212 / 485
第五章 2年目前半
第212話 14歳になりました
しおりを挟む
私たちが怪しい薬に警戒する中、あっという間に私の誕生日が来てしまった。
ゲームにおけるアンマリアの誕生日ってプレイヤーが勝手に決められたので、そのアンマリアになってしまった私は、私の前世での誕生日がそのまま適用されてしまったというわけなのよ。ちなみに私の前世の誕生日は1月10日よ。だから、1の月の10日目に誕生日が来てしまうの。ただ、この世界では平日に誕生日を祝う事がなくて、休みとなるターンの最終日にまとめてやってしまうのよね。なので、私の誕生日パーティーは、その直前の第一週か、直後の第二週の休日に行われるのよ。ちなみに去年は第二週の休日で、今年は直前の第一週の休日よ。去年は私とモモの両方が学園に入学したから、後ろにずらしたというわけ。今年は客人のエスカが居るとはいえど、特にこれといった理由もないので先に行ってしまう事になったのよ。
しかし、今年の誕生日は戦々恐々として迎える事になってしまった。
理由は言わずもがなエスカのせい。モモを唆して何か企んでいるみたいだからね、そりゃ警戒せざるを得ないというわけよ。うちの可愛い妹を巻き込むのはやめてもらえないかしらね。
エスカはなんか自由奔放ではあるし、『教育ママゴン』とか私もちょっと覚えのない言葉を使っていたから、多分前世はそこそこ年齢いってた人だと思う。まっ、ゲームをするのに年齢なんて関係ないものね。
それはそれとして、年齢のいった人物ならそこそこ信用できそうなんだけど、エスカの場合はうさん臭さしか感じられない。本当にこんな王女で大丈夫なのかしら、ミール王国は……。
そんなこんなで、休日の夜に私たちは食堂に集まる。さすがに私の誕生日とあって、服装が普段と違う。
(ああ、モモってふわっとしたドレスが似合うわよね。……エスカ王女もね!)
モモの可愛らしさに見惚れながら、私はエスカには辛辣な評価を下している。普段の行いって大事だと思うのよ。ただ、さすがは拡張版でライバル令嬢になっていただけに、本当に素材が良すぎるわ。
一方の私は、年末パーティー絡みで3kgほど体重を戻してしまっていた。今は84kgよ。それでも、この日のためにせっかく用意してくれたドレスだ。無駄にするわけにはいかなかった。
さて、そんなわけで、家族だけによるささやかな誕生日パーティーが始まろうとしたその時だった。
「失礼致します、旦那様。旦那様の兄でいらっしゃるデバラ様より荷物が届いております」
「ほう、兄上から物が届くとは珍しいな。一体何なのだ?」
使用人の言葉に、父親が問い掛ける。
「はい、アンマリア様への贈り物だそうです。近々誕生日だとお伺いになられていたようでして、そこに合わせて送られてこられたようです」
「はて、兄上にはアンマリアの誕生日は知らせていなかったはずだが?」
使用人の答えに父親は首を傾げている。
「お父様、去年の夏に私が伺った際に教えたのです。お父様ったら領地に全然行かれないですから、領地が気になった私が代わりに見てきたのですよ」
なので、私が慌ててフォローを入れている。面倒な事になるよりはマシだわ。
「そうだったのか。娘にまで気を使われてしまうとは、ちょっと城の仕事に力を入れすぎたかも知れんな」
「あなた、城の仕事は大事ですよ」
父親がはにかみながら言っていると、すぐに母親からツッコミが入った。本当に仲のいい両親で、私たちは恵まれているものだ。
「まあ何にしても私の領地だからな。そうだね、たまには気に掛けなければならないね」
父親はそう言ってちょっと反省していた。
そんなこんなで、私の誕生日パーティーが始まった。そしたらば、出てくる料理の量たるや。
(あっ、これ太るやつだ……)
私はちょっと顔が青ざめてしまった。しかし、せっかく家族や使用人たちが用意してくれた料理なのだから、無駄にするわけにはいかないわね。私は覚悟を決めたのである。
「アンマリアも痩せようと頑張っているのに、こういう料理ですまないね。年に1回の誕生日だからと、つい張り切ってしまったよ」
実に父親は申し訳なさそうに私の方を見ながら反省の弁を述べていた。こう言われてしまうと、私もさすがに文句は言えなかった。
「いえ、嬉しいですわ、お父様。みなさん、私のために頑張って用意して下さったんですもの。その気持ちはちゃんと受け取りませんとね」
私はどうにか笑顔を浮かべて答えておく。その対面ではエスカが必死に笑いを堪えていた。うん、やっぱり殴ってやりたいわ、この王女。
おじさんからの贈り物があったり、とんでもない量の料理が出されたりと、ちょっとしたハプニングはあったものの、無事に私の14歳の誕生日パーティーが始まった。
ところが、私の気持ちはまだ落ち着かなかった。その理由はエスカがモモに持ちかけて準備していただろう誕生日プレゼントだ。あのとんでも王女様から、一体どんなプレゼントを渡されるのか。その得体の知れない恐怖に、私は笑顔をつい引きつらせてしまうのだった。
