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第四章 学園編・1年後半
第197話 年末の心配事
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さてさて、いよいよ年末が近づいてきたわね。……私の憂鬱な時間がやって来る。
それというのも、ミール王国の王女で同じ転生者仲間であるエスカがやって来るからよ。なんで私の家に泊まりたがるのよ。兄も居るんだし、王族は王族らしくお城に泊まってちょうだいよね。
だけど、その前に43ターン目に控える年末の試験があったわね。夏の期末試験も結構大変だった気がするけれど、さすがに二回目は大丈夫よね?
そうは思っていたけれど、モモがもの凄く暗い顔をしていた。
「モモ?」
「……お姉様」
夕食を終えて部屋に戻る最中、部屋の方向が同じとはいえども私の後ろで落ち込むように歩くモモに、私はどうしても声を掛けざるを得なかった。
「お姉様、今回も勉強を教えて下さい!」
廊下で思い切り頭を下げてくるモモ。勢いが良すぎたので、そのまま前にこけそうなくらいである。
……なんだって私はこんなに他人の面倒を見まくらなきゃいけないのだろうか。正直頭が痛くなりそうだ。
「モモ」
「なんでしょうか、お姉様」
「できれば自分で頑張ってちょうだい。私だって暇じゃないんですからね。身内だから手助けはしますけれど」
「うう、申し訳ありません、お姉様……」
私がこう言うと、モモは胸の前で指を突き合わせながら申し訳なさそうに上目遣いに私を見てくる。どこでそんな可愛い仕草を覚えてきたのよ、モモ。
さすがにこの姿を見た私は、ため息しか出なかった。
「今回だけですからね。来年からはエスカ王女殿下の面倒も見なければなりませんから、余裕がほぼなくなってしまいますもの」
「ええ……、エスカ王女殿下がうちにいらっしゃるのですか?」
「本人の希望でね。陛下から厄介事を押し付けられてしまいましたわ」
思い出しただけでまたため息が手でしまう。本当に面倒なのよ。何が悲しくて王族の面倒を見なきゃいけないのよ。ただでさえあれこれ忙しいというのに、ウザ絡みをされる未来が目に浮かんで仕方なかった。
「とりあえずモモ、今からあなたの部屋に向かいます。こういうのは早い方がいいですからね」
「い、今からですか?!」
私の言葉に酷いくらいに驚くモモ。いや、あなたが持ちかけた話でしょうが……。私のやる気に、モモはかなり焦っているようだった。
とはいえ、私だっていつまでも甘い姉じゃないわ。城で大臣をしている父親の伯爵家だもの。試験で情けない結果なんてこれ以上取らせるわけにはいかない。私は心を鬼にしてモモの勉強を見たのだった。
しかし、モモの学業の成績は思ったよりも向上していなかった。前期だって結構厳しかったというのに、後期はそれに輪をかけて酷かった。選択授業にいたっては私でも補佐しきれないところがあるので、なおの事厳しいというものだわ。もしかしたら、モモは私という存在に甘えてしまっているのではないのだろうか。
ゲームではライバル令嬢の一人として座学はかなり優秀だったはずなのに、どうしてこうなった。だって、ゲームじゃモモから逆に私が教わるくらいだったのよ?!
「モモ、この成績ではタカー様の婚約者を外されてしまいますよ」
「そ、そんな……」
私の言葉に泣きそうな顔を向けるモモ。
「だって、そうでしょう? タカー様は現宰相のご子息ですのよ?」
私はその理由を遠慮なく挙げる。
「宰相の妻ともなれば、それなりの知識を求められます。座学がこの程度の成績では、ブロック家から見限られても文句は言えませんわよ?」
はっきり言ってしまうと、モモはさすがにショックが隠し切れないようだった。
「ですが、私とて妹にそんな恥をかかせるわけにはいきません」
私は拳を握ってモモに向き合う。ゲームでは友人として何度となく心の支えになってくれたキャラだ。困っているのなら助けなくてはヒロインの座が廃るというものよ!
というわけで、私は後期に入ってからほぼモモと向き合えていなかった事を盛大に後悔して、モモの勉強を見始めたのだった。ただ、あまりの勢いにモモが泣きかけていたのは内緒よ。
それにしても、後期もまたこう一夜漬けまがいな事をする事になるとは思ってもみなかったわ。これは、冬休みからは厳しくいかなきゃいけないわね。とにかく私は、もう二度と同じ轍を踏むまいと強く決意する。だけれども、来年からはあのエスカの相手をさせられるので、正直どこまでもつかが心配でたまらない。そのくらいにはエスカは警戒心増し増しなのである。
はあ、これ以上悩みを増やさないで……。とにかく私は頭が痛かった。
だからといって、ここで弱音を吐いていても仕方ないわね。とにかくモモを真ん中より上まで頑張って引き上げるわよ。
私は心を鬼にしてモモの勉強の面倒を見る。なるべく寄り道もしないで帰り、寝る時間も無理のない範囲で削りつつ、モモのつらそうな顔を見て凹む気持ちに鞭打ちながら、私自身の復習を兼ねながらとにかくひたすら頑張った。
そうやっているうちに、いよいよ後期の期末試験の時期を迎えてしまう。モモはちゃんと結果を出してくれるかしらね。私は祈るような気持ちで試験に臨んだのだった。
それというのも、ミール王国の王女で同じ転生者仲間であるエスカがやって来るからよ。なんで私の家に泊まりたがるのよ。兄も居るんだし、王族は王族らしくお城に泊まってちょうだいよね。
だけど、その前に43ターン目に控える年末の試験があったわね。夏の期末試験も結構大変だった気がするけれど、さすがに二回目は大丈夫よね?
そうは思っていたけれど、モモがもの凄く暗い顔をしていた。
「モモ?」
「……お姉様」
夕食を終えて部屋に戻る最中、部屋の方向が同じとはいえども私の後ろで落ち込むように歩くモモに、私はどうしても声を掛けざるを得なかった。
「お姉様、今回も勉強を教えて下さい!」
廊下で思い切り頭を下げてくるモモ。勢いが良すぎたので、そのまま前にこけそうなくらいである。
……なんだって私はこんなに他人の面倒を見まくらなきゃいけないのだろうか。正直頭が痛くなりそうだ。
「モモ」
「なんでしょうか、お姉様」
「できれば自分で頑張ってちょうだい。私だって暇じゃないんですからね。身内だから手助けはしますけれど」
「うう、申し訳ありません、お姉様……」
私がこう言うと、モモは胸の前で指を突き合わせながら申し訳なさそうに上目遣いに私を見てくる。どこでそんな可愛い仕草を覚えてきたのよ、モモ。
さすがにこの姿を見た私は、ため息しか出なかった。
「今回だけですからね。来年からはエスカ王女殿下の面倒も見なければなりませんから、余裕がほぼなくなってしまいますもの」
「ええ……、エスカ王女殿下がうちにいらっしゃるのですか?」
「本人の希望でね。陛下から厄介事を押し付けられてしまいましたわ」
思い出しただけでまたため息が手でしまう。本当に面倒なのよ。何が悲しくて王族の面倒を見なきゃいけないのよ。ただでさえあれこれ忙しいというのに、ウザ絡みをされる未来が目に浮かんで仕方なかった。
「とりあえずモモ、今からあなたの部屋に向かいます。こういうのは早い方がいいですからね」
「い、今からですか?!」
私の言葉に酷いくらいに驚くモモ。いや、あなたが持ちかけた話でしょうが……。私のやる気に、モモはかなり焦っているようだった。
とはいえ、私だっていつまでも甘い姉じゃないわ。城で大臣をしている父親の伯爵家だもの。試験で情けない結果なんてこれ以上取らせるわけにはいかない。私は心を鬼にしてモモの勉強を見たのだった。
しかし、モモの学業の成績は思ったよりも向上していなかった。前期だって結構厳しかったというのに、後期はそれに輪をかけて酷かった。選択授業にいたっては私でも補佐しきれないところがあるので、なおの事厳しいというものだわ。もしかしたら、モモは私という存在に甘えてしまっているのではないのだろうか。
ゲームではライバル令嬢の一人として座学はかなり優秀だったはずなのに、どうしてこうなった。だって、ゲームじゃモモから逆に私が教わるくらいだったのよ?!
「モモ、この成績ではタカー様の婚約者を外されてしまいますよ」
「そ、そんな……」
私の言葉に泣きそうな顔を向けるモモ。
「だって、そうでしょう? タカー様は現宰相のご子息ですのよ?」
私はその理由を遠慮なく挙げる。
「宰相の妻ともなれば、それなりの知識を求められます。座学がこの程度の成績では、ブロック家から見限られても文句は言えませんわよ?」
はっきり言ってしまうと、モモはさすがにショックが隠し切れないようだった。
「ですが、私とて妹にそんな恥をかかせるわけにはいきません」
私は拳を握ってモモに向き合う。ゲームでは友人として何度となく心の支えになってくれたキャラだ。困っているのなら助けなくてはヒロインの座が廃るというものよ!
というわけで、私は後期に入ってからほぼモモと向き合えていなかった事を盛大に後悔して、モモの勉強を見始めたのだった。ただ、あまりの勢いにモモが泣きかけていたのは内緒よ。
それにしても、後期もまたこう一夜漬けまがいな事をする事になるとは思ってもみなかったわ。これは、冬休みからは厳しくいかなきゃいけないわね。とにかく私は、もう二度と同じ轍を踏むまいと強く決意する。だけれども、来年からはあのエスカの相手をさせられるので、正直どこまでもつかが心配でたまらない。そのくらいにはエスカは警戒心増し増しなのである。
はあ、これ以上悩みを増やさないで……。とにかく私は頭が痛かった。
だからといって、ここで弱音を吐いていても仕方ないわね。とにかくモモを真ん中より上まで頑張って引き上げるわよ。
私は心を鬼にしてモモの勉強の面倒を見る。なるべく寄り道もしないで帰り、寝る時間も無理のない範囲で削りつつ、モモのつらそうな顔を見て凹む気持ちに鞭打ちながら、私自身の復習を兼ねながらとにかくひたすら頑張った。
そうやっているうちに、いよいよ後期の期末試験の時期を迎えてしまう。モモはちゃんと結果を出してくれるかしらね。私は祈るような気持ちで試験に臨んだのだった。
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