31 / 43
リーダー、無双します
7
しおりを挟む
「そういやこの山、持って帰らなくていいのか? そこそこのお宝だぞ?」
大鎧百足の外皮は硬く衝撃にも強いため(さくさくとぶつ切りにされたのは、ひとえに相手が悪すぎたためだ)、冒険者たちの防具の素材として人気がある。
特徴的な、五本の角のような突起を持つ頭部の外殻、通称『兜』は特に高値で取引されていた。
「しかしこの量ですと、一度に処理するのは難しいかと」
「欲しかったらあとから取りにこればいいでしょ!
早く視界にコレがないところに行かせてえええっっっ!」
「……ということらしく」
「じゃこれだけでも」
と、シルヴァは、最後にイシュアが倒した大鎧百足に駆け寄った。
魔力を通したナイフを体節の隙間に差し込み、頭部の外殻を器用に取り外していく。
外し終わった頭部は大人の半身ほどの大きさだ。シルヴァは腰に下げた鞄から、魔方陣の刻まれた羊皮紙を一枚取り出した。
傍らの頭部を無造作に指さし、その指をついと羊皮紙の魔方陣にもっていく。
すると頭部の外殻が、魔方陣の中にするりと入っていった。
そのまま羊皮紙は、見えない魔法の手によって掌の上でくるくると巻き取られ、麻紐で結ばれる。
ポケットに仕舞えるほどの大きさになった『戦利品』を、イシュアに向けて放り投げた。
「王子、持ってけ。
王子が仕留めたモンだ。
売れば帰りの路銀の足しくらいにはなるぞ」
「いや、あれは……」
「エンリョすんな、こんなにあるんだ。
なんならもう二つみっつ……」
「シルヴァ!」
アリエッタの怒号にシルヴァと、それからイシュアも首をすくめた。
そして一同はなんとか無事、門をくぐることができたのだった。
大鎧百足の外皮は硬く衝撃にも強いため(さくさくとぶつ切りにされたのは、ひとえに相手が悪すぎたためだ)、冒険者たちの防具の素材として人気がある。
特徴的な、五本の角のような突起を持つ頭部の外殻、通称『兜』は特に高値で取引されていた。
「しかしこの量ですと、一度に処理するのは難しいかと」
「欲しかったらあとから取りにこればいいでしょ!
早く視界にコレがないところに行かせてえええっっっ!」
「……ということらしく」
「じゃこれだけでも」
と、シルヴァは、最後にイシュアが倒した大鎧百足に駆け寄った。
魔力を通したナイフを体節の隙間に差し込み、頭部の外殻を器用に取り外していく。
外し終わった頭部は大人の半身ほどの大きさだ。シルヴァは腰に下げた鞄から、魔方陣の刻まれた羊皮紙を一枚取り出した。
傍らの頭部を無造作に指さし、その指をついと羊皮紙の魔方陣にもっていく。
すると頭部の外殻が、魔方陣の中にするりと入っていった。
そのまま羊皮紙は、見えない魔法の手によって掌の上でくるくると巻き取られ、麻紐で結ばれる。
ポケットに仕舞えるほどの大きさになった『戦利品』を、イシュアに向けて放り投げた。
「王子、持ってけ。
王子が仕留めたモンだ。
売れば帰りの路銀の足しくらいにはなるぞ」
「いや、あれは……」
「エンリョすんな、こんなにあるんだ。
なんならもう二つみっつ……」
「シルヴァ!」
アリエッタの怒号にシルヴァと、それからイシュアも首をすくめた。
そして一同はなんとか無事、門をくぐることができたのだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~
夢・風魔
ファンタジー
*タイトル少し変更しました。
全ての能力が平均的で、これと言って突出したところもない主人公。
適正職も見つからず、未だに見習いから職業を決められずにいる。
パーティーでは荷物持ち兼、交代要員。
全ての見習い職業の「初期スキル」を使えるがそれだけ。
ある日、新しく発見されたダンジョンにパーティーメンバーと潜るとモンスターハウスに遭遇してパーティー決壊の危機に。
パーティーリーダーの裏切りによって囮にされたロイドは、仲間たちにも見捨てられひとりダンジョン内を必死に逃げ惑う。
突然地面が陥没し、そこでロイドは『ステータスボード』を手に入れた。
ロイドのステータスはオール25。
彼にはユニークスキルが備わっていた。
ステータスが強制的に平均化される、ユニークスキルが……。
ステータスボードを手に入れてからロイドの人生は一変する。
LVUPで付与されるポイントを使ってステータスUP、スキル獲得。
不器用大富豪と蔑まれてきたロイドは、ひとりで前衛後衛支援の全てをこなす
最強の冒険者として称えられるようになる・・・かも?
【過度なざまぁはありませんが、結果的にはそうなる・・みたいな?】

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【 完 結 】言祝ぎの聖女
しずもり
ファンタジー
聖女ミーシェは断罪された。
『言祝ぎの聖女』の座を聖女ラヴィーナから不当に奪ったとして、聖女の資格を剥奪され国外追放の罰を受けたのだ。
だが、隣国との国境へ向かう馬車は、同乗していた聖騎士ウィルと共に崖から落ちた。
誤字脱字があると思います。見つけ次第、修正を入れています。
恋愛要素は完結までほぼありませんが、ハッピーエンド予定です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる