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【閑話】桜の樹の下で…
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寒かった昨日までが嘘のように暖かくなって桂川の桜並木にもピンクの花が咲き始めた…。
「ブレンド、アイスオールワンでーす!」
「はい!ブレンド2つ出来ました!」
「はーい!」
あのプルプルで運んでいた悠夜がすっかり慣れて注文を取り珈琲を運んでいる。
相変わらず背中にはSPが張り付いているけど…それも店の常連さんには当たり前な風景になったけどね。
ここは京都でも有数の観光地で春になって桜が咲き始めると観光客も多くなる…最近は外国の観光客が多くなって、ここにはネイティブで話せる人がいるので珈琲飲みながら道を聞きに来る人も多い。
悠夜も5ヶ国語話せるのには、ちょっと驚いたのは内緒だ。
悠夜が無事高校を卒業し、こちらに引っ越して来たのは最近だ…ここに引っ越して来て貰っても良かったのだが狭い家に悠夜とSPもとは無理って事で結局ゴッドシャトー京都の最上階が改装されて悠夜と俺の新居となった。
悠夜の希望はあくまでも俺の家で狭くても二人だけで住む事だったが…弟の雄大の事もあったし転移も出来る俺が悠夜の側にいつでもいけるのだからと説得してこうなった。
こうなった最大の理由は、正月前に悠夜が大きな心臓病の発作を起こした事だ…。
体が大きくなってから、大きな発作が無かった…特に俺と会ってからは軽い発作すら出なくなった事もあって関係者一同安心してた…それは俺も同じで、すっかり悠夜の心臓は大丈夫だと思っていた。
悠夜が大きな発作で一時意識を失って数秒とはいえ心停止もした…側に看護師資格を持つ彼等が居なかったら…そう考えるだけで震えてしまう。
上位の神でもある悠夜の力に体が耐えられないのだと説明を受け、これは治せないという事も理解した。
どこかこのまま暮らしていくのだと思っていた。
「ねぇ~那智、桜見に行こうよ!桂川の満開だって常連の吉川さんが言ってたよ!」
「夜は冷えますよ…」
「大丈夫!ちゃんと暖かい格好で行くから!」
「ですが…」
「全部の季節を一緒に過ごしたいんだ…春も夏も秋も冬も…同じ季節であっても同じじゃないでしょ?」
「分かりました…達磨さんに伝えて…」
「二人だけがいい…二人で行きたい…」
「…分かりました…なら晩御飯終わってから転移しましょう!」
「うん!」
笑顔を見せた悠夜に俺も少し笑って…今夜の短い夜桜見物が楽しみになった。
昼は観光地だけあって人が多い嵐山だが、夜になると昼間の喧騒が嘘の様に静まり返る。
夜風に散っていく桜を眺めながら悠夜と一緒に手を繋いで歩いて行く。
何も喋らなくてもいい…繋いだ手の温かさがあるだけでいい…。
満開に咲いた桜が強い川風に吹かれ散っていくのが美しくて…儚くて…泣いてしまいそうになる。
「那智…」
「はい…」
「来年も…一緒に桜見に行こうね!」
「はい…来年も再来年も一緒に見ましょう!」
「うん!」
桜の木の下で二人は自然と顔を寄せてキスをした…。
このまま時が止まればいい…そう願っていた。
「ブレンド、アイスオールワンでーす!」
「はい!ブレンド2つ出来ました!」
「はーい!」
あのプルプルで運んでいた悠夜がすっかり慣れて注文を取り珈琲を運んでいる。
相変わらず背中にはSPが張り付いているけど…それも店の常連さんには当たり前な風景になったけどね。
ここは京都でも有数の観光地で春になって桜が咲き始めると観光客も多くなる…最近は外国の観光客が多くなって、ここにはネイティブで話せる人がいるので珈琲飲みながら道を聞きに来る人も多い。
悠夜も5ヶ国語話せるのには、ちょっと驚いたのは内緒だ。
悠夜が無事高校を卒業し、こちらに引っ越して来たのは最近だ…ここに引っ越して来て貰っても良かったのだが狭い家に悠夜とSPもとは無理って事で結局ゴッドシャトー京都の最上階が改装されて悠夜と俺の新居となった。
悠夜の希望はあくまでも俺の家で狭くても二人だけで住む事だったが…弟の雄大の事もあったし転移も出来る俺が悠夜の側にいつでもいけるのだからと説得してこうなった。
こうなった最大の理由は、正月前に悠夜が大きな心臓病の発作を起こした事だ…。
体が大きくなってから、大きな発作が無かった…特に俺と会ってからは軽い発作すら出なくなった事もあって関係者一同安心してた…それは俺も同じで、すっかり悠夜の心臓は大丈夫だと思っていた。
悠夜が大きな発作で一時意識を失って数秒とはいえ心停止もした…側に看護師資格を持つ彼等が居なかったら…そう考えるだけで震えてしまう。
上位の神でもある悠夜の力に体が耐えられないのだと説明を受け、これは治せないという事も理解した。
どこかこのまま暮らしていくのだと思っていた。
「ねぇ~那智、桜見に行こうよ!桂川の満開だって常連の吉川さんが言ってたよ!」
「夜は冷えますよ…」
「大丈夫!ちゃんと暖かい格好で行くから!」
「ですが…」
「全部の季節を一緒に過ごしたいんだ…春も夏も秋も冬も…同じ季節であっても同じじゃないでしょ?」
「分かりました…達磨さんに伝えて…」
「二人だけがいい…二人で行きたい…」
「…分かりました…なら晩御飯終わってから転移しましょう!」
「うん!」
笑顔を見せた悠夜に俺も少し笑って…今夜の短い夜桜見物が楽しみになった。
昼は観光地だけあって人が多い嵐山だが、夜になると昼間の喧騒が嘘の様に静まり返る。
夜風に散っていく桜を眺めながら悠夜と一緒に手を繋いで歩いて行く。
何も喋らなくてもいい…繋いだ手の温かさがあるだけでいい…。
満開に咲いた桜が強い川風に吹かれ散っていくのが美しくて…儚くて…泣いてしまいそうになる。
「那智…」
「はい…」
「来年も…一緒に桜見に行こうね!」
「はい…来年も再来年も一緒に見ましょう!」
「うん!」
桜の木の下で二人は自然と顔を寄せてキスをした…。
このまま時が止まればいい…そう願っていた。
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