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家族会議2
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家族会議は続く。
「ここにいる皆さんはご存知ですよね、悠ちゃんの夢ってのを。」
「ああ…知っている。小さい頃から悠夜が言っているからね。」
「そう、会いたい人がいるんだって。それも前世で約束した相手だってね。」
そう、悠夜様には夢があった。
その夢を叶える為に彼はこの世界に生まれて来たという神様なんだと。
誰もが子供の言う夢だから、半分位信じて無かったと思う。
でも、悠夜様が神様ってのは不思議と信じてしまう所がある。
一つは、その自身の醸し出す力というか光のようなオーラともいうか、悠夜様の側は限りない癒しがある。
そして、彼の命を助けるように大きくなっていく会社。元が小さな町工場が、これほど大きな企業にたかだか十数年でなるのは奇跡でしかない。
実は僕元が神様なんだ~って悠夜様以外が言ったら、直ぐに病院に連れて行く。
でも、納得してしまうだけの何かが悠夜様にはある。それは、誰も反論出来ない程にだ。
「悠ちゃんは、ずっと探してた人が京都にいたんだよ。それは、向こうも分かっていたようだったよ。相手の人も"会いたかった"って言っていたからね。」
それはもう、自然な流れのようだった。
京都嵐山のクラシカルな喫茶店。
修学旅行の自由行動時間に悠夜はフッと感じた様に振り向いた。
「悠ちゃん?」
「あそこに行く。」
「え!念仏寺に行く予定じゃなかった?」
「彼処に探していた人がいる。」
そう言ってスタスタ歩き出した彼に驚いたが、直ぐに周りを確認しながら付いて行くと目の前に古い佇まいでシックな感じの喫茶店があった。
悠ちゃんは躊躇もなく扉を開けると中から若い男性の声がかかった。
「いらっしゃいませ」
入口は狭いが中は結構広い。
カウンターとテーブル席があり、カウンターで珈琲を淹れていた青年が悠ちゃんの顔を見て固まっていた。
二人は見つめ合って、青年が先に声を掛けた。
「こちらの席にどうぞ」
その席はカウンターの1番日当たりの良い予約のプレートが置いてある席だった。そこに案内された事に店にいた何人かの人が息を吸い込んで驚いていた。
悠ちゃんは静かに案内された席に着いた。我らSPも彼の直ぐ後ろの席に座った。なんだか二人の邪魔をする事は禁忌な感じがして、隣の席に座るのを躊躇ったからだ。
青年は言った。
「ずっと、お待ちしていました」
「うん…待たせたね。長い時間待たせてしまったね」
「…でも、こうして会えました。願いは叶いました…」
うっすらと目が潤んでいる青年の顔を悠ちゃんは嬉しそうに見ていた。
「飲んで頂きたい珈琲があるんです」
「うん、それでいいよ」
静かな空気が流れて、香ばしい珈琲香りが周りを包み込んでいた。
店の中で誰もが、この空気を壊さないようにしている様に誰も声を出さない。
静かにクラッシックなピアノの音とカップの音だけが聞こえていた。
「ここにいる皆さんはご存知ですよね、悠ちゃんの夢ってのを。」
「ああ…知っている。小さい頃から悠夜が言っているからね。」
「そう、会いたい人がいるんだって。それも前世で約束した相手だってね。」
そう、悠夜様には夢があった。
その夢を叶える為に彼はこの世界に生まれて来たという神様なんだと。
誰もが子供の言う夢だから、半分位信じて無かったと思う。
でも、悠夜様が神様ってのは不思議と信じてしまう所がある。
一つは、その自身の醸し出す力というか光のようなオーラともいうか、悠夜様の側は限りない癒しがある。
そして、彼の命を助けるように大きくなっていく会社。元が小さな町工場が、これほど大きな企業にたかだか十数年でなるのは奇跡でしかない。
実は僕元が神様なんだ~って悠夜様以外が言ったら、直ぐに病院に連れて行く。
でも、納得してしまうだけの何かが悠夜様にはある。それは、誰も反論出来ない程にだ。
「悠ちゃんは、ずっと探してた人が京都にいたんだよ。それは、向こうも分かっていたようだったよ。相手の人も"会いたかった"って言っていたからね。」
それはもう、自然な流れのようだった。
京都嵐山のクラシカルな喫茶店。
修学旅行の自由行動時間に悠夜はフッと感じた様に振り向いた。
「悠ちゃん?」
「あそこに行く。」
「え!念仏寺に行く予定じゃなかった?」
「彼処に探していた人がいる。」
そう言ってスタスタ歩き出した彼に驚いたが、直ぐに周りを確認しながら付いて行くと目の前に古い佇まいでシックな感じの喫茶店があった。
悠ちゃんは躊躇もなく扉を開けると中から若い男性の声がかかった。
「いらっしゃいませ」
入口は狭いが中は結構広い。
カウンターとテーブル席があり、カウンターで珈琲を淹れていた青年が悠ちゃんの顔を見て固まっていた。
二人は見つめ合って、青年が先に声を掛けた。
「こちらの席にどうぞ」
その席はカウンターの1番日当たりの良い予約のプレートが置いてある席だった。そこに案内された事に店にいた何人かの人が息を吸い込んで驚いていた。
悠ちゃんは静かに案内された席に着いた。我らSPも彼の直ぐ後ろの席に座った。なんだか二人の邪魔をする事は禁忌な感じがして、隣の席に座るのを躊躇ったからだ。
青年は言った。
「ずっと、お待ちしていました」
「うん…待たせたね。長い時間待たせてしまったね」
「…でも、こうして会えました。願いは叶いました…」
うっすらと目が潤んでいる青年の顔を悠ちゃんは嬉しそうに見ていた。
「飲んで頂きたい珈琲があるんです」
「うん、それでいいよ」
静かな空気が流れて、香ばしい珈琲香りが周りを包み込んでいた。
店の中で誰もが、この空気を壊さないようにしている様に誰も声を出さない。
静かにクラッシックなピアノの音とカップの音だけが聞こえていた。
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