人は神を溺愛する

猫屋ネコ吉

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王決定戦3

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さて、闘技場の真ん中で剣を持った状態で立っている悠夜は暇にしていた。

「何で誰も掛かって来ないんだろ?俺一人なのに…。」

悠夜の周りでは激闘しているんだが、彼の半径2メートルは静かなままだった。

「当麻…楽しそう…いいな~。」

オラオラ言いながら人を飛ばして行く当麻を羨ましそうに見てる悠夜だったが、そろそろアレが来る頃だろうから動くかと、大地に刺していた剣を引き抜く。
そして、念話で2人の王に呼びかける。

『白の王、魔王にお願いする。』
『『黒の王?』』
『今から極大魔法ぶっ放すからさ~闘技場の観客席全体に保護魔法掛けて欲しいんだよね~』
『な!待て!!!こんな所で極大って!』
『あと10秒待つ…』
『『10!!!』』

左右の貴賓席から闘技場の観客席のみ包むバリアーが高速で囲むのを確認して悠夜は唱えた。

”我が深淵なる黒き炎よ、絶大なる力を持って大いなる瀑布となれ!!”

「な!その呪文はダメだっ!王!!」

当麻が叫んでいたが、呪文は成立し巨大な黒き炎の柱が王を中心に広がって行く。

黒焔瀑布くののほむらのおおたき

一瞬の静けさから大きな黒い炎の柱が立ち、そこから大きな滝のように炎が落ちて来る。

闘技場の中は、その大きな炎の爆風が立ち、そこにいた全員が吹き飛ばされて闘技場の外へ飛んで行く。

「玉屋~!」

闘技場内にいたほとんどが場外に飛ばされていった。

「ウチの戦士達も、まだまだだな~もっと鍛えないとダメだ~。」
「王!!なんちゅう技をぶっ放してくれたんだよ!全員黒焦げになる所だったぞ!!!」
「おお~当麻は耐えたか~当然だけどね~良かったわ。」
「あのな~これで勝敗は決したけどな…ズリ~よ。王降りるつもり無かったんじゃん。」
「ふふふ…これでも挑んで来るヤツいたら譲ったんだけど、当麻来る?」
「いや、俺も心折れたわ…これ以上っての無理だし。」
「そっか。じゃあそろそろ黒幕締めて行くか!時間無いし。」
「黒幕?」

一瞬で悠夜は神側の貴賓席に移動した。
「な!黒の!!いきなり大技って何やってくれてんだよ!!」
「赤のお座り!」
「ワン!」
「さて、時間も無いから話しを付けようか?黄の…。」

そう言った悠夜は黄色の王の襟首を捕まえて、闘技場の真ん中に瞬間移動した。

「な!なんやねん!黒の!!」
「今回、色々内政干渉してくれたみたいだね~本当に迷惑だったよ!」
「な…なんの事やろ~知らんな~。」
「あのね~自慢じゃないけどウチの連中、脳筋ばかりだからね~色々証拠残してくれてるワケよ。黄のだけなら証拠も何も残して無かっただろうけど、ウチの長老達って一見頭良さそうだけどさ~基本脳筋だから弱いのよ~頭使う悪い事はね!」
「ひっ!!」
「筋書きは、長老達焚き付けて俺を呼び戻して王決定戦やりたかったんだよね~一族ほっといて現世にいる王なんて役立たずとか言って王を代わらせる必要があるとか言ったんでしょ?
そして、王決定戦やるとなったら天界魔界と神々が集まってお祭り騒ぎになる。
お金が集まるよね~通常の何倍もの売り上げだもんね~。」
「………」
「誰が王になるかって賭けの大元もだし~そりゃ儲かるよね!
でも、今回俺が戻って来て直ぐに闘技場開けたから予定してた半分になったかな?本当にお金儲け好きだよね~!」

黄色の王は小刻みに震えていた。
黒の王である悠夜の全身から黒い炎の様なオーラが立ち上がっていた。
ジワジワ来る灼熱の熱さが広がっていく。
黄色の王は、ここで初めて怒らせてはいけない神の逆鱗に触れた事をジリジリした熱さを肌で感じて知った。

「その所為でね~ウチの一族の子が現世に降りたんだよ、精神防御も出来ない子供がね!その子泣いていたんだ、帰りたいってね!現世で魂にギズを付けてしまったその子は、神として神界に戻れなくなってしまったよ!帰りたいと思う世界に帰る事は出来ない!本当残酷だよね!
天で生まれた神の子なんて本当に貴重なのに!!」
「ひぃ~!それはワイが選んだわけじゃ~…」
「そう仕向けたのは貴方だよね…本当に御し難いよ!貴方って神はね!
その子は、現世で俺が傍で傷を癒すとしても魂に着いた傷故に神代に戻れる様になるまで、人の一生分の時間が必要になるだろう。あの子の願いが叶うまで沢山の時間が必要になる。
ねぇ~黄の、どう落とし前付けてくれるの?」
「わ、わ、わいは何にも悪く無い!!そりゃ黒の長老達に色々話しはしたけど、そんな事せいとは言って無いもん!」
「ふ~ん…認め無いんだ~自分が悪い事やったって事を。」
「しょ!証拠があるんかい!!証拠を出せや!!」
「…だいたいそのセリフって犯人が言うセリフだよね~」
「ひっ!!!!」
「じゃあ、しょうがない。
正直に謝ったら許してあげたのに残念だなー。 これを見て。」

悠夜の右手の掌の上に出て来た水晶のような水の球体は薄く輝いて、ある部屋を映し出した。

「ジャジャーン!ここは何処でしょう?」
「…な!ワイの部屋やんか!!」
「ここにある全てを焼き尽くして上げる。特に、ここら辺をね~!」

画面はズームして壁に掛けてある大きな絵を映し出した。

「!!!!!」
「この壁の中って、凄いよね~金色だもの~!!」
「*%#$*%!」

青から白へ顔色を変える黄色の王に悠夜は容赦の無い言葉を付け加える。

「どうせなら溶けて蒸発するまで焼いて上げよう…」
「!!!!ご!ごめんなさい!!!もうしません!!許して下さい!!!」
「謝りゃ許して貰えるなんて、甘い事言わないよね~!謝るだけなら猿でも出来るってね!」
「じゃあ、どうしたらいいねん?」
「現世に堕ちた子の傷を治す為に万能神薬作って貰う事と、この契約書にサインして貰う。二度とウチの一族で金儲けとか考えない様にね!」
「アウアウ!」

ちなみに万能神薬とは黄色の神族全員神力の半分を出さないと出来ない万能薬で、死せる神も蘇る事が出来ると言われる黄色神族のみが作る事が出来る薬である。

「ううううううぅぅぅ…」
「さあ、サインしてよね!もう、コレ保つの面倒…辛いから…」
「面倒言うたやん!」
「その突っ込みは、殺っていいって事かな?じゃあ遠慮なく…」

黒い炎が一回り大きくなった。

「ああああぁぁぁぁ~分かりました!サインします!!」
「では、契約の神に作って貰った契約書にサインして神力で印を押して貰います。」
「黒のも用意周到やないかい!」
「俺はね~脳筋じゃないからね。さっきまでコレを待っていたんだ。
言っとくけど、諜報してるの君の一族だけじゃないから!俺の所にもいるから。」

契約の神が創りし契約書は反故にすると全身に呪いが走る。神は死にはしないが死んだ方がマシだっていうほどの嫌がらせが毎日起こると言われている。
広げられた契約書と一本の羽根ペンが宙に浮かんでいた。
その羽根ペンで契約書に黄色の王が神名を書くと、サインした文字が光り契約印が浮かび上がった。

「これで契約完了だね!」
「薬を創り上げるのは、少し時間がいるで。一族全員集合かけるから…その子それまでどうする?」
「俺が現世で面倒みるよ。責任の一端は俺にもあるからね。」
「その子が現世から戻るまでには作っておくから…。」
「じゃあ、黄の王に一族を説得出来る様に一つだけいい事を教えてあげるよ。」
「いい事?」
「今回の事でウチの一族も色々見えたからね~本当弱過ぎ!だから、王決定戦じゃなく一族の強化をする為に4年に一度武闘大会をする事にする!」
「武闘大会!!」
「その時だけは、出店もトトカルチョも許可してあげるよ~。」
「!!!!」
「その件に関して、契約にも入れといてあげる。せいぜい盛り上げてね!」
「黒の王~!!」

こうして王決定戦は終わりを告げた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お!遅くなりました~m(_ _)m
今回、ここまで持って来たかったので文字数もいつもの倍になりました。
悠ちゃんの天界編も次回で終わりです。
お気に入りアンド読んで頂き、ありがとうございます!次回は遅刻しない様にします!
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