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第四章 学園編・1年後半
第163話 アンマリアの評価と現実
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なんともまあ、フィレン王子は分かるとして、私も推す声が多いとは驚きだったわね。見ての通りの子豚さんですわよ。それを王太子妃に推すとか正気ですかね?
ラムから話を聞かされた私の気分は、まさにキツネにつままれたような気分だった。
「お姉様ったらすごいんですね。まさか貴族の方々からの支持がこんなに多いだなんて、私、妹として誇らしく思います!」
家に帰ってから、モモはずっとこんな調子だった。
この事を両親にも確認してみたけれど、両親からも同じような回答が得られたため、どうやら事実のようだった。
私がそれなりに支持がある事は、容姿の事をバカにされない事からも薄々は感じていたものの、確証めいたものは何もなかった。王子の婚約者だから敬遠されていただけだと思っていた。
「いやまさか、私にそこまでの評価がされてるなんて思ってもみなかったわよ!」
私は自室でぶちまけていた。
「アンマリアお嬢様の評価って、実はとても高いんですよ。リブロ殿下のお体を治された事も広がっていますから」
スーラもそんな事を言っている。あの一件もそういえば結構広まっていた。なにせフィレン王子の誕生日パーティーの席で発表されたから、そりゃまあそうよね。
しかし、その時の発表が原因だろうか、相当に私を推す声が広まっているらしい。正直言って、私の評価がそんなに高いとはまったく思わなかった。まったく、みんな頭大丈夫かしら。
「王家に二人以上の王位継承者が出て、これだけ混乱がないというのも珍しい話らしいのですよ。さすがアンマリアお嬢様です」
寝る支度をしながら、スーラはにこにこしながら話していた。本当にこの上ない笑顔である。主である私の評価が高いゆえなのだろう。だからこそ、スーラの機嫌がいいわけなのである。
「だからといって、私は甘んじるつもりはありませんよ。痩せる事が一番の目標なんですからね」
「お嬢様、頑張って下さいませ」
私が鼻息荒く決意をしていると、スーラは笑顔で応援してくれたのだった。
とまあ、私の評価が思いの外高い事には驚いたのだけども、だからといって、油断するわけにはいかなかった。
私の目標はとにかく痩せる事なのである。王妃になるにしても、やっぱりこれだけぽっちゃりから逸脱しているふくよかさからは脱出しておきたいのである。そのためには剣術大会で結果を出しておきたい。
「さあ、剣術の練習ですわよ!」
翌日早起きしてから、朝食の間までに軽く剣を振るっておく私。木剣を振るっているのだけども、これもトレント木材を使ったものである。魔力でその形が思いのままというのは、およそ木材らしからないものだけど、魔力を操る訓練にもなるので重宝しているのだ。本当に魔力であれこれ形が変わっていくので、不思議な物体なのである。
それにしても、まだまだ太ってるせいだからか、10分も振っていれば汗だくである。
(それなりに鍛錬していたつもりだけれど、木剣はやっぱりちょっと訳が違うか……)
腕の筋肉がちょっとつり始めていた。普段から庭いじりもしているので、別に運動不足というわけではない。太っているがための弊害なのよ。
朝の運動を終えた私は魔法でケアをすると、ぱたぱたと朝食の席へと向かった。
朝食の席では両親とモモが揃っており、相変わらずの家族水入らずの朝食である。父親も城の仕事で忙しいだろうけれど、私たちと一緒に食事をする事を心掛けてくれている。本当にいい父親だわね。
その父親もだいぶ体格がすっきりしてきたので、私もひと安心だった。
「そういえばマリー。ちょっと小耳にはさんだのだが、いいかね?」
「なんでしょうか、お父様」
その席でちょっと思いつめたような表情をする父親に、私はきょとんとした顔で反応する。
「なんでも、け、剣術大会に……参加するつもりらしいな」
あらやだ話が早い。限られた人物にしか言っていないのに、もう父親の耳に入っていたなんて驚きだわ。一体誰から伝わったのかしら。
「はい、お父様。参加するつもりでございます」
あーだこーだいうのもなんなので、私はあっさりそれを認める。
「マリー、危険だ。やめなさい」
父親は真剣な表情でそう言い放つ。まあね、親だから自分の娘が危険な事をやらかすのを、黙って見てられるわけないわよね。
でもね、私の方だって意地なのよ。やっぱりヒロイン・アンマリアを務めきるというのなら、文武両道、武術魔法の両方がこなせる才色兼備じゃないとね。だから、私はあえて父親に逆らう。
「いえ、やめません。これは私の意地です。いざという時には自分を守れるように、剣も嗜んでおきたいのです」
私は険しい表情で父親を睨み付けるようにしながら言い放つ。あまりの私の固い決意に、父親はものすごく引いていた。
「どうしても、やめないのか?」
「はい、やめません」
確認を取る父親に対して、私はきっぱりと言い放った。
「そうか。そこまで言うのなら私はもう止めない。でも、言ったからにはきちんと最後までやり遂げる事だよ」
「もちろんですわ、お父様」
「うふふ、やんちゃをしたがるのは、さすが私の娘ねえ」
私たちの様子を見て笑っているのは母親だった。
「お母様は反対なさらないのですか?」
「ええ、私も参加した方ですからね。体型的には問題かもしれませんが、若い頃を思い出して期待してしまいます」
モモの質問に、母親はこう言って笑っていた。
あとで聞いた話、母親は剣術大会で準優勝した経験の持ち主らしい。……血は争えないって事なのかしらね。
とにもかくにも、私は剣術大会への参加を両親から許されたのだった。こうなったら鍛錬あるのみですわ。私は気合いを入れ直したのだった。
ラムから話を聞かされた私の気分は、まさにキツネにつままれたような気分だった。
「お姉様ったらすごいんですね。まさか貴族の方々からの支持がこんなに多いだなんて、私、妹として誇らしく思います!」
家に帰ってから、モモはずっとこんな調子だった。
この事を両親にも確認してみたけれど、両親からも同じような回答が得られたため、どうやら事実のようだった。
私がそれなりに支持がある事は、容姿の事をバカにされない事からも薄々は感じていたものの、確証めいたものは何もなかった。王子の婚約者だから敬遠されていただけだと思っていた。
「いやまさか、私にそこまでの評価がされてるなんて思ってもみなかったわよ!」
私は自室でぶちまけていた。
「アンマリアお嬢様の評価って、実はとても高いんですよ。リブロ殿下のお体を治された事も広がっていますから」
スーラもそんな事を言っている。あの一件もそういえば結構広まっていた。なにせフィレン王子の誕生日パーティーの席で発表されたから、そりゃまあそうよね。
しかし、その時の発表が原因だろうか、相当に私を推す声が広まっているらしい。正直言って、私の評価がそんなに高いとはまったく思わなかった。まったく、みんな頭大丈夫かしら。
「王家に二人以上の王位継承者が出て、これだけ混乱がないというのも珍しい話らしいのですよ。さすがアンマリアお嬢様です」
寝る支度をしながら、スーラはにこにこしながら話していた。本当にこの上ない笑顔である。主である私の評価が高いゆえなのだろう。だからこそ、スーラの機嫌がいいわけなのである。
「だからといって、私は甘んじるつもりはありませんよ。痩せる事が一番の目標なんですからね」
「お嬢様、頑張って下さいませ」
私が鼻息荒く決意をしていると、スーラは笑顔で応援してくれたのだった。
とまあ、私の評価が思いの外高い事には驚いたのだけども、だからといって、油断するわけにはいかなかった。
私の目標はとにかく痩せる事なのである。王妃になるにしても、やっぱりこれだけぽっちゃりから逸脱しているふくよかさからは脱出しておきたいのである。そのためには剣術大会で結果を出しておきたい。
「さあ、剣術の練習ですわよ!」
翌日早起きしてから、朝食の間までに軽く剣を振るっておく私。木剣を振るっているのだけども、これもトレント木材を使ったものである。魔力でその形が思いのままというのは、およそ木材らしからないものだけど、魔力を操る訓練にもなるので重宝しているのだ。本当に魔力であれこれ形が変わっていくので、不思議な物体なのである。
それにしても、まだまだ太ってるせいだからか、10分も振っていれば汗だくである。
(それなりに鍛錬していたつもりだけれど、木剣はやっぱりちょっと訳が違うか……)
腕の筋肉がちょっとつり始めていた。普段から庭いじりもしているので、別に運動不足というわけではない。太っているがための弊害なのよ。
朝の運動を終えた私は魔法でケアをすると、ぱたぱたと朝食の席へと向かった。
朝食の席では両親とモモが揃っており、相変わらずの家族水入らずの朝食である。父親も城の仕事で忙しいだろうけれど、私たちと一緒に食事をする事を心掛けてくれている。本当にいい父親だわね。
その父親もだいぶ体格がすっきりしてきたので、私もひと安心だった。
「そういえばマリー。ちょっと小耳にはさんだのだが、いいかね?」
「なんでしょうか、お父様」
その席でちょっと思いつめたような表情をする父親に、私はきょとんとした顔で反応する。
「なんでも、け、剣術大会に……参加するつもりらしいな」
あらやだ話が早い。限られた人物にしか言っていないのに、もう父親の耳に入っていたなんて驚きだわ。一体誰から伝わったのかしら。
「はい、お父様。参加するつもりでございます」
あーだこーだいうのもなんなので、私はあっさりそれを認める。
「マリー、危険だ。やめなさい」
父親は真剣な表情でそう言い放つ。まあね、親だから自分の娘が危険な事をやらかすのを、黙って見てられるわけないわよね。
でもね、私の方だって意地なのよ。やっぱりヒロイン・アンマリアを務めきるというのなら、文武両道、武術魔法の両方がこなせる才色兼備じゃないとね。だから、私はあえて父親に逆らう。
「いえ、やめません。これは私の意地です。いざという時には自分を守れるように、剣も嗜んでおきたいのです」
私は険しい表情で父親を睨み付けるようにしながら言い放つ。あまりの私の固い決意に、父親はものすごく引いていた。
「どうしても、やめないのか?」
「はい、やめません」
確認を取る父親に対して、私はきっぱりと言い放った。
「そうか。そこまで言うのなら私はもう止めない。でも、言ったからにはきちんと最後までやり遂げる事だよ」
「もちろんですわ、お父様」
「うふふ、やんちゃをしたがるのは、さすが私の娘ねえ」
私たちの様子を見て笑っているのは母親だった。
「お母様は反対なさらないのですか?」
「ええ、私も参加した方ですからね。体型的には問題かもしれませんが、若い頃を思い出して期待してしまいます」
モモの質問に、母親はこう言って笑っていた。
あとで聞いた話、母親は剣術大会で準優勝した経験の持ち主らしい。……血は争えないって事なのかしらね。
とにもかくにも、私は剣術大会への参加を両親から許されたのだった。こうなったら鍛錬あるのみですわ。私は気合いを入れ直したのだった。
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