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転生失敗!
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整った顔立ちの黒髪美少女が、俺に優しく微笑みかけている。
切れ長で少し垂れ目の眼差し。
つい先日、彼女になったばかりの来世 麗子だ。
「麗子・・・・・・部長・・・・・・」
傍目から見れば、あるいは抱き合ってるように映るかもしれないこの光景。
しかし、俺の腹部には庖丁が生えていた。
「あなたがいけないのよ霊太くん。私と言う彼女がいながら、他の学年の子と帰るなんて」
来世 麗子はヤンデレだった。
「・・・・・・あれは、妹だから」
血を吐きながら応える。
「・・・・・・・・・・・」
つぃっと目を逸らす麗子部長。
「お、おい・・・・・・っど、どうしてくれるんだよ。どす黒い血が流れてるぞ。これ、助からねーやつだろっ」
「大丈夫。霊太くん、あなた一人で逝かせない」
ヤダ・・・・・・決然とした表情の部長、かっこいい。
・・・・・・なんて思うわけないだろ。
完全にイかれてますわ。サイコパスですわ。
麗子部長は、俺がヘイトを溜めて見ている前で、なんてことない、といった動作で俺の血が付いた庖丁を首にあてがい、躊躇なく真一文字に引き裂いてしまった。
鮮血が俺の顔に振り掛かる。
麗子部長は血反吐を吐きながらも微笑み。口付けをしてきた。
またね・・・・・・。
それが最後に聞いた言葉。
まったく。
ヤンデレが許されるのは二次元だけだな。
そんなことを思いながら、俺の意識は深い暗闇へと落ちていった。
こうして、俺は高校1年の春。
あっけなく人生の幕を閉げた。
◆
◇
◆
暗い。
真っ暗だ、何も見えない。
音も聞こえない。
・・・・・・ここがあの世か。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・え?
まさか意識がある状態で、ずっとこのまま、なんてことないよな。
いやいやいや。やめてくれ。
こんなの気がおかしくなる。
そんなの地獄だ。
ていうか、ここは地獄なのか?
あばばばっと無様に俺が取り乱していると突然、目の前の空間にスポットライトのような光が灯った。
まるでなにかのショーの演出のように紙吹雪も落ちてくる。
円状に照らされた中央には、綺麗なドレスを着た女性がノリノリな様子でヘンテコなポーズをとって立っていた。
「じゃ~ん!という訳でー、最近のラノベで流行ネタ。憧れの転生はっじまっるよぉ~」
「転生・・・・・・それって、チート使って異世界救っちゃう奴か?」
「おっ話が早くて助かるわねぇ!今なら生まれながらの勝ち組。貴族の子として第二の人生を謳歌できるわよー」
「うおおぉーッ・・・・・・!」
まじか、最高じゃないか。
もういくら美少女でもヤンデレはごめんだ。
今度はまともな彼女をつくるぞ。
「さらにさらに、今なら超有能な女神から沢山加護をつけちゃうぞー」
「やったーッ!やるやるっがんばるぞーっ!」
こんなん即決に決まってるだろ!
「そんじゃ、いってら~」
「ひゃっほぉーぅっ!」
ぱっとテレビの番組を変えるかのごとく、視界が一瞬で変化する。
眼下には未知の惑星が広がっていた。
「おおーっ!これが異世界かー。青くて広いなー」
俺のスーパーソウルは大気圏へ降下するモビルスーツのように猛スピードで落ちていく。
幾つもの雲の層を突き抜け、広大で豊かな大地が視界一杯に広がる。
そのまま流星のごとく、グングン地表へと接近、やがて大きな町が見えてきた。
ディ○ニーランドのような白亜の城が見え、その近郊に建つ大きな屋敷へと降りていく。
そして、その中に住む、新たな生命を宿す女性の元へ――――――
――――うふふ。
まって。霊太くん。
刹那。
聞き覚えのある声が、背後から掛けられた。
「へっ!?」
お腹の胎児まで後僅かな地点で、弾かれたように後方へと引き戻される。
「ちょっ!?」
まるでバンジージャンプのように、来た時と同じ速度で急速に引き戻されていく。
「うおおぉっ!な、なんだっ!?どうなってる!?ど、どこにいくんだよこれっ」
