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第五章 2年目前半
第224話 王妃のお茶会へ
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学園が終わるとサキの魔法の練習に付き合いながら、あっという間に週末を迎えてしまう。
いよいよ王妃のお茶会に参加する日が来てしまった。
サキの魔法の練習に付き合ったおかげか、私の体重はようやく80kgを切る程度まで落ちていた。瞬間移動魔法もだけど、トレント木材の変形もかなり魔力を消耗してくれているようだった。
お城でのお茶会という事で、私やモモも普段とは違ってかなり豪華な服を着ている。エスカはミール王国の王女なので、公務用のドレスに着替えていた。
「はー……、さすがはエスカ。馬子にも衣裳かしらね」
「アンマリア、その言葉は褒めてないわよ」
私が感心していると、エスカからマジレスされた。知ってて言ったんだけどね。だって、エスカってどこかずれてるから。
どうにかこうにか支度のできた私たちは、伯爵家の馬車に乗って城へと向かう。ちなみにエスカも同乗している。まあ、毎日学園に通うのもうちの家の馬車だものね。前世の記憶持ちだけに、格下の家の馬車に乗っていても特に気にしていないようだ。
お城に着いた私たちは、招待状を門番に見せる。すると、兵士たちは敬礼をして、私たちをお茶会の会場まで案内してくれていた。エスカは他国とはいえ王族だし、私とモモも王妃のご指名による客だから、それは無下にはできないというものよね。
案内された場所は城の中でも特にきれいと言われる王族専用の中庭だ。こんな場所に通してもらえるとは思ってなかったので、ついた瞬間モモは腰を抜かしていた。
「ちょっと、モモ。大丈夫なの?」
「お、お姉様。私にはここはもったいなさすぎます……」
さすがに王族専用の中庭の事を知っていたのか、モモは驚きのあまり震えだして立てなくなっていた。
「もう、モモってば、そんな態度では失礼ですよ」
エスカは私に目配せをすると、一緒になってモモの脇を抱えて立ち上がらせていた。そしたら、モモはまた震え上がってしまっていた。王女であるエスカの手を煩わせてしまった事によるものだろう。いちいちそんな反応をしていたら、命がいくつあっても足りないわよ、モモ。
私はエスカと一緒にモモの脇を抱えて、庭で待ち構えていた侍女の所へ向かう。すると、侍女は黙って移動をし始め、とある椅子の後ろでぴたりと立ち止まっていた。
「あそこが私たちの席のようね。行きましょう」
「は、はい」
私たちはゆっくりと淑女らしく歩くと、案内された席におとなしく着いたのだった。
お茶会の時間まではまだ早かったらしく、私たちが一番乗りで、しばらくするとサキが現れた。そして、それと同時に聞いていなかった客も姿を見せた。
「あら、エスカ王女殿下、アンマリア様、モモ様、サキ様、もうお着きでしたのね」
現れたのはラムだった。公爵令嬢であるので、ラムもこの場に呼ばれたらしい。それにしても、ゲームとは違い、見事なまでのメリハリのある体型である。はあ、美しいわ……。
「これはラム様。ラム様もお呼ばれしていましたのですね」
「ええ、公爵家ですので、一応といったところですが」
私が確認すると、ラムは苦笑いをしていたようだ。どうやら完全におまけみたいな感じらしい。公爵令嬢がおまけ扱いとは、これはこれで酷くないかしらね。
「仕方ありませんわよ。今回は特にアンマリア様とサキ様にご用があるようですからね」
「私とサキ様にですか?」
ラムの言葉に私は首を傾げた。
一体どんな用件で呼んだというのだろうか。私たちは王妃が現れるまでしばらく会話をして時間を潰す事にした。
ラムが現れてから10分くらいが経っただろうか。ようやく王妃が姿を現す。ついてきたのは城に居る唯一の女性王族であるミズーナ王女だけだった。
そういえば、周りを固めている兵士や使用人たちも、気が付けばすべて女性になっていた。いつの間に……。
「本日はよく来て下さいましたね。顔を上げて楽にしてよろしいですわよ」
王妃の登場に立ち上がってカーテシーをする私たちに、王妃がそう声を掛けてくる。なので、私たちはカーテシーを解いて直立している。王妃が立っている以上、私たちが勝手に座るわけにはいかないのだ。
私たちが立っている中、ようやく王妃が椅子に座る。
「では、みなさん、お掛けになって下さい」
王妃の言葉でようやく私たちは椅子に座る事ができた。いやまあ、王子の前だと緊張はしなくなってきたけど、王妃が相手だとそうはいかないわね。手汗が酷いわ。
それにしても、場の緊張感が凄いわね。王妃が相手だから仕方ないとはいえど、その王妃からもものすごい威圧感が放たれているんですからね。モモなんてもう気絶してしまいそうなくらい顔が青ざめてきているわ。モモ、しっかりしなさいよ。
そんな中、紅茶とお菓子が出されてお茶会が始まる。
しばらくの間はお菓子を静かに堪能していたのだが、突如として王妃が神妙な面持ちで口を開いた。
「ミズーナ王女からは少し聞きましたが、アンマリア、サキ、先日の平民街での騒動について話してもらえないかしら」
私とサキのお菓子を食べる手が止まる。
どうやら王妃に呼び出された理由は、先日の痩せる呪いの一件のようだった。一体これを聞いてどうするというのだろうか。
いよいよ王妃のお茶会に参加する日が来てしまった。
サキの魔法の練習に付き合ったおかげか、私の体重はようやく80kgを切る程度まで落ちていた。瞬間移動魔法もだけど、トレント木材の変形もかなり魔力を消耗してくれているようだった。
お城でのお茶会という事で、私やモモも普段とは違ってかなり豪華な服を着ている。エスカはミール王国の王女なので、公務用のドレスに着替えていた。
「はー……、さすがはエスカ。馬子にも衣裳かしらね」
「アンマリア、その言葉は褒めてないわよ」
私が感心していると、エスカからマジレスされた。知ってて言ったんだけどね。だって、エスカってどこかずれてるから。
どうにかこうにか支度のできた私たちは、伯爵家の馬車に乗って城へと向かう。ちなみにエスカも同乗している。まあ、毎日学園に通うのもうちの家の馬車だものね。前世の記憶持ちだけに、格下の家の馬車に乗っていても特に気にしていないようだ。
お城に着いた私たちは、招待状を門番に見せる。すると、兵士たちは敬礼をして、私たちをお茶会の会場まで案内してくれていた。エスカは他国とはいえ王族だし、私とモモも王妃のご指名による客だから、それは無下にはできないというものよね。
案内された場所は城の中でも特にきれいと言われる王族専用の中庭だ。こんな場所に通してもらえるとは思ってなかったので、ついた瞬間モモは腰を抜かしていた。
「ちょっと、モモ。大丈夫なの?」
「お、お姉様。私にはここはもったいなさすぎます……」
さすがに王族専用の中庭の事を知っていたのか、モモは驚きのあまり震えだして立てなくなっていた。
「もう、モモってば、そんな態度では失礼ですよ」
エスカは私に目配せをすると、一緒になってモモの脇を抱えて立ち上がらせていた。そしたら、モモはまた震え上がってしまっていた。王女であるエスカの手を煩わせてしまった事によるものだろう。いちいちそんな反応をしていたら、命がいくつあっても足りないわよ、モモ。
私はエスカと一緒にモモの脇を抱えて、庭で待ち構えていた侍女の所へ向かう。すると、侍女は黙って移動をし始め、とある椅子の後ろでぴたりと立ち止まっていた。
「あそこが私たちの席のようね。行きましょう」
「は、はい」
私たちはゆっくりと淑女らしく歩くと、案内された席におとなしく着いたのだった。
お茶会の時間まではまだ早かったらしく、私たちが一番乗りで、しばらくするとサキが現れた。そして、それと同時に聞いていなかった客も姿を見せた。
「あら、エスカ王女殿下、アンマリア様、モモ様、サキ様、もうお着きでしたのね」
現れたのはラムだった。公爵令嬢であるので、ラムもこの場に呼ばれたらしい。それにしても、ゲームとは違い、見事なまでのメリハリのある体型である。はあ、美しいわ……。
「これはラム様。ラム様もお呼ばれしていましたのですね」
「ええ、公爵家ですので、一応といったところですが」
私が確認すると、ラムは苦笑いをしていたようだ。どうやら完全におまけみたいな感じらしい。公爵令嬢がおまけ扱いとは、これはこれで酷くないかしらね。
「仕方ありませんわよ。今回は特にアンマリア様とサキ様にご用があるようですからね」
「私とサキ様にですか?」
ラムの言葉に私は首を傾げた。
一体どんな用件で呼んだというのだろうか。私たちは王妃が現れるまでしばらく会話をして時間を潰す事にした。
ラムが現れてから10分くらいが経っただろうか。ようやく王妃が姿を現す。ついてきたのは城に居る唯一の女性王族であるミズーナ王女だけだった。
そういえば、周りを固めている兵士や使用人たちも、気が付けばすべて女性になっていた。いつの間に……。
「本日はよく来て下さいましたね。顔を上げて楽にしてよろしいですわよ」
王妃の登場に立ち上がってカーテシーをする私たちに、王妃がそう声を掛けてくる。なので、私たちはカーテシーを解いて直立している。王妃が立っている以上、私たちが勝手に座るわけにはいかないのだ。
私たちが立っている中、ようやく王妃が椅子に座る。
「では、みなさん、お掛けになって下さい」
王妃の言葉でようやく私たちは椅子に座る事ができた。いやまあ、王子の前だと緊張はしなくなってきたけど、王妃が相手だとそうはいかないわね。手汗が酷いわ。
それにしても、場の緊張感が凄いわね。王妃が相手だから仕方ないとはいえど、その王妃からもものすごい威圧感が放たれているんですからね。モモなんてもう気絶してしまいそうなくらい顔が青ざめてきているわ。モモ、しっかりしなさいよ。
そんな中、紅茶とお菓子が出されてお茶会が始まる。
しばらくの間はお菓子を静かに堪能していたのだが、突如として王妃が神妙な面持ちで口を開いた。
「ミズーナ王女からは少し聞きましたが、アンマリア、サキ、先日の平民街での騒動について話してもらえないかしら」
私とサキのお菓子を食べる手が止まる。
どうやら王妃に呼び出された理由は、先日の痩せる呪いの一件のようだった。一体これを聞いてどうするというのだろうか。
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