156 / 207
港町ニリ
しおりを挟む
スップの街より出ている貸馬車を利用して、ギン、ルルー、ムルカの3人はスップより南に位置するニリの港町に住む、元海の傭兵で現在は荷船で運搬業を営むボガードの元へ協力の依頼へと向かっていた。
「わざわざ貸馬車を使うとは慎重ですね」
「うむ、ミッツ教団の馬車では目立ち、侵入しているやも知れぬ帝国軍が我らの邪魔に来るかもしれんからな」
「ムルカ様、次の街で馬車を乗り換えましょう」
ルルーの提案を聞いてギンとムルカは黙って頷く。
そして次の街に着くと馬車を降りて次の馬車を待つこととした。
「毎度ありがとうございました」
「御者さんもここまでありがとうございました」
次の馬車の到着までは時間があるので改めて人気のない場所に移動して3人は話をする。
「急がなくてはいけないが、帝国の間者が馬車の御者に成りすましておらんとも限らんからな」
「ええ、だけどあらかじめ各街に常駐しているミッツ教徒や兵士にも連絡が行き渡っているので、我々にも帝国軍の情報は入ってきやすいですからね」
「もし、侵攻が予想より早ければ俺が戻ってエイム達と合流し、2人は交渉に向かう流れだからな」
ミッツ教団とプレツ軍は緊密な連携をとっており、対帝国戦線は強化されていた。
そしてギンが言葉を発する。
「今回の侵攻はほとんど間を置いていないからスールや他の国からの援軍は望みにくい」
「そうね、フィファーナ将軍もバンス将軍に劣らない戦術眼はあるし私達だけで戦い抜くのは厳しいかもしれないわ」
「うむ、我が国は前戦による疲弊と先日の魔物襲撃の事後処理にも追われ戦力が十分とはいえんからな」
ギン達が話をしている間に馬車が到着し乗り込むこととした。
何度か馬車の乗り降りを繰り返し、翌日にニリの街へとたどり着いた。
「ここがニリの街か、コッポのタグの街並みに盛んだな」
「タグがコッポの海の入り口なら、ニリがプレツの海の入り口ね」
「港町というのは人も物も集まるから賑わいやすいのだな」
話し終えるとギン達はボガードの荷船をやっているドックを探すこととする。
港には着いたが、どこにボガードがいるかは分からないギン達は港の係員に尋ねてみた。
「あの、私達ボガードさんに御用があってきたのですがどちらにおいででしょうか?」
「ボガードさんはあちらのドックで船の整備やチェックをしていますよ。なにしろこの街で一番多くの船を所有しているから大きいドックを使っているんですよ」
「ありがとうございます」
ルルーが係員に礼をいうと指定されたドックに向かう。
ドックに着くとルルーが見かけた男に声をかける。
「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」
「何ですかい?」
「私達、ボガードさんに御用があってきたのですが」
「ちょっと待って下せえ、お頭……じゃねえ、大将、お客さんがきてやすぜ」
男に呼ばれた屈強そうな男が船の中より現れる。
「おいおい、いい加減お頭っていうのは……ん?何だ?あんたら」
この男こそがボガードなのか?
続く
「わざわざ貸馬車を使うとは慎重ですね」
「うむ、ミッツ教団の馬車では目立ち、侵入しているやも知れぬ帝国軍が我らの邪魔に来るかもしれんからな」
「ムルカ様、次の街で馬車を乗り換えましょう」
ルルーの提案を聞いてギンとムルカは黙って頷く。
そして次の街に着くと馬車を降りて次の馬車を待つこととした。
「毎度ありがとうございました」
「御者さんもここまでありがとうございました」
次の馬車の到着までは時間があるので改めて人気のない場所に移動して3人は話をする。
「急がなくてはいけないが、帝国の間者が馬車の御者に成りすましておらんとも限らんからな」
「ええ、だけどあらかじめ各街に常駐しているミッツ教徒や兵士にも連絡が行き渡っているので、我々にも帝国軍の情報は入ってきやすいですからね」
「もし、侵攻が予想より早ければ俺が戻ってエイム達と合流し、2人は交渉に向かう流れだからな」
ミッツ教団とプレツ軍は緊密な連携をとっており、対帝国戦線は強化されていた。
そしてギンが言葉を発する。
「今回の侵攻はほとんど間を置いていないからスールや他の国からの援軍は望みにくい」
「そうね、フィファーナ将軍もバンス将軍に劣らない戦術眼はあるし私達だけで戦い抜くのは厳しいかもしれないわ」
「うむ、我が国は前戦による疲弊と先日の魔物襲撃の事後処理にも追われ戦力が十分とはいえんからな」
ギン達が話をしている間に馬車が到着し乗り込むこととした。
何度か馬車の乗り降りを繰り返し、翌日にニリの街へとたどり着いた。
「ここがニリの街か、コッポのタグの街並みに盛んだな」
「タグがコッポの海の入り口なら、ニリがプレツの海の入り口ね」
「港町というのは人も物も集まるから賑わいやすいのだな」
話し終えるとギン達はボガードの荷船をやっているドックを探すこととする。
港には着いたが、どこにボガードがいるかは分からないギン達は港の係員に尋ねてみた。
「あの、私達ボガードさんに御用があってきたのですがどちらにおいででしょうか?」
「ボガードさんはあちらのドックで船の整備やチェックをしていますよ。なにしろこの街で一番多くの船を所有しているから大きいドックを使っているんですよ」
「ありがとうございます」
ルルーが係員に礼をいうと指定されたドックに向かう。
ドックに着くとルルーが見かけた男に声をかける。
「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」
「何ですかい?」
「私達、ボガードさんに御用があってきたのですが」
「ちょっと待って下せえ、お頭……じゃねえ、大将、お客さんがきてやすぜ」
男に呼ばれた屈強そうな男が船の中より現れる。
「おいおい、いい加減お頭っていうのは……ん?何だ?あんたら」
この男こそがボガードなのか?
続く
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
F級テイマーは数の暴力で世界を裏から支配する
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ある日、信号待ちをしていた俺は車にひかれて死んでしまった。
そして、気が付けば異世界で、貴族家の長男に転生していたのだ!
夢にまで見た異世界に胸が躍る――が、5歳の時に受けた”テイム”の祝福が、最低位のF級!?
一縷の望みで測った魔力容量と魔力回路強度も平凡だって!?
勘当されたら、その先どうやって生きてけばいいんだー!
と、思っていたのだが……
「あれ? 俺の”テイム”何かおかしくね?」
ちょくちょくチートな部分があったことで、俺は”強く”なっていくのであった
この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR
ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。
だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。
無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。
人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。
だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。
自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。
殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。
転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
精霊の愛し子~真実の愛~
マツユキ
ファンタジー
生まれ落ちた時、赤子の体には不思議な文様が浮かんでいた。母親はその子を愛そうとはせず生まれてすぐに捨てた。赤子は生まれて間もなかったが、意思があり理解も出来ていた。悲しみ救いを求め「助けて!」と言葉は出ないが泣き叫ぶ。しかし、誰も手を差し伸べようとはしなかった。日が経つにつれ赤子の声は掠れ生気がなくり、とうとう死を受け入れたとき赤子の体が光に包まれる。
※恋愛対象が男性になるためBLと入れていますが、本格的な濡れ場などは書く予定はありません
BLよりもファンタジー色の強い話になると思います
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる