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第四章 学園編・1年後半
第159話 秋は学園祭ですかね
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「そういえば、学園祭が楽しみですね」
私はさり気に言い放つ。
「そうですね。バッサーシ辺境伯の娘としては、剣術大会は特に負けられません」
最初に反応したのは意外にもサクラだった。しかも、剣術大会?!
さすがは王道定番の剣と魔法の異世界。そんなものがあるのね。……ってあったわ。ゲームのミニゲームにあったわ。フィレン王子とリブロ王子とタンの三人のルートであったじゃん、なんで忘れてるのよ、私!
やり込みにやり込んで、体重初期値(120kg)でも優勝した事あったわ。育ててきたステータス値でもって、リズムよくボタンを押す事で相手を攻撃したり、相手の攻撃を回避したりするリズムアクションのミニゲームよ。癖が強いミニゲームだったわね。ターン制であるけど、どっちが先になるかは分からないし、出現するボタンをタイミングよく押さなきゃいけなかったものね。結構運要素も絡むミニゲームだったわね。
ところがどっこい。その剣術大会を直に体験できるとなれば、私の心がどことなく揺らいだのだ。
私くらいの体型であれば、おそらく相手は油断してくるだろう。それに剣術はかなり運動する事になるので、早く痩せたい私の目的にも合致する。これは参加フラグが立ったのでは?
「そういえば、2か月後でしたわね。そろそろ出し物を決める話も始まるのではありません?」
ラムがそう言うと、私はこてんと首を傾げた。
……出し物、そんなものがあったのかしら、と。
「お姉様、学園祭というのはそういうものですよ。魔法型と武術型でそれぞれで出すものもありますが、有志が集まって行う出し物もあったりするんです」
モモの説明に方法と聞き入ってしまう私である。
確かに、選択肢で攻略対象とあちこち歩くイベントがあったわね。……こっちの世界も長くなってきたから、だいぶ昔の事を忘れてきちゃってるようね。まあ、スタンピードとかいろいろあったのがいけないんだわ。
「そういえば、ボンジール商会の方も店を出す予定らしいですよ、学園祭」
サキからもそんな声が出てくる。なんでも、王都に店を構える商会とかは、学園祭で出店ができるらしいのだ。
改めて、私はこの世界に対する知識が乏しい事が露見したのである。伯爵令嬢なんだし、王子の婚約者としてもうちょっとちゃんと知っておかなければならないわね。これは許されないわ。
「お姉様?」
モモが心配そうな顔をして私に声を掛けてくる。どうやら私がすごく怖い顔をしていたらしい。
「ごめんなさい。ちょっと自分が許せなかったものですから」
「と言いますと?」
「学園祭に自分で話題を振っておきながら、ろくに知らなかった事を反省しているんです」
私がそう答えると、みんなそっかあとほっこりした顔になっている。なんだろう、すごく心配されてしまったようだった。
「ふふっ、アンマリア様でもそんなところがありますのね。ちょっと安心致しましたわ」
「ラム様? 普段、私の事をどう思ってらっしゃるのですか?」
笑うように言うラムに、私がつい凄んでしまう。すると、ラムは笑いながら視線を逸らしていた。
「そうですね。私たちでも何か出してみませんか?」
唐突に変な事を言い出すサクラ。あなたは筋肉以外に何を出すというの?!
「それは面白いですわね。学園に入ったからには、何かしら一つは目立たないといけませんものね」
えっと、ラムってそんな性格でしたっけ? やばいわ、ラムが脳筋に支配されているわ。これは早くなんとかしないといけないわね。
「時に、剣術大会の参加っていつから申し込めるのかしら」
私はなんとかして話題を切り替えようとする。
「それでしたら、学園祭の一か月前から受け付けるそうです。ですから一か月後からですね。申込先は、私のおば様であるミスミ・バッサーシ教官ですよ」
そしたらば、サクラが武術大会の申し込み先を教えてくれた。ああ、あの王国騎士様ですか。
(あのミスミ教官の体幹のぶれなささは見習うべきものですよね。くう……あれこそが私の目指す淑女像というものだわ)
私も違った視点で脳筋に支配されつつあった。バッサーシ辺境伯の一族、恐るべし。
「ふふふっ、私も武術大会に参加させて頂きましょうかね」
「アンマリア様、武術大会は身体強化含めて魔法は禁止ですよ」
「私がただの魔法デブだと思わないでほしいわね。出るからにはサクラ様にも負けませんから!」
サクラの言葉に私は声高に宣言する。それを聞いたサクラは驚いた顔から真剣な表情をするし、あまりに大声で言っちゃったものだから周りも騒めいている。これはやらかしたわね。
「ふふふっ、その宣戦布告、しかと受け取りましたよ。2か月後、実に楽しみですね」
サクラの顔が不敵な笑みを浮かべている。だがしかし、私だって負けてはいられない。ただのデブな令嬢でない事を、見せつけてあげようじゃないのよ!
私があまりに鼻息荒く意気込むので、モモとサキが心配そうな表情で私を見ていて、ラムとサクラは笑いながら見ている。ラムは多分微笑ましい気持ちだろうけれど、サクラの方は分からないわね。
何にしても、秋の楽しみができたわ。これを聞いたら両親はきっと卒倒するだろうから、モモには口止めしておかなきゃね。
そんなわけで、秋の大きな目標ができた私なのでした。
私はさり気に言い放つ。
「そうですね。バッサーシ辺境伯の娘としては、剣術大会は特に負けられません」
最初に反応したのは意外にもサクラだった。しかも、剣術大会?!
さすがは王道定番の剣と魔法の異世界。そんなものがあるのね。……ってあったわ。ゲームのミニゲームにあったわ。フィレン王子とリブロ王子とタンの三人のルートであったじゃん、なんで忘れてるのよ、私!
やり込みにやり込んで、体重初期値(120kg)でも優勝した事あったわ。育ててきたステータス値でもって、リズムよくボタンを押す事で相手を攻撃したり、相手の攻撃を回避したりするリズムアクションのミニゲームよ。癖が強いミニゲームだったわね。ターン制であるけど、どっちが先になるかは分からないし、出現するボタンをタイミングよく押さなきゃいけなかったものね。結構運要素も絡むミニゲームだったわね。
ところがどっこい。その剣術大会を直に体験できるとなれば、私の心がどことなく揺らいだのだ。
私くらいの体型であれば、おそらく相手は油断してくるだろう。それに剣術はかなり運動する事になるので、早く痩せたい私の目的にも合致する。これは参加フラグが立ったのでは?
「そういえば、2か月後でしたわね。そろそろ出し物を決める話も始まるのではありません?」
ラムがそう言うと、私はこてんと首を傾げた。
……出し物、そんなものがあったのかしら、と。
「お姉様、学園祭というのはそういうものですよ。魔法型と武術型でそれぞれで出すものもありますが、有志が集まって行う出し物もあったりするんです」
モモの説明に方法と聞き入ってしまう私である。
確かに、選択肢で攻略対象とあちこち歩くイベントがあったわね。……こっちの世界も長くなってきたから、だいぶ昔の事を忘れてきちゃってるようね。まあ、スタンピードとかいろいろあったのがいけないんだわ。
「そういえば、ボンジール商会の方も店を出す予定らしいですよ、学園祭」
サキからもそんな声が出てくる。なんでも、王都に店を構える商会とかは、学園祭で出店ができるらしいのだ。
改めて、私はこの世界に対する知識が乏しい事が露見したのである。伯爵令嬢なんだし、王子の婚約者としてもうちょっとちゃんと知っておかなければならないわね。これは許されないわ。
「お姉様?」
モモが心配そうな顔をして私に声を掛けてくる。どうやら私がすごく怖い顔をしていたらしい。
「ごめんなさい。ちょっと自分が許せなかったものですから」
「と言いますと?」
「学園祭に自分で話題を振っておきながら、ろくに知らなかった事を反省しているんです」
私がそう答えると、みんなそっかあとほっこりした顔になっている。なんだろう、すごく心配されてしまったようだった。
「ふふっ、アンマリア様でもそんなところがありますのね。ちょっと安心致しましたわ」
「ラム様? 普段、私の事をどう思ってらっしゃるのですか?」
笑うように言うラムに、私がつい凄んでしまう。すると、ラムは笑いながら視線を逸らしていた。
「そうですね。私たちでも何か出してみませんか?」
唐突に変な事を言い出すサクラ。あなたは筋肉以外に何を出すというの?!
「それは面白いですわね。学園に入ったからには、何かしら一つは目立たないといけませんものね」
えっと、ラムってそんな性格でしたっけ? やばいわ、ラムが脳筋に支配されているわ。これは早くなんとかしないといけないわね。
「時に、剣術大会の参加っていつから申し込めるのかしら」
私はなんとかして話題を切り替えようとする。
「それでしたら、学園祭の一か月前から受け付けるそうです。ですから一か月後からですね。申込先は、私のおば様であるミスミ・バッサーシ教官ですよ」
そしたらば、サクラが武術大会の申し込み先を教えてくれた。ああ、あの王国騎士様ですか。
(あのミスミ教官の体幹のぶれなささは見習うべきものですよね。くう……あれこそが私の目指す淑女像というものだわ)
私も違った視点で脳筋に支配されつつあった。バッサーシ辺境伯の一族、恐るべし。
「ふふふっ、私も武術大会に参加させて頂きましょうかね」
「アンマリア様、武術大会は身体強化含めて魔法は禁止ですよ」
「私がただの魔法デブだと思わないでほしいわね。出るからにはサクラ様にも負けませんから!」
サクラの言葉に私は声高に宣言する。それを聞いたサクラは驚いた顔から真剣な表情をするし、あまりに大声で言っちゃったものだから周りも騒めいている。これはやらかしたわね。
「ふふふっ、その宣戦布告、しかと受け取りましたよ。2か月後、実に楽しみですね」
サクラの顔が不敵な笑みを浮かべている。だがしかし、私だって負けてはいられない。ただのデブな令嬢でない事を、見せつけてあげようじゃないのよ!
私があまりに鼻息荒く意気込むので、モモとサキが心配そうな表情で私を見ていて、ラムとサクラは笑いながら見ている。ラムは多分微笑ましい気持ちだろうけれど、サクラの方は分からないわね。
何にしても、秋の楽しみができたわ。これを聞いたら両親はきっと卒倒するだろうから、モモには口止めしておかなきゃね。
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