人は神を溺愛する

猫屋ネコ吉

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田中さんの後継者 2

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私は神城家の執事、田中と申します。
私には家族がおりません。
私の両親は、私が中学に入る頃に離婚をし私は父に引き取られました。
父と母の間に何があって離婚したのかは…子供であった私には想像もつきませんでしたし、父も最後まで何も言わないまま私が大学を卒業する頃に癌で亡くなったのです。
父は私の行く末を考えてか学校を卒業出来るまでの遺産を十分に残しておいてくれたので、天涯孤独となった私はイギリスの執事を養成する専門学校へと進んだのです。
そして、そのままイギリスで就職し日本に戻るつもりは無かったのですが、私の運命が日本へ帰国させ、そして神城家へと出会ったのです。
私は、ここで家族の温かみを知りました。
そして…





「鈴木一郎くん…年齢19歳ですか…高校卒業後は?」
「はい、ちょうど身内が病気になったので卒業後は、看病の為に家に居ました。ですが、その身内が先月亡くなりまして就活を始めた次第です。」
「そうですか…大変でしたね。」
「ただ、病院への治療費が大きかったので大学に行く事が出来ませんでした。やっぱり、大卒でなければ就職は難しいですか?こちらの募集にはその記述が無かったので応募したのですが…」
「大丈夫ですよ…今回の募集には学歴不問でございますから…ただ職業柄大変通常の仕事とは違うと申し上げておきましょう!若い方には厳しいとも思うのですが…。」
「まあ、その分凄く高給ではあるけど使う暇は無いよね~」
「ふふふ…某セバス並みのイケボ…スレンダーな肢体…」
「お母さん?」
「ゲフンゲフン!何でも無いわ悠ちゃん!鈴木一郎君そんな訳で~採用!!」
「お母さん!?」
「奥様…」
「まあ、勿論仮採用よ!3ヶ月やってみて双方で本採用かやっぱり無理ならそれまでって事にすれないいじゃない?」
「ありがとうございます!!」
「いいでしょ?悠ちゃん?」
「う~ん…う~ん…ま!いいか…思っていたよりチョロそう…」
「悠ちゃん?何か言った?」
「ゲフンゲフン…大丈夫だよ。お試しはしないとね!」
「では、仮採用という事で決定でございますね?」
「「はい!!」」
「よろしくお願い致します!」
「では、従業員寮がございますがご利用されますか?」
「はい!お願い致します!」
「では、取り敢えず仮でございますので完全引っ越しは3ヶ月後と致しましょう。制服はこちらでご用意致しますので、後でサイズを測ります。その時健康診断も致しますので、明日暫く生活出来るだけの荷物をお持ち頂き朝10時に再度こちらにおいで下さい。」
「分かりました。」
「従業員出入り口で必ず入館証が必要となります。明日それもお作り致しますので、当家裏門からこちらの仮入館証を忘れずお持ち下さい。」
「はい!」
「仮入館証は規定の時間以外は使えません…明日時間厳守でお願い致します。」
「10時前10分は大丈夫でしょうか?」
「はい、前10分は大丈夫でございます。10時後は1分で切れますのでご注意を。」
「はい!分かりました。」
「「なんか大変…」」
「奥様、悠夜様…これはセキュリティ上絶対必要なのですよ…当家の従業員はこれが当たり前なのでございます。この約束事を守れない者は1人としておりません!」
「「そうなんだ~凄いなぁ~」」
「呑気過ぎる主人を護る為には仕方がない事でございます…これを作り実行させたのは夕霧様でございますけど!」
「「達磨(達兄)くん大変だね…」」
「……で、では、明日お待ちしております。」
「は…い…」

こうして後継者(仮)は選ばれた。


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事件は次回か?
次回更新は次の日曜日になります(*´꒳`*)たぶん…
お気に入り&お読み頂きありがとうございます(〃ω〃)

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