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第三章 学園編
第106話 王女の体験入学
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翌日の事、エスカは学園に登校する私たちについてくる。
「体験入学でしてよ!」
自分の侍女に止められるも、エスカはそう言ってやめようとしない。結局のところ、私が面倒を見るからとエスカの侍女を説得しておいた。その間の侍女の相手はスーラとネスに任せておく。慣れない王国の土地で混乱しているでしょうからね。
そんなこんなで、馬車に乗って私たちは学園へと向かっていった。
学園に到着したエスカは、不人気乙女ゲーム『アンマリアの恋愛ダイエット大作戦』の舞台となった学園を見て、もの凄く興奮しているようだった。しかしながら、その姿はどう見てもただの不審者にしか見えない。私たちが居なかったら警備に放り出されているところである。
「落ち着きなさい、エスカ王女殿下。そんな事をしていたら警備の人に言って、つまみ出してもらいますからね」
「ええ、そんな殺生な! せっかくあのゲームの舞台に来たっていうのに、それはあんまりじゃないの?!」
落ち着いて話す私とは対照的に、つまみ出すとか言われたエスカは泣きそうな顔をしていた。あと、モモは転生の事知らないんだからそんな意味不明な単語を喋るんじゃないわよ。正直言ってエスカの行動は頭が痛い。どうしてこんな風に育ったのよ!
3年前より明らかに悪化しているエスカ。一緒に歩いている私は頭が痛くてたまらないし、モモもものすごく引いている。顔は笑ってるけれど、眉はハの字だもの。これは早くどうにかしないと、更なる問題を引き起こしてくれるわ。
「エスカ王女殿下」
私は強い語気でエスカを呼び止める。
「何かしら、アンマリア」
くるりと笑顔で振り返るエスカ。お忍び用とはいえども、ドレスの裾がふわりと舞っている。制服姿の私たちと一緒だから、エスカの服装はものすごく目立っている。実際、周りの学生たちから注目の的になっていた。
「まずは職員室に行きましょう。許可を貰わずして校内に立ち入るのは、本来はNGでございますから」
私の巨体でギンと鋭い目を向ければ、それは威圧感が凄い。当然ながらエスカは怖くなって目を泳がせていた。
「モモ、エスカ王女の事は私に任せて、あなたは教室に向かいなさい。ごめんなさいね、こんな王女の相手をさせてしまって」
「わ、分かりました、お姉様」
私の目力に、モモは戸惑いながらもそう返事をして教室へと歩いていった。モモは美少女だけど、婚約者が居ると分かっている以上、声を掛けてくる無礼者は居ないでしょうから多分大丈夫。ちょうどサクラやサキが見えたし、合流できるでしょうね。
(……問題はこっちよね)
私は鋭い目つきでエスカを見る。さすがにこの私の表情にはエスカは「ひっ!」と声を上げていた。まったくもって失礼ね。
言いたい事はあるけれど、私は黙ってエスカの手を引いて職員室へと向かっていった。
エスカが体験入学する件は、あっさりと許可が下りた。私がしっかり監視するという条件付きで。まあ、これでエスカに好き放題に暴れられずに済むわけだから、少しは安心できるというものだ。ついでに、もう少しこの世界の常識を教え込む必要があるので、そっちの方がむしろ厄介だった。
いやまぁ、本当に3年前はまだ常識を備えていた気がしたんだけど、どうしてこうなったのかしら。理解に苦しむわ。
ゲームの世界だと理解しても、郷に入らば郷に従え。これが私の行動の基本。だからこそ、魔道具とか庭いじりとか一部にぶっ飛んだ行動はしているけれど、基本的に対外的には伯爵令嬢、王子の婚約者として恥ずかしくない行動を心掛けてきた。体重は恩恵のせいだからノーカンよ。
それを思うと、エスカの行動は私も理解に苦しむ事ばかりだ。スマホを模した魔道具に関する事もそうだし、さすがに対外的に機密扱いになっていた王子の誕生日の件は擁護のしようがないくらいに愕然としたわ。おかげで転生者だという一歩間違えば頭おかしいとしか思われない事を激白する羽目になったし、頼むから王女としてお淑やかにしていて欲しい。どうして転生者ってこうやらかす人ばっかりなのよ。私はエスカの案内をしながら、そのとんでも行動に頭を痛めていた。
「エスカ王女殿下、とにかくフィレン殿下の誕生日パーティーの日までの1週間、絶対に騒ぎを起こさないで下さいね。ええ、絶対にですよ」
「か、顔が怖いわよ、アンマリア」
とにかく誕生日プレゼントの事があるので、それに時間を割きたいがために、エスカにはこれでもかと釘を刺しておく。
「自分が周りに与える影響というのは、しっかりと考えて頂かないと困りますからね。私みたいな伯爵令嬢より、王女という立場は影響力が大きいんですから」
私はくどいくらいにエスカに対して釘を刺す。だって、不安しかないもの。
「わ、分かったわよ。おとなしくしてるから、ね?」
それに対してエスカはそう口では言ってはいるけれど、本当に理解したのかはとても怪しい。まあ、この1週間、様子を見させてもらいましょうかね。私はそんな事を思いながら、エスカを連れて教室へと向かっていった。
「体験入学でしてよ!」
自分の侍女に止められるも、エスカはそう言ってやめようとしない。結局のところ、私が面倒を見るからとエスカの侍女を説得しておいた。その間の侍女の相手はスーラとネスに任せておく。慣れない王国の土地で混乱しているでしょうからね。
そんなこんなで、馬車に乗って私たちは学園へと向かっていった。
学園に到着したエスカは、不人気乙女ゲーム『アンマリアの恋愛ダイエット大作戦』の舞台となった学園を見て、もの凄く興奮しているようだった。しかしながら、その姿はどう見てもただの不審者にしか見えない。私たちが居なかったら警備に放り出されているところである。
「落ち着きなさい、エスカ王女殿下。そんな事をしていたら警備の人に言って、つまみ出してもらいますからね」
「ええ、そんな殺生な! せっかくあのゲームの舞台に来たっていうのに、それはあんまりじゃないの?!」
落ち着いて話す私とは対照的に、つまみ出すとか言われたエスカは泣きそうな顔をしていた。あと、モモは転生の事知らないんだからそんな意味不明な単語を喋るんじゃないわよ。正直言ってエスカの行動は頭が痛い。どうしてこんな風に育ったのよ!
3年前より明らかに悪化しているエスカ。一緒に歩いている私は頭が痛くてたまらないし、モモもものすごく引いている。顔は笑ってるけれど、眉はハの字だもの。これは早くどうにかしないと、更なる問題を引き起こしてくれるわ。
「エスカ王女殿下」
私は強い語気でエスカを呼び止める。
「何かしら、アンマリア」
くるりと笑顔で振り返るエスカ。お忍び用とはいえども、ドレスの裾がふわりと舞っている。制服姿の私たちと一緒だから、エスカの服装はものすごく目立っている。実際、周りの学生たちから注目の的になっていた。
「まずは職員室に行きましょう。許可を貰わずして校内に立ち入るのは、本来はNGでございますから」
私の巨体でギンと鋭い目を向ければ、それは威圧感が凄い。当然ながらエスカは怖くなって目を泳がせていた。
「モモ、エスカ王女の事は私に任せて、あなたは教室に向かいなさい。ごめんなさいね、こんな王女の相手をさせてしまって」
「わ、分かりました、お姉様」
私の目力に、モモは戸惑いながらもそう返事をして教室へと歩いていった。モモは美少女だけど、婚約者が居ると分かっている以上、声を掛けてくる無礼者は居ないでしょうから多分大丈夫。ちょうどサクラやサキが見えたし、合流できるでしょうね。
(……問題はこっちよね)
私は鋭い目つきでエスカを見る。さすがにこの私の表情にはエスカは「ひっ!」と声を上げていた。まったくもって失礼ね。
言いたい事はあるけれど、私は黙ってエスカの手を引いて職員室へと向かっていった。
エスカが体験入学する件は、あっさりと許可が下りた。私がしっかり監視するという条件付きで。まあ、これでエスカに好き放題に暴れられずに済むわけだから、少しは安心できるというものだ。ついでに、もう少しこの世界の常識を教え込む必要があるので、そっちの方がむしろ厄介だった。
いやまぁ、本当に3年前はまだ常識を備えていた気がしたんだけど、どうしてこうなったのかしら。理解に苦しむわ。
ゲームの世界だと理解しても、郷に入らば郷に従え。これが私の行動の基本。だからこそ、魔道具とか庭いじりとか一部にぶっ飛んだ行動はしているけれど、基本的に対外的には伯爵令嬢、王子の婚約者として恥ずかしくない行動を心掛けてきた。体重は恩恵のせいだからノーカンよ。
それを思うと、エスカの行動は私も理解に苦しむ事ばかりだ。スマホを模した魔道具に関する事もそうだし、さすがに対外的に機密扱いになっていた王子の誕生日の件は擁護のしようがないくらいに愕然としたわ。おかげで転生者だという一歩間違えば頭おかしいとしか思われない事を激白する羽目になったし、頼むから王女としてお淑やかにしていて欲しい。どうして転生者ってこうやらかす人ばっかりなのよ。私はエスカの案内をしながら、そのとんでも行動に頭を痛めていた。
「エスカ王女殿下、とにかくフィレン殿下の誕生日パーティーの日までの1週間、絶対に騒ぎを起こさないで下さいね。ええ、絶対にですよ」
「か、顔が怖いわよ、アンマリア」
とにかく誕生日プレゼントの事があるので、それに時間を割きたいがために、エスカにはこれでもかと釘を刺しておく。
「自分が周りに与える影響というのは、しっかりと考えて頂かないと困りますからね。私みたいな伯爵令嬢より、王女という立場は影響力が大きいんですから」
私はくどいくらいにエスカに対して釘を刺す。だって、不安しかないもの。
「わ、分かったわよ。おとなしくしてるから、ね?」
それに対してエスカはそう口では言ってはいるけれど、本当に理解したのかはとても怪しい。まあ、この1週間、様子を見させてもらいましょうかね。私はそんな事を思いながら、エスカを連れて教室へと向かっていった。
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