人は神を溺愛する

猫屋ネコ吉

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魔術師と言われた男4

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最上階にあるゴッドキャッスル京都のインペリアルスィートルームは主寝室が2つ広いリビングが一つにゲストルームが二部屋にバスルームが二つと豪華絢爛な部屋だ。
勿論、この最上階全部がこのスィートルームとなっている。

一泊…金額は想像にお任せしよう。
最近泊まっていたのはアラブの王族だったそうだ。

セキュリティも凄い、専用エレベーターでしか入れない。
勿論、業務用とかも無く一つだけで特別なキーを差し込まないと動かない仕様だ。
そして、この部屋には専用コンシェルジェが2名常駐している。

「悠夜様、お茶をご用意致します、こちらにどうぞ!」
「田中さん、せっかく来たんだから田中さんも休憩して!」
「いえいえ、私の技術の見せ所ではありませんか?まだまだ負けませんぞ!」
「いえいえ、ご老体はご休憩下さい。美味しい紅茶は私どもがご用意致しますから!」
「ムムム…。」
「ムムムム…。」

そして、田中さんとコンシェルジェの鈴木さんの闘いが始まったのね。
お二人は同じ歳で、同じイギリスの執事学校を卒業した同期なんだそうだ。
その当時から、ライバルだった様で前回の修学旅行の時に出会ってしまったんだね~。
火花が散ってます。

「田中さんは今回僕のお付きですよ、この後観光に行くんだから休憩です。」
「悠夜様…分かりました。今回は私が大人になって引きましょう。」
「ははは…ありがとう~。では、鈴木さんお茶お願いします。」
「畏まりました、悠夜様。」

リビングのソファーにそれぞれが座り、SP2人は悠ちゃんの後ろで生きた彫像の様に立っていた。
総支配人が、悠ちゃんに今後の予定を聞いていた。
「この後は観光で御座いますか?」
「うん、八阪神社にお参りして前回行けなかった鍵善さんに葛切り食べに行きたいと思ってる。那智はこの後の時間は大丈夫?」
「ええ1日大丈夫ですよ。」
「お昼は、下鴨茶寮がいいな~。」
「では、私の方で予約を入れて置きましょう。」
「ありがとう~日比野さん!」
「夜は、ここのメインダイニングで!日比野さんも一緒に!ダメかな~?」
「勿論、万難排して同席致します。嬉しいですね~悠夜様と久し振りにご一緒出来るのは!」
「ふふふ…僕も!料理長の城島さんに楽しみにしてますって伝えてね。」
「畏まりました。」

和やかに今日の予定を話す悠ちゃんの嬉しそうな微笑みに一同が癒される。
決して自分本意な事を言わない悠ちゃんは本当に天使だ。
でも、今回の旅の目的を忘れる訳にはいかない。

何としても天使を護る為には知る必要があるんだ。
“御厨那智“という男の正体を!

鈴木さんの紅茶が全員の前に出され、総支配人とコンシェルジェの2人は一先ず部屋を辞した。
そして、悠ちゃんの爆弾発言が炸裂した!

「さて、今回の旅の目的を果たそうか?スッキリしてから観光したいものね~ねぇ達兄!」

ドーン!!!!

「ええ~どうしてそういきなりなの~!!!」

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