景色が目まぐるしく変わる。
広大な町から離れ、幾つもの山を抜ける。
川を越え、海を越え、草原を通り過ぎても尚止まらない。
「ぶひぇっんっ!」
俺は結局どこかの森に転がり落ちてしまった。
「ほああああぁ・・・・・・なにがどうなってるんだぁ~・・・・・・」
意識がぐるぐる回るような感覚だ。
しばらくすると頭の中に、つい先ほど対話した女神の声が響いてきた。
「いやー長いことやってるけど、こんなの始めてのことよ。凄いわぁ。愛の力ねぇ~!」
「おい。どうなってるのか説明してくれっ!」
「メンゴメンゴ。本来なら君が転生するはずだった枠に割り込まれてしまったみたい」
「わ、割り込み!?割り込みってなんだよ!そんなのっ・・・・・・・そんなの、マナー違反だろうが・・・・・・っ!!」
「ちなみに代わって転生成功したのは、君を殺した来世 麗子ちゃん!」
「な、なんだってーっ!?」
「君の魂に強力な呪いをかけて、異世界にまで強引に付いてくるなんて、なんて情熱なの~」
「の、呪い!?なにそれ!麗子さんマジ怖い!」
「とまあ、そんな感じの強引な引き合いと反動で、君のしょぼいソウルは弾かれちゃった訳なのよ」
「や、やり直しを要求するッ!」
「むりよぉ」
「そ、それじゃぁ俺はこれからどうなるんだ?」
「う~ん・・・・・・わかんにゃい」
「おい」
「もう魂がそっちの世界に移動した以上、私は直接干渉できないのよね」
「このまま放置かよ!無責任にも程があるだろ!」
「でもまー、加護もちゃんとついてるし?この世界って死者が復活しちゃう方法もあるらしいし?」
「えっ死者が復活?そんな事が可能なのか!?どうすればいい?」
「それを教えたら面白くないでしょ?」
「いやいやお前を楽しませるために転生失敗した訳じゃねーから!」
「サービスで元の肉体もアイテムボックスに送っておくから。後は自分で何とかしてよ」
「そんなんでどうしろっていうんだよ糞女神」
「天罰」
「ぎゃああああああッいっててててててっ!」
電流が流れるような痛みが全身を襲う。
「干渉できないとか嘘じゃねーかコラ!」
「それじゃがんばってねー」
一方的に対話を打ち切り、糞女神の声が遠ざかってゆく。
うううう。
チートでイージーライフのはずだったのに、こんなのって酷いじゃないか。
切れ長で少し垂れ目の眼差し。
つい先日、彼女になったばかりの来世 麗子だ。
「麗子・・・・・・部長・・・・・・」
傍目から見れば、あるいは抱き合ってるように映るかもしれないこの光景。
しかし、俺の腹部には庖丁が生えていた。
「あなたがいけないのよ霊太くん。私と言う彼女がいながら、他の学年の子と帰るなんて」
来世 麗子はヤンデレだった。
「・・・・・・あれは、妹だから」
血を吐きながら応える。
「・・・・・・・・・・・」
つぃっと目を逸らす麗子部長。
「お、おい・・・・・・っど、どうしてくれるんだよ。どす黒い血が流れてるぞ。これ、助からねーやつだろっ」
「大丈夫。霊太くん、あなた一人で逝かせない」
ヤダ・・・・・・決然とした表情の部長、かっこいい。
・・・・・・なんて思うわけないだろ。
完全にイかれてますわ。サイコパスですわ。
麗子部長は、俺がヘイトを溜めて見ている前で、なんてことない、といった動作で俺の血が付いた庖丁を首にあてがい、躊躇なく真一文字に引き裂いてしまった。
鮮血が俺の顔に振り掛かる。
麗子部長は血反吐を吐きながらも微笑み。口付けをしてきた。
またね・・・・・・。
それが最後に聞いた言葉。
まったく。
ヤンデレが許されるのは二次元だけだな。
そんなことを思いながら、俺の意識は深い暗闇へと落ちていった。
こうして、俺は高校1年の春。
あっけなく人生の幕を閉げた。
◆
◇
◆
暗い。
真っ暗だ、何も見えない。
音も聞こえない。
・・・・・・ここがあの世か。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・え?
まさか意識がある状態で、ずっとこのまま、なんてことないよな。
いやいやいや。やめてくれ。
こんなの気がおかしくなる。
そんなの地獄だ。
ていうか、ここは地獄なのか?
