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第五章 2年目前半
第242話 いざ、建国祭へ
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さて、怪しい動きがあったとの報告が気になるところだけど、パーティーの翌日にはミール王国に向けて出発なのよね。
その理由はミール王国建国祭に向けて出発するため。この催しに参加するのは、私と、王族六人と王妃の計八名。他のみんなは呼ばれてもないので参加する事はない。正直、私が居ない間は心配なのだけれど、エスカの作った魔道具があるから、国王と連絡を取り合う事くらいはできる。何かあれば連絡があるはずだし、瞬間移動魔法で飛んで帰れるからすぐの対処は可能なはずだわ。
出発する際にはモモに泣きつかれたけど、あなたも13歳になるんだから泣かないでほしいわ。
そうは思ったものの、最低20日間、状況次第ではひと月は離れ離れになるから、気持ちも分からなくはなかった。でも、その一方でモモがかなり私に依存気味だというのは気になる点である。これならヤンデレの危険性すらありそうだわ。
「モモ、私が戻ってくるまでの間、授業をしっかり聞いていなさいね。帰ったら内容を聞きますから、ちゃんと説明できるようにしておいて下さい」
「わ、分かりましたわ、お姉様」
モモはふんぬと気合いを入れていた。ふぅ、これなら安心できそうね。
というわけで、私は王家が用意した馬車に乗るべく、まずはエスカと一緒に瞬間移動魔法で城へと向かう。荷物は収納魔法に放り込んであるから手ぶらで楽だわ。
城に到着すると、みんなすでに準備万端だった。さすがに国家行事への参加だからとあって、気合い十分なのである。
「みなさん、いくらなんでも早すぎません?」
思わずツッコミを入れてしまう私である。
「ふふっ、ミール王国に行けると思うと楽しみでしてね。ついつい目が早く覚めてしまいました」
「私もそうだね」
ミズーナ王女がそういえば、レッタス王子もこれである。そういえば二人とも内陸国の生まれだから、海に興味が出ちゃうんだっけか……。
私がミズーナ王女に顔を向ければ、ものすごくにっこにこな笑顔である。さすがにこの笑顔を見せられてしまえば、もうツッコミを入れる余裕などなかった。
さて、結局サーロイン国王は国内情勢の混乱があった事で残る事になってしまったが、王妃と二人の王子は予定通りにミール王国に向かう事になった。サーロイン王国とミール王国の間にはまるでどこかの国のごとく長く高い壁がそびえ立っているので、サーロイン王国内から簡単には抜けられないので安心だろうというのが理由である。国王は有事対応だからね。悔しがっていたけど仕方がない。
結局、私とミズーナ王女とエスカの三人とそれぞれの侍女で一台の馬車に乗り込む事になった。サーロインの王子は王妃と、後はアーサリーとレッタス王子が一緒に乗り込むという形となった。
この中ではアーサリーとレッタス王子の馬車が一番気になって仕方がない。組み合わせ上仕方ないとはいえ、どんな会話が交わされるのか気になってしまう。なにせ、拡張版における攻略対象とヒロインの兄なのだから。
「うふふ、アンマリアったらお兄様たちの事が気になりますの?」
「急に何を言うですか、ミズーナ王女殿下」
ぼさっとしていたら、ミズーナ王女からツッコミを食らう私である。
準備が終わっていたために、今現在は既に王都を出て一路ミール王国に向かっている最中である。私たちの馬車は、王妃と王子の馬車と王子二人の馬車に挟まれた位置を進んでいた。
それにしても、こうやって改めて正面に見ると、ミズーナ王女は少し痩せたような感じがする。痩せ初めの自分にも似た雰囲気が漂っているのだ。
「どうかしましたか、アンマリア」
あまりに凝視してしまったせいか、ミズーナ王女から声を掛けられてしまった。
「あ、いえ。失礼とは存じますが、少々お痩せになりましたでしょうか?」
どストレートに聞いてしまう私である。しかし、ミズーナ王女はにこりと笑っていた。
「やっぱり分かりますか? 先日の魔法の効果もあったのか、5kgほど体重が落ちました。今がいくらなのかはお答えしませんけれどね」
上機嫌に答えてくれるミズーナ王女だが、詳細な体重については答えるのを差し控えていた。私とエスカだけならまだしも、侍女が三人も居ればまあそうなっちゃうかもね。デリケートな問題だし、いくら周知の事とはいえむやみに広がるのは避けたいものね。私の侍女であるスーラはまだ口は堅いと思うけど、エスカの侍女なんて怪しそうだものね。
私がちらりとエスカの方を見ると、エスカは「何か?」と言わんばかりの笑顔を私に向けてきた。まったく、このお気楽王女は……。
とりあえず私たちは、こんな調子で国境まで4日間、さらに国境から3日間を掛けてシャオンへと到着する。これで一応目的地には到着した事になる。
もう数日もすればミール王国の建国祭が始まる。それまでの間は私たちは旅の疲れを癒し、建国祭に参加しなければならない。
このイベントはミズーナ王女も知らないようなので、まったくもって何が起こるか分からない。
頼むから何も起きないでほしいわね。
私は真剣にそう願うのだった。
その理由はミール王国建国祭に向けて出発するため。この催しに参加するのは、私と、王族六人と王妃の計八名。他のみんなは呼ばれてもないので参加する事はない。正直、私が居ない間は心配なのだけれど、エスカの作った魔道具があるから、国王と連絡を取り合う事くらいはできる。何かあれば連絡があるはずだし、瞬間移動魔法で飛んで帰れるからすぐの対処は可能なはずだわ。
出発する際にはモモに泣きつかれたけど、あなたも13歳になるんだから泣かないでほしいわ。
そうは思ったものの、最低20日間、状況次第ではひと月は離れ離れになるから、気持ちも分からなくはなかった。でも、その一方でモモがかなり私に依存気味だというのは気になる点である。これならヤンデレの危険性すらありそうだわ。
「モモ、私が戻ってくるまでの間、授業をしっかり聞いていなさいね。帰ったら内容を聞きますから、ちゃんと説明できるようにしておいて下さい」
「わ、分かりましたわ、お姉様」
モモはふんぬと気合いを入れていた。ふぅ、これなら安心できそうね。
というわけで、私は王家が用意した馬車に乗るべく、まずはエスカと一緒に瞬間移動魔法で城へと向かう。荷物は収納魔法に放り込んであるから手ぶらで楽だわ。
城に到着すると、みんなすでに準備万端だった。さすがに国家行事への参加だからとあって、気合い十分なのである。
「みなさん、いくらなんでも早すぎません?」
思わずツッコミを入れてしまう私である。
「ふふっ、ミール王国に行けると思うと楽しみでしてね。ついつい目が早く覚めてしまいました」
「私もそうだね」
ミズーナ王女がそういえば、レッタス王子もこれである。そういえば二人とも内陸国の生まれだから、海に興味が出ちゃうんだっけか……。
私がミズーナ王女に顔を向ければ、ものすごくにっこにこな笑顔である。さすがにこの笑顔を見せられてしまえば、もうツッコミを入れる余裕などなかった。
さて、結局サーロイン国王は国内情勢の混乱があった事で残る事になってしまったが、王妃と二人の王子は予定通りにミール王国に向かう事になった。サーロイン王国とミール王国の間にはまるでどこかの国のごとく長く高い壁がそびえ立っているので、サーロイン王国内から簡単には抜けられないので安心だろうというのが理由である。国王は有事対応だからね。悔しがっていたけど仕方がない。
結局、私とミズーナ王女とエスカの三人とそれぞれの侍女で一台の馬車に乗り込む事になった。サーロインの王子は王妃と、後はアーサリーとレッタス王子が一緒に乗り込むという形となった。
この中ではアーサリーとレッタス王子の馬車が一番気になって仕方がない。組み合わせ上仕方ないとはいえ、どんな会話が交わされるのか気になってしまう。なにせ、拡張版における攻略対象とヒロインの兄なのだから。
「うふふ、アンマリアったらお兄様たちの事が気になりますの?」
「急に何を言うですか、ミズーナ王女殿下」
ぼさっとしていたら、ミズーナ王女からツッコミを食らう私である。
準備が終わっていたために、今現在は既に王都を出て一路ミール王国に向かっている最中である。私たちの馬車は、王妃と王子の馬車と王子二人の馬車に挟まれた位置を進んでいた。
それにしても、こうやって改めて正面に見ると、ミズーナ王女は少し痩せたような感じがする。痩せ初めの自分にも似た雰囲気が漂っているのだ。
「どうかしましたか、アンマリア」
あまりに凝視してしまったせいか、ミズーナ王女から声を掛けられてしまった。
「あ、いえ。失礼とは存じますが、少々お痩せになりましたでしょうか?」
どストレートに聞いてしまう私である。しかし、ミズーナ王女はにこりと笑っていた。
「やっぱり分かりますか? 先日の魔法の効果もあったのか、5kgほど体重が落ちました。今がいくらなのかはお答えしませんけれどね」
上機嫌に答えてくれるミズーナ王女だが、詳細な体重については答えるのを差し控えていた。私とエスカだけならまだしも、侍女が三人も居ればまあそうなっちゃうかもね。デリケートな問題だし、いくら周知の事とはいえむやみに広がるのは避けたいものね。私の侍女であるスーラはまだ口は堅いと思うけど、エスカの侍女なんて怪しそうだものね。
私がちらりとエスカの方を見ると、エスカは「何か?」と言わんばかりの笑顔を私に向けてきた。まったく、このお気楽王女は……。
とりあえず私たちは、こんな調子で国境まで4日間、さらに国境から3日間を掛けてシャオンへと到着する。これで一応目的地には到着した事になる。
もう数日もすればミール王国の建国祭が始まる。それまでの間は私たちは旅の疲れを癒し、建国祭に参加しなければならない。
このイベントはミズーナ王女も知らないようなので、まったくもって何が起こるか分からない。
頼むから何も起きないでほしいわね。
私は真剣にそう願うのだった。
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