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第一章 転生アンマリア
第46話 変えられるものと変えられないもの
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私は父親のおかげで、処罰を受けた貴族の名前を知る事ができた。そしたらまぁ、なんとも驚かされたものだったわ。
(ハーツ子爵……。そっかぁ、そっち側なのかぁ……)
そう、ライバル令嬢の一人のモモの家であるハーツ子爵が含まれていたのだ。
改めて父親に確認すると、やっぱりあのハーツ家らしくって、私は頭を抱えた。さすがにこのまま平民落ちでは今後の計画に支障をきたすので、私は父親にとある提案を持ち掛けた。
すると、父親は驚いてはいたが、それを受け入れてくれた。そして、早速動いてくれたのだった。
それから数日後、受け入れるに適切かどうか、我が家にモモ・ハーツ、いや爵位を剥奪されたので、ただのモモか、とにかくモモを呼んだのである。ちなみにモモの両親は置いてきた。平民落ちにものすごく不満で狂っていたので、危険と判断されたのである。自業自得なのに、貴族怖い。
我が家に招き入れた時、モモはものすごく怯えていた。まぁ無理もないだろうかな。突然爵位剥奪で家を追い出され、平民落ちに怒り狂った両親を目の前で見て、そして連れてこられた伯爵邸。普通に怯えるわよねぇ……。モモがあの両親のような子じゃない事を祈るばかりだわ。
ちなみにモモには私とその両親と一緒に相対している。父親は午前中の仕事を他人に割り振って時間を作り、こうやって対応してくれているのだ。
「そんなに緊張しなくてもいい。マリーがどうしても君を迎え入れたいと聞かなくてね、それで呼んだんだ。君の気持ち次第では、我が家では君を養子として迎え入れる準備があるから、心配しなくていい」
父親がこう言ってはいるけれど、モモの震えはまったく止まらない。まあ、でっぷり太った私が怖いんでしょうねぇ。とても同い年には思えない、倍以上に太った私にね……(トホホ)
「今回の事はあなたには関与できるわけないですものね。もし関与していたとしても、更生できるだけの環境は整えられるわ。安心してうちにいらっしゃい」
母親も母親でどこか怖い事を言っている。しかし、これではモモ自体には選択肢が無いようである。だから私は、椅子から降りてモモの方へと歩み寄っていく。すると、モモの顔が青ざめて「ひっ」という声が出た。巨体がゆえに怖がられてしまったようだ。地味にショックよ。
「大丈夫よ、モモ。そちらが危害を加えるとかしなければ、私たちの方からは傷付けるような事はしないわ。我が家は伯爵家だし、それなりに面倒を見てあげられる。どうなるかはあなたの判断次第よ」
私が優しく語り掛けるが、モモの顔は相変わらずこの世の終わりのような酷い顔だった。もうね、ここまで怖がられていると吐きそうよ。吐かないけれど。
「正直、君が洗礼式で受けた恩恵は、あの両親の下では活かしきれないと判断させてもらったよ。こんな事をしでかしてくれたものだから、ちょうどよかったとも言えるね」
父親が語り掛けるものの、モモはまだ震えたままである。でも、ここまで来るとどこに対しての恐怖心なのか分からないわね。
「先程妻が言ったように、今回の件に君が関わっているかどうかはどうでもいい。ただ、あの両親の手元に置いておくのは危険と判断させてもらった。いくら王家の監視があって王都の中で暮らしているといっても、家の中までは関与できないからね」
父親がこう言うと、モモが膝に置く手に力が入ったようだった。うん、これは間違いなく虐待が疑われるわ。これは少しでも早く決心させるべきだ。
「モモ、うちに来ればひとまずは安心よ。私がこんな体形だからといっても、モモがそうなる事はないから。私のこの体形には、詳しくは話せないけれど、事情があるのよ」
私はそう言って、モモに微笑みかける。すると、モモの震えが少し収まったように見えた。これを見るに、モモは私の体形に震えていたんじゃなさそうだなと思った。ちょっと安心したわ。
でも、こうなると、ゲームの中でアンマリアと仲が良いという設定になっていた事がよく分からない。でも、同じ婚約者候補である私の家には何もなく、男爵家であるテトリバー家にだけちょっかいを出したという事から、ハーツ子爵家は権力には弱いタイプだったのかも知れない。ファッティ家は伯爵家だから放っておいて、テトリバー家は男爵だから容赦なく攻撃できたと。だとしたら、えげつないわね。
いろいろと考えた私は、気が付くとモモの手を取っていた。急に手を握られた事で、モモが驚いて私を見ている。
(あっ、しまった)
無意識の行動に私は少し混乱した。だが、こうなったらもうどうとでもなれというものね!
「私はあなたとは仲良くしたいの。あなたの両親が何かしてきたとしても、それを跳ね返せるだけの力があるわ。うちに来ましょう?」
あうあう、これでは口説いてるだけではないだろうか。私は心の中で絶叫しつつ、真剣にモモの顔を見続けていた。
しばらくすると、ぽろぽろとモモが泣き始めてしまった。慌てる私だったけど、モモは涙に紛れてぽつぽつと言葉を漏らしていた。
「うれ、しいです……。あの、りょうし、んと……はなれ、られるなんて……。ゆめ、みたい、です」
泣き崩れるモモ。どうやら、かなり親からは酷い目に遭わされていたようである。
とにもかくにも、モモは泣き疲れて眠ってしまったが、本人の確認が取れた事で正式にファッティ家に養子として迎える事になったのだった。
(ハーツ子爵……。そっかぁ、そっち側なのかぁ……)
そう、ライバル令嬢の一人のモモの家であるハーツ子爵が含まれていたのだ。
改めて父親に確認すると、やっぱりあのハーツ家らしくって、私は頭を抱えた。さすがにこのまま平民落ちでは今後の計画に支障をきたすので、私は父親にとある提案を持ち掛けた。
すると、父親は驚いてはいたが、それを受け入れてくれた。そして、早速動いてくれたのだった。
それから数日後、受け入れるに適切かどうか、我が家にモモ・ハーツ、いや爵位を剥奪されたので、ただのモモか、とにかくモモを呼んだのである。ちなみにモモの両親は置いてきた。平民落ちにものすごく不満で狂っていたので、危険と判断されたのである。自業自得なのに、貴族怖い。
我が家に招き入れた時、モモはものすごく怯えていた。まぁ無理もないだろうかな。突然爵位剥奪で家を追い出され、平民落ちに怒り狂った両親を目の前で見て、そして連れてこられた伯爵邸。普通に怯えるわよねぇ……。モモがあの両親のような子じゃない事を祈るばかりだわ。
ちなみにモモには私とその両親と一緒に相対している。父親は午前中の仕事を他人に割り振って時間を作り、こうやって対応してくれているのだ。
「そんなに緊張しなくてもいい。マリーがどうしても君を迎え入れたいと聞かなくてね、それで呼んだんだ。君の気持ち次第では、我が家では君を養子として迎え入れる準備があるから、心配しなくていい」
父親がこう言ってはいるけれど、モモの震えはまったく止まらない。まあ、でっぷり太った私が怖いんでしょうねぇ。とても同い年には思えない、倍以上に太った私にね……(トホホ)
「今回の事はあなたには関与できるわけないですものね。もし関与していたとしても、更生できるだけの環境は整えられるわ。安心してうちにいらっしゃい」
母親も母親でどこか怖い事を言っている。しかし、これではモモ自体には選択肢が無いようである。だから私は、椅子から降りてモモの方へと歩み寄っていく。すると、モモの顔が青ざめて「ひっ」という声が出た。巨体がゆえに怖がられてしまったようだ。地味にショックよ。
「大丈夫よ、モモ。そちらが危害を加えるとかしなければ、私たちの方からは傷付けるような事はしないわ。我が家は伯爵家だし、それなりに面倒を見てあげられる。どうなるかはあなたの判断次第よ」
私が優しく語り掛けるが、モモの顔は相変わらずこの世の終わりのような酷い顔だった。もうね、ここまで怖がられていると吐きそうよ。吐かないけれど。
「正直、君が洗礼式で受けた恩恵は、あの両親の下では活かしきれないと判断させてもらったよ。こんな事をしでかしてくれたものだから、ちょうどよかったとも言えるね」
父親が語り掛けるものの、モモはまだ震えたままである。でも、ここまで来るとどこに対しての恐怖心なのか分からないわね。
「先程妻が言ったように、今回の件に君が関わっているかどうかはどうでもいい。ただ、あの両親の手元に置いておくのは危険と判断させてもらった。いくら王家の監視があって王都の中で暮らしているといっても、家の中までは関与できないからね」
父親がこう言うと、モモが膝に置く手に力が入ったようだった。うん、これは間違いなく虐待が疑われるわ。これは少しでも早く決心させるべきだ。
「モモ、うちに来ればひとまずは安心よ。私がこんな体形だからといっても、モモがそうなる事はないから。私のこの体形には、詳しくは話せないけれど、事情があるのよ」
私はそう言って、モモに微笑みかける。すると、モモの震えが少し収まったように見えた。これを見るに、モモは私の体形に震えていたんじゃなさそうだなと思った。ちょっと安心したわ。
でも、こうなると、ゲームの中でアンマリアと仲が良いという設定になっていた事がよく分からない。でも、同じ婚約者候補である私の家には何もなく、男爵家であるテトリバー家にだけちょっかいを出したという事から、ハーツ子爵家は権力には弱いタイプだったのかも知れない。ファッティ家は伯爵家だから放っておいて、テトリバー家は男爵だから容赦なく攻撃できたと。だとしたら、えげつないわね。
いろいろと考えた私は、気が付くとモモの手を取っていた。急に手を握られた事で、モモが驚いて私を見ている。
(あっ、しまった)
無意識の行動に私は少し混乱した。だが、こうなったらもうどうとでもなれというものね!
「私はあなたとは仲良くしたいの。あなたの両親が何かしてきたとしても、それを跳ね返せるだけの力があるわ。うちに来ましょう?」
あうあう、これでは口説いてるだけではないだろうか。私は心の中で絶叫しつつ、真剣にモモの顔を見続けていた。
しばらくすると、ぽろぽろとモモが泣き始めてしまった。慌てる私だったけど、モモは涙に紛れてぽつぽつと言葉を漏らしていた。
「うれ、しいです……。あの、りょうし、んと……はなれ、られるなんて……。ゆめ、みたい、です」
泣き崩れるモモ。どうやら、かなり親からは酷い目に遭わされていたようである。
とにもかくにも、モモは泣き疲れて眠ってしまったが、本人の確認が取れた事で正式にファッティ家に養子として迎える事になったのだった。
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