ王子だった。
「まったく、お前の部屋に呼ばれるとは思ってもみなかったね。まあ、報告が聞けるのであるのなら、どこの部屋でも問題はないけどね」
フィレン王子は少し納得はしていないようだけれど、報告を受けられるのであるならもう場所は気にしていなかった。
「申し訳ございません、兄上」
「応じてしまった以上、お前が謝ることじゃないよ」
にこやかな笑顔を交わす兄弟である。この兄弟仲の良さには、転生者であるアンマリアとミズーナ王女はほっとした様子を見せている。
ちなみに、スーラやメチルといった侍女たちは、今はそれぞれの部屋で主人を迎え入れる準備をしている。
フィレン王子とリブロ王子が言葉を交わし、再び兵士に顔を向けると、兵士はびしっと直立し直して報告を始めた。
兵士の報告によれば、魔物の魔力の残滓をたどっていった結果、バッサーシ辺境伯領の外れに行きついたそうだ。
そこには一枚のぼろい布切れが落ちていて、そこから呪いのような魔力が感じられたのだという。なにせ、風が吹けば簡単に飛びそうな布だというのに、その場にしつこく張り付くように残っていたのだ。ただの布切れというわけではなかったようだ。
「そうか。その布切れは今どこに?」
「はっ、魔法使いたちの研究室に運ばれております」
「呪いの魔力を感じたと言ってましたが、兵士たちの中に特に変調をきたした者は居ますか?」
「いえ、誰も問題ございません」
二人の王子の質問に、兵士はきちんと答えている。
少し考えた王子たちは、アンマリアたちに視線を向けた。
「嫌な予感がするね。悪いけれども、私たち全員にその布を見せてもらってもいいかな?」
「は、はあ。構いませんが」
兵士の態度に違和感を感じるフィレン王子である。
「つべこべ言わず連れていけ。これは命令だ」
「は、はいっ!」
フィレン王子に魔石剣を突きつけられて、兵士は震え上がっていた。この時、フィレン王子の持っていた魔石剣がかすかに反応していたことを、アンマリアたちは見逃さなかった。
(ははーん、この兵士、魔力に中てられてるわね?)
ちょんちょんとミズーナ王女とサキの袖を引っ張るアンマリア。そして、二人にぼそぼそと話しかける。
「魔力が高いと中てられる可能性があるわ。魔法使いのところに案内されたら、すぐに浄化の結界を展開できるように備えておいて」
「分かりました」
「しょ、承知しました」
アンマリアの指示を了承するミズーナ王女とサキである。揃いも揃って呪いに対するエキスパートなのである。呪いが関わっているとなると、備えて当然というわけだった。
兵士の案内によって、呪いの魔力を漂わせる布切れが持ち込まれたという、魔法使いたちが集まる場所へと向かうアンマリアたち。
ところが、向かった先ではアンマリアが警戒した通りの問題が発生しているようだった。
「ミズーナ王女殿下、サキ様、よろしいでしょうか」
「問題ないわよ」
アンマリアの呼び掛けに呼応する二人。すぐさま光魔法である浄化の魔法を展開する三人。
「なんなんだ。この状況は」
あまりの状況にフィレン王子は声を荒げていた。他の二人の王子も、あまりの状況に驚き戸惑っている。
王子たちがこうなってしまうのは無理がない。なんと、魔法使いたちのいる部屋の中から、とんでもない量の魔力があふれ出していたのだ。
一体どうしてこうなったのかは理解できないが、魔力が暴走する部屋に向けて、この状況をどうにかしようとするアンマリアたちの浄化魔法が放たれたのだった。
「何なのでしょうかね。あの集団は」
学園から帰ってきたミズーナ王女が目撃して、首を傾げている。それに答えたのはリブロ王子だった。
「ああ、あれは去年の魔物の襲撃の調査をしていた兵士たちですよ。ようやく調べ終わって戻ってくると報告がありました」
「へえ、原因が分かったのですか?」
あまり興味がないような反応をしてしまうミズーナ王女。それというのも、すっかりというくらい忘れてしまっていたのだ。なにせひと晩で片付いてしまったのだから。
ミズーナ王女の表情があまり変わらなかったせいか、リブロ王子は困惑してしまっている。
「話をするなら、兄上やアンマリア、サキ。それとレッタス殿下にも集まって頂きましょうか」
リブロ王子がそう言いながら手を挙げると、その動作に気が付いた兵士が数名走り出した。どうやら手を挙げただけで伝達内容が分かったらしい。さすがはサーロインの兵士たちだ。
「では、私の部屋に向かいましょうか。レッタス殿下も」
ミズーナ王女とレッタス王子はリブロ王子の言葉に従って、リブロ王子の部屋へと向かったのだった。
しばらくすると、リブロ王子の部屋にごっそりと人が集まった。
フィレン王子、アンマリア、リブロ王子、サキ、レッタス王子、ミズーナ王女、それと報告の兵士が二名ほどである。王子王女とはいえども、さすがの兵士たちもたじたじといった感じである。
ちなみにだけど、国王たちのところには別の兵士が報告に向かったので問題はない。
「さて、人も揃った事ですし、報告を聞かせて頂きましょうか」
なぜか仕切るのはリブロ王子だった。
「まったく、お前の部屋に呼ばれるとは思ってもみなかったね。まあ、報告が聞けるのであるのなら、どこの部屋でも問題はないけどね」
フィレン王子は少し納得はしていないようだけれど、報告を受けられるのであるならもう場所は気にしていなかった。
「申し訳ございません、兄上」
「応じてしまった以上、お前が謝ることじゃないよ」
にこやかな笑顔を交わす兄弟である。この兄弟仲の良さには、転生者であるアンマリアとミズーナ王女はほっとした様子を見せている。
ちなみに、スーラやメチルといった侍女たちは、今はそれぞれの部屋で主人を迎え入れる準備をしている。
フィレン王子とリブロ王子が言葉を交わし、再び兵士に顔を向けると、兵士はびしっと直立し直して報告を始めた。
兵士の報告によれば、魔物の魔力の残滓をたどっていった結果、バッサーシ辺境伯領の外れに行きついたそうだ。
そこには一枚のぼろい布切れが落ちていて、そこから呪いのような魔力が感じられたのだという。なにせ、風が吹けば簡単に飛びそうな布だというのに、その場にしつこく張り付くように残っていたのだ。ただの布切れというわけではなかったようだ。
「そうか。その布切れは今どこに?」
「はっ、魔法使いたちの研究室に運ばれております」
「呪いの魔力を感じたと言ってましたが、兵士たちの中に特に変調をきたした者は居ますか?」
「いえ、誰も問題ございません」
二人の王子の質問に、兵士はきちんと答えている。
少し考えた王子たちは、アンマリアたちに視線を向けた。
「嫌な予感がするね。悪いけれども、私たち全員にその布を見せてもらってもいいかな?」
「は、はあ。構いませんが」
兵士の態度に違和感を感じるフィレン王子である。
「つべこべ言わず連れていけ。これは命令だ」
「は、はいっ!」
フィレン王子に魔石剣を突きつけられて、兵士は震え上がっていた。この時、フィレン王子の持っていた魔石剣がかすかに反応していたことを、アンマリアたちは見逃さなかった。
(ははーん、この兵士、魔力に中てられてるわね?)
ちょんちょんとミズーナ王女とサキの袖を引っ張るアンマリア。そして、二人にぼそぼそと話しかける。
「魔力が高いと中てられる可能性があるわ。魔法使いのところに案内されたら、すぐに浄化の結界を展開できるように備えておいて」
「分かりました」
「しょ、承知しました」
アンマリアの指示を了承するミズーナ王女とサキである。揃いも揃って呪いに対するエキスパートなのである。呪いが関わっているとなると、備えて当然というわけだった。
兵士の案内によって、呪いの魔力を漂わせる布切れが持ち込まれたという、魔法使いたちが集まる場所へと向かうアンマリアたち。
ところが、向かった先ではアンマリアが警戒した通りの問題が発生しているようだった。
「ミズーナ王女殿下、サキ様、よろしいでしょうか」
「問題ないわよ」
アンマリアの呼び掛けに呼応する二人。すぐさま光魔法である浄化の魔法を展開する三人。
「なんなんだ。この状況は」
あまりの状況にフィレン王子は声を荒げていた。他の二人の王子も、あまりの状況に驚き戸惑っている。
王子たちがこうなってしまうのは無理がない。なんと、魔法使いたちのいる部屋の中から、とんでもない量の魔力があふれ出していたのだ。
一体どうしてこうなったのかは理解できないが、魔力が暴走する部屋に向けて、この状況をどうにかしようとするアンマリアたちの浄化魔法が放たれたのだった。
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