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第14話
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芳樹が出て行った。
愛する人からの最後の手紙は仁に深い悔恨の心を呼び覚ました。
自分から大事な人を奪った女の息子だとフィルターのかかった眼と心で苛んで来た。
自分に与えた苦しみを憎しみを、あの女の代わりに浴びせ続けて来た。
本当は自分にそんな権利も無いのに…。
結局最愛の自分にとって大事な人を追い詰めたのは仁自身であった。
その事を認めたくなくて、最愛の人を奪った女の息子だからと彼に謂れのない罪を勝手に押し付けていた。
そして、最愛に人の願いも想いも汚してしまった!
それはもうどうしようもない事実で、今更どの面出して謝ったところで許されない。
一睡もせずに愛しい人の言葉を何度も何度も読み返して仁は涙を零した。
嵐が過ぎ去ったように静かになった執務室に執事の高倉が声をかけた。
「旦那様。」
「ああ…入れ。」
静かに執務室のドアを開けた高倉は、仁の近くまで行き静かな声で報告した。
「あの方が亡くなられたと病院より知らせを受けました。」
「…そうか。」
「芳樹様のご希望で葬儀は近親者のみで旧姓にてご葬儀されるそうです。喪主も芳樹様ではなく弟である方の名前でおこうなうとの事。」
「…芳樹は…今どこに?」
「私が手配しました都内のホテルに滞在して頂いております。半年分を前払いしておきましたが2、3日世話になると伝言を頂きました。」
「高倉…葬儀に行ってくれるか。」
「畏まりました。」
「それと弁護士を呼んでくれ…。」
「畏まりました。」
仁は再び深い物思いに沈んでいった。
ふっと…ベッドの横で鳴っているスマホの音で目を覚ました芳樹は全身の倦怠感から本格的に発熱している事を自覚した。
スマホの呼び出し相手は病院で全てを丸投げした葬儀会社からだった。
「はい…。」
「華風葬儀の南畑ですが…小早川様の携帯でよろしかったでしょうか?」
「はい。」
「実は喪主様より請求書の送付先をお伺いしましたら…」
葬儀費用についての説明と支払い方法などの説明を10分ほど聞いて電話を切った。
そして、身体がガタガタと震える程の寒気に負けてベッドに潜り込んだ。
そんな芳樹に今度はホテルの備え付けの電話が鳴り、芳樹は掛け布団の中から手を伸ばし受話器を取った。
「…はい」
「お休みのところを失礼致します、小早川様。」
「…はい」
「高倉様より昨日体調不良のご様子でしたので様子を伺って下さいとご連絡がありまして…。」
「……。」
「小早川様?」
「パタッ…」
「小早川様?…今からお部屋に伺います!!」
受話器から流れるツーツーという音を聞きながら芳樹の意識はシャットダウンした。
次に目が覚めた芳樹は点滴の管を落ちる輸液の袋とそれを調節していた背の高い白衣姿の男の背中だった。
「お!意識戻ったようだな。」
振り向いた男の顔を見た芳樹は驚いた!
「なんで…なんでお前がここにいる?」
「そりゃあ俺がここのホテルの契約医だからだな。」
「契約医…」
「ああ…アッチから去年戻って来たんだ、暫く働きたく無いって言ったんだが親父が、なら丁度いいってここに紹介されてな!」
「…そっか。」
「久し振りだな~芳樹!相変わらず美人だな!」
「ああ…竜也…。」
運命は動き出した。
全ての結末を迎えるために…。
続く。
愛する人からの最後の手紙は仁に深い悔恨の心を呼び覚ました。
自分から大事な人を奪った女の息子だとフィルターのかかった眼と心で苛んで来た。
自分に与えた苦しみを憎しみを、あの女の代わりに浴びせ続けて来た。
本当は自分にそんな権利も無いのに…。
結局最愛の自分にとって大事な人を追い詰めたのは仁自身であった。
その事を認めたくなくて、最愛の人を奪った女の息子だからと彼に謂れのない罪を勝手に押し付けていた。
そして、最愛に人の願いも想いも汚してしまった!
それはもうどうしようもない事実で、今更どの面出して謝ったところで許されない。
一睡もせずに愛しい人の言葉を何度も何度も読み返して仁は涙を零した。
嵐が過ぎ去ったように静かになった執務室に執事の高倉が声をかけた。
「旦那様。」
「ああ…入れ。」
静かに執務室のドアを開けた高倉は、仁の近くまで行き静かな声で報告した。
「あの方が亡くなられたと病院より知らせを受けました。」
「…そうか。」
「芳樹様のご希望で葬儀は近親者のみで旧姓にてご葬儀されるそうです。喪主も芳樹様ではなく弟である方の名前でおこうなうとの事。」
「…芳樹は…今どこに?」
「私が手配しました都内のホテルに滞在して頂いております。半年分を前払いしておきましたが2、3日世話になると伝言を頂きました。」
「高倉…葬儀に行ってくれるか。」
「畏まりました。」
「それと弁護士を呼んでくれ…。」
「畏まりました。」
仁は再び深い物思いに沈んでいった。
ふっと…ベッドの横で鳴っているスマホの音で目を覚ました芳樹は全身の倦怠感から本格的に発熱している事を自覚した。
スマホの呼び出し相手は病院で全てを丸投げした葬儀会社からだった。
「はい…。」
「華風葬儀の南畑ですが…小早川様の携帯でよろしかったでしょうか?」
「はい。」
「実は喪主様より請求書の送付先をお伺いしましたら…」
葬儀費用についての説明と支払い方法などの説明を10分ほど聞いて電話を切った。
そして、身体がガタガタと震える程の寒気に負けてベッドに潜り込んだ。
そんな芳樹に今度はホテルの備え付けの電話が鳴り、芳樹は掛け布団の中から手を伸ばし受話器を取った。
「…はい」
「お休みのところを失礼致します、小早川様。」
「…はい」
「高倉様より昨日体調不良のご様子でしたので様子を伺って下さいとご連絡がありまして…。」
「……。」
「小早川様?」
「パタッ…」
「小早川様?…今からお部屋に伺います!!」
受話器から流れるツーツーという音を聞きながら芳樹の意識はシャットダウンした。
次に目が覚めた芳樹は点滴の管を落ちる輸液の袋とそれを調節していた背の高い白衣姿の男の背中だった。
「お!意識戻ったようだな。」
振り向いた男の顔を見た芳樹は驚いた!
「なんで…なんでお前がここにいる?」
「そりゃあ俺がここのホテルの契約医だからだな。」
「契約医…」
「ああ…アッチから去年戻って来たんだ、暫く働きたく無いって言ったんだが親父が、なら丁度いいってここに紹介されてな!」
「…そっか。」
「久し振りだな~芳樹!相変わらず美人だな!」
「ああ…竜也…。」
運命は動き出した。
全ての結末を迎えるために…。
続く。
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