人は神を溺愛する

運命のスピーチ

登壇された悠夜様は会場を見回して、小さく息を吸うとスピーチを始められた。
「お集まり頂きました皆さん。今宵は僕、いえ私の誕生日を祝いに来て頂き本当にありがとうございます。
毎年こうしてたくさんの方々に祝って頂けるなんて本当に私は幸せです。こうして17年生きて居られるのも、ここにいる最愛の家族のお陰でもあります。お父さんお母さんそしてお兄ちゃん達のお陰です、本当にありがとう。」
「「「「「悠ちゃん…」」」」」
涙が溢れそうなご家族と悠夜様の姿にもらい泣きしそう。
「私は身体が弱くて何度諦めそうになった時も、家族が支えてくれたお陰で、こうして元気に学校へも通える様になりました。そこで出会った友人達と修学旅行も参加出来る程になったのです。そして、私はこの世に生まれた目的地にやっと行けました！私は運命の人に出会えたんです！」
「「「「「う運命！？」」」」」
「来年、高校を卒業しましたら私は運命の人と暮らす為に京都に移り住みます！そして、そして、その人のお嫁さんに…なります。」
「「「「「「お～お～お～お嫁さん！！！！！」」」」」
「はい！」

会場は、正しく蜂の巣をひっくり返したような騒めきの坩堝へ落ちました。
登壇していた社長も専務も口からエクトプライムが出て、多分失神していたでしょう。
そこに悠夜様の追い打ちが、

「嫁に参りますので、来年から私の誕生日パーティーはありませんのでご了承下さいませ。今日は本当にありがとうございました。どうか、ここに集った皆々様がいつまでもお元気でいらしゃるようにお祈りしています！」

そして、一礼した後、それは嬉しそうな満面の笑顔を見せる悠夜様のスピーチに拍手と騒めきが一斉に贈られたのです。

誰でもいい！この騒ぎ止めて下さい！