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第三章 学園編

第122話 結果はどうなるのかしらね

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 モモの放ったパペットに着弾したところで試験官に止められる。
 それにしても驚いたわね。モモにこんな才能があっただなんて。魔力のマーキングとは予想外過ぎる。ただこの魔法は、気の持ち方次第ではいくらでも悪用できる魔法なものだから、これは正直言って要注意ね。
「えへへへ、どうですか、お姉様」
「ええ、なかなか素晴らしい魔法でしたわ」
 にっこりとして話し掛けてくるモモ。あまりにいい顔だったものだから、私は素直にモモを褒めておいた。
「それにしても、魔法を発動させる陣をあんな風に設置していくなんて、よく思いつきましたわね」
 私はストレートにモモにその辺りを確認する。すると、モモから返ってきた答えが意外だった。
「はい、お姉様にさせて頂いた魔石への魔法の定着、あれを応用させてもらいました。魔石に魔法を込める事を、地面に応用したんですよ。どうですか、お姉様!」
 ものすごく明瞭快活に説明してくるモモ。
 あー、そっか。ストーブやコンロ作るためにさせてたあの作業が原因か……。でも、それを地面にやっちゃうあたりは、モモにも魔法の才能がそれだけあるって事ね。これは、将来どんな風に育つのか楽しみだわね。
 しかし、その一方で会場の学生たちはぽかーんと、何を見せつけられたのか分からないといった表情をしていた。試験官も沈黙している。
「……っと、これは失礼。まあ、なかなか素晴らしかったのではないですかね。公平に成績はつけますので、結果は後日発表させてもらいます」
 なんとか言葉を発した試験官だったけれど、なんか言葉の中身が負け惜しみっぽいのはどういう事なのかしらね。私は訝しみながらも、平静を装いながら試験官の事を見ていた。
 さて、モモの次に出てきたのは、攻略対象の中で唯一の魔法型のタカーか。父親が宰相を務めているから、完全に文官タイプだから仕方がない。
(彼の属性は風だっけか。さて、どんな魔法を見せてくれるのかしらね)
 宰相である父親を受け継ぐはずである彼だ。あのモモの直後だからやりづらいとは思うけれど、きっとタカーは頭脳派プレイを見せてくれるはずだと、私は勝手に期待をしている。
 彼もまた、魔法制御のための道具は杖だった。よく授業では見ていたけれど、タカーの実践の動きは地味に初めて見る事になる。
「始め」
 試験官の合図とともに、タカーは杖を振るっている。魔法を当てられまいとパペットは動く。よく見るとタカーの放つ魔法は大したものではない。だけれども、私は何とも言えない違和感を持っていた。
「同じ……」
 私の隣に居るモモがぽつりとこぼす。
「私と同じ事をしてる」
「……まさか……ね」
 モモの言葉に、私はどういうわけか動揺している。
 だけれども、地面を見ると確かに、モモと同じような魔法の紋が刻み込まれている。
「かかりましたね!」
 タカーのこの声で、パペットは周りをつむじ風に囲まれてしまう。どの方向も囲まれてしまい、唯一開いている方向はタカーが立っている。逃げ場は完全に無くなっていた。
「これで終わりです!」
 タカーがそう言って魔法を放つと、パペットはあっけなく風魔法に切り刻まれていってしまったのだった。
 試験が終わると、タカーは私たちの方へと歩いてくる。そして、モモの前に立っていた。
「申し訳ありません、レディ。あなたの使った魔法を真似させて頂きました」
「あっいえ。別に構いませんけれど、驚きました。あんなに簡単に真似されてしまうなんて……」
 タカーの謝罪に対して、モモはものすごく声も態度も戸惑っている。あれを思いつくまでモモも相当に苦労してきたろうに、それを一瞬で、目の前で見ただけで完コピされてしまったのだ。ショックを受けない方が嘘だろう。
 いくら婚約者とはいっても、さすがに大人げなさすぎたわね。私はタカーを睨み付けておいた。
 そんなこんなで、あっという間に魔法の実技試験が終了する。結構魔法をぶつけられたパペットは、それはかなりボロボロになっていて、試験官に泣きつくように飛びついていた。ただの道具かと思ったけれど、感情のようなものがあるのだろうか。
「それでは、結果は明日にでも分かりますので、楽しみにしておいて下さい。アンマリア・ファッティ、あなたは評価できませんからね。規格外すぎるんですから」
 ちょっと試験官、最後に酷い事言わないでくれる? 私はついつい試験官に対してジト目を向けてしまう。すると、試験官は罰が悪そうにそそくさと試験会場を後にしたのだった。

 試験会場から教室に戻った私たち。みんなが帰り支度を始める中、一人の教官が教室に入ってきた。
「夏休みの前半に行われる合宿の参加希望者を募ります。参加希望者は今週中に提出するように!」
 あー、ゲームでもあった合宿イベントか。ゲームの中だと結構イベント起きるのよね。そういえば、スタンピードはこの年だったけか。そう思いながら、私は教官が語った言葉をはたと思い出す。
(って、夏休み前半とか、帰省予定とかぶるじゃないのよ!)
 私はここに来て、大問題をぶつけられてしまったのだった。
「はあ、合宿の場所を確認しておきましょうかね」
 私は仕方なく、渡された用紙に記載された合宿の開催場所の確認を行うのだった。
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