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第三章 学園編
第120話 前期末魔法試験、開始!
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初日の筆記試験が終わる。絵面は地味だから当然ながら飛ばすわよ。みんな黙々と問題を解いていて、ペンを動かす音しか聞こえないんだもの。何を語る事があるっていうのよ。
ただ、筆記試験が終わった後の表情は様々だったわね。私は余裕だったけど、モモはどちらかと言ったら落ち込んでいた感じだった。あれだけ頑張ったのに、付け焼刃じゃやっぱりダメかしらね。ともかくは結果待ちだから、私は頑張った事だけを褒めておいた。モモは落ち込んでいるのか、青い顔のまま黙って頷いていた。
「モモ、終わった事を悔やんでいても仕方ないわ。明日の魔法の実技で盛り返しましょう」
「は、はい、お姉様……」
私に勉強を見てもらいながらも自信を持てない事に、モモは完全に意気消沈していて、私の言葉にもぼんやりとした反応だった。
翌日の魔法の試験は、なんと私は免除だった。危険だから使うなという事らしい。失礼ね、手加減くらいできるわよ。
そうはいっても、訓練で使う的を2回も大炎上させていてはそうなるのも無理もない話という事のようだ。私は頬を膨れさせて、他の学生たちの試験の様子を見守った。
モモ以外のラムとサキは落ち着いて試験に臨もうとしていた。サキは扱える魔法のうち、治癒系の魔法を使う事はなかった。けが人もなにも居ないのだから、その力の示しようがないというわけである。サキの属性は光と氷だけど、それ以外にもたくさん魔法はあるものね。
さてさて、最初の実技試験はどういったものなのかしらね。確か、ゲーム内では魔法で彫刻を作るとかいうものだったと思う。唐突に始まったリズムゲームには笑ったわ。画面上に現れるマークと同じボタンを、光った瞬間に押すとそのタイミングによって評価されて実技試験の得点になるとかいうものだったかしら。
ちなみにアンマリアは8属性全部だから、光る色は全部で8種類で、それぞれが十字キーと4つのボタンに対応してたっけかな。
でもまぁ、さすがに実際の試験がそんなものの訳がないので、非常に楽しみだ。でも、私の出番はないんだけどね!
はあ、本当に残念過ぎる。
「さて、君たちに課す試験はこれだ。アンマリア・ファッティは見物だから、壊される事はないと思いたいがな」
そう言って、魔法実技の試験官が運び出してきたのは、何やら人形のようなものだった。それを見た学生たちの間に、どよめきが広がった。
「私たち魔法型の教師たちで作ったパペットだ。これに制限時間の間に魔法をぶつけていってもらう。それによって評価するので頑張ってくれたまえ」
パペットに魔法をぶつけて評価だなんて、ずいぶん簡単だろうなとみんなは思った事だろう。けれども、私はさっきからそのパペットに違和感を持っていた。
(こいつ……、動くぞ!)
私はすぐさま、パペットに仕組まれた魔法を見抜いてしまった。
今はまるで国民的ゲームに出てきたパペットのようなポーズで動かないものの、その内部には絶えず魔力が流れている。ちょっと魔法に長けた人物であれば誰でも見抜けるだろうけれど、魔法を習い始めた学生たちにそれは無理な話だった。
「そうだな、人数が多いから一人当たり2分だ。さあ、試験を始めるぞ。名前を呼ばれたら出てきなさい」
そうやって、最初の一人目が前に出てくる。魔法型の割には武術型のような見た目をしている。
「まずは俺だな。当てまくって楽々クリアしてみせらあ!」
舐めてくれるなよと言わんばかりに、両手をぼすぼすと打ち合っている。
本当に暢気なものである。大体、動かない的にただ当てればいいなんていう試験があってたまるかというものだ。こういう場合、動き回るか、魔法に対して抵抗力があるか、反撃してくるかのどれかである。そういうところに思い当たらないあたり、未熟だというのだ。
「いきがるのはいいが、せいぜい頑張ってくれたまえ」
試験官がそう言うと、
「始め!」
続けて試験開始の合図をする。
「だりゃりゃりゃりゃっ!」
トップバッターの男子学生が、いきなり魔法を連射している。魔法の連発はなかなかできるものではない。それなりに鍛錬が必要になってくる。
というのも、魔法にはキャストタイムとクールタイムが存在している。いわゆる詠唱時間と再使用可能になるまでの冷却時間だ。魔法の難易度が上がるにつれて、それらがどちらも長くなってくる。
実はこれ、無詠唱で放つ時でもある事なのよ。魔法を具現化するまでに魔力を溜めなければならないし、一度魔力を放出すると、一時的にその部分は魔力を受け付けなくなってしまう。それを補ったり軽減したりしてくれるのが杖などの道具というわけだ。
つまり、連射ができるという事は、道具や鍛錬などによってその流れをもの凄くスムーズに行えているというわけ。一人目からなかなかな腕の持ち主のようだわね。
しかし、忘れちゃいけないのは、このパペットだ。
魔法が狙い通りに飛んでいってほくそ笑む男子学生。しかし、その笑みはすぐに崩れる事になる。
ぴょーんとパペットが飛んで魔法を躱してしまったのだ。その光景に、試験に臨む学生たちは言葉を失ってしまっていた。
ただ、筆記試験が終わった後の表情は様々だったわね。私は余裕だったけど、モモはどちらかと言ったら落ち込んでいた感じだった。あれだけ頑張ったのに、付け焼刃じゃやっぱりダメかしらね。ともかくは結果待ちだから、私は頑張った事だけを褒めておいた。モモは落ち込んでいるのか、青い顔のまま黙って頷いていた。
「モモ、終わった事を悔やんでいても仕方ないわ。明日の魔法の実技で盛り返しましょう」
「は、はい、お姉様……」
私に勉強を見てもらいながらも自信を持てない事に、モモは完全に意気消沈していて、私の言葉にもぼんやりとした反応だった。
翌日の魔法の試験は、なんと私は免除だった。危険だから使うなという事らしい。失礼ね、手加減くらいできるわよ。
そうはいっても、訓練で使う的を2回も大炎上させていてはそうなるのも無理もない話という事のようだ。私は頬を膨れさせて、他の学生たちの試験の様子を見守った。
モモ以外のラムとサキは落ち着いて試験に臨もうとしていた。サキは扱える魔法のうち、治癒系の魔法を使う事はなかった。けが人もなにも居ないのだから、その力の示しようがないというわけである。サキの属性は光と氷だけど、それ以外にもたくさん魔法はあるものね。
さてさて、最初の実技試験はどういったものなのかしらね。確か、ゲーム内では魔法で彫刻を作るとかいうものだったと思う。唐突に始まったリズムゲームには笑ったわ。画面上に現れるマークと同じボタンを、光った瞬間に押すとそのタイミングによって評価されて実技試験の得点になるとかいうものだったかしら。
ちなみにアンマリアは8属性全部だから、光る色は全部で8種類で、それぞれが十字キーと4つのボタンに対応してたっけかな。
でもまぁ、さすがに実際の試験がそんなものの訳がないので、非常に楽しみだ。でも、私の出番はないんだけどね!
はあ、本当に残念過ぎる。
「さて、君たちに課す試験はこれだ。アンマリア・ファッティは見物だから、壊される事はないと思いたいがな」
そう言って、魔法実技の試験官が運び出してきたのは、何やら人形のようなものだった。それを見た学生たちの間に、どよめきが広がった。
「私たち魔法型の教師たちで作ったパペットだ。これに制限時間の間に魔法をぶつけていってもらう。それによって評価するので頑張ってくれたまえ」
パペットに魔法をぶつけて評価だなんて、ずいぶん簡単だろうなとみんなは思った事だろう。けれども、私はさっきからそのパペットに違和感を持っていた。
(こいつ……、動くぞ!)
私はすぐさま、パペットに仕組まれた魔法を見抜いてしまった。
今はまるで国民的ゲームに出てきたパペットのようなポーズで動かないものの、その内部には絶えず魔力が流れている。ちょっと魔法に長けた人物であれば誰でも見抜けるだろうけれど、魔法を習い始めた学生たちにそれは無理な話だった。
「そうだな、人数が多いから一人当たり2分だ。さあ、試験を始めるぞ。名前を呼ばれたら出てきなさい」
そうやって、最初の一人目が前に出てくる。魔法型の割には武術型のような見た目をしている。
「まずは俺だな。当てまくって楽々クリアしてみせらあ!」
舐めてくれるなよと言わんばかりに、両手をぼすぼすと打ち合っている。
本当に暢気なものである。大体、動かない的にただ当てればいいなんていう試験があってたまるかというものだ。こういう場合、動き回るか、魔法に対して抵抗力があるか、反撃してくるかのどれかである。そういうところに思い当たらないあたり、未熟だというのだ。
「いきがるのはいいが、せいぜい頑張ってくれたまえ」
試験官がそう言うと、
「始め!」
続けて試験開始の合図をする。
「だりゃりゃりゃりゃっ!」
トップバッターの男子学生が、いきなり魔法を連射している。魔法の連発はなかなかできるものではない。それなりに鍛錬が必要になってくる。
というのも、魔法にはキャストタイムとクールタイムが存在している。いわゆる詠唱時間と再使用可能になるまでの冷却時間だ。魔法の難易度が上がるにつれて、それらがどちらも長くなってくる。
実はこれ、無詠唱で放つ時でもある事なのよ。魔法を具現化するまでに魔力を溜めなければならないし、一度魔力を放出すると、一時的にその部分は魔力を受け付けなくなってしまう。それを補ったり軽減したりしてくれるのが杖などの道具というわけだ。
つまり、連射ができるという事は、道具や鍛錬などによってその流れをもの凄くスムーズに行えているというわけ。一人目からなかなかな腕の持ち主のようだわね。
しかし、忘れちゃいけないのは、このパペットだ。
魔法が狙い通りに飛んでいってほくそ笑む男子学生。しかし、その笑みはすぐに崩れる事になる。
ぴょーんとパペットが飛んで魔法を躱してしまったのだ。その光景に、試験に臨む学生たちは言葉を失ってしまっていた。
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