あばばばっと無様に俺が取り乱していると突然、目の前の空間にスポットライトのような光が灯った。
まるでなにかのショーの演出のように紙吹雪も落ちてくる。
円状に照らされた中央には、綺麗なドレスを着た女性がノリノリな様子でヘンテコなポーズをとって立っていた。
「じゃ~ん!という訳でー、最近のラノベで流行ネタ。憧れの転生はっじまっるよぉ~」
「転生・・・・・・それって、チート使って異世界救っちゃう奴か?」
「おっ話が早くて助かるわねぇ!今なら生まれながらの勝ち組。貴族の子として第二の人生を謳歌できるわよー」
「うおおぉーッ・・・・・・!」
まじか、最高じゃないか。
もういくら美少女でもヤンデレはごめんだ。
今度はまともな彼女をつくるぞ。
「さらにさらに、今なら超有能な女神から沢山加護をつけちゃうぞー」
「やったーッ!やるやるっがんばるぞーっ!」
こんなん即決に決まってるだろ!
「そんじゃ、いってら~」
「ひゃっほぉーぅっ!」
ぱっとテレビの番組を変えるかのごとく、視界が一瞬で変化する。
眼下には未知の惑星が広がっていた。
「おおーっ!これが異世界かー。青くて広いなー」
俺のスーパーソウルは大気圏へ降下するモビルスーツのように猛スピードで落ちていく。
幾つもの雲の層を突き抜け、広大で豊かな大地が視界一杯に広がる。
そのまま流星のごとく、グングン地表へと接近、やがて大きな町が見えてきた。
ディ○ニーランドのような白亜の城が見え、その近郊に建つ大きな屋敷へと降りていく。
そして、その中に住む、新たな生命を宿す女性の元へ――――――
――――うふふ。
まって。霊太くん。
刹那。
聞き覚えのある声が、背後から掛けられた。
「へっ!?」
お腹の胎児まで後僅かな地点で、弾かれたように後方へと引き戻される。
「ちょっ!?」
まるでバンジージャンプのように、来た時と同じ速度で急速に引き戻されていく。
「うおおぉっ!な、なんだっ!?どうなってる!?ど、どこにいくんだよこれっ」
景色が目まぐるしく変わる。
広大な町から離れ、幾つもの山を抜ける。
川を越え、海を越え、草原を通り過ぎても尚止まらない。
「ぶひぇっんっ!」
俺は結局どこかの森に転がり落ちてしまった。
「ほああああぁ・・・・・・なにがどうなってるんだぁ~・・・・・・」
意識がぐるぐる回るような感覚だ。
しばらくすると頭の中に、つい先ほど対話した女神の声が響いてきた。
「いやー長いことやってるけど、こんなの始めてのことよ。凄いわぁ。愛の力ねぇ~!」
「おい。どうなってるのか説明してくれっ!」
「メンゴメンゴ。本来なら君が転生するはずだった枠に割り込まれてしまったみたい」
「わ、割り込み!?割り込みってなんだよ!そんなのっ・・・・・・・そんなの、マナー違反だろうが・・・・・・っ!!」
「ちなみに代わって転生成功したのは、君を殺した来世 麗子ちゃん!」
「な、なんだってーっ!?」
「君の魂に強力な呪いをかけて、異世界にまで強引に付いてくるなんて、なんて情熱なの~」
「の、呪い!?なにそれ!麗子さんマジ怖い!」
「とまあ、そんな感じの強引な引き合いと反動で、君のしょぼいソウルは弾かれちゃった訳なのよ」
「や、やり直しを要求するッ!」
「むりよぉ」
「そ、それじゃぁ俺はこれからどうなるんだ?」
「う~ん・・・・・・わかんにゃい」
「おい」
「もう魂がそっちの世界に移動した以上、私は直接干渉できないのよね」
「このまま放置かよ!無責任にも程があるだろ!」
「でもまー、加護もちゃんとついてるし?この世界って死者が復活しちゃう方法もあるらしいし?」
「えっ死者が復活?そんな事が可能なのか!?どうすればいい?」
「それを教えたら面白くないでしょ?」
「いやいやお前を楽しませるために転生失敗した訳じゃねーから!」
「サービスで元の肉体もアイテムボックスに送っておくから。後は自分で何とかしてよ」
「そんなんでどうしろっていうんだよ糞女神」
「天罰」
「ぎゃああああああッいっててててててっ!」
電流が流れるような痛みが全身を襲う。
「干渉できないとか嘘じゃねーかコラ!」
「それじゃがんばってねー」
一方的に対話を打ち切り、糞女神の声が遠ざかってゆく。
うううう。
チートでイージーライフのはずだったのに、こんなのって酷いじゃないか。
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