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第一章 転生アンマリア
第9話 目指せ、ダイエット貯金
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徹夜の反動で寝過ごすという大ポカをやらかした私は、その晩大いに反省をした。私自身に重要な用事が無かった事は実に助かったのだけど、父親には病気か何かかと心配されてしまったわ。
とりあえず、学園に入学してからの流れを再確認できたので、私はそれまでの対策もいろいろと考えていく。とにかく私はデブは嫌。クソゲーオタクだったとはいっても、生活はちゃんとしていたし、そこそこ痩せた健康体だったのだ。
(となれば、私のターゲットはフィレン第一王子という事になるわね。そのまま先がリブロ第二王子の婚約者になれば大きな支障はないわ。うん、これでいきましょう)
とりあえず、私の行動指針は決まった。
私を肥えさせる恩恵は13歳で体重から魔力へと保管方法が変わる。つまり、そこまでに体を作っておけば、そこからは一気に痩せやすいはずなのだ。運動に食事管理といった事をしておけば、たとえ体重が増え続けていても、時期が来たら逆リバウンドしてくれるはずだ。とはいえ、もし13歳までに痩せるような事があれば父親に怒られるので、そこはより多くの恩恵を体に取り込めばいいはずなのだ。つまり、いい子でいましょうね大作戦と決行すればいいはずである。
早速私は、作戦を実行に移す。とはいえ、貴族の令嬢に家のお手伝いなどさせてもらえるわけもなく、私の体形の事も含めて使用人たちからはまともに取り合ってもらえなかった。そこで私は、専属侍女のスーラに相談を持ち掛けてみた。
「家のお手伝いですか? お嬢様はそういった事はなさらなくていいとは思いますが」
第一声は他の使用人とまったく同じである。このスーラも、スーラ・イース男爵令嬢という立派な貴族子女だ。ただ、三女という事で家のためにコネを作るべく、我が家に使用人としてやって来たという経緯があった。私はこのファッティ伯爵家の長女だから、よい婚姻をする事が責務だという考えが、このスーラにもあるというわけなのである。うん、八方ふさがり!
だが、スーラからは意外な提案があった。
「家の中でとなるといろいろ邪魔にされてしまうかと思われますが、どうしても仰るのでしたら、庭師の方に相談されてはどうでしょうか」
そう家の中がダメなら、屋敷の敷地内にまで範囲を広げてしまえばいいのである。さすがスーラ、頼りになる!
さっそく、私はスーラの案内で、屋敷の敷地内にある庭師の小屋へと出向く事にした。アンマリアの記憶を覗いても、屋敷の建物の外に出た記憶はそんなに多くはないので、庭はこんな風になっていたのかと感動しまくりである。
さすがは伯爵家の庭である。体裁を繕える程度には花が咲き乱れており、枝葉は見栄えよく切りそろえられていた。
私たちは小屋にたどり着く事なく、その前にあった庭園に見入っていた。すると、
「誰だ、そこに居るのは!」
どこからともなく大きな声が聞こえてきた。
「そちらにいらしたのですか、センマイさん」
その声に反応したスーラは、そのように呼び掛けた。そこから出てきたのは40前後くらいのがっしりとした男性だった。なんてナイスミドル。
スーラもゲームには出てこなかったけれど、ゲームで存在しないからといっても、居ないわけじゃないのよね。リアルじゃこうやってちゃんと動いて喋るのだ。しかし、存在すらしないモブだからといっても、さすがはこの世界の人物、顔とか整ってるわね。
「なんじゃ、お嬢様付きのスーラか。って事は、その隣のご立派な令嬢は……」
「はい、アンマリアお嬢様でございます」
センマイが物珍しそうに私に顔を向けてくるので、スーラがサクッと答えていた。
「おお、そうかそうか。なかなかに見事な体格とは聞いておりましたが、なるほど確かにそうですな」
センマイが言葉を選んでいるのがよく分かる。眉がぴくぴく動いてるからね。私も多少は気にするけれど、聞き流すだけの度量はあるわ。父親は分からないけれど。
「で、そのお嬢様が一体何をしにここに来られたというのかな?」
「お嬢様は家のお手伝いがしたいらしいのですが、屋敷の中はさすがに全員に断られてしまったそうでして、それでしたら外はいかがかとこちらにお連れした次第なのです」
センマイはスーラからの回答を聞いて、あごを触りながらふーむと少し考え込み始めた。やっぱり彼もダメだというクチなのかしらね。
「まぁいいでしょう。お嬢様がお世話をしてくれるというのでしたら、花たちも喜ぶでしょうしな。やり方は分かりますかい?」
そう尋ねられた私だったが、よく思えば草花の世話なんて、小学校の当番以来した覚えがなかった。なので、素直に私は、
「分かりません。教えて頂けますか?」
と告げた。すると、センマイは私に対して、丁寧に庭師の仕事を教えてくれた。私の体形が太っているという事もあって、あまりその体形でも問題なさそうな仕事ばかりを教えてくれている。素晴らしいね、この庭師。しかも、この仕事も結構な運動になる。これはダイエット貯金がいいように溜まるかも知れないと、私の目の色が変わった。センマイはそんな私を見て、やれやれと半分呆れ気味にしていたそうな(スーラ談)。