ゲームにおけるアンマリアの誕生日ってプレイヤーが勝手に決められたので、そのアンマリアになってしまった私は、私の前世での誕生日がそのまま適用されてしまったというわけなのよ。ちなみに私の前世の誕生日は1月10日よ。だから、1の月の10日目に誕生日が来てしまうの。ただ、この世界では平日に誕生日を祝う事がなくて、休みとなるターンの最終日にまとめてやってしまうのよね。なので、私の誕生日パーティーは、その直前の第一週か、直後の第二週の休日に行われるのよ。ちなみに去年は第二週の休日で、今年は直前の第一週の休日よ。去年は私とモモの両方が学園に入学したから、後ろにずらしたというわけ。今年は客人のエスカが居るとはいえど、特にこれといった理由もないので先に行ってしまう事になったのよ。
しかし、今年の誕生日は戦々恐々として迎える事になってしまった。
理由は言わずもがなエスカのせい。モモを唆して何か企んでいるみたいだからね、そりゃ警戒せざるを得ないというわけよ。うちの可愛い妹を巻き込むのはやめてもらえないかしらね。
エスカはなんか自由奔放ではあるし、『教育ママゴン』とか私もちょっと覚えのない言葉を使っていたから、多分前世はそこそこ年齢いってた人だと思う。まっ、ゲームをするのに年齢なんて関係ないものね。
それはそれとして、年齢のいった人物ならそこそこ信用できそうなんだけど、エスカの場合はうさん臭さしか感じられない。本当にこんな王女で大丈夫なのかしら、ミール王国は……。
そんなこんなで、休日の夜に私たちは食堂に集まる。さすがに私の誕生日とあって、服装が普段と違う。
(ああ、モモってふわっとしたドレスが似合うわよね。……エスカ王女もね!)
モモの可愛らしさに見惚れながら、私はエスカには辛辣な評価を下している。普段の行いって大事だと思うのよ。ただ、さすがは拡張版でライバル令嬢になっていただけに、本当に素材が良すぎるわ。
一方の私は、年末パーティー絡みで3kgほど体重を戻してしまっていた。今は84kgよ。それでも、この日のためにせっかく用意してくれたドレスだ。無駄にするわけにはいかなかった。
さて、そんなわけで、家族だけによるささやかな誕生日パーティーが始まろうとしたその時だった。
「失礼致します、旦那様。旦那様の兄でいらっしゃるデバラ様より荷物が届いております」
「ほう、兄上から物が届くとは珍しいな。一体何なのだ?」
使用人の言葉に、父親が問い掛ける。
「はい、アンマリア様への贈り物だそうです。近々誕生日だとお伺いになられていたようでして、そこに合わせて送られてこられたようです」
「はて、兄上にはアンマリアの誕生日は知らせていなかったはずだが?」
使用人の答えに父親は首を傾げている。
「お父様、去年の夏に私が伺った際に教えたのです。お父様ったら領地に全然行かれないですから、領地が気になった私が代わりに見てきたのですよ」
なので、私が慌ててフォローを入れている。面倒な事になるよりはマシだわ。
「そうだったのか。娘にまで気を使われてしまうとは、ちょっと城の仕事に力を入れすぎたかも知れんな」
「あなた、城の仕事は大事ですよ」
父親がはにかみながら言っていると、すぐに母親からツッコミが入った。本当に仲のいい両親で、私たちは恵まれているものだ。
「まあ何にしても私の領地だからな。そうだね、たまには気に掛けなければならないね」
父親はそう言ってちょっと反省していた。
そんなこんなで、私の誕生日パーティーが始まった。そしたらば、出てくる料理の量たるや。
(あっ、これ太るやつだ……)
私はちょっと顔が青ざめてしまった。しかし、せっかく家族や使用人たちが用意してくれた料理なのだから、無駄にするわけにはいかないわね。私は覚悟を決めたのである。
「アンマリアも痩せようと頑張っているのに、こういう料理ですまないね。年に1回の誕生日だからと、つい張り切ってしまったよ」
実に父親は申し訳なさそうに私の方を見ながら反省の弁を述べていた。こう言われてしまうと、私もさすがに文句は言えなかった。
「いえ、嬉しいですわ、お父様。みなさん、私のために頑張って用意して下さったんですもの。その気持ちはちゃんと受け取りませんとね」
私はどうにか笑顔を浮かべて答えておく。その対面ではエスカが必死に笑いを堪えていた。うん、やっぱり殴ってやりたいわ、この王女。
おじさんからの贈り物があったり、とんでもない量の料理が出されたりと、ちょっとしたハプニングはあったものの、無事に私の14歳の誕生日パーティーが始まった。
ところが、私の気持ちはまだ落ち着かなかった。その理由はエスカがモモに持ちかけて準備していただろう誕生日プレゼントだ。あのとんでも王女様から、一体どんなプレゼントを渡されるのか。その得体の知れない恐怖に、私は笑顔をつい引きつらせてしまうのだった。
6
お気に入りに追加
249
あなたにおすすめの小説
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
そして乙女ゲームは始まらなかった
お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。
一体私は何をしたらいいのでしょうか?
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
★恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
日間総合ランキング2位に入りました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる