人は神を溺愛する

猫屋ネコ吉

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始まり

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暗い森の中。
古い和洋折衷の家が建っていた。
この場所は世界の要人しか知らない場所で、世界の秘密を知る者のみが来れる場所。

今夜は世界各国の要人がある予言を頂きに来ていた。

「神がこの世に降りなさるようじゃ」
「「「「「「「!!!」」」」」」」
「どの国に降りられるのでしょうか?巫女さま。」
「この度は…日本じゃな」
「やっ…」
恰幅のいい1人の男は喜びの声を上げかけて口を抑えた。
その他の人々が憎らしげに見たからだが、男は顔を背けただけで笑顔が溢れていた。
「神が降りる国は、その神の恩恵を受ける。それも大きなだな…しかも、今回降りられるのは力強き神のようじゃ。」
「巫女さま、では、その神は…」
「そう、この世界では最弱となられる。長くは生きていかれまい。」
「そ、そんな~」
「神のエネルギーは巨大過ぎる。それを人の体に入れるのはガラスにマグマを入れるような物じゃ、身体が耐えられぬ。しかし、この世界の理を神であっても破る事は出来ぬ。この人の世界では器が必要なのじゃ。」
「「「「「「「ふ~」」」」」」」
「しかし、このような高位の神が何故降りられるのか。苦しいだけであろうに…」
「巫女さま、では神の降臨はいつ頃になるのでしょうか?」
深く思案顔であった巫女さまの顔が上げられた。

「神は....明日降臨される。」
「「「「「「「!!」」」」」」」
「短き生の間、神の逆鱗に触れぬよう気を付けなされ。神のお気持ち次第でこの世を消す事も可能なほどの力をお持ちじゃ。くれぐれも頼みましたぞ。」
「「「「「「「御意!」」」」」」」

来ていた要人達が去った後、1人になった巫女が深い深い森の中で、これから起こるであろう出来事をひっそり憂いていた。
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