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第七章 3年目前半
第381話 最後の四天王
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部屋中の壁を雷の結界が覆い尽くす。これではとてもじゃないけれど、外に出る事はできない。瞬間移動魔法以外での出入りは、事実上不可能というわけね。
ここまで見て来たけれど、サンカリーという魔族は雷の魔法の使い手というわけね。
「ふふん、びびって声も出ぬか」
サンカリーは余裕の笑みを浮かべている。
そりゃまあ、いきなりこれだけの雷がほとばしれば、誰だってびびるでしょうに。ツッコミを入れたいところだけど、状況的には言わない方が吉かしらね。
正直言って、ツッコミができるほどの余裕なんてものは実際に無いものね。サンカリーの魔力は強大だし、雷の結界で移動も制限されちゃったものだから。
今できる事は、どうやってこの状況を打破するかという事くらいだわ。
「サンカリー。あなた、お父様とお母様に何かしたの?」
アルーが怒っている。
「ああ、この愚かしい人間の事か」
アルーの怒号に、サンカリーは実に冷たい感じで反応している。
「何を言っているのか分からんが、我らがこの世に出てこれたのはこやつらのおかげよ。自分の娘を供物として、魔王様を呼び起こそうとしたこやつらのな」
「なんですって?!」
サンカリーが大笑いしながら伝えてきた内容に、アルーの怒りは頂点に達しようとしていた。
「そっか……、あの時見た夢ってそういう事だったのね」
メチルは思い当たる節がった。
「お父様もお母様も、優しかったのに……。どうしてこんな事に……」
アルーの言葉からは悔しさがにじみ出ていた。
「ふん、そんなに知りたければ、我を倒して後ろの連中からじかに聞けばよかろう」
サンカリーがじろりとアルーの方を見る。
「まぁ、そんな事は不可能なのだがな。ここで諸共死ぬがよい!」
サンカリーは高らかに叫ぶと、いきなり魔法を放ってきた。
「雷系の魔法なら、対処法は分かっているわ。えいっ!」
私は前世知識を元に魔法を繰り出す。金属の棒と魔石を取り出し、それを融合して目の前に浮かべる。
「ふん、そんなものでどうしようというのだね」
「まあ、見てなさいって」
すると、サンカリーの放った魔法は金属の棒へと狙いを変える。そう、避雷針の役割である。
ただ、金属の棒を置いただけでは魔法が吸い付けられる事はない。魔法でちょこっと細工をして、魔法を吸着しやすくしたというわけよ。古いとあるゲームを参考にしたのよ。ふふん、やるでしょう?
「なんだと?! おのれっ!」
魔法が吸収されてしまって驚いたサンカリーは、もう一度魔法を放つ。馬鹿の一つ覚えというのか、また雷の魔法である。
2発目もあえなく避雷針を通じて魔石に吸収されてしまう。こうなると、サンカリーはその表情に少し焦りを浮かべたようだった。
「うふふふ、雷の魔法は通じないわよ。さあ、どうするのかしら」
私は余裕のある振りをしてはったりをかましている。でも、あのテリアですらもあれだけダメージを受けていた自慢の雷を防がれたとなると、どんな行動に出るのかしらね。私はとにかく緊張感を持ってサンカリーを見ている。
「放って効かぬというのなら、その体に直接叩き込んでやるまでよ!」
くわっと目を見開いたかと思うと、やっぱりというか直接攻撃に打って出てきた。他の属性の魔法は使えないのだろうかしらね。
サンカリーが私に接近しようとしたその時、床から突然土の壁が飛び出してきた。
「くっ、なんだこれは」
サンカリーが驚いて動きを止めて後退する。
私がちらりと視線を向ければ、そこには両手を前に出したサクラの姿があった。なるほど、辺境伯が代々受け継いできた防御の魔法ってわけね。
「辺境伯家に伝わる防御魔法。やすやすと突破できると思わないで下さい」
土壁の後ろから姿を見せ、魔石剣の剣先をサンカリーに向けるサクラ。明確な敵対の意思表示である。
「ほざけ、この程度の壁で我を止められると思うな!」
サクラに向けて攻撃を仕掛けようとするサンカリー。だが、動こうとしたその瞬間違和感を感じた。
「自由に動けると思いましたか」
「なんだ、この魔法は……。体が重いぞ」
驚くサンカリー。
それもそうだろう。エスカが放っているのは、この世界では概念の存在しない重力を操る魔法だもの。概念が分からないのなら、対処というものは難しい。魔族とてそれは例外ではないのである。
一応のタネを明かすと、闇魔法の延長線上にあるのだけれど、まあ分からないでしょうね。
「動きを封じるなんてすごいですよ。ここは私に任せて下さい。サーロインの聖女もほら!」
「は、はい!」
アルーに言われて慌てて構えるサキ。
「わ、私は?」
「メチルは私の魔力の源なんですから、居るだけも十分です。力を貸して下さい」
言われてメチルはアルーとぴったり寄り添う。転生者とはいえど、いざという時の方法がないとどうしようもないのね。
「サーロインの聖女、一緒に光魔法をサンカリーにぶつけるんです」
「分かりました」
ターゲットになっているサンカリーは、エスカの重力魔法でまだ苦しんでいる。倒す絶好のチャンスである。
「レイ!」
「ホーリーランス!」
サキとアルーの魔法が、サンカリーに向けて放たれたのだった。
ここまで見て来たけれど、サンカリーという魔族は雷の魔法の使い手というわけね。
「ふふん、びびって声も出ぬか」
サンカリーは余裕の笑みを浮かべている。
そりゃまあ、いきなりこれだけの雷がほとばしれば、誰だってびびるでしょうに。ツッコミを入れたいところだけど、状況的には言わない方が吉かしらね。
正直言って、ツッコミができるほどの余裕なんてものは実際に無いものね。サンカリーの魔力は強大だし、雷の結界で移動も制限されちゃったものだから。
今できる事は、どうやってこの状況を打破するかという事くらいだわ。
「サンカリー。あなた、お父様とお母様に何かしたの?」
アルーが怒っている。
「ああ、この愚かしい人間の事か」
アルーの怒号に、サンカリーは実に冷たい感じで反応している。
「何を言っているのか分からんが、我らがこの世に出てこれたのはこやつらのおかげよ。自分の娘を供物として、魔王様を呼び起こそうとしたこやつらのな」
「なんですって?!」
サンカリーが大笑いしながら伝えてきた内容に、アルーの怒りは頂点に達しようとしていた。
「そっか……、あの時見た夢ってそういう事だったのね」
メチルは思い当たる節がった。
「お父様もお母様も、優しかったのに……。どうしてこんな事に……」
アルーの言葉からは悔しさがにじみ出ていた。
「ふん、そんなに知りたければ、我を倒して後ろの連中からじかに聞けばよかろう」
サンカリーがじろりとアルーの方を見る。
「まぁ、そんな事は不可能なのだがな。ここで諸共死ぬがよい!」
サンカリーは高らかに叫ぶと、いきなり魔法を放ってきた。
「雷系の魔法なら、対処法は分かっているわ。えいっ!」
私は前世知識を元に魔法を繰り出す。金属の棒と魔石を取り出し、それを融合して目の前に浮かべる。
「ふん、そんなものでどうしようというのだね」
「まあ、見てなさいって」
すると、サンカリーの放った魔法は金属の棒へと狙いを変える。そう、避雷針の役割である。
ただ、金属の棒を置いただけでは魔法が吸い付けられる事はない。魔法でちょこっと細工をして、魔法を吸着しやすくしたというわけよ。古いとあるゲームを参考にしたのよ。ふふん、やるでしょう?
「なんだと?! おのれっ!」
魔法が吸収されてしまって驚いたサンカリーは、もう一度魔法を放つ。馬鹿の一つ覚えというのか、また雷の魔法である。
2発目もあえなく避雷針を通じて魔石に吸収されてしまう。こうなると、サンカリーはその表情に少し焦りを浮かべたようだった。
「うふふふ、雷の魔法は通じないわよ。さあ、どうするのかしら」
私は余裕のある振りをしてはったりをかましている。でも、あのテリアですらもあれだけダメージを受けていた自慢の雷を防がれたとなると、どんな行動に出るのかしらね。私はとにかく緊張感を持ってサンカリーを見ている。
「放って効かぬというのなら、その体に直接叩き込んでやるまでよ!」
くわっと目を見開いたかと思うと、やっぱりというか直接攻撃に打って出てきた。他の属性の魔法は使えないのだろうかしらね。
サンカリーが私に接近しようとしたその時、床から突然土の壁が飛び出してきた。
「くっ、なんだこれは」
サンカリーが驚いて動きを止めて後退する。
私がちらりと視線を向ければ、そこには両手を前に出したサクラの姿があった。なるほど、辺境伯が代々受け継いできた防御の魔法ってわけね。
「辺境伯家に伝わる防御魔法。やすやすと突破できると思わないで下さい」
土壁の後ろから姿を見せ、魔石剣の剣先をサンカリーに向けるサクラ。明確な敵対の意思表示である。
「ほざけ、この程度の壁で我を止められると思うな!」
サクラに向けて攻撃を仕掛けようとするサンカリー。だが、動こうとしたその瞬間違和感を感じた。
「自由に動けると思いましたか」
「なんだ、この魔法は……。体が重いぞ」
驚くサンカリー。
それもそうだろう。エスカが放っているのは、この世界では概念の存在しない重力を操る魔法だもの。概念が分からないのなら、対処というものは難しい。魔族とてそれは例外ではないのである。
一応のタネを明かすと、闇魔法の延長線上にあるのだけれど、まあ分からないでしょうね。
「動きを封じるなんてすごいですよ。ここは私に任せて下さい。サーロインの聖女もほら!」
「は、はい!」
アルーに言われて慌てて構えるサキ。
「わ、私は?」
「メチルは私の魔力の源なんですから、居るだけも十分です。力を貸して下さい」
言われてメチルはアルーとぴったり寄り添う。転生者とはいえど、いざという時の方法がないとどうしようもないのね。
「サーロインの聖女、一緒に光魔法をサンカリーにぶつけるんです」
「分かりました」
ターゲットになっているサンカリーは、エスカの重力魔法でまだ苦しんでいる。倒す絶好のチャンスである。
「レイ!」
「ホーリーランス!」
サキとアルーの魔法が、サンカリーに向けて放たれたのだった。
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