32 / 500
第一章 転生アンマリア
第32話 マートン邸、2回目のお茶会
しおりを挟む
そういえば、この世界の料理を改めて考えてみるといろいろ不思議なところがあった。すっかりいろいろ抜け落ちていたわね。
軽食系はプリンやケーキ、それにパフェといったデザートは充実しているけれど、お菓子の類はクッキーやらサブレ、チョコレートといったものに限られる。ポテチとかはないのよね。主食系は先日作ったジャンクフードやピザもだけど、和食はないし、よく思えば麺類もなかった。肉に関してもミンチとかないし、そのままかせいぜい多少切ってある程度だった。調味料も砂糖や塩はあるけれど酢はほぼ流通していなくて醤油や味噌はない。そのくせして香辛料はあるのでなぜかカレーは存在している。もうやだ、ちぐはぐすぎる。飲み物は果汁やミルクがあるとはいえども、ほぼ紅茶一択だしね。本当、どうなってるのよ、この世界はっ!
「お嬢様、どうされたのですか?」
「あっ、ごめん、スーラ。ちょっと考え事してただけよ」
急に頭を抱えて前後に振るものだから、スーラに心配掛けちゃったわね。
とりあえず、週末に誘われたラムのお茶会をどうするかが問題かな。せっかく仲良くなったのだから無視なんてできないし、王子の婚約者候補となった今はゲームの事なんて忘れて、この世界を楽しんでおかなきゃね。警戒するのはダイエットのドーピングアイテムとサキ・テトリバーだけよ。それに、そのうち王妃教育も始まって時間が取れなくなっちゃうもの。
そういえば、ゲームでは一番仲の良かったモモ・ハーツとの絡みがまったくないわ。そういえば、あの子とはどうやってアンマリアは仲良くなったのかしら。まったく接点が無さすぎる。ゲームの事なんて忘れると言いつつも、やっぱり気になるところは気になってしまうのだった。
私はあーだこーだと悩んでいたが、まあどうにでもなれとすっぱり諦めた。無理に仲良くなる必要はないし、学園に入るまでは時間もあるから、そのうち話す機会ができるでしょ。
そういうわけで、私は午前中は庭の手入れ、午後は淑女教育と、とにかく毎日を頑張って過ごす事にした。王族の婚約者候補になったんだから、手を抜いてなんていられますかっていうのよ。その合間を見ては、サクラ・バッサーシから教えてもらった筋トレもこなしていく。祝福という名の呪いに打ち勝つために、私は努力を惜しまなかった。
そして、迎えたお茶会の日。私は母親と一緒にラム・マートンの家を訪ねた。既に2回目となる公爵邸の訪問である。
「まさか、こんな短期間で公爵邸にお呼ばれするなんて、さすが私の娘ね」
どういうわけか、母親がもの凄く誇っている。
今日のお茶会は、この間のバッサーシ辺境伯領での事があっての集まりなのだ。その時の母は王都に居たのだから、本来はお呼びではない。とはいえ、王子の婚約者候補で伯爵家の長女なのだから、付き添いはやっぱり必須なのだ。だからこそ、母親がついて来ているというわけである。父親の方は相変わらず忙しそうに城へ出かけていったから仕方ない。
それにしても、あれだけ運動もしてるし、魔法だって使いまくっているので、私の体はまったく痩せる事を知らなかった。さっきステータスを確認したら、体重が+1kgで泣きたくなったわよ。ただ、恩恵値っていう謎パラメータが新たに出現していたのが気になった。なんか「100」とか書いてあった。Tipsもないので何の事でどういう意味なのか分からず、私はひたすら首を捻るばかりだった。
ただ、この恩恵もよく分からないもので、なぜ脂肪として私の体にまとわりつくのか、どういった効果をもたらすのかまったくもって不明なのである。ただ13歳になると、それ以降の恩恵は私の魔力として変換される。これって単純に恩恵を集めまくったら、「私最強!」って事にならないかしらね。ただでさえ、現状ですら魔法の威力はとんでもなかったんだから。
とはいえ、その辺りの事は、実際に13歳になってみないと分からない。まったく、やれやれだわ。
あれこれ悶々としているうちに、私たちを乗せた馬車はマートン公爵邸に到着していた。相変わらず門の構えからご立派である。
今日のお茶会は天気ではあるものの室内で行われる。バッサーシ辺境伯領であった事を話し合うのだから、それは当然ながらオープンなスペースより閉鎖的な空間を利用するわよね。スタンピードの事は王家には報告したらしいけれど、対外的にはまだ伏せた状態だものね。どこで話を聞かれているか分かったものじゃないからね。
