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【閑話】御厨那智の独り言
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古の古都、京都に住んでもうどの位になるのか分からない。
何故ならば、ここはあの人と出会いそして亡くした場所だからだ。
家の裏庭にある巨大な岩は愛しい人の墓標で自分がここを忘れない様にと置いた岩だった。
ここに住む様になったのは時代も平安になってからだったと思う。
その時代は、まだまだ暗い時代でもあったから多少の不思議な力があったとしても化け物扱いされなかったし逆に陰陽師といった仕事に活用も出来たし、魔術師も今より人数も多かったから生きやすかった。
それに都で人も他より多かったから、紛れ込むのにも簡単だったのも理由の一つであったのも事実だ。
権力者に何度も狙われた事もあって離れる事もあったけど、結局この土地に戻って来たのは愛しい人の側に居たいと何処かで思っていたのかもしれない。
何度も何度も産まれては死んで、記憶を持っていてもそれが本当だったのか?と思う時も思うたび、この大岩を見ては自分の記憶が正しいと思い直した。
愛しいあの人を恨んだ時もあった、いっそ忘れてしまおうと思った事もあった。
その度に大岩は、俺に愛しい人の記憶を呼び出してくれた。
明治時代にこの大岩の周りの土地を買って、家を建てて住む事にした。
結局、探しても探しても見つからないあの人の魂をここで待つ事に決めたのだ。
もう疲れていた…生きて行く事に疲れていた。
長く記憶を留めている事は、親しい人達との別れの記憶でもある。
その膨大な記憶を持つ事に疲れ、時代の流れにも疲れた。
やっと平和になった時代に産まれ直したが、この疲れを癒す事は無かった。
だから、御厨那智の人生を最後にすると決めた。
偶然なのか必然だったのか、1番最初の名前が付けられた。
明治時代に建てた家にもう一度産まれて来るなんて事も初めてだったと思う。
そして、この御厨家の長男として産まれて育ち、弟が産まれて家族が増えて賑やかな少年時代を過ごし高校3年の夏に両親が交通事故で亡くなり堅実な両親が掛けていた保険金のお陰で、なんとか高校を卒業出来た…とか言われてたけど実は元々これまでに蓄えた資金が某所に預けてあって特に金に困る事は無かったので大学にも行こうと思えば行けたんだが長年生きていると学校も何度も行ってたりするからいい加減飽き飽きしてたから弟の面倒を見るのを言い訳にして、サッサと自分の趣味だった珈琲焙煎を仕事にして自宅を改装して喫茶店にした。
そんな俺を弟や周りの大人達も優秀なのに歳の離れた弟の為に大学進学を諦めたと思われている。
まあ、世間体を考えてそのまま誤解させてるけど…。
流石に弟には通帳や諸々の証券を見せて納得させた。
結構ショック受けていたな…ウチって貧乏じゃなっかたのか…って言ってたし(笑)
でも弟の勇大は、それを知っても余り変わらなかった。
金っていうのは人を変えてしまう力があるから、もしかすると弟も変わってしまうかもしれないと思っていたけど、勇大は日々の暮らしも大好きな弓道も変えずに、これまでもこれからも弟は変わらずに暮らしている。
長く生きていて最後の最後に尊敬出来る人に出会えた…俺も幸運だ。
そして…俺の運命は突然色を変えてしまった。
幸せだ。
振り回されるのは昔も今も一緒で、彼の周りは昔から賑やかだったけど今はさらにグレードが増しているけどね…。
側にある温かい身体を抱き寄せるとスリスリと頬を俺の裸の胸に寄せて眠りながら微笑む悠夜を抱きしめて情事の後の幸せを今は噛み締めておこう。
この幸せな時間が俺の長い長い孤独を癒してくれるのを感じながら俺も目を閉じて意識を手放した。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
お気に入り&お読み頂きありがとうございます。
160のお気に入り感謝の閑話で御座いますぅ~!!短くてゴメンなさい!!!!
ちょっと体調崩してズルズルと更新が滞り中でございますが…ごめんなさい!!
亀の歩みですが、ちゃんと田中さんは書いてますよ~もう少々待ってて下さい!
よろしくお願い申し上げます。
何故ならば、ここはあの人と出会いそして亡くした場所だからだ。
家の裏庭にある巨大な岩は愛しい人の墓標で自分がここを忘れない様にと置いた岩だった。
ここに住む様になったのは時代も平安になってからだったと思う。
その時代は、まだまだ暗い時代でもあったから多少の不思議な力があったとしても化け物扱いされなかったし逆に陰陽師といった仕事に活用も出来たし、魔術師も今より人数も多かったから生きやすかった。
それに都で人も他より多かったから、紛れ込むのにも簡単だったのも理由の一つであったのも事実だ。
権力者に何度も狙われた事もあって離れる事もあったけど、結局この土地に戻って来たのは愛しい人の側に居たいと何処かで思っていたのかもしれない。
何度も何度も産まれては死んで、記憶を持っていてもそれが本当だったのか?と思う時も思うたび、この大岩を見ては自分の記憶が正しいと思い直した。
愛しいあの人を恨んだ時もあった、いっそ忘れてしまおうと思った事もあった。
その度に大岩は、俺に愛しい人の記憶を呼び出してくれた。
明治時代にこの大岩の周りの土地を買って、家を建てて住む事にした。
結局、探しても探しても見つからないあの人の魂をここで待つ事に決めたのだ。
もう疲れていた…生きて行く事に疲れていた。
長く記憶を留めている事は、親しい人達との別れの記憶でもある。
その膨大な記憶を持つ事に疲れ、時代の流れにも疲れた。
やっと平和になった時代に産まれ直したが、この疲れを癒す事は無かった。
だから、御厨那智の人生を最後にすると決めた。
偶然なのか必然だったのか、1番最初の名前が付けられた。
明治時代に建てた家にもう一度産まれて来るなんて事も初めてだったと思う。
そして、この御厨家の長男として産まれて育ち、弟が産まれて家族が増えて賑やかな少年時代を過ごし高校3年の夏に両親が交通事故で亡くなり堅実な両親が掛けていた保険金のお陰で、なんとか高校を卒業出来た…とか言われてたけど実は元々これまでに蓄えた資金が某所に預けてあって特に金に困る事は無かったので大学にも行こうと思えば行けたんだが長年生きていると学校も何度も行ってたりするからいい加減飽き飽きしてたから弟の面倒を見るのを言い訳にして、サッサと自分の趣味だった珈琲焙煎を仕事にして自宅を改装して喫茶店にした。
そんな俺を弟や周りの大人達も優秀なのに歳の離れた弟の為に大学進学を諦めたと思われている。
まあ、世間体を考えてそのまま誤解させてるけど…。
流石に弟には通帳や諸々の証券を見せて納得させた。
結構ショック受けていたな…ウチって貧乏じゃなっかたのか…って言ってたし(笑)
でも弟の勇大は、それを知っても余り変わらなかった。
金っていうのは人を変えてしまう力があるから、もしかすると弟も変わってしまうかもしれないと思っていたけど、勇大は日々の暮らしも大好きな弓道も変えずに、これまでもこれからも弟は変わらずに暮らしている。
長く生きていて最後の最後に尊敬出来る人に出会えた…俺も幸運だ。
そして…俺の運命は突然色を変えてしまった。
幸せだ。
振り回されるのは昔も今も一緒で、彼の周りは昔から賑やかだったけど今はさらにグレードが増しているけどね…。
側にある温かい身体を抱き寄せるとスリスリと頬を俺の裸の胸に寄せて眠りながら微笑む悠夜を抱きしめて情事の後の幸せを今は噛み締めておこう。
この幸せな時間が俺の長い長い孤独を癒してくれるのを感じながら俺も目を閉じて意識を手放した。
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お気に入り&お読み頂きありがとうございます。
160のお気に入り感謝の閑話で御座いますぅ~!!短くてゴメンなさい!!!!
ちょっと体調崩してズルズルと更新が滞り中でございますが…ごめんなさい!!
亀の歩みですが、ちゃんと田中さんは書いてますよ~もう少々待ってて下さい!
よろしくお願い申し上げます。
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