人魚姫の恋

猫屋ネコ吉

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第15話

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吉元竜也…。
彼は芳樹と中学、高校と同級生だった。
優秀な頭脳、ずっとバスケットを部活動でやっていた。
甘いマスクと180を越える高身長、成績も学年のトップ5にいつも入っていた。
実家は地元でも有名な総合病院の跡取りで本人も医者へなる事を希望していたし、その努力を重ねていたが周りには飄々とした態度でいたので、そんな彼の努力を知らない者が多かった。
学校ではアイドル並の人気者で明と人気を2分していた。
明が生徒会長で竜也は風紀委員長。
因みに芳樹図書委員で密かに図書室の麗人と言われていたのを本人は知らない。
その3人が同じクラスで同じ仲良しグループを形成していたのだ。
そのグループに入りたいと思う人は多かったが3人の間に入る事は出来なかった。

高校3年の最後の夏…。
そんな3人が2学期には誰も登校して来なかった。
芳樹と明は転校し竜也はアメリカの大学入学のために留学したと担任からの発表にクラスだけじゃなく学校中が騒然となった。
特に芳樹は両親の心中事件が地方版のニュースとして報道された事もあったので彼を心配する声は多かった。

夏休みに入る前日の誰も居なくなった教室で竜也は芳樹に告白した。
振られる事は分かっていたけど、このまま曖昧な気持ちのまま留学するのはダメだと思った。
初めての恋…初めて好きになった人。
美しくて、それでいて凛とした佇まいの彼が何時も目が向いていたのは自分では無いと知っていても、彼の側にいた。
身体が大きくなって行くうちに彼が欲しいという気持ちが大きく育って…狂暴な気持ちと守りたいという気持ちが荒れ狂った時もあった。
全てを諦める為に、告白して玉砕した後の逃げ道も作って、用意周到な自分を笑ってから告白した。
結果は思っていた通りで、竜也は心が号泣していたが笑顔で芳樹にさよならを言って、その日の内に渡米した。
渡米してからの竜也はガムシャラに勉強しアメリカで医師免許を取得してからは命に向き合い寝る暇も惜しんで最新の医療現場で働き研究し色恋など目を向ける暇を自ら与えなかった。
そうして数年、国境なき医師団の1人として紛争地域にも行き命を救う事をして来た。
それは忘れたい初恋の人の面影を忘れるためなのか…。
そんな諦め悪い自分自身に呆れながらもガムシャラに命に向き合った。
そして日本から父親の危篤の知らせを受け取り日本に戻ったが帰って来るまでに結構時間が掛り戻った時には父親は、すっかり元気になっていた。
病院は長兄が跡を継いでいたし、久し振りの日本で暇暮らしを望んで1年。
そして初めて芳樹の不幸を知った。
まさか、そんな芳樹にとんでもない不幸が嵐のように訪れていたなんて思いもしていなかった。
彼の側に明とという自分にとって親友であり最強のライバルが彼の手を離すなど予想もしていなかったのだ。
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