正面玄関にて馬車を降りた私と母親、それとスーラはマートン家の使用人に連れられて客間へと向かう。その客間はなんと屋敷の2階にあった。どうやら個人スペースの隣にある、親しい者だけを招き入れる部屋らしい。普通なら1階にある応接室を使うはずだから、私たちの扱いはそれだけ特殊……ではなく、今回の状況が特殊なのであった。
というわけで、その特殊な客間に通された私たちは、そこで恐るべきものを見てしまったのであった。一体私たちは何を見たというのだろうか。
軽食系はプリンやケーキ、それにパフェといったデザートは充実しているけれど、お菓子の類はクッキーやらサブレ、チョコレートといったものに限られる。ポテチとかはないのよね。主食系は先日作ったジャンクフードやピザもだけど、和食はないし、よく思えば麺類もなかった。肉に関してもミンチとかないし、そのままかせいぜい多少切ってある程度だった。調味料も砂糖や塩はあるけれど酢はほぼ流通していなくて醤油や味噌はない。そのくせして香辛料はあるのでなぜかカレーは存在している。もうやだ、ちぐはぐすぎる。飲み物は果汁やミルクがあるとはいえども、ほぼ紅茶一択だしね。本当、どうなってるのよ、この世界はっ!
「お嬢様、どうされたのですか?」
「あっ、ごめん、スーラ。ちょっと考え事してただけよ」
急に頭を抱えて前後に振るものだから、スーラに心配掛けちゃったわね。
とりあえず、週末に誘われたラムのお茶会をどうするかが問題かな。せっかく仲良くなったのだから無視なんてできないし、王子の婚約者候補となった今はゲームの事なんて忘れて、この世界を楽しんでおかなきゃね。警戒するのはダイエットのドーピングアイテムとサキ・テトリバーだけよ。それに、そのうち王妃教育も始まって時間が取れなくなっちゃうもの。
そういえば、ゲームでは一番仲の良かったモモ・ハーツとの絡みがまったくないわ。そういえば、あの子とはどうやってアンマリアは仲良くなったのかしら。まったく接点が無さすぎる。ゲームの事なんて忘れると言いつつも、やっぱり気になるところは気になってしまうのだった。
私はあーだこーだと悩んでいたが、まあどうにでもなれとすっぱり諦めた。無理に仲良くなる必要はないし、学園に入るまでは時間もあるから、そのうち話す機会ができるでしょ。
そういうわけで、私は午前中は庭の手入れ、午後は淑女教育と、とにかく毎日を頑張って過ごす事にした。王族の婚約者候補になったんだから、手を抜いてなんていられますかっていうのよ。その合間を見ては、サクラ・バッサーシから教えてもらった筋トレもこなしていく。祝福という名の呪いに打ち勝つために、私は努力を惜しまなかった。
そして、迎えたお茶会の日。私は母親と一緒にラム・マートンの家を訪ねた。既に2回目となる公爵邸の訪問である。
「まさか、こんな短期間で公爵邸にお呼ばれするなんて、さすが私の娘ね」
どういうわけか、母親がもの凄く誇っている。
今日のお茶会は、この間のバッサーシ辺境伯領での事があっての集まりなのだ。その時の母は王都に居たのだから、本来はお呼びではない。とはいえ、王子の婚約者候補で伯爵家の長女なのだから、付き添いはやっぱり必須なのだ。だからこそ、母親がついて来ているというわけである。父親の方は相変わらず忙しそうに城へ出かけていったから仕方ない。
それにしても、あれだけ運動もしてるし、魔法だって使いまくっているので、私の体はまったく痩せる事を知らなかった。さっきステータスを確認したら、体重が+1kgで泣きたくなったわよ。ただ、恩恵値っていう謎パラメータが新たに出現していたのが気になった。なんか「100」とか書いてあった。Tipsもないので何の事でどういう意味なのか分からず、私はひたすら首を捻るばかりだった。
ただ、この恩恵もよく分からないもので、なぜ脂肪として私の体にまとわりつくのか、どういった効果をもたらすのかまったくもって不明なのである。ただ13歳になると、それ以降の恩恵は私の魔力として変換される。これって単純に恩恵を集めまくったら、「私最強!」って事にならないかしらね。ただでさえ、現状ですら魔法の威力はとんでもなかったんだから。
とはいえ、その辺りの事は、実際に13歳になってみないと分からない。まったく、やれやれだわ。
あれこれ悶々としているうちに、私たちを乗せた馬車はマートン公爵邸に到着していた。相変わらず門の構えからご立派である。
今日のお茶会は天気ではあるものの室内で行われる。バッサーシ辺境伯領であった事を話し合うのだから、それは当然ながらオープンなスペースより閉鎖的な空間を利用するわよね。スタンピードの事は王家には報告したらしいけれど、対外的にはまだ伏せた状態だものね。どこで話を聞かれているか分かったものじゃないからね。
正面玄関にて馬車を降りた私と母親、それとスーラはマートン家の使用人に連れられて客間へと向かう。その客間はなんと屋敷の2階にあった。どうやら個人スペースの隣にある、親しい者だけを招き入れる部屋らしい。普通なら1階にある応接室を使うはずだから、私たちの扱いはそれだけ特殊……ではなく、今回の状況が特殊なのであった。
というわけで、その特殊な客間に通された私たちは、そこで恐るべきものを見てしまったのであった。一体私たちは何を見たというのだろうか。
19
お気に入りに追加
258
あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい
千晶もーこ
恋愛
あの世に行ったら、番人とうずくまる少女に出会った。少女は辛い人生を歩んできて、魂が疲弊していた。それを知った番人は私に言った。
「あの子が繰り返している人生を、あなたの人生に変えてください。」
「………はぁああああ?辛そうな人生と分かってて生きろと?それも、繰り返すかもしれないのに?」
でも、お願いされたら断れない性分の私…。
異世界で自分が悪役令嬢だと知らずに過ごす私と、それによって変わっていく周りの人達の物語。そして、その物語の後の話。
※この話は、小説家になろう様へも掲載しています
結婚した次の日に同盟国の人質にされました!
だるま
恋愛
公爵令嬢のジル・フォン・シュタウフェンベルクは自国の大公と結婚式を上げ、正妃として迎えられる。
しかしその結婚は罠で、式の次の日に同盟国に人質として差し出される事になってしまった。
ジルを追い払った後、女遊びを楽しむ大公の様子を伝え聞き、屈辱に耐える彼女の身にさらなる災厄が降りかかる。
同盟国ブラウベルクが、大公との離縁と、サイコパス気味のブラウベルク皇子との再婚を求めてきたのだ。
ジルは拒絶しつつも、彼がただの性格地雷ではないと気づき、交流を深めていく。
小説家になろう実績
2019/3/17 異世界恋愛 日間ランキング6位になりました。
2019/3/17 総合 日間ランキング26位になりました。皆様本当にありがとうございます。
本作の無断転載・加工は固く禁じております。
Reproduction is prohibited.
禁止私自轉載、加工
복제 금지.

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

大賢者の弟子ステファニー
楠ノ木雫
ファンタジー
この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。
その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。
そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。
※他の投稿サイトにも掲載しています。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!
ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。
その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。
ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。
それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。
そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。
※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる