魔法戦士ギン

burazu

文字の大きさ
上 下
136 / 207

少年の怒りと悔しさ

しおりを挟む
 ギン達はそれぞれ組み分けを行い、魔物の残したものがないかを捜索していた。そんな中ルルーとムルカが村の中を歩いていた。

「ムルカ様、それらしきものはまだ見つかりませんね」
「うむ、だが私はこの惨状を見て痛ましく感じるがな」
「私もです。もし本当に魔物を操れる者がいるとしたら私はその者を許せません」
「ルルー……」

 ルルーの魔物を操る者がいるという事実があるという前提で怒りを露わにし。それをムルカは黙って聞いている。

「今この国はブロッス帝国との戦争状態です。にも関わらず魔物を使役し村人を襲わせる卑劣な行為を許すわけには参りません」
「ルルーよ貴殿の使命感は誇りに思う。だが我々もおることを忘れるな」
「ムルカ様、はいもちろんムルカ様やみんなの事は信じております」

 そんな時ルルーは何かを語りだす。

「みんなと会えたことはきっと私にとっても大きなことでした」
「どうした突然?」
「はい、ミッツ教団の方々意外に私にとって信じられる仲間ができたことが私にとっては大きいんです。8歳より10年間ミッツ教団内で生きてきたものですから」
「そうか」

 ムルカはルルーの言葉を優しい表情で聞いており、嬉しく思っていた。

 ルルー達が捜索している頃、ギンとエイムも捜索をしていた。

「ギンさん……」
「どうしたんだ?」
「一体どれほどの方が亡くなられたのか考えると悲しくなります」
「エイム、これ以上の悲しみが広がらない為に俺達がその魔物を討伐しなくてはならないんだ」

 ギンの言葉を聞いて、エイムも強い決意を示す。

「そうですね、私達が頑張らないとだめですよね」

 ギンとエイムが歩いていると突如少年がギン達に声をかける。

「なあ、にいちゃん達」
「何だ?」
「何か御用ですか?」

 ギン達の問いに少年が返事を返す。

「にいちゃん達、さっき井戸にいたよな」
「そうだが何だ?」
「実は俺、魔物のものを持っているんだ、ちょっと見てくれないか?」

 そう言って少年がギン達に見せたのは魔物らしきものの毛であった。

「どうして、っていうかどこで拾った?」

 ギンの問いに少年は涙を流しながら話した。

「と、父ちゃんの……死体を……み……つけた時に……父ちゃん……が手に……握っていたんだ」

 疑問を感じたエイムが少年に尋ねる。

「どうして、それを……ええとお名前は?」
「アルだよ」
「どうしてアル君が持っているんですか?」
「父ちゃんを殺された悔しさと怒りを忘れねえためさ」

 アルの言葉を聞き、ギンが語りかける。

「それが魔物のものならひとまず俺達に預からしてくれるか?事が終えればもちろん返す」
「いいけど、何をするか俺も見ていいか?」

 アルの問いにギンはどう返すか?
 続く
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

2回目チート人生、まじですか

ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆ ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで! わっは!!!テンプレ!!!! じゃない!!!!なんで〝また!?〟 実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。 その時はしっかり魔王退治? しましたよ!! でもね 辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!! ということで2回目のチート人生。 勇者じゃなく自由に生きます?

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...