というわけで私は、恩恵とダイエットの両方の貯金を始める事にしたのだった。さあ、うまくいってちょうだいよ。
とりあえず、学園に入学してからの流れを再確認できたので、私はそれまでの対策もいろいろと考えていく。とにかく私はデブは嫌。クソゲーオタクだったとはいっても、生活はちゃんとしていたし、そこそこ痩せた健康体だったのだ。
(となれば、私のターゲットはフィレン第一王子という事になるわね。そのまま先がリブロ第二王子の婚約者になれば大きな支障はないわ。うん、これでいきましょう)
とりあえず、私の行動指針は決まった。
私を肥えさせる恩恵は13歳で体重から魔力へと保管方法が変わる。つまり、そこまでに体を作っておけば、そこからは一気に痩せやすいはずなのだ。運動に食事管理といった事をしておけば、たとえ体重が増え続けていても、時期が来たら逆リバウンドしてくれるはずだ。とはいえ、もし13歳までに痩せるような事があれば父親に怒られるので、そこはより多くの恩恵を体に取り込めばいいはずなのだ。つまり、いい子でいましょうね大作戦と決行すればいいはずである。
早速私は、作戦を実行に移す。とはいえ、貴族の令嬢に家のお手伝いなどさせてもらえるわけもなく、私の体形の事も含めて使用人たちからはまともに取り合ってもらえなかった。そこで私は、専属侍女のスーラに相談を持ち掛けてみた。
「家のお手伝いですか? お嬢様はそういった事はなさらなくていいとは思いますが」
第一声は他の使用人とまったく同じである。このスーラも、スーラ・イース男爵令嬢という立派な貴族子女だ。ただ、三女という事で家のためにコネを作るべく、我が家に使用人としてやって来たという経緯があった。私はこのファッティ伯爵家の長女だから、よい婚姻をする事が責務だという考えが、このスーラにもあるというわけなのである。うん、八方ふさがり!
だが、スーラからは意外な提案があった。
「家の中でとなるといろいろ邪魔にされてしまうかと思われますが、どうしても仰るのでしたら、庭師の方に相談されてはどうでしょうか」
そう家の中がダメなら、屋敷の敷地内にまで範囲を広げてしまえばいいのである。さすがスーラ、頼りになる!
さっそく、私はスーラの案内で、屋敷の敷地内にある庭師の小屋へと出向く事にした。アンマリアの記憶を覗いても、屋敷の建物の外に出た記憶はそんなに多くはないので、庭はこんな風になっていたのかと感動しまくりである。
さすがは伯爵家の庭である。体裁を繕える程度には花が咲き乱れており、枝葉は見栄えよく切りそろえられていた。
私たちは小屋にたどり着く事なく、その前にあった庭園に見入っていた。すると、
「誰だ、そこに居るのは!」
どこからともなく大きな声が聞こえてきた。
「そちらにいらしたのですか、センマイさん」
その声に反応したスーラは、そのように呼び掛けた。そこから出てきたのは40前後くらいのがっしりとした男性だった。なんてナイスミドル。
スーラもゲームには出てこなかったけれど、ゲームで存在しないからといっても、居ないわけじゃないのよね。リアルじゃこうやってちゃんと動いて喋るのだ。しかし、存在すらしないモブだからといっても、さすがはこの世界の人物、顔とか整ってるわね。
「なんじゃ、お嬢様付きのスーラか。って事は、その隣のご立派な令嬢は……」
「はい、アンマリアお嬢様でございます」
センマイが物珍しそうに私に顔を向けてくるので、スーラがサクッと答えていた。
「おお、そうかそうか。なかなかに見事な体格とは聞いておりましたが、なるほど確かにそうですな」
センマイが言葉を選んでいるのがよく分かる。眉がぴくぴく動いてるからね。私も多少は気にするけれど、聞き流すだけの度量はあるわ。父親は分からないけれど。
「で、そのお嬢様が一体何をしにここに来られたというのかな?」
「お嬢様は家のお手伝いがしたいらしいのですが、屋敷の中はさすがに全員に断られてしまったそうでして、それでしたら外はいかがかとこちらにお連れした次第なのです」
センマイはスーラからの回答を聞いて、あごを触りながらふーむと少し考え込み始めた。やっぱり彼もダメだというクチなのかしらね。
「まぁいいでしょう。お嬢様がお世話をしてくれるというのでしたら、花たちも喜ぶでしょうしな。やり方は分かりますかい?」
そう尋ねられた私だったが、よく思えば草花の世話なんて、小学校の当番以来した覚えがなかった。なので、素直に私は、
「分かりません。教えて頂けますか?」
と告げた。すると、センマイは私に対して、丁寧に庭師の仕事を教えてくれた。私の体形が太っているという事もあって、あまりその体形でも問題なさそうな仕事ばかりを教えてくれている。素晴らしいね、この庭師。しかも、この仕事も結構な運動になる。これはダイエット貯金がいいように溜まるかも知れないと、私の目の色が変わった。センマイはそんな私を見て、やれやれと半分呆れ気味にしていたそうな(スーラ談)。
というわけで私は、恩恵とダイエットの両方の貯金を始める事にしたのだった。さあ、うまくいってちょうだいよ。
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